〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
「ムラハネ!大丈夫か!」
「トウシ...作戦は、失敗だ...」
私は全身を激痛に晒されながらも、なんとかトウシの家に帰宅した。
そして話す。
「せ、蝉原は、もうすでに極悪的力を有していた...だ、だめだ。このままでは私達は負ける...」
「い、今のお前がそんな事になるとか、意味わからんすぎやろ!セラ姉の携帯ドラゴン喰って、あれだけの能力があるお前が!」
そう、今の私は常識的に考えて、あり得ないほどの力がある。
原初の世界の勇者が、存在値90そこらなのだ。実際戦ったら戦闘力の差で負けるだろうが、『未来視』も使えば勝負になるほどの力はある。ファンタジー世界の勇者とトントン以上の力は有しているのだ。
トウシもここまでボコボコにされて帰ってくるとは思っていなかったのだろう。あせあせとしている。なんとも珍しい光景だなぁと思った。
魔力が回復した私は、自身に治癒魔法をかける。
傷は回復した。
「...蝉原はこれから、世界を支配しようとする。私たちはどうにか奴を殺さなくてはならない」
あれだけの力量さを見せられた今、害虫駆除の気分ではいられなくなった。あれは、敵である。私の大敵だ。
「今の蝉原の存在値...レベルは1000だ。バグと繋がっているから、限界すらわからない...」
もしかしたら、限界すらないのかも知れない。敵が破壊衝動ソルの場合、世界のエネルギーを吸ってバグという生命体を生み出している可能性すらある。
そうなれば、もう崩壊は免れない。
私は床を叩く。
「どうする!どうするっ!!!」
「ムラハネ......落ち着け。今はもう、焦っとる場合ちゃう」
私は錯乱していた。だからか、つい聞いてしまった。
「トウシ...頼む、あとはお前だけが頼りなんだ...お前が携帯ドラゴンを使えば全部解決するはずなんだ!」
そう、私が戦う必要なんて、本来はないのだ。仕事をする必要も、わざわざ痛みを受け入れて修業して...そんなの必要なんてないのだ。
「...一度、田中家のセキュリティを突破して、その時に携帯ドラゴンの作り方は理解した...セラ姉の言葉は、間違いやない。携帯ドラゴンを作る最後の鍵は、愛や。凶悪なほどの。やけど、ワシには...ジュリアを犠牲にする事はどうしても出来ん...ジュリアがいない世界なんて...存在する価値がない...」
そういうと、トウシもへたり込んだ。この世界では、トウシすらも...やられてしまうのだろう。究極の天才、田中トウシすら、最後の希望、センエースすら...
私が...わたしが!!!
「ヒーロー...」
「...なんや?」
「ヒーロー見参!」
私はトウシの家から自宅の玄関へと転移した。