怪盗団みたくなってて意味不明だけどやりたい。
PVかっけー。
あ、そういえば笑顔系動画サイトにM×0のがあるんですよ。
かなり前のトレース系の手描きOPとかいうやつ。
というか、それくらいしかないんですけど。
M×0忘れたとかいう人にはオススメ。
まぁそれよりもペルソナねー。
ペルソナ5出るまでにそっちも完結させたいんだけどねー。
正直な話、M×0とゼロ魔の小説を書いてるこの状況が作者的にも謎です。
タルブから学院へと戻ってきて、また少しだけ時間が流れた。
アンリエッタの結婚式もいよいよもうすぐそこにまで迫っている。
大賀も詔を詠むことになっているルイズに付いて、明日にはその式場であるゲルマニアへと行くことになっていた。
もっとも当のルイズはその肝心の詔が思いつかず泣きが入っており、結局学院の図書室から何冊かの本を借り出してそれっぽいものを組み合わせ、オリジナルと言い切るパクリの極致のような方法に手を出していた。
大賀はさすがにどうかと思って口を出したが、だったらあんたが考えてみなさいよという言葉に屈した。
なぜなら詔というもの自体がよくわかっていなかったからである。
確か天皇の命令書とかそんな感じのだよな程度の認識なので、まぁたぶんアンリエッタに代わって今日結婚しますよみたいなことを畏まった言葉で言えばいいんだろうなとは思っても、その内容を考えろと言われてもさっぱりだった。
そして、その翌日――つまりは旅立ち当日の朝のことだ。
束の間の日常、表面上の平和は、いともあっさりと崩された。
神聖アルビオン帝国による条約破り、砲撃、宣戦布告、言葉はどれでも構わないが、国境周り、ラ・ロシェールやタルブといった、大賀たちも行ったことがある地が、その空が、瞬く間に戦場へと化していく。
そう、トリステインはアルビオンから戦争を仕掛けられたのである。
大賀たちはそのことを迎えの馬車を待っている時に、それとは別に息せき切って現れた使者の、その様子が気になって後を尾けたことで知った。
学院長であるオスマンに状況を説明する使者の言葉によれば――。
敵軍は、新造艦――レキシントン級の新造艦を筆頭に、戦列艦が十数隻。
すでに上陸した敵兵の数は3千。
それに対してトリステインの艦隊はすでに全滅、それでも何とかかき集めた兵力2千が、タルブの草原に陣を張る敵軍とラ・ロシェール付近に陣を張って睨み合っているとのことだった。
「ゲルマニアへの援軍要請は終わっておるのか?」
「ええ。しかし、先陣が到着するのは3週間後だとか……タルブは燃やされ、ラ・ロシェールも時間の問題、このままでは……」
「……見捨てる気じゃな。このまま誰も何もできなければ、トリステインはあっさりとその歴史を終わらせることになるじゃろう。そして次はゲルマニアとアルビオンの戦争が始まる。あるいはそこに至ればガリアやロマリア動くかもしれんの」
学院長室のドアに引っついて聞き耳を立てていた大賀は、そこまで聞いてもう我慢できないとばかりに走り出した。
その後をルイズと姿を消した状態のルーシーが慌てて追いかける。
「ち、ちょっと、タイガ! あんた何をする気よ!」
「知るか! でもシエスタを――タルブの人たちを助けに行かねえと!」
「バカ! 死んだらどうすんのよ!」
「だから行くんだろ! まだきっと間に合う! こんなんで終わりなんて冗談じゃねー! 誰かがやらなきゃって言うなら、俺がやってやる! みんなを助けて逃げりゃいいんだろーが!」
「逃げたって国は……」
「そこまで面倒見れるか! とにかく俺は俺にできることをやる! お前は学院で待ってろ!」
ルイズの言葉に大賀は立ち止まり反転すると、床を指差してそう言った。
大賀が立ち止まったことで膝に手を置いて息を整える素振りを見せていたルイズだが、その言葉にすぐに顔を上げて反論する。
「なっ、じ、冗談じゃないわ! これはトリステインの問題よ! あんたが行くのにわたしが行かないなんてことはないわ!」
