エム×ゼロの使い魔   作:第7サーバー

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今回は説明回!
ただ、説明回とは言ってもさわりだけです。
むしろオリ設定でチートになる回の方が正しいかも。


BM9:召喚の真実②

『――久澄大賀、聞こえるか。ボクだ』

 

唐突に大賀の頭の中に声が響いた。

突然すぎて意味不明だが、この偉そうな物言いには覚えがある。

聖凪高校の前校長である“花先音弥”だ。

 

「ぜ、前校長先生か!!? な、何でこんな急に! もしかして学校からの助けか!!? 俺は帰れるのか!!?」

『久澄、もしも自分が元の世界に帰れると思っていたら悪いが、それは無理だ。諦めろ』

「んがっ……!!?」

 

一方的に喋っているのかそれともこちらの言葉に反応しているのか、とにかく前校長は“M0”並にあっさりと大賀の希望を打ち消した。

 

「じゃ、じゃあ何だって言うんだよ!!?」

『ちなみにこの音声はお前のプレートに細工して録音しておいたものだ。ボクと会話ができていると思ってるならそれは勘違いだ、バカめ』

「す、スゲームカつく……」

 

望み続けていた元の世界との接触だというのに、前校長のその物言いに拳を握りしめてプルプルと震える大賀。

とてもじゃないが、感動の展開とかになりそうな気配はすでに微塵もなかった。

 

『とにかくなぜこんな音声を録音しているかというと、お前が異世界に召喚されることはすでにわかっていたからだ』

「はぁあああああああっ!!? なら止めろよ!!!」

『――お前は安直になら止めろよとか思ったかも知れないが、ボクがそうしなかったのには当然そうしなかった理由がある。そもそもがボクにお前が異世界に召喚されるということを伝えてきたのは“記憶逆流(メモリーバック)”を使ったお前自身だ』

「お、俺自身だって!!?」

 

大賀は衝撃の事実に驚きの声を上げた。

根底を揺さぶられる思いである。

 

『“記憶逆流(メモリーバック)”は本来なら最長でも6ヵ月しか戻れないものだが、お前はある裏ワザ――というか、そちらの魔法使いと協力することで始まりよりも前にまで戻ってきた。そして現在に至っている』

 

「ってことは何だよ……。この異世界への召喚は未来の俺自身が望んだものだってのか!!?」

『つまりこの異世界への召喚は未来のお前自身が望んだものだということだ』

 

録音してあるものだということを証明するように、大賀の方が先にその感想を口にしていたが、そんなことはどうでもいいと大賀はその声に聞き入っている。

当然だ。

完全なる被害者だと思っていたのに、まさかの黒幕説まで浮上して来そうな内容なのだから。

 

『この先お前はヒドく大変で辛くて苦しくて死にそうな目に何度も遭うようだが、それはまぁボクには関係ない』

「おぃい!!?」

『ただお前がその世界で成し遂げることを成し遂げられないと、こちらの世界まで大変な迷惑を被ることになるようなので、仕方ないから少しだけ手助けしてやる』

「元の世界までって……」

『実際こういった魔法にはよくあることで、始まりがどこにあるのかはわからないが、少なくともボクに頼んだお前はまだそれを成し遂げられていないようだ。しかしそのお前はボクに助けられ、その力がどうしても必要だと言っている』

 

前校長の言葉で前に“記憶逆流(メモリーバック)”を使った時にも結局現在には変わりがなかったことを思い出す。

 

『まぁそれがお前お得意のハッタリである可能性も考えたが、ボクが調べた結果、大変な迷惑を被ることになるのはほぼ間違いなさそうだ。だからお前は何年かかってもそれを何とかしろ。何、お前の犠牲は忘れない。存分にやれ』

「ちょっ、何言ってんだあんた!!?(何年もかかるなんて冗談じゃねー!!! それじゃー柊は完全に卒業しちまってて、その夢を叶えるどころの話じゃねえじゃねーか!!!)」

 

大賀はさすがにそれは許容できないと叫んだ。

その魂の叫びが録音された過去にまで届いたのかどうか、前校長は話を続ける。

 

『……ちなみにいまのはちょっとした冗談だ。お前が異世界に召喚された後はお前は熊本にある新設の魔法学校に魔法特待生として留学していることにする予定だ』

「留学? (ってことは別れの挨拶こそ言えてねーけど、みんなに余計な心配をかけてもいねーってことか?)」

 

次々と判明する召喚の裏事情、その真実に、大賀はいちいち反応し、その表情をコロコロと変えた。

傍から見れば、一人で喚いているので、完全に不審者のようになっているが、それは気にしてはいけない。

 

