エム×ゼロの使い魔   作:第7サーバー

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どうも、ジャンプ+で叶作品を読んでたら書きたくなってしまった作者です。
この作品はPCのハードディスクに残っていたゼロ魔の黒歴史作品をベースにしています。
なので投稿間隔はよくわかりません。
そのまま使えれば早いかも知れないですし、直しが必要なら遅くなります。
作者の前の作品を知ってる人にはそっちを書けと言われそうなので、投稿は不定期です。


M97:さらば聖凪→BM1:魔法学院!?

「宇宙の果てのどこかにいる、わたしの僕よ。神聖で美しく、そして強力な使い魔よ。わたしは心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」

 

――ここは“トリステイン魔法学院”。

ピンク色の髪をした、素晴らしく整った顔立ちをしながらも、その年齢にしては小柄な少女“ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール”は進級を懸けた“使い魔召喚の儀”に挑戦していた。

しかし残念ながら魔法学院に属しながらも魔法が得意ではないルイズである。

おそらくだがその呪文は失敗し、その効力によって爆煙が発生した。

ようやくと言った感じで、それが収まると、そこにはどうにも珍しい服を着た、平民と思われる黒髪の少年が倒れていた。

 

「つぁ~~~、何だったんだ、いまの衝撃は。誰かの魔法が暴走でもしたのか?」

 

黒髪の少年は頭を振りながら起き上ると、辺りを見回した。

 

「――……いぃいいいいい!!? な、ななっ、何だここ!!? 幻覚? 転移? 魔法試験の時に使う、試験空間にでも飛ばされたのか!!?」

 

そして、そのままバタバタと慌ただしく喚き立てる。

その慌てっぷりは、典雅さの欠片もなく、やはり平民にしか見えないが、気になる言葉を発していた。

それこそ日常的に魔法に関わっているような発言がそれだ。

ルイズはそれを確かめるためにも、その平民(仮)に声をかけた。

 

「……ねえ、あんた誰?」

「あ? あ、ああ。俺は1年の“久澄大賀”。お前がこの現象の原因か? 理由は何だ? 魔法のミスか? それとも、俺を1年で“ゴールドプレート”の魔法執行部員と知ってて、こんな真似をしやがったのか?」

「魔法って――あ、あんた、貴族? メイジなの?」

「はあ? 貴族とかメイジとか何を言ってんだ。魔法を使えるのは――魔法生徒なら普通だろ」

 

その大賀の言葉にルイズは驚いたような表情をする。

 

「こ、コルベール先生! こ、こーいう場合はどう対処すれば……」

 

ルイズがその場で一番年長の男に声をかける。

ルイズの言葉の通りならば、教師――だが、名前的に外国人だ。

そちらを見てその人物を認識した大賀は首を捻る。

禿げている……ではなくて。

 

「(外国人の教師なんて聖凪にいたのか――いや、2、3年の校舎の教師は、そう知らないけども……)」

 

――というか、目の前の女子も、自分に奇異の視線を向けている周りの生徒もみんな外国人であった。

髪の色も派手めで、服装からしてマントなんて羽織って、いかにも魔法使いですアピールをしているのはどうしたことか。

まさか、ここが外国なんてことは……などと考えて「(いやいや、落ち着け)」と大賀は心の中で呟く。

そもそも大賀の知る魔法とは――魔法磁波とかいうのが存在する“魔法特区”内――つまり、学校の中でしか使えないはずなのだ。

まぁその魔法磁波スポットは世界に点在しているようだが……。

とにかく、この状況を冷静に考えれば、周りの生徒も本物の外国人とかじゃなくて風景の一部として魔法で産み出されているものとでも思った方が自然だった。

何せその外国人たちのそばにはモンスターっぽい存在も多く確認できてしまうのだから。

それにこんなに外国人が集まるようなイベントも、予定されていなかったはずだ。

あるいは外国人に変身する授業だろうか、意味がわからないが。

 

「……ふむ。落ち着きなさい、ミス・ヴァリエール。それで君は――ミスタ・タイガでよいのかな?」

「み、ミスタ? 確かに俺は大賀だけど――あ、名字なら久澄の方っスけど」

 

“コルベール”と呼ばれていた教師は名前からして外国人のようなので、一応注意を入れる。

 