大賀は静かに首を振った。
「言っちゃ悪いが、ルイズ、いまから行く場所でお前にできることなんてねーよ。そんで、できなくてもいいんだ。魔法は戦争のためにあるわけじゃねー。お前だって戦争したいから魔法を覚えたかったわけじゃないだろ」
大賀の言葉は真剣な時のそれだった。
ルイズはキュッと少しばかり唇を噛みしめたが、それでも大賀の目を正面から見返して口を開く。
「……一人より二人よ。魔法が使えない代わりにわたしはあんたに、どんな敵をも恐れない勇気をあげるわ。そう、わたしは……何もできないから、あんたが死んだらきっとわたしも死ぬわ。だからあんたはわたしを守るためにも生きるのよ」
「ルイズ。お前ってやつはほんとに無茶苦茶言うな……。もともと死ぬ気なんかねーし、それ、ただの足手まとい宣言じゃねえか」
「ふん、タイガはきっとわたしがいた方が力を出せるのよ。わたしが言うんだから間違いないわ」
「お前の言葉には間違いしかねーよ」
「――そうよ、ルイズ。あなた、初めから間違ってるわよ。一人より二人じゃなくて、五人でしょ?」
廊下で言い合っていた二人。
呆れたように息を吐いた大賀の背後から三人の人物が姿を見せる。
「キュルケ! それにタバサとギーシュも……」
「どうやらまた厄介ごとみたいね。それもとびきりの。トリステインが落ちたらゲルマニアも巻き込まれるんでしょ。だったらせいぜいトリステインが使えるうちに利用させてもらわないとね」
キュルケは腰に手を当てながら、不敵にそんなことを口にする。
どうやら、事情はすでに把握しているようだ。
「あんたまたそんなこと言って……ほんとに状況がわかってるの!!?」
「ええ。だから最悪どうしようもなくなればみんなあたしの家に来ればいいわよ。それくらいの甲斐性はあるから」
このまま放っておくと今度はルイズとキュルケの言い合いが始まりそうだったので、大賀は残りの二人に視線を向けた。
「タバサとギーシュは?」
キュルケと同じような考えを持っているのかとの意味を籠めて問いかける。
「心配。戦争は人がたくさん死ぬところだから」
タバサはあくまでいつも通りと言った風に淡々と呟いた。
そしてギーシュは。
「きみのことは戦友だと思ってると前に言ったはずだぞ、タイガ。それにすでに父が動いてるはずだ。いまの前線を維持できさえすればきっと何とかなるさ」
「それは不安ね」
ギーシュのそんな言葉にキュルケが軽口でツッコむ。
キュルケの中ではギーシュの父親というだけでそういう評価になるらしい。
「何を! ぼくの父は元帥だぞ! 偉いんだぞ! 凄いんだぞ!」
「はいはい」
ムキになって反論するギーシュをキュルケは適当に手を振ってあしらう。
大賀はそんな様子にそれまでの緊張が解けていくのを感じた。
「お前ら……へっ、俺もだけどよ。何つーか、どいつもこいつもバカばっかだよな」
「類は友を呼ぶ」
「ちなみに類はダーリンね。ダーリンがいなければ、あたしたちがこうしてまとまることはたぶんないわよ。特にあたしとルイズは」
「そこは同意しとくわ」
五人(+ルーシー)が顔を見合わせて微笑む。
そして大賀が口を開いた。
「――お前らの気持ちはわかった。よし、じゃあ協力してくれ。ただ勘違いするなよ。俺たちの目的はあくまで一般人や負傷者の救出だ。敵と戦うことじゃねー。それは国の兵隊とかに任せる」
大賀の言葉にルイズたちはこくりと素直に頷いた。
「そうね。五人でできることは限られてるわ。そもそも前回のアルビオンの時と違って今回はこっちが奇襲を受けてる立場だもの。状況が全然違う。まぁ前回も大概だったけど」
キュルケはアルビオンでの戦いを振り返りながら大賀に視線をやる。
この場にいる者たちは、大賀をこういう状況での指揮官としてすでに認めていた。
「ああ。それでどーするかだけどよ。移動速度に差もあるし、俺とルイズはタルブに直接行くから、キュルケたちはラ・ロシェールの方に行ってくれ」