『さらにもしもお前がほんとに何年もかかった場合の解決策として、そちらの魔法である“偏在”やらに“記憶逆流(メモリーバック)”やらを組み合わせた魔法の構築を考えてやっている。ありがたく思え』

「おぉおおおおおおお!!? 前校長さま、信じてたぜー!!!」

『とにかく最終的にはすり替えやらで無理矢理に歴史を誤魔化すにしても、一度お前がその事態を解決しないことにはどうにもならない。というわけで先程話したお前にしてやる手助けについてだ』

「そうだった。手助けってのは一体何なんだ?」

 

大賀はあくまでそれが本題なんだよなと、前校長の言葉を聞き逃さないように意識を集中した。

 

『というか、手助け自体は実はすでにしている。この録音音声のことでわかるだろうが、お前のプレートにはボク自らが少し細工をしておいた』

「細工?」

『本来“M0プレート”とチャージによる“記憶魔法”は両立しえないものなのだ。それというのも、“M0”を使うと、“記憶魔法”も消えてしまうという設定のためだ』

「いっ!!? マジかよ!!! んなの初耳だぜ……あれ、つーか普通に使えていたような」

『もしもお前が気づかずにそれを使っていたなら、ボクに感謝するといい。下手をすればお前はそれによって致命的なミスを犯していたかもしれないのだからな』

「た、確かに……」

 

フーケやワルドとの戦いの時に普通に“M0”のあとに“チャージ”した魔法を使っていたことを思い出して、大賀はもしもそうだったらと、いまさらながら冷や汗をかいた。

 

『しかしその機能の改善ははっきり言っておまけのようなものだ。お前に対する手助けをそんなチャチなもので済ませるほどボクの度量は小さくない』

「おおっ! じゃあ、メインは一体何なんだ!」

 

大賀はその言葉に期待を膨らませた。

そして、期待通りの――いや、期待以上の力を大賀は手に入れることになる。

 

『お前にはプレートの“アーカイブ”への“アクセス”を許可する』

「“アーカイブ”?」

『お前たちが使っている“魔法プレート”とは実は本来それ1個で成り立っているというわけではない。例えるならネット回線のように全てが繋がっており、その情報を共有しているのだ。まぁこの例で言うならプレートは携帯電話のようなものだ』

「マジで? けどそれが何だって言うんだよ」

『そして“アーカイブ”とはその広大なネットの海に溜まった、これまでのログのことだ。それはプレートの深層にも常時記録更新されている。つまり“アーカイブ”への“アクセス”とは、これまでにお前が見聞きした魔法を引き出せる状態のことを言う』

「なっ……マジかよ!!! 超スゲーじゃねえか!!!」

 

前校長の告げる手助けの内容に、大賀はその顔を輝かせた。

 

『どうやらそちらの世界では“プレート魔法”は存在しないようだからな。特別だ。だが、これは一時的な措置になる可能性が高いとも言っておこう。何せお前がいるのは異世界だ。不具合が出るかもしれない。使いすぎは厳禁だ』

「な、何だよ、期待させといてよ……」

 

大賀の未来を知ってるかも知れない前校長がわざわざこんなことを言うってことは、どこかでほんとにそんな事態になる可能性が高いということなのかも知れない。

 

『それと当然ながらインストールした魔法ではないから“M0”のように“魔法ポイント”が必要になる。少しは補充しておいてやったが、あとはお前がどうにかしろ』

「どうにかってよ……」

 

愚痴る大賀だったが、前校長の言葉に、どおりで“M0”が結構使えるわけだと納得もしていた。

何せ“BM0プレート”のテストの時に全部使い果たして、そのあとにまた少し溜めたとは言っても、そろそろヤバイかなと思っていたのだから。

しかし、実際“魔法ポイント”なんてどうやって補充すればいいのか。

その疑問は続く前校長の言葉であっさり氷解した。

 

『ああそうだ。お前が気づいているかは知らないが、魔法ポイントは“チャージ”した魔法をプレート内で分解することで得られる。要はそちらの世界の魔法使いの協力を得られれば、簡単に溜めることはできるということだ』

「な、何ぃいいいいいいい!!? だったらいままで何とか節約しようとしてた俺の苦労は何だったんだ……」

 

そういう機能があるなんて知るわけもなかったが、“魔法ポイント”と魔法を使う際の“魔法力”が同じものだというのは考えてみれば当たり前かもしれない。

大賀はそれによって、“M0”やらを使っていたのだし、みんなもそれでプレートを進化させていたのだから。

まぁ単位的なことも考えると、そういうのとは少し違うということになるのかも知れないが、ただ魔法を使う分には同じだということだ。

 

