ゼロ魔の二次っていまも結構活発なんですね。
1日2日で新着1ページ目からいなくなっててスゴイなーって。
まぁ影響されやすいので他の作品は読めていないんですが。
……原作沿いですけどね、この作品。
時間は少しだけ遡って、大賀が前校長の手助けを得た直後のこと。
理由はイマイチわかっていなかったが、落ち込む様子を見せていた大賀に、そんな使い魔(フリ)を励ましてやるのもご主人さまの義務よね、などと探していたルイズ。
「あ、いた、タイガ――って、タイガ? 何か落ち込んでるのかと思ったけど、そうでもない? むしろイイコトでもあったの?」
ルイズはようやく見つけた大賀の表情にそんな感想を持った。
今回の宝探しは失敗に終わったはずなのに、ずっと探していた目当ての宝を見つけたかのような、大賀はそんな晴れやかな顔をしていたからだ。
「おお、ちょっとな!」
落ち込む理由も立ち直る理由もわからない厄介な使い魔(フリ)ではあったが、元気になったならよかったとルイズは思った。
大賀は元気にしている方がいい。
ギーシュとバカやって、キュルケに絡まれて自分に迷惑をかけて、それでも肝心な時は頼りになって、そんな毎日がいまは少し気に入っていた。
それがたとえ不思議な魔法が見せる仮初の日常のようなものだとしても、その魔法をかき消す誰かが現れるまでは、あるいは自分でその魔法をかき消すその日が来るまでは、もうしばらくだけこの日常に浸っていたかった。
そして夜になって、大賀はルーシーと内緒話をするために、タルブにいる間の宿でもあるシエスタの家を再び出てきた。
今回は他の誰にも悟られないようにこっそりとだ。
内緒話の内容はもちろん、前校長から告げられたあらゆること。
ルーシーはその内容に驚きながらも、あの前校長ならばあり得るかも……と納得していた。
何せ老いた身体を捨てて魔法力体となり、幽霊のような状態で存在してる人物だ。
「そんでよ。ルーシー、お前どれだけ“プレート魔法”について覚えてる?」
状況の説明を終えた大賀がルーシーから聞きたいことはそれだった。
何せこれからの切り札となる力だ。
どれだけのことができるのかきちんと把握しておきたかった。
「え、うーん……大賀と一緒に見たものならだいたいは。他にもいくつか見たり聞いたりしたけど……あ、クラスマッチの時のは、“マンドレイクネットワーク”もあったから、それもだいたいわかるかも」
「おお! そりゃー貴重な情報だぜ! あとで覚えてる限りを細かく教えてくれ」
「いいよー」
ルーシーは大賀に頼られることが嬉しいので、にこにこと笑っている。
もっともそれは、アルビオンからこっち若干陰のあった大賀の表情が完全に戻っていることも関係していた。
自分さえ成し遂げるべきこととやらを成し遂げれば、元の世界には戻れるという保証を得られたようなものだから大賀も完全復活したのだろう。
ゴールさえわかっていれば、どれだけでも走り続けられるようなタフさが大賀には備わっている。
「とにかく、確かめておきてーことは、“プレート魔法”の引き出し方だ。“プレート魔法”は基本的に何かしらのアイテムにプレートを投入することで使うもんだが……特定のアイテムがないと使えねーのかどうか」
「どうやって確かめるの?」
「そりゃまぁ実際に使ってみるしかねーな。使いすぎは厳禁って釘を刺されちゃいるが、それを確かめないことには話になんねーからな」
「そだね」
ルーシーが頷くのを見て、大賀はプレートを取り出す。
手の中にあるのはレベル1の“BM0プレート”ではなくて、すでに最高レベルになっているプレートだという。
まさかそんなことになっているとは思ってもいなかった。
「じゃー、とりあえず簡単なところで――アクセス! “
大賀は柊父と“ゴールドプレート”のフリをするために朝練した時のことを思い出して、その魔法を使った。
あの時はサッカーボールを大賀の身振り手振りに合わせて柊父が操作していた。
今回はそれを落ちていた石ころで使ってみる。
石ころにプレートが投入され、吸収でもされたかのようにその姿を消すと、石ころは大賀のイメージしたとおりに動かせるようになった。
「よっしゃー!!! 成功だ!!! サッカーボールじゃなくても、やっぱ全然問題ねー! ってことは他のも特定のアイテムが絶対必要ってわけじゃねーな!」
大賀は両腕を上げてきゃほーとルーシーと一緒に喜び合う。
他の魔法生徒たちも元々存在してた魔法をプレートにインストールして、自分流にアレンジして使っていただけだ。
