〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
「は、はは。あり得ない。ありえるはずがない...」
私はつい、目眩がし、廊下の、その場で倒れ伏す。
「そ、そうだ。P型を育成する世界かも...虚数アルファなんて、無数にあるんだ。『あの』虚数アルファに転生するなんて、そんな確率...」
そう、蝉原無双ルートを構築したソルDのように、虚数アルファは幾つもある。それこそ無限と言ってもほぼ差し支えないだろう。ならば、私が『その』世界に転生する確率なんてそれこそ地球が誕生する確率より低いはず。
「そ、それでも、きっと用済みになった世界は消される...第一アルファはセンや神話狩りが実質見てくれているが、虚数アルファはセンの認知外だ...」
そして...
「虚数アルファなんて、ソル達のおもちゃの様なもの...実験が終わったら捨てられるゴミみたいな世界...」
ソル達はきっと、大局的に物事を見ている。ネームド達...特にセンなどは『適当』にいじくるのを嫌悪する傾向にあったはずだが、モブ達...私たちなどは別だ。私たちは、セン達ネームドを囃し立てる飾りにして、おもちゃの中のおもちゃ...用済みになったら消されるだけの存在...
「あ、あああ...ああ...」
七月五日や無量大路というおそらく重要なフラグメントやパーツが埋め込まれていないこと、そして第一アルファの管理者たるアザトスがいないこと、第一アルファの重要要因たる輝木の携帯ドラゴンがいないことから、この世界が第一アルファでない事は確定。
......この世界はほぼ確実に、虚数アルファだ。
ここが虚数アルファなのだとしたら...
「最高に都合のいい想定をしたら、このまま世界が続いてくれること...次善手...これすら私には許せないけど、世界が突然『削除』されること。そして最悪は...『その』虚数アルファ...虚数蝉原が暴れる虚数アルファだ...」
最悪。それを想定した時、私は原作の光景が思い出される。
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『あんなマネ?どれのことを言っているのかな?大統領を操って、ロシアに核を落とさせたことかな?それとも、日本の総理にサミットで自爆テロさせたこと?それとも、世界中から集めたテロリストを紅白にチーム分けして中国とインドに投入して、どっちのチームがより多くの人間を殺せるか競争させたこと?それとも――』
『全部だ』
そして...
『うぷ……う……』
『……どうした、蝉原……ぉい……』
『バ……バグ……ちょっと待っ……なんで……やめ……』
『おい、蝉原! どうし――』
『なんでだ! どうして! やっ、やめろぉおお!! ふざけるなぁああああああああああああああああああ!!』
――第一アルファの全てを木っ端みじんに吹き飛ばした――
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そう、この世界はメチャクチャに狂わされ、そして終わるのだ。悪の帝王にして、宇宙一のヤクザ、蝉原勇吾の手によって。
私は、絶望した。もしかしたら、この世界は虚数アルファの中でも優遇されている世界かもしれない。だが、それでも、頭にこびりついたように離れないのだ。虚数蝉原の戦慄が...
頭が真っ黒な絶望に支配される。私が何をしても無駄な、絶望に。折角、ここまで救いあげたモノがバラバラに引き裂かれるような...
「ムラハネ、大丈夫か?ああ、大丈夫だ。問題ない」
「......ぇ?」
その声に、私はつい顔をあげた。
「お前が顔面ぐしゃぐしゃにしてるからつい心配で見にきてやった。一体なにがあったんだ?金次第で要求に乗ってやるよ。世の中金ぇ!かねかねかねかねおっかっね♪」
そこにいたのはセンだった。いつも通りにファントムトークを打ち鳴らし、多分、今がファントムトーカー全盛期であろう状態。
「さっさと言え。何があった?」
虚数アルファにて、蝉腹に彼は負けてしまう...私は知っている。彼...正式にいうと、D型センエースからP型センエース。今回の虚数アルファのセンが何の型番かは知らないが、彼は最終的に負けてしまうのだ。
私は、センにいうべきなのだろうか?いずれ、この世界が終わってしまうかもしれないことに...いや、どう考えても信じてくれないだろう。『いずれこの世界は崩壊、爆発します』だなんて。
だから...
「と、くに問題はな、ない...じゃあね!!」
私は泣きじゃくりながらもそう言い、
「っち!おい、待て!」
その場から逃げるように去っていった。