〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
「ムラハネ?どっか行くつもりか?」
「うん。気になる人を見つけてね」
「そうか。危ない人には気をつけるんだぞ...まあそっちの方向なら大丈夫か」
私は目標の人へと駆けつけた。その人物とは...
「ん?なんやお前」
「田中・イス・ムラハネです!」
「ああ、さっきの...あいつらも困ったモンよな。一般人のことは猿やと思っとるのに、翻って自分ら田中家の一族のことは厳しく思っとる...というか、興味の対象にしとる。孤高主義を貫き通すなら、もっと突っ切っていかんと」
私と同じ年齢にしては、とてつもなく饒舌に喋るこの男。
「そう言えば、名前は田中トウシや。田中・イス・トウシ...よろしくな」
そう、正統なる銀河の支配者、田中トウシである。
正統なる銀河の支配者が田中・イス・トウシだったら、私も一応、その一族の仲間なわけだ。
だったらなにか、私も特別な名乗りとかあげられないだろうか...そう考えながら挨拶を返す。
「よろしくお願いします!トウシ...さん?」
「さんは要らんで。あと、お前は関西弁訛りにならんのやな。めずらし」
「私は色々...困った部分がありまして」
「そうなんか、まあどうでもええわ」
うーん、この塩対応。流石孤高主義のトウシ。
次行くか。
「ウラスケくんこんにちは」
「子供扱いしんどいて...」
「実際年下だからね」
「...はぁ...年功序列ってほんま、誰が考えたんやろ」
テコテコと歩いているのはウラスケであった。まだ体軸が完成しておらず、ときおりバタンと地面に倒れながら歩いている。まだ2歳である。
「ほんま不自由やわぁ、この体...はよう普通になりたい」
「可愛い...」
「お前殺すぞ」
わあ、見事な殺害予告...私は知性35に睨みつけられた。ぐえー死んだンゴ、そう言いながら私は次に行った。
「お前はさっきのガキやないか」
「そっちも充分ガキだけどね」
「ザンクさんは5歳でそっちは3歳。単純な大小比較すらできんのか?」
わー、年齢マウント取られたぁ。天才であっても、幼少期では普通に年齢でマウントを取るらしい。このテンプレは、もはや万国共通なのだろう。
「喋り方からわかるわー、お前さん、猿の子やろ?ザンクさんにはお見通しやで」
「...一応これでも、田中・イス・村羽と言う真名を貰ってるんですけど」
「せやろな。んじゃなかったらとっくに会話ぶつ切りにしとるわ。田中家の人間に生まれときながら、それにあるまじき知性レベルってもはや実験動物かなんかの類に分類されるやろ。真面目に呪われとるんとちゃう?」
前半はガチで馬鹿にされながら、後半は普通に心配された。いくらザンクとて、同じ田中家に生まれたモノとしてどこか思うところはあるのかもしれない。
そうして私は、大体の田中とコミュを取ったのだった。セラ、ホクト、エイガ、レイロ、ムクロ、ムイナ、サクラに関してはここには居なかった為除外だ。本当なら、セラに会いたかったんだけど...実際、会ってみて、どれだけ性根が腐っているのかをガチ検証したいのである。
後日、知性レベルは結局バレることになる。シグレの知性レベルが3であること、そして、私の知性レベルが脅威の1であることが知れ渡った。
そうして、親戚中から、ムラサメ父さんは揶揄われた。
「っち、アイツら、こういう時だけ電話わたしてきやがって...」
田中家は基本、プライドが高い。それはムラサメ父さんも例外ではない。私は態々電話を使ってまで揶揄いにきた田中のことを考えながら、電話を終わらせたムラサメ父さんのことを見つめる。そうしていると、ムラサメ父さんが不意に話しかけてくる。
「なあムラハネ...気にする必要なんてあらへん...知性レベルなんて、所詮はただの数字に過ぎん...身長と一緒や。なんも、気に病むことはない」
そう、ムラサメ父さんは優しく語りかけてくれた。先ほどまでは怒っていたはずなのに、私の前ではその様を一向に見せなかった。
そこに、父の偉大さを感じた。
...次のテストではしっかり勉強して全力だそうかな...いや、今更やっても、なんで初回で手を抜いたのか説明出来ない...か...
私は心の中でムラサメ父さんに出来の悪い娘でごめんと謝った。