つまりまったく同じ効果とは行かないまでも、似たようなアイテムでも全然流用が可能だということがまずこれで証明された。
「(でも……それ用としか思えないような魔法も結構ある。そういうのをそもそもアイテムなしで使うなんてことはできるのか? ……いや、未来の俺が頼んだってんならそれくらいの要望は出してておかしくねー! やってみる価値はある!)」
それが次に大賀が確かめたいことだった。
たとえばこちらの世界では手に入れ辛いようなアイテムを元にした魔法を、そのままの効果で使うなんてことが可能なのかどうか。
さっきの“
大賀は祈りながら、次の魔法に“アクセス”する。
「――出たっ! 津川のスケボー!!!」
その結果は見事に成功だった。
大賀の目の前にクラスメイトが愛用している、それ本物としか思えないようなスケボーが具現化していた。
「やっぱりだ……。“プレート魔法”の引き出しって、誰かのプレートで使われた魔法の再現って考えた方が近いみてーだ。“魔法ポイント”を使うことで、その魔法を使って生まれた効果をアイテムごと具現化できんだ!」
「やったね大賀! ってことはアイテムがあるかとかいちいち気にしなくていいってことでしょ?」
大賀はルーシーの言葉に少しだけ考える素振りを見せた。
「いや……その場合は余計に“魔法ポイント”を使用してるかもしんねーな。さっき石ころに使ったのとは違って、こっちはアイテムから再現してんだから」
「あ、そっか。だったら、基本的にはその魔法を使うためのアイテムを用意してた方がいいってことよね」
「たぶんだけど、そうじゃねーかな……。“M0”を使う時だってそのサイズによって、使う“魔法ポイント”の量に結構差が出てるみてーだからな」
その大賀の考えは当たっていた。
“プレート魔法”発動用の素材アイテムがあるかないかでは使用する“魔法ポイント”にかなりの差が出る。
あるアイテムを強化するだけの場合と、ある強化されたアイテムを具現化する場合。
前者なら普通に一回分の“魔法ポイント”で済むが、後者なら二回分……場合によってはそれ以上消費することになる。
「まぁ、これでとりあえず知っておきたかったことはわかったな。できれば色々な魔法を使ってみてーけど、使いすぎると不具合でるかもなんて言われてるし、残念だけど自重しとくか」
大賀はせっかくだからとちょっと具現化したスケボーに乗ってみた。
実は元の世界にいた時から、乗ってみたいと思っていたのだ。
大賀の乗ったスケボーは大賀の意思で自由自在にかなりのスピードで動き回る。
最初だけちょっとバランスを取るのに手こずったが、慣れてしまえば馬での移動なんかよりはよっぽど快適だった。
これさえあれば、どこかの世界の少年探偵ばりに動き回れそうだ。
夜風を一身に浴びながら、大賀は自分にこれまで嵌められていた枷が外れるような感覚を感じていた。
「って、お、おおっ!!? だっはーーーっ!!?」
調子に乗って最後はお約束のようにスケボーから吹っ飛んで地面に転がる大賀。
ルーシーが心配して、すぐに傍に飛び寄ったが、大賀は地面に大の字になりながらも楽しそうに笑っていた。
だからルーシーも笑った。
二人の楽しそうな笑い声はしばらく続いた――その手の中に確かに希望が存在してると感じた、それを象徴してるような楽しげな笑い声だった。
「……は? ゼロ戦をくれるって?」
翌日――シエスタから告げられた言葉に大賀は目を丸くした。
「はい、元々ひいおじいちゃんの遺言にあったんです。墓石の文字を読める者が現れた場合、それを欲しいと言えば譲って構わないって。タイガさんたちはアレを手に入れるためにタルブに来たんですよね」
「そりゃそうだけど、あんなん貰ってもなぁ……(いや、くれるっつーなら貰っておいた方がいいのか? “プレート魔法”を使えば飛ばせないこともねーだろうし……未来の俺がここで接触するように頼んだのは、アレを持って帰らせるためって可能性も)」
当然戦闘機の操縦なんてできるわけもない大賀だが、“プレート魔法”が使えるようになったいまなら――たとえば、昨夜に試したような、物体を自由に動かす操作系の魔法を使えば、飛ばせないこともないかも知れない。
そのために大賀は悩む素振りを見せた。
もっとも、そうまでしてゼロ戦を“プレート魔法”発動用の素材アイテムとして持ち帰る必要があるのかどうかという話だが。
「持って帰るのは構わないと思うが、アレを運ぶとなるとかなり運送代がかかるぞ。運ぶための人手ならぼくの父のコネを使うこともできるが」
「げっ、金か……」
