〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
「それじゃあどこから話そうかなぁ...そうだね。俺がこの力を得た時に話は遡ろうか」
私は真綿で首を絞められる気分に、文字通り相手の胃の中にいることを自覚しながら慎重に耳を傾ける。
「ある日、起きた時に、ここではないどこかと繋がった気がした。そこから流れてくるのは圧倒的パワーだった...終わり。あはは、めちゃくちゃうっすいね。けど、『運命』って逆から見てみるとそんなもんなんじゃないかな?表から見てみると強靭だけど、その反面、薄っぺらい。でも、『運命』に俺は選ばれたんだ。光栄に思っているよ。これは『本当』の事さ」
蝉原はくすくすと笑いながらそう言った。蝉原の事だ。どこからどこまでが『本当』の事なのかわからない。考えるだけ無駄なのかも知れない。
私はトウシと連絡を取ろうとする...が、携帯ドラゴンでも通話は出来なかった。
......私は...死ぬのか?いや、相手を殺そうとしてたんだ。私はどこか、害虫を殺すような気持ちで臨んでいた。だから、こんな感情に今なっている。
私自身の、自分の死に納得出来ない、この感情に。
...ちくしょう。
「君の実力は...俺のプロパティアイで見てみると...存在値で換算すると数値は100程度。わーすごい。とんでもなくすごいよ...スペシャルは...不明!どう言うこと?この数値差で見通せないなんて。スカウターの故障かな?」
判明、私の存在値は100ぐらいらしい。まあ大体そんなもんだと思っていたが。というか、プロパティアイを使えるのか。ブラフで言っているとは思えない。ランク15の魔法も嘘ではないのだろう。
...負ける。『タイジするシガナイ運命』とか、他のスペシャルはバレていないようだが...
それを自覚した瞬間、心に喝をいれる。そして、ギラギラに光らせた『希望』を見つめる瞳を向けてやった。
「負けて...たまるか!」
「うんうん。良い気迫だ。でも、恐怖の色は隠せない。君は元来、俺たち『悪』に対してなにか、トラウマのようなものがあるんだろうね。可愛いなぁ...うん、可愛い」
「っ!」
「因みに、俺の存在値を当ててみようか。いくつぐらいだと思う?そういえば、流石に存在値って概念は知ってるよね?ここではないどこかから送られてきた情報だから、君ももしかしたら知らないかも知れない」
「存在値...一言でいえばレベルのこと...」
「あったりーでも、景品は何もありません。だけど、存在値を当てれたら少しぐらい景品をあげようかな。幾つぐらいかな?当ててみてよ」
蝉原は常にニコニコとしながら、まるでふざけているみたいに、私にそう問いかける。
「...存在値、1000」
私がそう言うと、蝉原はぷぷっと笑ってから、言った。
「せいっかーい。俺の存在値は1000ぴったし。よくわかったね。でも、そんなに怖気付いているならこのぐらいの実力差があることはわかっていたかな?まあ、お喋りはこのぐらいにして、始めようか」
ーーー私は吹き飛ばされるーーー
そう言うと、蝉原はゆったりとした仕草で、手を振った。それだけの、ただのそよ風で、私はそれを躱そうとしたが、空間の奥まで吹き飛ばされる。
か、躱そうとしたのに躱せなかった...なんていう力量さ...
【『原作知識チート』と『異能力チート』で意図せず原作主人公の相棒になってしまう話】を執筆させていただきました。
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