〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
5歳になった。最近では年長として活動している。未だに目は霞むから、メガネを買ってもらった。というか、ムラサメ父さんの洞察力の高さで、生後数ヶ月の時にはもう目が悪いことに気づいていたらしい。そしてどうやら、私の目の悪さは発達の悪さが原因ではなく、純粋にそういう疾患である様だった。
...まあ、所詮はメガネさえあれば問題ない程度の疾患である。ここはまあいい。
だが問題は...
「私、金属アレルギーとかそういうアレルギー系、17個ぐらいあるんだけど...なんでこんな所に17が隠れてんねん」
そう、異常なほどにアレルギーが多いのだ。
それに、風邪などにも頻繁にかかりやすい。最初は、『まあ幼少期って確か風邪になりやすいんだよなぁ、免疫が少ないだろうからー』とか思っていたのだが、普通にある程度免疫がついただろう今でも年に7回ぐらい風邪をひく。
意味がわからない。田中家特有の謎の奇病という奴だろうか?
そう考えていると、例の連中がやってきた。
「なんでこういう奴らを引き寄せることになるんだよ...」
私は向き直る。
「ムラハネってへんななまえだな!」
「やーい、へんななまえ!」
俗に言ういじめっ子...と言う奴だろう。私はここ最近、ずっとこう言うのに絡まれている。
年長とはいえ、知恵をつけた子供である。それ相応に小悪魔な連中なのだ。
というか、ムラハネって別にそんな変じゃ...いや、変か。
私にヘイトが向いているうちは、そのままにしておこう。もしも私以外にヘイトが向いたとしたら......
私はいつも通りにそれを無視し、去っていく。
「にげたぞー!」
「おえー!」
...ストーカーかよ。めんどくさ。
_______
「ああ!もう!!」
言伝が伝わってきた。どうやら、あのいじめっ子どもが私以外を標的にして、しかも相手を殴ったらしい。
新米保育士達はこの事態にてんわやんわしている。きっとどうやったら保護者にやんわりと事態を告げられるかを考えているのだろう。
「何をしてるの!!...え?」
私が部屋のドアを開けた瞬間だった。
女児を守っている子がいた。その子は、標的にされていると言われている子とは違う子供であった。
その事態に若干の動揺をしつつも、私も首を突っ込む。私は小さいとはいえ、一緒の子供だ。気を引くには充分だろう。
「ああ!?なんだおまえ!」
いじめっ子がそういうと、私は臆病な面がでそうになるが、それを必死に堪えて、勇気を出すために彼を真似て言う。
「ご、ごきげんよう。私は田中=ムラハネ。偉大なる神帝陛下に仕える者。と、得意属性は火属性。よ、よろしく、どうぞ」
「なにをいっている!?」
私は恐怖で震えながらも、そう言った。因みに火属性なのは特になにも理由はない。属性のデフォルトって火だよなと思い言っただけだ。
「一番恐れるのはこの怒りがやがて風化してしまわないかということだ...」
「ああ!?」
安易なファントムトークもひとしおに、私は、大きく息を吸う。この言葉の意味はきっと相手の子にも雰囲気でわかるだろう。
「...ヒーロー見参!」
事後。
そうして、結果的にいえば、丸く治った。私が来て、時間稼ぎを始めたのが功を奏したようだった。
守っていた子は、一切、反撃にでなかった...という事らしい。
私は、何か色々おかしな子だな、そう思いながらも、その場を後にしようとして...つい、保育士の言葉に耳を疑った。
「せんいちばんくん、大丈夫?」
......いやいや、大丈夫じゃないだろ。諸々。
心の中でそうツッコミを入れながらも、私はそう呼ばれた彼の顔を見る。
その顔はへちゃむくれで、どこか愛らしさのある顔だった。たぶん、このまま成長すれば偏差値48ぐらいに止まるだろう程度の顔...
...もしもコイツがソイツかを見分ける方法がある。
「ごめんね、君?自己紹介、できるかな?」
保育士達にに囲まれているその子供に私は近づき、声をかける。
「...あ?おれか?」
そうして、彼は言った。
「おれはセンエースである。なまえはまだない」
「うわぁぁぁぁぁ!!」
主人公じゃねえかぁぁぁ!!!
【バブーってね。いや、もうそんな年でもないか。知性が多分、本体の頭脳依存なせいで自我が生まれるまでに時間かかったようだ。さて、この暗闇の世界でなにか行動出来ないかボクも試行錯誤するか...】