ギーシュの言葉に大賀は呻いた。
オスマンに貰った支度金はもうとっくに小銭しか残っていなかったからだ。
実はそういう理由もあって、今回の宝探しには内心でちょっとだけ期待してもいた大賀である。
だが、金を手に入れるどころか支払わなければならないとは予想外の展開だ。
「宝を持ち帰るのに出費って本末転倒じゃないの。必要ないなら置いていきなさいよ。わたしは払わないわよ」
「あたしも今回だけはルイズに同意ね。空を飛ぶためだけに大金を払うのはちょっとどうかしら。まぁアレがほんとに空を自由に飛べるマジックアイテムなら、飛ばして持って帰ることもできるんでしょうけど」
「空を飛ばしてか……(空を飛ぶ“プレート魔法”はいくつか俺も知ってる。でなければ操作系の魔法。いまならゼロ戦の効果ってことでどこまでやれるか試すこともできるが、あれだけデカイと相当の“魔法ポイント”を消費しそうだよな……どうするか)」
“魔法ポイント”を溜める方法も前校長は教えてくれていたが、せめてその協力者を見つけてからの方がいいだろうか。
しかし、ここで決断できなければゼロ戦を手に入れるチャンスはもうないも同然だろう。
こんな機会でもなければタルブに来ることはないはずだからだ。
“魔法ポイント”とゼロ戦の天秤。
大賀は結局“プレート魔法”でどこまでのことがやれるのかを試してみたい誘惑に負けた。
「よっし! じゃあ、試しに飛ばしてみっか! それで飛べば持って帰る。ダメなら諦めるでどーだ?」
「飛ばしてみるって、使い方わかるの?」
「ま、一応、俺の住んでた国にあったもんだからな」
大賀がそんなことを嘯いたので、再びみんなでゼロ戦の保管場所である寺院まで行くことになった。
このゼロ戦は“固定化”という魔法がかけられているために、いまでも劣化することなく存在しているのだという。
「じゃー、試してみるからよ。みんなは離れててくれよ」
大賀の言葉に他の者たちは距離を取る。
さすがにいきなり大賀と一緒に乗り込もうと考える者はいないようだ。
「(さて――となると使うのは、昨夜に続いて津川が使ってた系統の魔法か? 要は物体の自動操縦魔法だ。津川のログである必要もねえ。必要なだけの“魔法ポイント”さえありゃあ、ゼロ戦のスペックと合わせて飛ばすことができるハズだ!)」
大賀はゼロ戦のコクピットで考えをまとめると、プレートを操縦桿の辺りに投入した。
「つーわけで――アクセス! “韋駄天・操(Ver.ゼロ戦)”!!!」
津川の“プレート魔法”の名前をパクリこそしたが、実際には津川が使ったそれよりもさらにランクが高そうなログの魔法の力に頼っている。
スケボーとゼロ戦では差があり過ぎると考えられたからだ。
ついでに言えば、それで空を飛べるかが微妙だったこともある。
地面を走るだけのゼロ戦なんてかなり悲しいシュールな光景になってしまうだろう。
「(さすがに無理か……?) いや――おっしゃー!!! 成功だ!!! これで学院までだって一気に飛んでいけるぜ!!!」
魔法を使ってすぐは反応が鈍かったので、これは無理かもと思った大賀だったが、少し考え方を変えて、“魔法ポイント”をそのまま燃料としてイメージすることで、ガソリンなしでエンジンを動かすことに成功した。
魔法の力で劣化もしていないのに飛べずにいたゼロ戦は、単純に燃料が切れている状態だったのだ。
さらにはプロペラも操作することで、走り出したゼロ戦はついに浮力を得ることに成功し、時を越えて本来のホームである空へと舞い上がった。
「飛んだ!」
「ほ、ほんとに飛んだぞ! まさかあんな変なものがほんとに飛ぶなんて!」
「ひいおじいちゃんの言葉は嘘じゃなかった……」
青空を颯爽と飛ぶ鋼鉄の竜。
空から見るタルブはかなり小さな村だった。
豆粒のようになったルイズたちは何やら騒いでいるようだが、さすがにその声が聞こえてくることはない。
このゼロ戦があれば、再びアルビオンに行くどころか、このハルケギニアという世界全部を見て回れるだろうか。
遮られるものがないために広がる視界に、大賀はそんなことを考えたが、さすがにこの状況では色々準備が足りないだろうと、タルブの上空を旋回して、再び保管場所へと戻った。
着陸にも無事成功すると、みんなが寄ってきて口々に自分も乗せて欲しいと言ってきた。
自分で空を飛べる者も多いというのに、目前でゼロ戦の勇姿を、その迫力を見ると、乗ってみたくなったようだ。
この世界は元の世界に比べて娯楽が少ないし、遊園地のアトラクションを始めて目の前で見るような心境なのかも知れなかった。
