〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』   作:楓舞星

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間話6:正統なる銀河の支配者 〜田中・イス・東志vs蝉原勇吾〜 世界を穢す狂気の具現 

 

 トウシからの依頼は至極単純なものだった。このまま散っていく田中家で、最後に自分が殺されるだろうと言うこと、そして、自分の最後の抵抗を、一発かますために『形見』で『ソレ』の開発をしたいということだった。

 

「ああ、せや、もうプログラムは7年ぐらいずっと考えとった。お前でもわかりやすく、お前でも作成出来るように工夫したモンや」

 

「……私、バカにされた?」

 

「被害妄想に勤しむんは構わんけど、とりあえず携帯ドラゴンを操作せえ」

 

 私はトウシに言われたプログラムを理解し、入力していく。本当に、バカでもわかるぐらい単純なプログラムだった。でも、だからこそわかった。妙に賢しらぶってないからこそ、裏にある究極の合理性が透けて見える……そんなプログラムだった。

 

 極遅延性で、キーコードを音声入力したら仕込まれたソレが身体中にまわる。だが、解除魔法にかなり弱く、相手が相当油断してくれない限り当てられない。

 

「……これ、本当に通じるの?いくら作成者である私の存在値がーーーだからと言っても……というか、打ち込むフィールドを整えること自体がやっぱり無茶じゃーーー」

 

「さあな、わからん。けど、やれることはやった。あとな、ワシには、正統なる銀河の支配者として、蝉原に一発かましたる義務がある……」

 

「……そうだね。頑張ろうね」

 

 私はトウシの静かな熱を感じながら、制作に没頭する。

 

「ねぇ、トウシ……」

 

「ん?なんや」

 

「どうせ死ぬんならさ……私と一緒に蝉原に立ち向かわない?私も一緒にいくよ?」

 

 私がらそう言うと、トウシは呆れたような、困ったような声で、

 

「はぁ、そうして負けたら、あとは誰が蝉原を止めるんや?」

 

「……」

 

「頼む……お前はジュリアとルシファーを守ってくれ……これが守られるんやったら、ワシは他に、何もいらん。自分の命なんて、そんなものもな」

 

「……」

 

 そんな風にトウシが言ったあと、

 

「そんじゃ、『確認』よろしく」

 

「……トウシ、行く末を見せてもらうよ」

 

「……ああ、ええで。頼んだ」

 

 私は『幾万回目』、トウシの胸に触って、そして、発動した。

 _______

 

「やあやあやあ、座って座って、ほらほら。手錠も外してあげるね」

 

 蝉原が指をパチンとならすと、かちゃりと手錠が外れて、床に落ちる。なんらかの魔法だろうと察しをつけながら、手が自由になったトウシは、そのまま椅子に座って、敢えて挑発するように足を組んだ。呼気は静かに、目には仄かな闘志を孕みながら。

 

「なあ、蝉原」

 

「ん?なんだい?田中家イチの天才さん?」

 

 蝉原は知っている。目の前にいる田中・イス・東志という人間が、田中家の中でも賢いということを。

 

「お前はどうしてワシら一族を皆殺しにするつもりでも、ムラハネを殺さなかった?」

 

「ああ、そのことね。うーん、なんでだろうねぇ……まあ、気分って言ったら一言で済むけど、あえて言うと、面白そうだったからかな」

 

「面白そう?」

 

「うん。面白そうだったから。だって、あんな能力を持ってて、尚且つ普通の精神性を持っておきながら、俺に立ち向かい続けるなんて並大抵のことじゃない。あんな凡人代表、顔面以外モブみたいな人間なのに、よくやるよね」

 

「まあ、せやな。お前に立ち向かうのは骨が折れるなぁ」

 

「俺に立ち向かうことを、骨が折れると表現する君に、拍手を。ぱちぱちー」

 

「くるしゅうない」

 

 あえてそうボケるトウシに、蝉原は若干イラつきつつも、

 

「……ふーん、まだ君は諦めてないようだね。この期に及んで。なかなかやるじゃん。才能もあれば、根性もあるんだね」

 

