〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
はい、私、これだけでここまで頑張って生きてきたまであります!!!もうしのうかな...
「死ぬまで抵抗するから、やるなら殺す気でこいって言ってんの」
「わぁ、かっこいぃ、ステキ、抱いて……で、そのボケ、いつまで続けんの?」
「...俺は病院で、お前は少年院ってところか……まあ、そのくらいの結末になれば、蝉原もめんどうくさがって、俺を無視するだろう……あいつはバカじゃない。抵抗するカモは捨てて、抵抗しないカモを選びなおすはず」
センは鞄を放りなげた。
「キムロ、心配するな。勝てるとは思っちゃいない。ただ、見せるだけさ。『このカモは面倒くさい』ってところを」
その様子に、キムロが沈黙していた。あのキムロが、である。小学先なら頃から手のつけられないガキ大将として生きてきた、あのキムロが気圧されている。いや、あの様子は...呆れているのか?
「さあ、行くぞ……ははっ……なんか、俺、少し高揚してんな……痛いんだろうな、殴り合いの経験なんざ一度も無いから分からないけど、多分、痛いんだろう……けど、なんだろうな……今は、ちょっと……痛くなりたい気分なんだーーー言っておくが、俺はMじゃないぜ」
「...勘弁してくれよ……蝉原さんに怒られるの俺なんだぞ。あの人の恐さくらい、ほとんど関わりのないお前だって知ってんだろ……ふざけんなよ、マジで……たかが月に千円だぞ。なんのためにその金額設定にしていると思ってんだよ……」
「分かっているさ。だから、抵抗するんだ。蝉原はバカじゃない。こっちの出方で行動を決めるはず……だから、俺は行動する」
この時、この世界の主人公は明確にセンなんだなと再確認した。私もセンエース神話の世界に来たんだし、折角ならがんばろーかなー、善行積んで、どっかで死んで転生して、出来たら来世はゼノリカに入信しようかなぁぐらいに思っていたが、そんな甘い考えではダメなのだろう。
「今まで大人しく従っていたから気付かなかっただろ。俺はな……そこそこプライドが高い、ゴリゴリの厨二系男子なんだよ」
「……うっぜぇなぁ、もう……」
そうして、戦いは始まった。キムロはセンの胸ぐらを掴んで地面に押し倒し、マウントポジションを取ろうとしたが、それをセンに体軸を逸らしかわされ、逆にセンのひょろひょろパンチがキムロに当たりかける。
だが、キムロも喧嘩慣れしているせいか、センのパンチを避けて、センをそのまま掴み、接近の頭突きを二度繰り返した。
この時点で、センはかなり痛んでいた。
だが、ここからもキムロの猛攻は止まらない。
キムロはセンにハイキックを入れる。センも上腕でなんとか防ごうとした。だが、防ぎ方が悪い。あの防ぎ方では肋骨に、かなりのダメージが通っているだろう。私だったら、この時点でだいぶ闘志は無くなっている。
だが...
「...すごいな」
センの目からは一向に闘志は消えていない。私とは大違いだ。
そうして、最終的に、
「おらぁぁ!!!」
「ぐぇえ!」
センのパンチがキムロの顎に当たり、一発KOを果たした。