そして大賀は自分の考えを話し出すが、今回は現場の状況を直接見たわけでもないので、特別何かを思いつくというほどのことはなかった。
とりあえず、移動手段としてすぐに思いついたゼロ戦とシルフィードでパーティーを分けての役割分担を提案する。
「ラ・ロシェールの人たちを逃がせってこと?」
「まぁそれもそーだけどよ。仮に傭兵たちが自衛以上は動かずにいるなら、何とか協力する方向に説得してくれ。あん時はともかく、今回は自分たちの街をやられてんだから味方だろ」
「味方かしら?」
「ラ・ロシェールが寝返ってんならそう報告されるだろ。前回の襲撃はあくまで国とか関係なく俺たち個人に対する襲撃だから成立してたんだと思うぜ。あと、金」
「ぼくが金欠なのはきみも知ってるはずじゃないか」
大賀の言葉にギーシュが少しばかり顔を顰める。
国の一大事に金頼り――しかもその金が払えそうにないとなると愛国心の高いギーシュの気持ちもわからなくはない。
「そこは国に任せるしかねーな。とにかく現状をしのがねーことにはどうしようもねーだろ」
「そりゃそうね。そもそもトリステインの国庫のことなんてあたしには関係ないし、せいぜい大金をちらつかせて釣ればいいんでしょ」
「……一応お手柔らかにな」
戦争後のトリステインの経済状況に何となく考えを及ばせて大賀は他人事ながらに冷や汗を流した。
「問題は制空権」
「まーな。魔法で空には上がれんだろーけど、違う魔法を同時になんてことになれば、どーしても相手の方が有利になっちまう。けどそれはいまは仕方ねーぜ。さらに上空から大砲の弾を落とすとかしても、それはそれで相手の魔法に防がれるだろーしな」
タバサは仮に傭兵やらで兵力を補強できたとしても、その戦況の悪さが気になっているようだ。
しかしさすがに大賀もこの状況で一発逆転とかは厳しいと感じていた。
それこそアルビオンの時のような方法をやるにも人が足りないし、一度それをやった以上警戒もされているだろう。
とにかくまずは劣勢の状況を取り戻す以前として、避難誘導やら救出作戦やらを行うしかない。
「ねえ、でもパーティー分けは、ほんとにこれで大丈夫? あのマジックアイテムで空は飛べるかもしれないけど、ルイズはろくに魔法が使えないし、あたしかタバサがダーリンと組んだ方がいいんじゃないの?」
大賀はその言葉に少し考える素振りを見せたが、先程のルイズの言葉があったので、首を振った。
「いや……大丈夫だ。そりゃタルブの状況次第だけど、俺たちは基本的に避難誘導だとか逃げるだけだ。直接傭兵やらと接触したり、戦場の近くに行くことにもなるそっちに戦力があった方がいい」
「ダーリンがそう言うなら従うけど……あれって見た目から目立つし、気をつけて」
「おお、サンキュー」
当然だが大賀はアルビオンの時のことで戦争に関わるのはもう懲りていた。
しかし再び勇気を奮い立たせ、恐怖を焼き尽くして、立ち向かわなければならない状況が立ち塞がった。
あるいは何もしなくても明日も変わらぬ日常は訪れるかも知れない。
だがオスマンの言っていたように、あっさりとトリステインが滅亡してしまうかも知れない。
だからそれを防ぐなんて大層なことは言えなくても、この世界で知り合って、親切にしてくれた人たちくらいは助けて見せなければならないと考えていた。
戦争という理不尽な暴力に抗う手段はある。
その程度のこともやり遂げられないような自分にはなりたくなかった。
「あ、待って」
「何だよ?」
それぞれの場所に駆け出そうとしたみんなをルイズが引き留めた。
そしてすっと携帯用の杖を出す。
その行動を見て察したキュルケとタバサ、ギーシュもそれぞれの杖を掲げた。
四人の視線が大賀に向き、大賀はどうするかと姿を消しているルーシーに視線をやると、ルーシーもその小さな腕を突き出していたので、苦笑して、自分も腕を突き出した。
「「「「杖にかけて」」」」
「こ、拳にかけて……?」
「なんか締まらないわねえ……」