「まあな。お前と違って多少はまだ下劣な精神性はしてないと自負しとるで」

 

「あはは、君も、そう言うタイプの田中か。俺に全力で抵抗してくる田中……つまり、俺の楽しい楽しいおもちゃ」

 

「他の田中がどう言う結末を迎えたのかは、大体、知っとる。みんな、気高く逝ったらしいな」

 

「まあ、みんな洗脳したけどね。でも、ほんとに直近だと、ウラスケとザンクは手こずったかなぁ。特に両者とも、特に前者は根性ないのに、絶望させるのに苦労したよ。後者は、いずれ咲く蕾だった気がするけど、めんどくさいから弱いうちに洗脳しちゃった」

 

「言い方からして、洗脳するには絶望させる必要があるみたいやな。まあ、前々からその兆しはあったから想定内やけど」

 

「さてさて、それじゃあゲームを、勝負をしよう。君はどんな抵抗をしてくれるのかな?言葉でそれとも頭で勝負するかい?」

 

「勝負?」

 

「俺はね、君たち大いなる田中家の存在価値を否定するためにあえて勝負をしているんだ。毎回毎回、独自の線引きをプロフィールを見てから定めて、それを守って勝負をしている」

 

「ほーん」

 

「それじゃあ、なにで勝負しようか。ゴンズやドウナはわかりやすかったんだけどね。戦闘系の田中だったら俺の部下達でも立ち向かわせればいい。でも、知能労働系の田中は違う……まあ、好きなゲームを選んでくれたまえよ。勝ったら……そうだねぇ、なんでも一つ願いを叶えてあげるよ」

 

「ん?そんな神龍ムーブかまして大丈夫なん?」

 

「ははは、俺は心が広い男だからね……このぐらいはしてあげるよ。なんせ、俺の方が圧倒的に有利だから」

 

「でも、保証がされてへんなぁ。アリア・ギアスで保証してくれへん?」

 

「いいよ。アリア・ギアスよ。トウシとの勝負に負けたら、命令を一つ聞いてやる」

 

 それは、蝉原の挑発であった。どのようなゲームを挑まれようと、負ける気はないと言うためだけの、一言で言えば、それは『ーー』。

 

「じゃあほな、将棋でもやろか」

 

「くくっ、将棋、将棋ね……いいよ。でも、俺も全力をだすけど、本当にいいの?」

 

 その言葉に対して、トウシは心底不思議そうな顔をして、

 

「お前、ホンマにワシに勝てると思っとるの?ああ、そうかぁ、ふーん。まあええわ。先手は譲って貰ってええ?」

 

「ああ、いいよ」

 

 絶対的強者としての『ーー』がそこにはあった。

 

「いやぁ、先手譲って貰えるなんて、挑発した甲斐があったなぁ」

 

 トウシは何故かワキワキとしながら笑顔を見せる。ソレに対して、蝉原はなにか違和感を感じながらも、

 

「創造ランク15」

 

 将棋台を創造した。

 

 そして、

 

「ほな、対局開始ー」

 

 トウシは即座にコマを打った。

 

 パシッ

 

 ピシッ

 

 パシッ

 

 ピシッ

 

「まあ流石に、俺だけだと負けるかな」

 

 4手ほど指したところで、蝉原はそう言い、

 

「田中・イス・アグモ。召喚」

 

 現れたのは、アグモだった。目は虚ろで、なにも見ていないように見えた。その様をみて、トウシは哀れんでから、

 

「ああ、アグモね」

 

「世間でも有名だから知ってると思うけど、永世名人であるアグモは強いよ?」

 

 そんなアグモを蝉原は腕を龍腕にして取り込んでから、

 

「ん、ほなやろか」

 

 トウシはまた、即座にコマを打つ。

 

 ピシッ

 

 パシッ

 

 ピシッ

 

 パシッ

 

「あ、あれ?」

 

「どしたん?」

 

 ピシッ

 

 

 

 

 

 パシッ

 

 ピシッ

 

 

 

 

 

 

 

 パシッ

 

「田中・イス・ザンク!こい!」

 

