〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
センは興奮冷めやらないのか、ぶつぶつと独り言を言っている。
そんな時だった。ソイツが現れたのは。
「……へぇ。面白い状況だなぁ。ねぇ、ユズ、そう思わない?」
「べつにぃ」
「あいつは...」
蝉原勇吾...センエース最大の敵...になろうとしている宇宙一の厨二ヤクザ...
私が『悪』の総統に慄いていると、
「起きようか、キムロ」
そういい、蝉原は持っているジッポの様なものでキムロの耳を炙る。
そうすると、
「あっつぅうう!!」
キムロが起き上がった。
「おはよう」
「あぁん?! ……ぁ……蝉原さん……」
...誰もが、キムロさえもが、蝉原には逆らえない。それが、同じ『悪』であっても。いや、『悪』であればあるほど、王である蝉原には逆らえないんだ。それがよく、理解出来る光景だった。
「説明はいらない。見れば大体分かる。キムロ、もう帰っていいよ」
「……あの、蝉原さん、俺ーーー」
「聞こえなかった?」
「……すいません……聞こえています。……帰ります」
そう言って場にはセンと蝉原、そしてユズが残った。
「さて、それじゃあ、少し話をしようか。えっと、きみ、名前、なんだっけ?」
「……俺とお前、一応、クラスメイトなんだけど」
「知っているよ。けど、カモの名前に興味はない。ただ、人間の名前には興味津津。というわけで、お名前は?」
「……セン」
「センくんね。えっと、とりあえず、財布、出してもらえる?」
「……」
「ああ、大丈夫、大丈夫。これで最後だから。君じゃなきゃいけない理由はない。だから、今後は無視してあげる。けど、今回は、君じゃないといけない。わかるよね、意味。ケジメってやつだよ」
「はは……ケジメねぇ……なあ、蝉原、前から聞きたかったんだが……ヤクザごっこは楽しいかい?」
「ごっこというより、練習だね。おれは確定で『そっちの道に行く』から」
そうして、蝉原ニコっと笑みを見せる。
「宇宙一の極道に、おれはなる!」
「……はは……ぁ、そう……恐いねぇ……」
おお、これが宇宙一の厨二ヤクザか...
そうして、私はつい、ユズの事をみる。
彼女は興味なさそうに、自身のスマホを見ていた。
...冷や汗と動悸が止まらない。あのことは、トラウマの一環としてわたしの中に刻まれている。その中には勿論、ユズもいる。精神科にかかったのも、それが原因だ。男と接するのが一時期しんどくなったのだ。今は精神安定剤...抗不安薬でどうにか乗り過ごしている。
話はまだ終わらない。