「うっせー! い、いいから行くぞ! いつまでもこんなとこで駄弁ってる場合じゃねえんだからよ!」
ドタバタとしたそれは、いつもの彼らの延長線上にある光景だったが、いずれ誰かがそれを物語として語りだすのだろうか、戯曲として演じあげるのだろうか。
そんな彼らの日常が新たな伝説として昇華されるこの日のことを。
そう、今日は――“
“プレート魔法”で動かしたゼロ戦に乗って、タルブへと飛んだ大賀とルイズ(+ルーシー)だったが、眼下に広がる光景には不安を感じずにはいられなかった。
そこに少し前に訪れた時に感じた素朴ながらも美しいのどかな田舎といった風景はなく、荒れ果てた地に消し炭と化した家など、凄惨さを感じるそれになっている。
動く者もない。
わかりやすく死体が転がっているということもなさそうだが、シエスタや村の人たちは無事に避難することができているのだろうか。
しかしそうやってタルブの様子を窺いながら上空を旋回していられたのも少しの間だけだ。
大賀たちは哨戒していた竜騎士に見つかり、その騎士――メイジの魔法と竜のブレスによって攻撃を仕掛けられた。
「ちっ……こんないきなり攻撃してくんのかよ、ヤベェな。この状況だと攻撃手段がねぇぞ……」
「攻撃手段がないって、あんたメイジでしょ。あんたも魔法で攻撃すればいいじゃないの!」
大賀のことをメイジだと思っているルイズの言葉はもっともだが、この世界の魔法と違って“プレート魔法”はどう訓練しようが、同時に二つの魔法を使うことはできない。
プレートを二枚持ちでもしない限りは絶対に無理なのだ。
「だから、その魔法でこのゼロ戦を動かしてんだよ! 同時に他の魔法を使ったりはできねえ!」
大賀は叫びながらも意識を集中して、敵の攻撃を避ける軌道をイメージする。
相手の竜騎士が乗る竜は火竜。
タバサの使い魔として慣れ親しんだ風竜に比べれば飛行能力に欠けているために、最高速度では圧倒しているので、逃げるだけなら余裕と言えば余裕だ。
ただ本気で飛び回れるほど、大賀たち自身が空に慣れていないし、耐えられもしないだろう。
「なっ……じゃあどうすんのよ! これじゃ的になるしかないわよ! 何かこのマジックアイテムに武器とか載せてないの!!?」
「……いや、あるにはあるんだけどよ、それは使えねえ」
「何でよ!」
「殺傷能力が高すぎる! 俺は戦争をする気はねーんだ!」
この大賀が空へと蘇らせたゼロ戦には、機関砲も当然のように装備されており、弾も残っているようだったが、大賀はそれを使うことには躊躇があった。
それを使うためには相手を殺しても構わないという精神性が必要だ。
大賀はその精神性に至るには強くも弱くもなかった。
「で、でも……これは正当防衛よ」
「それでもだっつーの! 人を殺して笑って暮らしてられるか! そんなんじゃ元の世界にだって戻れねえよ!」
「「…………」」
大賀たちを狙う竜騎士はその数を増やしつつある。
中々仕留められないために仲間を呼んだのか、単純に異変に気づいて駆けつけて来たのか、どちらにしてもこの状況はよくない。
戦うか逃げるか決断する時だった。
「……わかったわ。ならここはわたしが何とかする」
「何とかってよ……」
「タイガ。あんたをわたしたちの国の戦争に巻き込んだのはわたしだもの。それに――たとえ、フリでもわたしはあんたのご主人さまよ。やる時はやるってことを見せてあげる。要はすれ違いざまにでもわたしの魔法を竜の顔面に叩き込めばいいんでしょ」
「確かに乗ってんのはメイジだから飛べば死なねえし、ピンポイントで狙えば脅かす程度の爆発でもこの状況なら墜ちてくれっかも知れねえけど……」
それでも万が一はある。
自分ができないからとルイズにやらせるというのも大賀的には良しとできるものではない。
「責任はわたしが負うわよ。あんたに背負わせたりなんかしない。あんたはこのマジックアイテムの操縦だけしてくれればいいわ」
ルイズの言葉に大賀は決断した。