「珍しい名前だな。ということは君は、タイガクズミ?」

「あ、あまり、続けて読まないで欲しいんっスけど……普通に久澄でいいっスよ」

「では、クズミくん。君は貴族でメイジということでいいのかな?」

「――……オッサ、ああ、えーっと、コルベールせんせー? も何を言ってんスか? いまどき貴族とか……先生の国はどうか知んないっスけど、日本にはたぶんそんなのいないっスよ」

「貴族がいない……?」

「いや、そこで驚かれても……それより、この状況は何なんスか? 魔法の事故っスか? 確か何か変な鏡に飲み込まれたと思ったら、爆発みたいな衝撃を感じたんスけど」

「それは、おそらく、“サモン・サーヴァント”の衝撃だと思うが……」

「“サモン・サーヴァント”?」

「メイジの――使い魔となるモノを召喚する呪文だ」

「……召喚って、まさかそれで、俺が召喚されたなーんて?」

 

コルベールの言葉に大賀は冷や汗を流しながら否定されることを願って尋ねるが、コルベールは冗談事ではない神妙な顔で頷いた。

 

「残念ながらその通りだ」

「マジで!!? ――ああ、いや、って言っても、それなら、理由もわかったし、そこまで驚くことはないか……ってことはここは、やっぱり、2、3年の校舎の試験空間か何かっスか? にしても、学年が上がると、使い魔の召喚なんてこともやるんスね」

「2、3年の校舎? ここはトリステイン魔法学院だが?」

「…………はい? とりすて――何スか?」

「トリステイン魔法学院だ」

「は、はははっ、またまた~、せんせーってば、そんな外国の学園みたいな名前出して、ここは“聖凪高校”でしょ?」

「セイナギ?」

「――あ! ひょっとしてこれドッキリか!!? こんな手の込んだ仕掛けして、クラスの連中の仕業か!!? あんたもひょっとして、伊勢あたりが化けてんのか!!?」

 

大賀はそう言うと、トリステイン魔法学院の中庭かそこら辺に当たるであろう場所で、カメラはどこだとキョロキョロウロウロし始めた。

 

「い、いや。君が何を言ってるのかはよくわからないが、全て事実だ。ここは“ハルケギニア”の“トリステイン王国”にあるトリステイン魔法学院だ」

「ハルケ――トリス……え、何これ……?」

 

大賀が外国どころか異世界であると理解するのに、それから30分以上の時間を要した……。

ちなみにその間に元凶とも言えるルイズと、責任者であるコルベール以外の、周りにいた生徒たちは、コルベールに促され帰って行った。

 

「え、嘘……マジで、異世界――……ってか異世界!!? はあぁあああああああ!!? 外国ですらねえのかよっ!!? いや、異世界も外国には違いないか……って違う! いやいやいや、落ち着け俺!!?」

 

さらに5分経過……。

 

「……お、落ち着いたかね?」

「いや――つーか、俺って帰れるんっスよね!!? そうだよ! あんた先生だろ!!? とっとと俺を元の場所に戻してくれ! そうすりゃ、何の問題もねえじゃねえか! はははっ! 気がつけば簡単なことだったぜ……あー、焦って損した!」

「そのことだが……残念ながら、君を元の場所に戻す手段など存在しないのだが……」

「――っざけんなぁあああああああ!!! ああん? あんた、訳もわかんないまま俺にこの世界で生きていけってそう言ってんのか!!? どーにかしやがれ!!! てめえ、教師だろーがっ!!!」

「どど、どーにかと言われてもっ」

 

大賀がコルベールの胸ぐらを掴みガクガクと揺する。

年長者だとか教師だとかそういう配慮はもはやこれっぽっちもない。

大賀の横暴に耐えかねてルイズが杖を振った。

 

「うおあっ!!? 爆発!!? ――てめえ、何すんだ! 危ねーじゃねーか!!?」

「あ、あんたこそ、先生の胸ぐら掴んで何やってんのよ!」

「――え、あ、ああ。そりゃ悪かったけどよ……。つーか! 聞いてる話によるとお前が元凶なんだろ!!? どーにかしろよ! 俺を元の場所に戻してくれ!!!」

「うっ……いや、そんなこと言われても……」

 

直感的に爆発を避けた大賀にコルベールに代わって詰め寄られたルイズはしどろもどろになった。

 

「メイジって要は魔法使いのことだろ? だったら、あんたたちも魔法使えるんじゃねえのかよ!!? つーか、使ったから、俺がここにいるんだよな!!?」

「それはそうだけど……あ、あんたの方こそどうなのよ! あんたも魔法使えるんでしょ? だったら、自力で帰ったりできないの?」

「いっ!!? いや、俺は――……その、そんな転移系の魔法なんて覚えてねーしさ……」

 

