〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
蝉原がバグスペシャルを出した。その結果、全人類から犠牲者がでた。
多くの人間が苦しんで死んだ。
世間では、阿鼻叫喚が引き起こり、矛先は『蝉原対策チーム』か張本人である蝉原勇吾に向くことになった。
センは蝉原対策チームのリーダーとして世間からのバッシングを大きく受けた。
センだけではない。ムラハネや、輝木、他の全員がそうして疲弊した。だが、そのおかげで連帯感のようなものが出たのも、また事実だ。
センは休みなしで働く。世間はもう信用できない。ならばもう、俺がやらなきゃ誰がやると、センは使命感を手に取り、それを武器に戦ってきた。
今日は、そんな終わっている部隊に所属してくる気狂いたちの新人歓迎会があった。
「カワチ...お前も、『蝉原対策チーム』に来たのか...お前は、親を楽にさせたかったんじゃないのか...」
ムラハネが無念そうにそういうと、カワチは伏せ目がちに言った。
「...元から、こんな世界じゃ幸せになんてできません。だったら、根幹治療します。貴女に救ってくれた恩をここで返すんです」
「力不足ですまない...」
「そんなことないですよ!私はムラハネ先輩と一緒に仕事が出来てとても光栄です!」
久しぶりに聞く、カワチの溌剌とした声に、私は少し救われた気がした。
「...ひどく、苦しい職場だ。気を抜くんじゃないぞ」
「はい!」
そう言って、ムラハネはカワチと再び会う生活を共にした。
そして自殺の訃報が入る事となる。
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センは少しづつ、この部隊に愛着を湧かせていた。世間がバッシングをしてくるからかもしれないし、部隊の連中が、頑張っているからなのかもしれない。
元から、公安になんてくる賢さがあり、そして『蝉原対策チーム』の大変さがわかっていて来ている奴らなのだ。当然高潔でもあった。
センは少しづつだが、そんな彼らに愛着を湧かせる...
部下が失敗する時もあった。
「リーダー申し訳ございません!」
「ああ、大丈夫だ。こっちで処理しておく。失敗の原因は探っておくようにな」
蝉原が寄越してきたテロリストの処理に怪我をするときもあった。
「リーダー!大丈夫ですか!」
「...大丈夫だ。そっちも大丈夫か?」
時には、目の下のクマが尋常ではなくなり、部下から心配されることもあった。
「リーダーぁ、あまりぃ、無理はするものじゃないですよぉ?」
「...無理なんてしてねえよ輝木。さっさと任務に就くぞ」
そうやって、センは使命感を片手に、蝉原に挑んでいた。そうやっていれば、いつかは、蝉原の進行が止まると信じて。
だが、悲劇は起こった。
「輝木?か、輝木!!」
任務の最中、輝木が倒れたのだ。そして、袖を捲ってみると赤の発疹が出来ていた。
センはすぐさま任務を中断して、輝木を病院に運んだ。
「ふふふ、センエース、貴方に甲斐甲斐しく世話されるなんて...なんて幸せなんでしょうかぁ...」
「何言ってんだっ!!お前はいま、バグスペシャル...致死率100%の病気にかかってんだぞ!」
「死ぬのなんて、どうでもいいですぅ...ただ、貴方とこれ以上出会えなくなることが...残念ですねぇ...」
センは任務に呼び出された。そうして、センは任務と病院を行き来する生活を続けた。
どうにか、病気が解決する様に願い、行動したが...
日に日に、輝木は病魔に侵されていった。
「か、輝木...おい、輝木?おい、返事しろよ...」
「.........あっ、はい。久しぶり?ですね」
輝木は気絶したかの様に眠っては、症状に喘ぐ生活を送っていた。
「俺が絶対、治す方法を考えてやるから、絶対に諦めんじゃねえ」
センは自分で言っていて、酷く無責任だと思った。だが、それを聞いた輝木は、
「ふふふ、嬉しい...ですねぇ...貴方に、そんなことを言ってもらえるなんてぇ......」
そう言って微笑んだ。センはそれを見て、すぐさま行動した。だが...
(なにか、何かないのか...なにかっ!!!)
センは思考に思考を重ねた。だが、それでも解決策はでなかった。
そうして、ある晩の事だった。
「か、輝木?おい、冗談だろっ?輝木?」
センは輝木をつい揺さぶってしまうが、それでも、輝木は返事をしなかった。でも、輝木は危篤状態に陥っているのはすぐにわかった。
輝木はすぐさま医療室にいれられた。そして日が出ている時には、輝木の訃報が入った。
看護婦から、輝木の最後の言葉がセンに伝えられた。
『せんいちばん、大好き』
センはーーー
蝉原への憎悪を募らせたセンは、更に忙殺に忙殺を重ねることとなる。
それからも、刺客やバグスペシャル、はたまた自殺など、様々な死因で『蝉原対策チーム』は...いや、『仲間』は死んでいった。