〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
そんな時だった、授業の空いた時間で、男女混合でドッチボール大会が開かれる事になった。
多数が半々となり別れたが、原作キャラでカウントするなら、龍牙峰vs月光寺、音文という構図になった。私は月光寺や音文側になった。
はっはっは!私は月光寺と音文を2体!相手は龍牙峰1体!勝った!
そうして、試合は開始した。
戦場にて、仲間たちは次々に外野送りにされていく。その中でも、飛び抜けていたのは...
「月光寺ぃぃぃ!!覚醒してぇぇぇ!!たまねぎ戦士ぃぃ!!!」
「んな無茶いうなぁぁぁ!!」
「お前たちぃぃ!ふざけんなぁぁ!俺を盾にすんなぁ!!」
私と月光寺と音文だった。恐らく私はキムロに殴られ続けたことで、認識した物相手だったら、体が怯えながらも反射的に回避行動を起こせるのだ。ただのトラウマが今この状況で偶々、味方になっているだけにすぎないし、それで体が鍛えられているわけでもない。
龍牙峰の弩級のボールが私の股をすり抜ける。あれ、100キロぐらい出てんじゃない...?
人殺す気かよぉ!!
「龍牙峰ぇぇ!!お前多少手加減しろぉ!!」
「あたしだってかなり手加減してる。ほら、躱わすだけだと勝負にならんぞ」
「ぎゃあああああ!!」
「おんどりゃああああ!」
「ぶぎゃあ!」
私たち三人は共に避けに避けるが、最初にボールに当たったのは音文だった。情けない悲鳴と共に、音文は倒れ伏す。だが、最後に...
「ボール、こっちサイドに落ちてきた...」
音文の体に当たったボールは運良くこちらのサイドで止まった。
そうして交わされる、私と月光寺の視線...
ふっ、考えていることは、一緒か...
((お前がやれよ...))
...ボールは、そんな光景を眺めていた。
「ごほん。月光寺くんよ。ここは男気を見せる場面ではないのかね?」
「いやいや、僕が男なんて誰が言ったよ」
「いやいやいや」
「いやいやいやいや...」
最終的に、じゃんけんをして私が投げる事なった。ちくしょうめ、私はこのセンのパチモンにみたいな面してるモブにはできねえことしてやるぜ!!!
「おらぁ!死なば諸共なげぇぇ!!!」
私は全力でボールを投じた。
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そうして、初めての体育の授業は終わった。
改めて、龍牙峰の、原作キャラの理不尽というのを感じ取った一日だった。
え?こういうのがいる世界観なのは理解しているだろうって?
いや、わかってたよ?親戚とかなら、龍牙峰相手でも、ドウナ、ゴンズあたりはいい勝負...というか勝つんじゃないかな?でも、この世界で暮らしていくうちに、現実というのも見えてくるわけだ。
そうして、その現実は常日頃から私にその無慈を押し付けてくるわけよ。お前は何モノでもないって。
だから、そんな現実の方が、ファンタジーあふれる世界よりも私の認識に与える影響は大きい訳だ。一応、私も『形見』とか持ってるけどさ。
...つまり、何が言いたいかって?
ネームドキャラには勝てません。人外です。彼ら彼女らは。
...私、キムロにすら50回ぐらい戦って勝率0%だし...