大賀は本人的に痛いところを突かれて誤魔化した。

何せ元の世界にいた時も本当は魔法が使えないのに使える振りをして誤魔化し続けていたからして。

 

「わたしだって、知らないわよそんな魔法……」

 

「「はぁ……」」

 

二人して溜息が出る。

大賀は切なげな縋るような表情でルイズに念を押す。

 

「――……ほんとーに冗談やドッキリじゃなくて、帰れないのか俺?」

「そうなるわね」

「……簡単に言うなよ。お前、それがどーいう意味かわかってんのかよ。友達も家族もいない、全く知らない国に一人放り出されたってことだぞ」

「悪かったわよ……でも、どーしようもないじゃない。わたしだって、望んであんたを召喚したわけじゃないんだから」

 

大賀はルイズのその言葉にいよいよ途方に暮れた。

何だかんだとトラブルに巻き込まれやすい体質ではあったが、異世界なんて急に言われても一体何をどうすればいいのか。

 

「何だか、大変なことになっちゃったわね。大賀」

 

そんな大賀の前に未知の異世界において――唯一信用できる大賀の相棒とも言える存在が現れた。

 

「ああ。そうだな。いままでのピンチなんかとは全然質が違えし、正直どーすればいいのか……って、うん?」

「え? どーしたの大賀」

「――る、ルル、ルーシー!!? お、おま、お前もいたのかよっ!!?」

「そりゃいるわよ。大賀と一緒にいたんだから。もっとも、いまさっきまで気絶してたみたいだから、大賀が気づかなかったのも仕方ないけど」

「そ、そうか。いやでも……知ってる奴が、頼れる奴がいてくれて、少し安心したぜ。こっちの世界の連中はどーにも頼りにならない奴ばっかだからよ」

「大賀……その言葉は嬉しい、けど――クサッ、クサいよ、大賀!」

「お前はこんな時でもか……」

 

相棒と会えて喜ぶ大賀の姿をルイズたちは怪訝な表情で見ていた。

妖精か小人のように擬人化したマンドレイクである“ルーシー”は大賀以外の前からは姿を透明にして隠していたからだ。

だからルイズは、ショックでいよいよ大賀が壊れたか、などと失礼なことを考えていた。

 

「……ちょっと、あんた、大丈夫? 一人でブツブツ喋り出して」

「ん? ああ……」

 

「(ねえどーする、大賀? 姿見せて説明する?)」

「(……いや、正直この後の展開がさっぱりわかんねー。学園外だから“M0”が使えるのかも微妙だし、お前は切り札になるかも知れないから、しばらくは姿を隠していてくれ)」

「(わかった。大賀がそー言うならそーするね)」

「(ああ。サンキュー)」

 

「ねえ! あんた、聞いてるの?」

「あ、ああ。悪ぃ。ちょっと途方に暮れてただけだ。それで、俺はこれからどーすればいいんだ? 結局事故なんだろ? 元の世界に還すためのアテくらいはないのかよ」

「ふむ、そうですな。なにぶん前例がない出来事なので……とりあえずは、学院長に話を伺ってみると言うのはどうでしょう?」

「学院長か。ああ。俺はそれでいーぜ」

「ミス・ヴァリエールも構わないですかな?」

「え、ええ。平民ならともかくメイジを使い魔にするわけにも行きませんし……新しい使い魔を呼ぶためにも、この件をどーにかするのは望むところです」

 

そして中庭から学院長室へと場所を移す。

 

 

「……なるほど。それはまた、厄介なことになったのう。……で、クズミくんじゃったか?」

 

学院長の“オスマン”はこれまたいかにも魔法使いといった感じのローブ姿に長いヒゲを蓄えた老人だった。

 

「あ、ああ」

「君が貴族はともかく――メイジというのは本当かね? もしよければ、何か魔法を見せて欲しいのじゃが」

「いっ!!? ま、魔法ね。魔法……(やべー!!? どーする俺! 一応ストックに“声震砲(ボイスワープ)”を柊父に頼んで入れ直しちゃーいるが……一発使えば、なくなっちまうから、いざという時のためにもとっておきたいし、そもそも、プレートが使えるのかどうかも)」

「ん? どーしたんじゃ? ああ。杖がないのなら私のを貸すが」

「――杖? ああ。杖ね。そ、それじゃー借りようかな? (よくわかんねーけど、杖がないとメイジは魔法が使えないのか? ってことはプレートみたいなもんか。全部話しちまってもいいけど……平民は使い魔にしてもいいみたいなこと言ってやがったしな)」

