〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』   作:楓舞星

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36話:ゲロを吐いて倒れているセン

 

「さんきゅー。恐いって言ってもらえるのが一番ささる。おれはそのために生きているから。さて……それじゃあ、そろそろ財布、出してくれる?」

 

 センは、

 

「……イヤだ。拒否する」

 

「念を押すねぇ。まあ、いいけどさ。疲れるけど……これも仕事だから、ね、っと!」

 

「うぐ!」

 

 そう、センは断固たる意志をみせた。そうして、戦闘が始まった。いや、それは戦闘ではない。蹂躙であった。

 

 蝉原は二度ほどセンに平手を入れると、センのみぞうちをぶん殴った。

 

「おえ!」

 

 センは吐瀉物を披露し、ユズが、

 

「きっしょ……くっさ」

 

 視線はスマホに固定したまま、鼻で笑った。

 

 

 ...蹂躙は長いこと続いたが、結局、センは蝉原に殴られ、蹴られ、一発も有効打を与えることが出来ずに、そして終わった。

 

 倒れ込んだセンに、蝉原が、

 

「お金、とるけど、いい?」

 

「イヤだ……けど……もう、抵抗はできない」

 

「だよねー」

 

 そう言いながら、蝉原は、センのスラックスから財布を抜き取って、

 

「センくんは、気室に負けたって事にして欲しいんだけど、いいかな?了承してくれるなら、とるのを三千円から二千円に減らすけど?」

 

「……財布だけ……おいていってくれるなら、いくらとってもいい」

 

「ん? この財布、なんかあるの?」

 

「親の形見……二年前に死んだ母親がくれたもん……」

 

「へーそうなんだ」

 

 そう言うと、蝉原は、

 

「そりゃ」

 

 センの財布を地面に落として踏みつけた。

 

「踏まれちゃったね、形見」

 

「……そうだな」

 

「怒る?」

 

「……ああ、怒ってる……かなり……自分でも驚くくらい」

 

「そっか。良かった。それでも立ち向かえない恐怖……それが、おれ、蝉原勇吾。よろしく、どうぞ」

 

「……」

 

「いい目するね。なんだか嬉しいなぁ……」

 

 ......ここは原作でも屈指の負けイベント。いずれ舞い散る閃光となる男が駆け上がる為の、重要な柱。私が出る幕ではない...

 

 ...蝉原は、センのその『目』に欲情したといい、ユズを揉みしだく。

 

「センくん。どう、興奮した?」

 

「……しない」

 

「えー、ウソだー」

 

 言いながら、蝉原は、財布から足を外した。

 

「まあ、いいや。じゃあ、帰るね。何か言いたい事とかある?」

 

「次、誰か来ても……俺は同じ対応をする」

 

「大丈夫だよ、分かっているから。君は面倒くさい。オッケー。了承したよ。これからも、蝉原勇吾に、ちゃんと怯えて生きてくれるなら、それでオールオッケー。……オーライ?」

 

「……ああ」

 

「ユズも、最後に何か言ってあげてよ」

 

 声をかけられると、ユズは、センに視線を向けた。

 

 ゲロを吐いて倒れているセンを、頭から足まで見下ろして、

 

「だっさ……あんたみたいなのって、生きている価値、あんの?」

 

「……さあ」

 

「ウザいんだけど、その受け答え」

 

 言いながら、ユズは、センの財布を踏みつけた。

 グリグリと、カカトで地面に押しつけてから、その足で、

 

「ぐぅっ」

 

 センの頭を踏んだ。

 

「抑えろ...せめて神センが登場するまで...この状況が終わるまで...」

 

 私は耐え凌ぐ。

 

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