「スゴイ……スゴイです、タイガさん! これが空! まさかわたしが空を飛べるなんて!」
「俺じゃない。シエスタのひいじいちゃんのおかげだよ」
その後、シエスタの家の物だからと大賀は最初にシエスタをゼロ戦に乗せてあげた。
平民であるシエスタは空とは無縁の生活を送っていたために、初めての空に大はしゃぎであった。
“竜の羽衣”――ゼロ戦を手に入れたことでタルブでの用事は終わった。
大賀たちは学院に帰ることにしたが、シエスタは宝探しの前に休暇の許可をちゃんと取りつけていたらしく、実家に残ることになった。
もうすぐアンリエッタの結婚式があるために、貴族ばかりの学院であるトリステイン魔法学院は――ルイズが詔を頼まれたように、それに出席する予定の教師や生徒も多く、微妙に機能しなくなる。
そのためにそれが終わるまでは休んでいてもいいことになったという話であった。
帰り道はゼロ戦に大賀とルイズ(+ルーシー)が乗り、残りは行きと同じくシルフィードに乗った。
シルフィードは初めて見るゼロ戦に妙な対抗心を持ったようで、帰りはちょっとしたレースのようになっていたが、その勝敗はシルフィードの名誉のために割愛とする。
その言葉で察せられるというのなら、それはそれで仕方のないことだ。
「な、何だこれは、何だこれは!!?」
「おお、ハゲ――じゃなくて、コルベールせんせー」
そんなこんなで学院へと帰還した大賀たちだったが、ゼロ戦の存在は当然のようにここでも注目を集めることになった。
空から学院の中庭に降りてきたゼロ戦の周囲に学院の者たちが何事かと集まってくる。
その中で一際興奮しているのが、火系統の教師であるコルベールだった。
コルベールは魔法を扱うメイジでありながら、絡繰りとかそういう物の方に並々ならぬ興味があるらしく、この世界では変わり者とされる一面を持っていた。
「く、クズミくん。これは一体なんだね?」
「俺の国の乗り物っスよ」
「ほお! 君の国ではこんなものが空を飛んでいるのか! 実に興味深い! 燃料は“風石”かな?」
「違うっス。元々はガソリンって液体の燃料で――あ、いまはそれがないんで俺の魔法で飛ばしてんスけど……」
コルベールは一応事情を知っているために、ゼロ戦から降りた大賀はこそこそっとコルベールに事実っぽいことを言った。
さすがに“プレート魔法”の詳しい実情を話す気はなかったのでそれ止まりだが。
「おお、君の魔法で飛ばしていたのか。……しかし、本来は違う燃料で飛ばすものなのか。なるほど」
だがコルベールはコルベールで、大賀の魔法よりもゼロ戦の材質とかガソリンとかそっちの方がよっぽど気になるらしく、ゼロ戦の周囲をぐるぐると動き回っては大賀に色々と質問をしてくる。
大賀もゼロ戦だとかに詳しいわけではなかったから、辟易しながらも、答えられることだけに答えた。
「ふむふむ。これはできればもっと詳しく調べてみたいな。クズミくん、よければこのゼロ戦とやらは私の研究室に保管しておかないか? 自由に調べさせてくれるなら、その場所を提供しよう」
「おお、そりゃこっちから頼みたいくらいスよ! いまのいままで置いとく場所なんて全然考えてなかったんで」
「では決まりだな。それではそちらに移動させよう」
そしてゼロ戦はトリステイン魔法学院の一角に保管されることになった。
鋼鉄の竜は新たな寝床でその翼を休める。
もしもその彼――あるいは彼女に意思があったなら一体何を望んで夢を見るのだろうか。
再び空で勇敢に戦うことか、戦いとは無縁に自由に世界を飛び回ることか、それとも何者にも干渉されずに再び眠り続けることか。
どちらにしろ、竜は目覚めた。
故に相応しい舞台は近く用意されるであろう。
それがこのハルケギニアという、美しくも殺伐とした世界で力を持つモノたちの宿命なのだから。
微妙にこの作品におけるコルベール不用説が発生してしまった。
だってガソリンとか要らないってか、ガチの操縦はできないんだもの。
ぶっちゃけ、ゼロ戦である必要もないっていうね。
そこら辺の絨毯でも空飛ばした方がよかったかもと思わなくもない。
どう考えてもそっちの方が絶対に節約できるから魔法ポイント。
でも原作では結構目玉アイテムだからなー。
さすがに使わないのはもったいないかもと考えてしまう貧乏性な作者ですよ。
あ、今回も何か説明っぽいことしてますが、魔法は基本その場のノリです。
大賀とかもイメージで使ってるだけです。
なので、細かいことをツッコまれても答えられませんので、悪しからず。