『まぁこれも一つの裏ワザだ。知ってるのはボクくらいだろうがな。そちらに関してはリスクは低い。これで普通に“M0”を使う分には問題ないはずだ。とにかくこれだけ手助けしてやればいくらボンクラなお前でも何とかやっていけるだろう』

「お、おお……サンキューな前校長先生!」

『それとこのタイミングで接触して欲しいと頼んだのは未来のお前だから、もっと前に教えろとかボクに対して文句を言うなよ。ついでに言うとお前が余計なことをして、さらに面倒になるかもしれないから、この先の未来についても教えることはできない』

「まぁ、それは仕方ねーか」

 

未来には無限の可能性がある。

大賀がそんな未来の事情を知ることで、この手助けの話すら消えるような選択をする可能性などを考えれば、そのリスクの高さは理解できた。

 

『これでボクの話は終わりだ。この力を活かしてせいぜい頑張れ。じゃーな』

「へっ……ほんとにサンキューだぜ、前校長先生」

 

それで頭の中に響いていた声は消えた。

大賀は取り出したプレートを見つめながら前校長に感謝の言葉を呟く。

 

『そうだ、一つ言い忘れていた』

 

「おわっ!!?」

 

『お前のプレートのレベルはお前が魔法を使うごとに経験値方式で上がるように弄っておいた。つまりプレート自体は“特殊魔法金属(マジックメタル)”が完全合成された上に機能改善もされた最高レベルの“BM0プレート”になってるが、制限をかけているということだ』

「な、何でそんなことを……」

『それが未来のお前がボクに頼んだ段階的な強化という条件に一番合いそうだったんでな。せいぜいレベル上げにも励むといい。では今度こそこの音声を終了する』

「レベル上げってよ……RPGじゃねーっつの。まぁプレートのレベルが上がればこっちの世界の魔法も“チャージ”で自由自在になるってことか。こりゃいきなりスゲー強化のされ具合だぜ!」

 

何はともあれ、大賀はこれまでの不遇状態から脱却されたことに身体を震わせた。

使いすぎは厳禁と念を押されたとはいえ、これまで羨ましく思っていただけの、“プレート魔法”が“魔法ポイント”さえあればどれだけでも使えるっていうんだから当然だろう。

しかし――。

 

「(まぁ問題はそんな感じのチート能力を使わねーとダメな事態が発生するっぽいってことだよな……。しかも元の世界にも相当に厄介な影響を与えるかもしれないって一体何が起こるっつーんだよ)」

 

大賀はその部分にはやはり不安を覚えた。

未来の自分もそれがあるからこそ、こうして召喚されるという事実を変えることなく、容認したというのだから。

当分、愛花と会えなくなる選択を自分でするってのはよっぽどのことだろう。

この先の未来に一体何が起こるというのか。

 

「(それに“魔法ポイント”があれば使い放題って言っても、前校長先生が言ってたこともある。これまで通り平民の使い魔のフリもしないといけねーわけだし、あまり派手にやり過ぎてプレートに注目が集まっちまうような事態だって避けたいからな)」

 

希望と不安、相反する二つの感情を抱えながら、それでも大賀は元の世界との絆を感じていた。

 

 

 

 

 

――タルブから帰ってきて学院。

大賀は前校長の言葉を思い返しながら廊下を歩いていた。

 

「(そういや魔法を使ってくれる協力者がいるんだよな……でも、ルイズは危なすぎるし、最悪プレートのことがバレても問題なさそうな相手ってなると……うーん、ギーシュあたりにでも頼むか? でもあいつ口軽そうだしな)」

 

大賀がそうやって歩きながらではあるが、うんうんと頭を悩ませていると、自分の姉よりは大きいが、ルイズよりも小柄な、しかしかなり頼りになる、青髪にメガネの少女の姿が目に入った。

 

「(あ、あいつはタバサ……。タバサか。口数少ないから口が堅そうなイメージはあるな。それに何だかんだで協力してくれるイイヤツな気もする。頼んでみるか? でもどうやって頼めばいいんだ? 魔法を見せてくれで何発も使わせるってのも不審だよな)」

 

親しい間柄なのかと言われると、大賀自身キュルケの親友として見てる程度の関係ではあるのだが、それでも大きな事件の時にはいつも協力してくれているし、タバサはかなり適任なのではないかと思えた。

というか、ルイズはダメで、キュルケに頼むと頼みごとをする立場ということで、キュルケからの誘いも断り辛くなるし、ギーシュは先に考えた通り、口が軽そうとなっては、消去法でも、もうタバサくらいしかいなかった。