 

大賀は突如訪れた、らしいピンチに、いつものように頭をフル回転させて誤魔化す方法を考えながら、オールド・オスマンから杖を受け取る。

 

「じゃ、じゃーどんな魔法を使うかな……(ここからの交渉を有利に進めるためにはそれなりに実力があるように思わせてーし、となるとルーシーで誤魔化すよりは……こっちの魔法がどんなかは知らねーけど、これで誤魔化せるか!!?)」

 

大賀は何やら適当に詠唱っぽい言葉をもごもごと言って、片手で大げさに杖を振った。

そっちにみんなの視線を集中させておいて、実際には反対側の手で“ホッチャー”を出すための魔法香を擦る。

 

「――……“ホッチャー”召喚!!! (どーか騙されますように!!!)」

 

大賀の魔法で現れたように見える、古典的なお化けのような姿をした煙“白い挑戦者(ホワイトチャレンジャー)”こと“ホッチャー”の姿に、反応を見る限りその場にいる三人は驚いてくれたようだった。

 

「ほう! これは煙……風――と土の、ラインスペルじゃろうか……? どちらにしても、珍しい魔法じゃのー。煙をこのような形にして使役するとは」

「そうですね。君の国ではこういう魔法が主流なのかな?」

「あ、いや、主流って訳じゃ……まあ、ちっとは珍しーんじゃねーかな(とか言っておけば、実力がある風に見えるか?)」

「……あんた、本当にメイジだったのね」

 

ルイズが若干悔しそうな複雑な声音で確かめるようなことを言った。

 

「お、おお。そうな。俺がいた場所じゃ、使い魔の召喚なんてことはやってなかったから、取り乱しちまったが、そーいうこった。だから、とっとと還してもらいてーんだけど……」

「うーむ。しかし、それは無理じゃ。一応こちらとしても調べはするが……それで、クズミくんの国は遠いのかね? それほどの距離でないのなら、交通費ならば出すが」

「え、あー、かなり遠いんじゃねーかな? トリステインなんて聞いたこともねーしさ」

「トリステインを知らないなんてどこの田舎から来たのよ」

「もしかして、東方ではないですかな? あちらの方とは交流もありませんし、何よりも、クズミくんの魔法にしても服装にしても、珍しいモノですから。さらには貴族がいないとなると文化的にみても……」

「なるほどのう。どうなんじゃ?」

「えーっと? まあ、そんな感じかもしんないっスけど……とにかく、スゲー遠い場所だと思う(どうも異世界とか理解してないみたいだし、とりあえずはそーしといた方がいいか? そもそも、星が丸いってことすら理解せずに、俺を召喚なんて無茶してそーだ)」

 

魔法があるからそのままということもないだろうが、中世ファンタジー的な世界観なこの世界に、大賀は若干失礼っぽいことを考えながらテキトーに誤魔化した。

 

「ふむ。ならば、やはり、“サモン・サーヴァント”を辿るような魔法を見つけるしかないかのう?」

「た、頼むよ! ――あ、いや、頼みます! 俺がいつまでも帰らなきゃ、みんなを心配させちまうだろーし、俺は柊の夢を叶えるって約束したんだから、こんなとこで無駄に時間使ってる場合じゃねーんだ!」

「……うむ。まあ、クズミくんの事情はわかった。何とかこちらとしてもクズミくんが還れるように頑張ってみよう」

「あ、ありがとうごさいます!」

 

これで元の世界に戻るための第一段階はクリアかと大賀は素直に頭を下げた。

 

「それでじゃが、その方法が見つかるまで、君はどーするね。この辺りに頼れる人間なんていないじゃろう?」

「あ、それは、そっスね。――というか、できればここに置いてもらいてーんですけど、もちろん、俺にできることなら何でもやりますんで」

 

大賀がそう言うと、その言葉を待っていたとでもいう具合に、オスマンがにやりと笑った。

 

「ふーむ……そうじゃのう。ならば、君には彼女――ミス・ヴァリエールの使い魔になってもらいたいのじゃが……」

「いっ!!? いや、さすがにそれは……使い魔って猫とか梟とか、そーいう動物がやるもんで、人間がやるもんじゃないんじゃ……前例がないって言ってたじゃないっスか!」

「そ、そうです! それに、これは事故なんですから、もう一度チャンスを――」

 