「……お前に、ルイズにそこまで言われてケツまくるなんてダセー真似はさすがにできねーよな」
「タイガ」
「ああ、やってやる! でも、お前だけに責任を押しつけたりしねー! それで敵が死にそうだったら無理矢理にでも俺が助けてやるぜ! そうだ! 戦争なんてくだらねーもん、背負ってたまるか!」
大賀の敵をも思いやる心にルイズの心も震えた。
ぐるぐると動き回る空での戦闘に加えて、増えるばかりの敵に、実は内心でかなりビビりが入っていたルイズだが、どうあってもやってみせるという気持ちになっていた。
そして強い心は伝説に繋がる。
ルイズの中に眠る可能性が目覚める瞬間が来た。
アンリエッタの結婚式に出席するためにその手で握りしめたままだった“始祖の祈祷書”、そしてこれも指に嵌められたままの“水のルビー”。
最後に怒り、悲しみ、愛、喜び、それはどんな感情でも構わないが、どうしても魔法を必要だと思う強い心の震え。
それら必要な鍵が揃い、ルイズの手の中にある“始祖の祈祷書”と“水のルビー”が光を放ち出した。
ルイズはその光の中に文字を見つけた。
これまで白紙で完全に式場での見栄えのための偽物だと思っていた――王室から預けられた“始祖の祈祷書”に古代のルーン文字が浮かび上がっていく。
ルイズは魔法が上手く使えないこともあり、座学は頑張っていたので、その文字を問題なく読むことができた。
それは始祖ブリミルの残した言葉だった。
序文から始まるそれは、この世界に存在する魔法、“火”、“水”、“風”、“土”、その四つの系統が世界を構成する小さな粒に影響を与え変化させるものだと記してあった。
そして、その上位魔法として、より小さな粒に影響を与える“虚無”が存在していると。
「“虚無”の系統……伝説の系統……」
「ルイズ! ルイズ、どうした! 何かあったのか!!?」
背中で起きた光と、耳元で何か言っているルーシー、二十騎近くまで増えてきた竜騎士からの逃亡と、色々なことを同時に熟しているために若干テンパり気味な大賀が尋ねる。
しかしルイズはその声が聞こえているのかいないのか、興奮で震える指先でペラリと本のページをめくった。
『これを読みし者は、我の行いと理想と目標を受け継ぐ者なり』
そこにはそう書いてあった。
“聖地”を奪還しろとか、多大な精神力を必要とするとか、そういうことも書いてあったが、何より大事なのは、“虚無”を扱える資格のある者にしかこの本は読めないというものだった。
「た、タイガ……わ、わたし、選ばれちゃったのかもしれないわ。伝説の力ってやつに……」
「はあ!!? 何言ってんだお前、大丈夫か!!? ゲロを吐くなら何か袋とかに吐いてくれよ!」
美少女はゲロなんて吐かないと、ルイズは微妙に酸っぱいものが込み上げてきてた口内を、んぐっとつばを飲み込んで無理矢理に抑えつけた。
「やるわ……やってみせる。これまではいつも大賀がやってくれてたみたいな一発逆転。今回はわたしが。この伝説の力で。だから――タイガ!!!」
「ああ!!? 何だよ!!?」
「タイガも信じて!!! わたしの魔法を!!! わたしの中に眠る可能性を!!!」
「よくわかんねーけど……。――ルイズ!!! お前がやれるってんならやってみせろ!!! 失敗したらそん時はそん時だ!!!」
「今日は失敗なんてしないわよ! タイガ、竜騎士なんて振り来ちゃっていいわ! あの空の先、敵の航空戦力の中枢――レキシントン級の巨大戦艦に向かって!」
「簡単に言いやがって……!」
けれど大賀はルイズのその指示に従った。
いまのルイズには期待ができる。
よくわからないけれど、大賀にはそんな直感があった。
しかし竜騎士たちを振りきり、一気にその中枢へと迫りかけたゼロ戦の眼前に巨大な竜巻が渦巻いた。
「なっ――竜巻!!?」
大賀はその風に翼を取られそうになりながらも何とか針路を修正して墜落を免れた。
「来たかガンダールヴ!!! そして、ルイズ――あの時の屈辱をいまこそ晴らすとき!!!」