 

「(授業中とかにちょろまかすのも限界があるからな。やっぱり協力者は必要だ。ここはプレートのことは誤魔化しながらも、魔法をコピーするマジックアイテムを手に入れたとか言って、こっちも少し使ってみせることで協力してもらうか)」

 

大賀は考えをまとめると、手を上げてタバサを呼びながらその傍に駆け寄った。

 

「おー、タバサ! ちょっと頼みがあるんだけどよ!」

「……何?」

「いや、ちょっとレアなマジックアイテムを手に入れてな。この指輪なんだけどよ。何と使われた魔法をコピーして使うことができるんだ。まぁ本来の魔法の劣化版だけどな。それでそのストックに協力して欲しくてよ(まぁ指輪は露店で売ってた安物だけど)」

「ワルドの時に使ったやつ?」

「いっ!!? ……そ、そうそう、何だよ気づいてたのか。実は元々俺が召喚される前から持ってた物でな。家宝的な物っていうか、ルイズに知られたら没収されるかもしれないから隠してたんだけどよ。ピンチの時にはこれの力を借りてたんだ」

 

いきなり核心とも言える部分にツッコまれて、大賀は慌てた。

けれど確かにアルビオンでアレだけのことをやってれば、あの場にいた者たちはすでに大賀のことをただの平民の使い魔とは見ていないだろう。

杖で誤魔化すことはしていなかったから、戦闘に使えるマジックアイテムを持ってる平民の使い魔くらいには思っているはずだ。

 

「……」

「(ひ、表情が読めなすぎる……しかも、ほんとはプレートだってこと以外は結構ほんとのこと喋らされちまってるし、頼む相手間違ったか?)」

 

タバサの無言無表情にたらりと冷や汗を流す大賀だったが、タバサはこくりと頷いた。

 

「わかった。協力する。何をすればいい」

「お、マジか! サンキュー! (何だやっぱイイヤツじゃねーか!)――えっとな。とりあえず、魔法をたくさん使って欲しいんだよ。何せその魔法に接触しないとコピーできないって厄介なもんでさ」

「あなたに魔法を撃てばいいの?」

「い、いや、俺にっていうか……何もないところに撃ってくれれば俺が何とか接触してコピーするからよ。ただ絶対に一発でコピーできるってわけでもなくて、しかも使えばなくなっちまうから継続的に頼みたいんだけど……大丈夫か?」

「暇な時なら構わない。わたしの魔法の練習にもなる。わたしが魔法の練習をする時にあなたが勝手にそれをやればいい」

「お。そうな! サンキュー! マジで助かるぜ! (ふー。これで“魔法ポイント”を確保できる。一発でコピーできるわけじゃないとか話を盛ったから、何度も頼んでもそうそう不審には思われないハズだ)」

 

この日から、タバサに協力してもらうことで、大賀は“魔法ポイント”を溜めることができるようになった。

これにより真の意味で“プレート魔法”が全解禁されたことになる。

とはいえ、普段は平民の使い魔のフリをしなければならないし、“プレート魔法”は個性的なモノが多いので大っぴらには使い辛いことに変わりはなかった。

だが、“魔法ポイント”が溜められるということは、“M0”を使う制限もなくなったということなので、それだけでも対メイジにおいては無敵にも近いような反則的な力を手に入れたことになる。

もっともそれだけで、大賀がこの世界を余裕で生き抜けるかというと、それは元の世界での学園生活を振り返ってもらえればわかることだろう。

 

いくら“M0”という強力な力を持っていても――いや、持っているからこそ、次々に困難なトラブルに巻き込まれるのが久澄大賀という人間の日常なのである。




プレート魔法全解禁!
これは仕方ない、作者悪くない。
だって、M0以外も使いたかったんだもの。
もちろんM0とかだけでどうにかすることもできますよ。
でも毎回消すだけじゃさぁ……相手の魔法ありきだからさぁ……。
ルイズもディスペルとか覚えちゃうしさぁ。

……そう、つまりブリミルが悪い。

あんな超魔法をぽんぽんと残すブリミルのせいだな、これは。
ブリミルをブッ飛ばせ!
まぁそんな感じで、次回に続く!

あ、今回いきなり学院に帰ってますけど、たぶん次回はちょっと戻ります。
それと、2月は投稿ペースがいまよりは落ちるかも。
まぁわからないですが……とりあえず1時間後に番外編がこれも予約投稿されてます。
そっちは短い上に使い回しなので、読んでも読まなくてもいい感じです。
ただ、そっちのパターンの方がいい人もいるかも知れません。
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