〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
最近の私は、センを尾行する事に時間を費やしていっていると言っても過言ではない。
中3のいつか。そのタイミングでセンはトウシに折られる。そして、ゼン時空の場合は神センが登場し、ゼンを原初の世界に呼び出す...これがベスト。なんとか記憶とかを読み取ってもらったら、少しは今に同情してもらって、魔法の一つぐらいかけてもらえるだろう。
そして、セン時空の場合、そこでは何も起きずに、その場はセンの心の慟哭が響き渡る事になるだろう。
そうして、いつも通りに塾、月明かりの前でウロチョロしている時だった。
明らかに吐きそうな顔をしているセンを発見した。
私は勝ったっ!と思いながらもついていく。
どうやら、トウシがやってくれたらしい。
そうして、コソコソ、コソコソとついていっている内に、私は河川敷に出た。河川敷の裏手から、チラリと顔だけを出して観察する。
声も、なんとかだが聞こえる。
「遅ぇよ、セーン……」
キムロの声だ。いつも私に見せていた高圧的なモノではなく...いや、静かな高圧さをみせている。キムロもこの数年で成長したということだろう。
「待たせんなよ。むしろ、そっちから来いや……ほら、集金、集金。ハリー、ハリー。心、ダッシュさせてぇ、財布開いてぇ」
もはや既視感すら感じる流れだ。ようやく、私は原作シーンを眺められているのである。初、原作シーンを、私は心の中でポップコーンとコーラを召喚し、飲み食べながら鑑賞する。
この先、センは酷い目に遭う...だが、私は手を出さない。決して手は出さない。
「もう、時間も内申もどうでもいいから、金は払わない」
そうだぞ!セン!折られて負けたんだよな!気持ちはわかるぞ!
「お前らの相手をまともにするのは色々と無駄だから、月に千円でいいならそっちの方が楽だと思っただけ。もう『アカコー』は捨てた。『東』なら、何をしても受かる……だから、もう金は払わない」
うおおおおお!!流石世界の主人公...言葉の一つ一つが違いまっせ!この敗北宣言すらカッコよく思えるぅ!
「……あのなぁ、セーン」
キムロが至極めんどくさそうな風貌で言う。
「そういう、『気合いを見せる系』とか、別にいいから。……こっちは、今日中に、あと五人まわらないといけねぇんだよ。ゴチャゴチャ言わずに、さっさと出せ。今すぐ出せば、聞かなかった事にしてやるから」
それに対し、センは...
「殺す気でこいよ、キムロ」
はい、私、こらを見るためだけに頑張って生きてきたまであります!!!もうしのうかな...