「次はザンクか」

 

 ジオメトリーから召喚されたのは、これまた虚ろな目をした者だった。その者は、田中・イス・ザンク。公式IS知能テストナンバーワンの超天才である。

 

「焦っとるようだけど、大丈夫そ?」

 

「はは、焦ってるわけないじゃないか。ただ、圧倒的な実力差を見せつけて倒すのも一興だろ?」

 

「せやなぁ」

 

 ピシッ

 

 

 

 

 

 パシッ

 

 ピシッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 パシッ

 

「あ、あれ?」

 

「デジャヴやめてくれへん?」

 

「田中・イス・ウラスケよ!こい!」

 

 召喚されたのは田中・イス・ウラスケであった。その能力は圧倒的知性を誇りながらも、特に注目すべきはその集中力。その生粋の集中力を蝉原は得ようとしたのだ。

 

 そうして、対局していくのだが、

 

 次第に、蝉原の長考が増えてきて……

 

「大丈夫そ?」

 

「田中よ!全員集まれ!」

 

 蝉原が選んだのは、全員のイス田中に知能労働をさせるという暴挙だった。

 

「レイナやスイセイはええとして、その中にシグレおるけど、ええの?」

 

「俺が何しようが、俺の勝手だろ?」

 

「まあ、せやな。勝手にせえ」

 

 ピシッ

 

 

 

 

 

 パシッ

 

 ピシッ

 

 

 

 

 

 パシッ

 

「そ、そんなわけない……」

 

「ん?どしたん?」

 

「全員の知力を結成させた結果、100の100乗という途方とない数字をほとんど解析し終えた……」

 

「うむ、で?」

 

「その結果、多分、最善手を打つと先手が必ず勝つって……」

 

「ほー、そこまでたどり着いたんや。まあ、予想やったら誰でも立てれる。ただでさえニブイチなんやから。ほらほら、さっさと打とうや」

 

 そうして、ようやく感づけた。トウシの速打ちの意味を。

 

 ピシッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 パシッ

 

 ピシッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パシッ

 

「ぶ、ブレイントレース」

 

「あ?なんやその魔法……」

 

「と、トウシ、お前の脳を魔法でコピーした。これで、勝ちはなくとも引き分けには……」

 

「あ、そう。ほな大変やなー」

 

 トウシは適当にそう言いながら、ピシッと即座に打つ。

 

 まるで、自身の勝利を疑っていないように。

 

 その様子に、蝉原は普通に動揺して、

 

「そ、そんな、そんなわけがない……」

 

「なにが?」

 

「100の100乗という数字を君1人で解析し終えるはずがーーー」

 

「まあ、うん」

 

 トウシはどこか適当そうにそう返してから、

 

「ワシの人生は舐められてばっかやった。まあ、わざわざ目立つ必要もなかったから。でもーーー

 

 

  ーーーセラ姉とムラハネには見抜かれたなぁ」

 

「なに?」

 

 ピシッ

 

「あのな、蝉原……お前は、絶対、ムラハネに負けるで」

 

「はは、どうしてだい?数値も、才能も、知性レベルも、全て、俺の方が上だ」

 

 パシッ

 

「お前は、ワシを見抜けんかった。ムラハネはワシを見抜いた。それだけで十分や」

 

 ピシッ

 

「観察眼がただ特別に高いってだけじゃないか?」

 

「お前もさっき言っとったやろ。アイツは凡人や。やのに、ワシを見抜くことを、それを達成することができる……アイツは、そういう、不可能を可能にする奴や。裏でどう言うロジックが働いとるのかは正確には、ワシにも結局、最後まではわからんかったけど、それでも、お前を排除するという不可能を可能にできるだけで充分や」

 

 パシッ

 

「……随分、惚れ込んでいるようじゃないか?」

 

「なに言うてんねん。ワシが惚れた女は1人だけや。愛しとるやつは2人だけ、まあムラハネは……そうやなぁーーー

 

ーーー『相棒』やな。本当はこんなこと言いたくないねんけど、これが1の目標を満たす『フラグ』っぽいからしゃあないな」

 

