〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
「まさか、東高から早稲田が3人でるとはな」
「同志社も出たらしいぞ!」
卒業式は騒然としていた。私はまさかこうなるとは思っていなかったことが発生した。
まさか、輝木が大学受験をしたのだ。そうして、ワセホウに見事受かったようだった。
そうして、偏差値48の高校にあるまじき、早稲田3人と、同志社1人というとてつもない進学実績が出来た。これは以来、奇跡の世代と言われることになる。そうして、高校偏差値が5上がったのは有名な話だ。
いま、私は東京で一人暮らししている。
シグレとは離れてしまったが、たまに転移で戻ったりして驚かせるように帰っている。
田中家の集会にも顔を出した。トウシとザンクは大学には進学しないらしい。これ以上、知性レベルが異なっている相手と絡むのはしんどい...とのこと。まあだろうと思う。ウラスケは逆に『普通』の私立の大学に行くだろうと語っていた。ちなみに、私からみて田中家の性質を1番拗らせてるのはウラスケであった。
私からしたら、初めての大学生活で若干ウキウキしてる部分もあるが、そんな生活を壊す存在が間近に迫ってきていることも知っている。
蝉原が街ではなく、県を、県ではなく府や都を支配するのも時間の問題だろう。私は少しでも進行を食い止めるために妨害工作を、トウシから連絡を貰っては日本各地を飛び回っている。
蝉原はいま、遊んでいる。その隙をついて、私もセンを鍛えたいと思う。
格闘技サークルで、私とセンは対面する。
「...まさか、お前がこっちに来て、サークルに入ってくるとはな。運命すら感じる。あと、さっき輝木の奴も格闘技サークルに入ろうとしていたが、あまりの殺気に止められてたぜ。平常運転だな」
「ファントムトークはどこにいったの?」
「...俺の黒歴史を晒すのはやめてくれ。普通に、老成したんだよ。俺だってな」
老成...ねぇ......
「それは老成じゃなくて、諦観だよ。この世界に疲れちゃったんじゃないの?」
「...はは、そうかもな」
散々喧嘩したくせに、どこか親しげに、私達はそう語り合う。そうして、センと私はスパーリングを始めた。高校の時と同じように、私の拳はセンに突き刺さる。
「ほらほら!拳にやる気が入ってないよ!女の私が倒せなくて、蝉原が倒せる訳ないでしょ!」
「っち!なんで蝉原を気にしてる事がバレてんだよ!」
「ただの当てずっぽ!」
「...このっ、クソっ!」
何度もセンは私に拳を振り上げるが、私はそれを防ぎ、躱わす。そうして、逆に拳を顎にいれた。
もう3年、地獄の修行に明け暮れたのだ。鍛えられた私の体から放たれたパンチは、センの体を抉った。
「ぐうぅっ!」
だが、センはそれでも諦めない。
起き上がったセンは、素人の構えなのに、やはりどこか仕上がっているようにも感じた。きっと、センの精神性がそうさせているのだろう。
そこに、私は希望を見出した。
私のやってきたことは、無駄じゃない。
私は、徹底的にセンを鍛え上げる。