最後に大賀たちの前に立ち塞がったのはワルドだった。
自分の使い魔のグリフォンではなく、より飛行能力の高い風竜に跨っている。
「ワルド……! そうか、よく考えりゃあいつがいても全然おかしくねえんだった!」
レキシントン級の巨大戦艦――“サラトガ”号。
アルビオンでは大賀たちに敗北したワルドだったが、高い実力の持ち主であることには変わらず、若干評価は落としたものの、新造艦の守備に就いていたのだ。
「この状況であいつの相手もしろってのかよ……!」
「タイガ、後ろも迫って来てるわよ! とにかく何でもいいからもう少しだけ近づいて! それで終わらせてみせるから!」
ゼロ戦は“固定化”の魔法で状態を保持されていた。
なら、魔法での攻撃ならともかく、墜落するくらいなら問題ないかも知れない。
とにかく、この状況でワルドの目を欺くためには――。
「“
大賀はこの方法ならとゼロ戦を捨てる決断をすると、ルーシーを掴み、ルイズを抱えて、外に飛び出した。
ゼロ戦は“
「すまねえ、壊れてなきゃ、あとで回収してやっからな!」
自分の方に突っ込んでくるゼロ戦を慌てて避けるワルドの視界から外れるように、大賀は“プレート魔法”で足首に羽根を生やして空を飛んだ。
初めての魔法試験でピンチに陥った時に柊父が使った魔法だ。
そしてサラトガ号の上空へと一気に出た。
「ルイズ!!! 何かやるなら早くやってくれ!!!」
大賀の言葉にその腕の中のルイズはこくりと頷くと、“始祖の祈祷書”に浮き出た呪文を読み始める。
その呪文を読み進めるにつれて、ルイズの頭の中で過去の――失敗を繰り返していた自分の姿が浮かんでは消えていった。
いまこの瞬間に至って、その原因も全てわかっていた。
信じられないことには変わりなかったが、ルイズの系統はこの伝説の“虚無”なのだ。
つまり魔法を使うための入り口がわからずに、あるいはその入り口を開けるための鍵も持たずに、いままではその周囲をウロウロと彷徨っているだけの状態だったのである。
その入り口にようやく辿り着き、ルイズはそのドアに鍵を差し込んだ。
身体の中の小さな粒子が大きな波を作り出し、行先を求めて暴れ狂っている。
このままこれを身体の中に置いておけば、自分の身体が木っ端微塵に弾け飛んでしまうことだろう。
ルイズはその狙いをどこに定めるか考えた。
これをこのまま解き放てばきっとスゴイことになる。
それこそ、この空に存在する全ての敵を破壊しつくすこともできるかも知れない。
ルイズは詠唱を続ける自分を注視している大賀と視線を合わせた。
大賀は頷きでその視線に応える。
ルイズの心は決まった。
人の命を奪うのはいけないことだ。
それは子供でも知ってるはずの常識で、けれど戦争の中では簡単に破られる約束。
だけど自分たちもそれに倣う必要なんてない。
理想を現実とする力が、いまこの身体の中に存在している。
「……ジェラ・イサ・ウンジュー・ハガル・ベオークン・イル」
そして伝説の――その初歩の初歩の初歩とされる、それに触れた全てのモノを虚無へと還すための魔法“
「 」
爆発的な光が空を覆いつくし、ルイズの望みを叶えるために動き回る。
その度に空に浮かぶアルビオンの艦隊が墜ちていく。
光が消える頃には、存在していた十数隻のフネが全て墜ち、その中には当然ながらアルビオンの新たな旗艦とされていたサラトガ号の姿もあった。
「「…………」」
「……いや、やれとは言ったけどよ。さすがにやりすぎじゃねーか? 何だよお前、実は大魔王か!!?」
「そ、そんなわけないでしょ! わたしだって驚いてるわよ!」
「(ワルドの見る目は正しかったってか……? しかし、こりゃー、俺が聖凪で偶然教室ぶっ壊しちまった時の比じゃねーな。いくら伝説の魔法つっても、他のと差がありすぎだろ……)」
その爆発の中心、変わらず空にいる大賀はその光景をぽかんと大口を開けて見つめていた。
というか、この光景を見た誰もがそうなっていることだろう。