 またピシッと、コマを打つ音が妙に響き渡った。だから、

 

「田中共よ!!!全員、死力を尽くせぇ!!!」

 

 蝉原の体が赤いオーラに包まれる。

 

「ああ、それが絶死のアリア・ギアスっちゅうもんか。洗脳した連中の能力の底上げに使ったんかな?」

 

「ああ、そうだ、君は嘘をついている。如何に『賢い方の田中』といえど、100の100乗ほどの数字を本当に解析しきれているはずがない。だったら、この勝負は数が多く、絶死のアリア・ギアスを使える俺の勝ちだ!」

 

「……1の目標達成や。ウチら親戚の尻拭いの完了や……これで、やりたいことが出来る……」

 

『ここまでは、チャート通りや』、トウシはぽつりとそう言いながら、反面、コマは即座に指し、打っていく。

 

 そうしてーーー

 

 

「ま、負けた?そ、そんなアホな……」

 

「さて、対局終了やな。」

 

 蝉原を終始襲っていたモノ、『ーー』。それは『驕り』。

 

「結論を述べさせてもらおうかーーー

 

 

        ーーーお前、ワシんこと舐めすぎ」

 

「…………お前は一体だれだ?」

 

「あ?ワシか?」

 

「正統なる銀河の支配者にして、史上究極の天才。田中・イス・トウシ」

 

 続けて、

 

「ワシが勝ったから、好き放題させてもらうで、流石に自殺しろって言ってもアカンやろうから、これを打ち込ませてもらう」

 

 トウシの命令に、蝉原は逆らえず、

 

「ぐっ!」

 

「さて、ワシの仕事はあと少しや。1、田中家の尻拭い……洗脳されたワシら一族を全員殺すこと。2、お前に布石を打つこと。3、ムラハネにお前の底を見せること。さて、あとはどうする?」

 

「ふふふ、あはははははは、まさかこの俺がここまでコケにされるとはね……この程度の『代物』、治そうと思ったら治せるけど、そのままにしといてやるよ」

 

「ん、じゃあ、ほな、さっさとやろうや」

 

「俺を前にして、絶望しないつもりなのかい?」

 

「ジュリアとルシファー殺されたら絶望するけど、お前する気ないやろ。なぜなら自身の美学に反するから。ワシ程度相手に事前に決めたルールに反することと、ワシを絶望させること、どっちを選択するか……『これまでの情報、言動を聞いとったらよーくわかる』」

 

「知った風な口を聞くじゃないか……まだ俺たちが会って3時間も経ってないはずだけど?」

 

 その蝉原の疑問には答えず、トウシは言いたいことだけ言う。

 

「お前はそう言う奴や……己のプライドのために生きとる。それは良いように作用することもある。重くなるから。けど、まあ、『運が悪かった』、『状況が悪かった』って奴や。それじゃあ、『この世界』のワシには勝てん」

 

「……」

 

 蝉原は無言で席を立つと、片手で、トウシの首を絞めていく。ある程度まで圧迫したあと、気絶しない程度に、部屋の奥まで投げつけて、さらに蹴り飛ばした。

 

 そうして、拷問を己が自らの手で行っていく。

 

 アリを踏まないようにして歩くような繊細な作業を蝉原はする。

 

「俺の手自ら処されることを光栄に思うんだね!」

 

「……ムラハネ……見とるか?」

 

「絶望しろ!!俺に洗脳され、死んでいった使えない頭脳どもの代わりになれ!!お前1人いれば全て事足りる事がわかった!!」

 

「……ジュリアとルシファーを頼んだで……ワシに出来るのはここまでや」

 

「ちっ!!!」

 

「今回のことで、お前もこの蝉原の『底』が見えたはずや。自信を持って、前を向け。その先には、絶対、光がさしとる」

 

 蝉原は、何度も何度も、床にトウシの顔面を叩きつけていく。

 

「治癒ランク3」

 

 あえて低度の治癒を使って、

 

 幾度も、幾度も、

 

「しょせん、おまえはこのていどのチンピラや」

 

「......」

 

