東方陰陽録~The medium disappeared in fantasy~   作:Closterium

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第十一話 悪戯、少々の絶対零度を添えて(中編)

清々しく晴れる秋の朝。涼しい風が部屋へと吹き込み食卓の湯気をゆらゆらと揺らす。心まで晴れ晴れとするような日常の朝だが、それをぶち壊さんとする不穏の影もまたこの家の主、土御門永一の目の前に現れていたのである。

 

「まさか、凍匠の調査を紫様に協力頂けるなんて思いませんでした。しかも、私たちに合わせてこんなに早起きを・・・」

 

黄菜子は温かい味噌汁をすすりながら不穏の元凶こと紫に憧憬の眼差し向けた。

 

「そんなに畏まらなくてもいいわ。可愛い弟子たちのお願いですもの。」

 

紫の微笑みかけに永一は思わず目を逸らした。不穏とは言ったものの正直な所、紫の助力は極めて頼れるものだ。しかし彼女の性格上、何かしら裏が無ければこんな面倒事、ましてや早起きなどするはずがない。現時点では根拠の無い空想に過ぎないが、彼の心を騒がせるには十分である。こんなにもまずい朝食は初めてだった。

 

「ご馳走さま。藍には及ばないけれど美味しかったわ。黄菜子は出発の支度をなさい。永一は留守番ね。」

 

「え?」

 

思わぬ展開に意図せず笑みがこぼれる。

 

「騒がせてるとはいえ所詮は怪異。三人は不要ね。それとも、この八雲紫では力不足かしら?」

 

「そうそう。紫様がいるんだもん。永一はいつも通り仕事して、たんまり稼いでよね。」

 

「あ、ああ。わかった。では紫さん、黄菜子を宜しくお願いします。」

 

数分後、黄菜子は身支度を終えて紫と共に出かけていった。永一はと言うと、いい意味で予定が狂ったので依頼を取りに里へと向かうことにした。

しかし、運命は彼を厄介事からは逃がさなかった。「彼女たち」は彼が出掛けるより早く訪れてしまったのである。

玄関口に浮遊する猫の手の依頼書。ポルターガイストとでも言うのだろうか、それは不自然に微振動しながらぐにゃぐにゃと気持ちの悪い動きをしながら此方へと向かってくる。

 

──ルナ、絶対に離れないでよね!?──

 

──わ、わかってるわよ。サニーこそ、自然にやるのよ。この紙があたかもよそ風に吹かれて飛んできたかのように・・・──

 

永一は奇妙な依頼書の四方を札で囲い霊力を流した。札から伸びる霊力の鎖が依頼書の下の虚空を縛る。音もしなければ何も見えないのだが、依頼書の挙動がバタバタとうるさくなった。

 

「お前たち、この前の妖精だろ。姿を見せろ。あとそこで隠れてる一人!お前も来い!」

 

目の前の妖精二人が姿を現すのと同時に戸の裏に隠れていた一匹もやって来た。人間に立て続けにちょっかいを出す割にはバレた今は身をガタガタと震わせてすっかり怯えきっているのが滑稽である。

 

「ルナ!やっぱり能力解いてたんでしょ!?」

 

「それは私の台詞よ!サニーこそドジ踏んだんじゃないの!?」

 

「いつもドジ踏んでるのはルナじゃない!」

 

この状況で責任の擦り合いとは見苦しい物である。冒険の手助けをしてくれる妖精のイメージとは打って変わって、幻想郷の妖精は只の子供だった。ますますヒートアップする痴話喧嘩を見る残りの妖精、スターサファイアの表情が楽しそうに見えるのは気のせいだろうか。

 

「うるせぇ!!!!!!」

 

永一の一喝で二人は静かになった。

 

「また悪戯しに来たのか?これ以上続くようなら容赦はしないぞ。」

 

「ひいいいい違うんです!今日は悪戯なんかじゃありません!」

 

「里の外れの陰陽師っていう人間ならなんとかしてくれるって聞いて来たんです!」

 

「なら何故姿を隠した?やましい事があるからだろう?」

 

「い、今さっきここから恐ろしい魔法使いが出てきたから!悪戯してごめんなさい!どうか、どうか一回休みだけは・・・!」

 

先日のハッタリが予想以上に効いていたらしく、少々可哀想な事をした気がした。

 

「あのさ、もし俺が君たちに気づかなかったとしたら、君たちの前に現れるのは恐ろしい魔法使いの方だったと思うよ。」

 

「「「えっ」」」

 

永一は縛った二人の術を解くと三妖精は安堵した顔で持ってきた依頼書を彼に手渡した。

依頼書にはその枠一杯に「チルノを探せ」とだけ書かれている。彼が本当に三人の存在に気づかなかったらそもそもどうすることも出来なかっただろう。

 

「チルノ……と言うのは仲間の妖精か?」

 

「そうです。少し前から見なくなって、気になって探してみたけど見つからないんです。」

 

聞いた瞬間は妖精からの依頼というのも如何せん気が進まなかったが、黄菜子の言葉を思い出した。妖精とは自然の具現。幻想郷の環境事情はまだ把握していないが、それが姿を消すのはあまり良いことでは無いのかもしれない。

 

「・・・わかった。この依頼、受けるよ。」

 

「「「本当!?」」」

 

「もちろん。ただ、俺はチルノという妖精を知らないから君たちにも手伝って貰うよ。」

 