ルイズは誰一人殺すことなく、フネの航行能力を、そういった機関を、全て魔法で爆発させてぶっ壊したようだ。
あまりにも無茶苦茶な離れ業である。
だが、これこそ真に一発逆転とされる状況なのも間違いない。
しかも子供の手で横から盤上を引っくり返されたような哀れなアルビオン軍にさらなる追い討ち。
「あれは、レキシントン――いえ、ロイヤル・ゾウリン号!!? ――あの方が……っ!」
自ら指揮をすると言って戦場に赴いていたアンリエッタは口元に手を当て、震える声で呟いた。
ロイヤル・ゾウリン号から、あの戦いで実はそれなりの数を鹵獲していた竜を駆る、竜騎士隊が一斉に飛び立つ。
その先陣を切ったのは風の王子であるウェールズだ。
「勇敢なるトリステインの者たちよ!!! 不思議な光に導かれて私は来た!!! いまこそ勝機!!! 私に続け――私はそなたらの盟友にして、この空を統べる者、ウェールズ・テューダー!!!」
この追撃によって空に残っていたアルビオン軍の竜騎士たちも追い払われていく。
もはやそれがあの優秀なワルド隊長であっても逃げることしかできない。
「援軍……王子さまたちか! こりゃ、ありがてえ!」
形勢は完全に決した。
視線を空から地面に向けてみても、タルブの草原に陣を張っていたアルビオンの兵隊たちも、ラ・ロシェールから飛び出した傭兵たちとアンリエッタ率いるトリステイン軍の突撃によって、いきなり劣勢に立たされた混乱から立ち直れないままに壊走した。
そして伝説が目覚めたその後……大賀たちはタルブの村の南にある森に逃げ隠れていたシエスタたちと無事に再会することができた。
アルビオンに攻撃されてすぐに逃げ出したので、人的な被害は誰かが転んで膝を擦り剥いたとかちょっと火傷したとか、その程度で済んだらしい。
墜落したゼロ戦も何とか原形を留めてはいたので、これは絡繰り好きなコルベールにでも修理を頼んでおけばいいだろう。
もし直らなくてもタルブの人たちを守ったということなら、その持ち主であったシエスタの曾祖父もまぁ許してくれるに違いない。
戦闘が終わったことで合流したキュルケたちは、当然ルイズが起こした爆発の光について詳細を知りたがったが、それについてはかなり強引に誤魔化した。
本来なら魔法が使えたという事実に声を大にして自慢をしたいルイズではあるが、さすがにその規模がデカすぎたために気軽に話す気にはなれなかったのだった。
とにかく、避難誘導やら負傷者の救出やらの人助けに来たはずが、何をどうしたのか国の窮地を救うに至ってしまった。
この敗北を受けてはさすがにアルビオンもすぐさま侵攻を再開するとは行かないはずだ。
だが、全てはこの先の展開次第と言えるだろう。
特にルイズ――“ゼロ”のルイズなんて揶揄されていた彼女だが、大賀を召喚したそれは除いておくとして、この一度の大成功によって、その存在は世界に注目されるに違いなかった。
それはたとえその功績を隠そうと同じこと。
知る人は知り、知らない人はいつまでだって知らないまま、それは世界に共通する真実だ。
たとえばルイズも大賀も彼らの誰一人もまだ知らない。
この世界にはルイズよりも早く、すでに伝説に目覚めている者が三人いるというその事実を。
類は友を呼び、伝説が目覚め――そして世界は誰かの掌の上で加速していく。
「光になれぇえええええええ!!!」
とかルイズに言わせたかったけど自重しました。
それよりも、何だか大賀に戦争させ辛いなと思う今日この頃。
ケンカならいくらでもしてくれそうなんですけどね。
そういうキャラの方が一線を弁えている気がして。
才人以上に戦争を拒否ってしまっている。
まぁそれでも頑張ってもらうしかないんですが。
そしてなぜかウェールズを活躍させたい病が発病した。
ほんとにバハラグのビュウみたくなってきてる。
となると、アンリエッタはヨヨか……うん、ちっとも違和感ないけども。
ただ、パルパレオスが大賀ってのは完全に無理がありますね。