「ムラハネ……おまえやったらかてるとしんじてる

 

 

 

        ーーーたくしたで」

 

 トウシはまるで、全て計算尽くと言わんばかりに、状況を整え、蝉原を触発させた。自身の死すら、その計算に入っている。洗脳される前に、自身を殺させるため、トウシは蝉原の考えを全て読み尽くした。

 

 最後に、蝉原はトウシの頭蓋を魔法で剥がしてから、脳の知能を司る前頭前野を潰し、そして反応を楽しみながら、次々に脳の各部位を破壊していく。

 

 そうして、最後の最後まで、骨の髄までトウシの尊厳を踏み躙ってから、

 

「ふふ、君程度いらないと今、俺の中で結論が出た!さようなら!!異次元砲!!!」

 

「……あ……ア……」

 

 映像は途切れた。

 

 _______

 

 …………やはり、トウシは死んでしまう。残酷なまでに、処刑されて。

 

「どうやった?上手くいった?」

 

 私は正直に話す。

 

「全ての目標を達成して、酷く拷問されて、死んだ」

 

「おけ。最終調整完了やな」

 

 トウシはその結末を至極簡単そうに受け入れた。

 

 ……最初は、洗脳されるだけだった。

 

 だが、トウシは幾万もの未来視を経て、可能性を網羅した。その優れた頭脳で未来を計算し尽くしたのだ。

 

 そうして、『自身が最大限の能力を出せる未来』を引き出すことに成功した。そのために、未来視計画を立てたその日から、身の振る舞いを変えたりもした。

 

 だが、そうして勝利の為の努力を積み重ねると、その代わりと言わんばかりに、トウシは凄惨な終わり方を見せることが増えた。

 

 洗脳から殺害に、殺害から拷問に、拷問からさらに苛烈な拷問へと、凄惨さは増していった。

 

 私の未来視は決して確定的なものではない。でも、だからこそ、可能性を網羅できる人間が居れば、幾度も未来視を行う事で、手に入る情報が増える。

 

 そうして、後はその情報を適切に処理できる人間がいれば、この未来視は全ての謎を解き明かし、未来を完璧に、自在に操ることすら可能になる。

 

 勘違いしてはいけない。私一人だと、いやホクトやスイセイ、ザンクやウラスケなど、全員の田中を合わせても本来は出来ないことだ。これは、トウシにしか出来ない不可能である。

 

「……トウシ……ごめん」

 

「謝る必要なんてあらへんよ。お前の能力のおかげで、ワシは最大限の活躍をすることができるんや。だから、大丈夫や」

 

「トウシ………………」

 

「ワシ、夫なんでそんな目されたらジュリアに殺されてまう。やめような」

 

 トウシは冗談めかしてそう言うと、

 

「ほな、ジュリアとルシファーに会ってから行ってくる。これまでありがとな」

 

「私は……本当に、トウシの……相棒……なの?」

 

 トウシをこれから地獄に送り出すのは私である。洗脳される方がマシな人生を歩ませたのは、歩ませるのは私である。

 

 私がそう言うと、トウシは少し考えてから、

 

「んー、ただの道具1号や。いや、暴力装置2号かもな。1号はサクラや。きっと、セラ姉もそう言うやろうから」

 

「……暴力装置2号ね……はは、私にお似合いかも……」

 

「そうマジになって受けとんなや。ただでさえこっちは、未来で遺言をもうすでに残し終えていて言うことないんやから」

 

「……今までありがとうトウシ。君は最高の相棒だった」

 

「お前はちょっと、頭悪すぎなのが玉に瑕やったな」

 

 その言葉に、私はつい微笑んでしまう。

 

「なにわろてんねん」

 

「いや、最後の言葉なのにそんなので良いのかなって」

 

「うーん、遺言は残し終わっとるし、そうやなぁ……それじゃあムラハネ」

 

「折行って頼みがある」

 

 トウシはひと呼吸置いてから、揶揄うように言った。

 

「『運命』を殺してくれ」

 




本当は出されるはずのない裏設定的なものだったのに投稿してしまった...
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