オスマンの言葉には大賀だけでなく、それまで学院長の前だからと大人しくしていたルイズも声を荒げた。

 

「そーは言ってものう。“コントラクト・サーヴァント”――契約を行っていない上に事故とは言っても、召喚は召喚じゃし、もう一度“サモン・サーヴァント”を行うためには、その召喚に応じたモノを殺さねばならん」

「なんっ!!?」

「そんなのは、クズミくんだって嫌じゃろう? なーに! 送還に成功しさえすれば、問題はなくなる。それまでの間じゃ。メイジなんて使い魔がいなくても成り立つが、授業に必要な場合もあるのでな。その際にちょこっと協力してくれればいいのじゃ」

「いや、だけど……」

「別に本当に“コントラクト・サーヴァント”をしろと言っておるわけじゃない。フリじゃよフリ! 使い魔召喚は進級の条件でもあるしの。全くいないと言うのも体裁的にマズイんじゃよ」

「そんなんでいいんなら、どっかその辺から動物でも連れてくればいーじゃねえか!」

「そうはいかん。君が“サモン・サーヴァント”で召喚されたことは、その場にいた彼女と同じクラスの者には周知の事実となっておるじゃろうし、噂も広がる。それなら君を使い魔にしたということにしたほうが筋が通っておるじゃろう?」

「ぐっ……」

「それにこれは約束になるじゃろう? こちらとしても、ミス・ヴァリエールにまともな使い魔を与えたいと思ってるわけじゃから、君が使い魔でいる限り、早く送還の方法を見つけようって気にもなる。全く関係なければ、放って置かれても文句は言えんぞ」

「あ、あんたらのミスだろっ!」

「そうは言ってものう。見方によっては、君が勝手に来たとも言えるし、私たちも別に暇ではないしのう。無駄な苦労を背負うのは嫌じゃ」

「(こ、このジジイ、最低だ……)だ~~~!!! くそっ、わかったよ! けど、あくまでフリだからな! その“コントラクト・サーヴァント”とやらはやらねえし、還る方法が見つかったら、とっとと還るからな! そうすりゃ、そいつもまた召喚できんだろ!!?」

 

その後、大賀は使い魔のフリをするにあたって、メイジ――というか、魔法を使えることは極力隠すという条件を付けられた。

さすにメイジがメイジの使い魔というのは、マズイだろうという理由からだった。

その条件は、大賀としては望むところだったので受け入れた。

大賀はプレートがなければ――いや、あっても微妙だが――魔法が使えないし、むしろ元の世界で最強クラスの魔法生徒を演じていた身としては、その逆の――本来の立場――になるというのは気楽なものだった。

それに、いざという時にも、何もするなと言われているわけではなく、わざわざ自分から言うな程度の条件だ、否やは無かった。

 

大賀は使い魔としては格別にも、使用人用の一室を与えられた。

コルベールなんかはメイジなのに貴族用の部屋を与えられないことを申し訳なく思っていたが、使い魔のフリをするという理由から、貴族用の部屋は使わせられなかった。

使用人の一室を与える理由も最低限人間だからという理由だった。

とはいえ、部屋は狭めで、少し硬くはあるが、ベッドなどはあったので、大賀としては充分だった。

別に元々貴族というわけじゃない。

使い魔だからルイズと同室なんて無茶苦茶な提案も出た中で、自室を手に入れられただけでもラッキーだ。

しかし、基本はルイズと行動することを義務付けられた。

ちょこっと、って言ってたじゃねーかと思ったが、特にこの世界でやれることがあるわけでもないので、それはしぶしぶながらも了承した。

 

――……久澄大賀の異世界生活は、そんな感じでスタートした。




久澄大賀(くずみたいが)

  LV:1

  称号:使い魔(ふり)

  相棒:ルーシー(すがたをけせる ひとがたのすがたをみせられる)

  HP:それなり MP:からっぽ

   力:つよい
   耐:よくたえる
   知:わるぢえははたらく
   速:すばしっこい

  装備:BM0プレート(ぶらっくえむぜろぷれーと)

  服装:学生服(はるけぎにあではめずらしい)

   靴:革靴(がっこーしてい いがいにうごける)

その他1:携帯電話(つながらない すぐにばってりーぎれでしようふか)

その他2:ホッチャーの魔法香(てもちすくない)

その他3:魔法糸(ぷれーとをなくしたときにべんり)

行動方針:「俺は柊の夢を叶えるためにも、絶対に元の世界に帰る!」
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