「当然よ!そうと決まれば我ら光の三月精、チルノ捜索作戦に出動よ!」

 

「「「おー!」」」

 

「あ、その前に俺と二つ約束してくれ。一つは、この依頼の事を恐ろしい魔法使いこと妹の黄菜子に内緒にすること。もう一つは人間に対しての悪戯は程々にすること。俺と君たちの安全と依頼を受ける上での約束だからな。」

 

「「「二つ目は約束出来ないわね!」」」

 

「・・・・・」

 

永一は羽織り袴を着ると騒がしい三妖精を連れて里の外へと飛翔した。姿を消せる妖精たちとはいえ、白昼堂々人外を連れて里の中を動き回るわけにはいかないからだ。

とはいえ、端から見れば妖精はただの子供。三人の妖精を引き連れて歩く様はまさに託児所の保父だった。

光の三妖精こと、サニーミルク、スターサファイア、ルナチャイルドとの騒がしい一日はまだ始まったばかりだ。

 

 

──魔法の森

 

永一がこの場所に足を踏み入れるのは幻想入りした時以来二度目となる。

乾燥した秋の空気から一変して、この場所は相変わらず肌に湿度を感じた。化け物茸の瘴気が薄く、普通に呼吸が出来る程度であるのは幸いだが、決して居心地の良い場所ではない。

しかし、景色は最高だ。無秩序に立ち並ぶ木々には現し世の作られた杉林のような統一性が無く、栗、ヒノキ、クヌギなど木の種類も様々だ。森林浴として訪れれば新鮮なマイナスイオンを直に浴びられるが、瘴気を忘れて迂闊に深呼吸しないように注意だ。

 

「スター、チルノの気配は?」

 

「うーん。見つからないわ。」

 

例の通り永一には妖精の霊力を見ることができない為、スターの能力、「動く物の気配を探る程度の能力」に頼っている。

 

その時、背後からルナの叫び声が飛び込んできた。すっとんきょうな声に驚かされた他の三人は思わずルナの視線の先を追った。そこには一本の立派な大木が佇んでいるのだが、その葉はくしゃくしゃに丸めた紙切れを広げたような見た目で、紅葉もしきれていないのにバラバラと散っていた。

サニーとスターは唖然としながらルナに続いて木に駆け寄った。

 

「良かった。枯れてはいないみたい。」

 

ルナの報告にサニーとスターは木を前に座るとホッと安堵した。

永一は事を飲み込めないでいると、サニーは彼に木についてを説明した。

 

「・・・この木、少し前まで私たちの家だったの……枯れてなくて本当に良かった。三人でずっと暮らしてきた家だもん。」

 

氷が溶けていて気づかなかったが、ここが凍匠の中心だった事に気がついた。

凍匠が起きた当時、この木は天辺の葉の一枚まで氷付けにされていた。まさに巨大なドライフラワーと化していたその木が、まさか眼前の三妖精の旧家だったとは夢にも思わない。

枝を触れば容易に朽ち、葉を握れば塵と化す。見たときは枯れたものだと思っていたが、植物の生命力は伊達では無いようだ。

ルナは難しい顔をしながらサニーとスターに提案した。

 

「これはもう一度住み直さないと完全復活は難しいかも。二人とも、ちょっとの間だけこっちに引っ越さない?」

 

「愚問ね。私は初めからこのつもりだったわ!」

 

「私も賛成よ。」

 

提案は満場一致で決まったらしい。

 

「よーし、早速引っ越しの準備に──」

 

「チルノは探さなくてもいいのか?」

 

「「「あ。」」」

 

ただし、依頼しておいて放置は勘弁してほしいところだ。

 

その他、里外れの田園地帯や草原、ひいては妖怪の山周辺まで探したが、チルノは見つからなかった。

正直に言うと万策は尽きていた。手懸かりは種族が妖精以外になく、むしろ幻想郷の人口よりも桁違いに多い妖精の一匹を捜索するなどあまりにも無謀だったのだ。

そして永一はダメ元の最後の砦に向かったのだった。

 

 

──博麗神社・参道

 

「永一さん。ここにはいないと思いますよ?」

 

サニーの言葉にルナとスターは頷いた。

 

「決めつけるには早い。聞く話だと神社なのに妖怪もよく訪れるらしい。妖怪退治の巫女が妖怪退治の巫女が住んでいる筈なのに妙な話だけどさ。」

 

「ええと、そうじゃなくて……」

 

「わかってるよ。退治されるのは死活問題だよな。三人はここで待ってなよ。」

 

そう言うと永一は鬱蒼とした参道を進んで行った。相変わらずの人払い参道だが、三回目ともなると少々慣れてくるものだ。

 

 

──博麗神社・境内

 

目当ての少女、博麗霊夢を見つけるのに苦労しなかった。トレードマークの紅白巫女服を着て、今日は境内の掃除をしていた。

人影に気づくと嬉しそうな顔をしたが、目が合って永一だと気付いた瞬間普段の気怠そうな顔に戻った。

 

「久しぶり。この間はお世話になったな。」

 

「・・・参拝客じゃないのね……」

 

「悪かったな。少し聞きたいことがあってさ。」

 

すると霊夢は持っていた竹箒を本殿の柱に立て掛けると永一を縁側まで導いた。

 

「チルノ?」

 

「そう。妖精なんだが、とある依頼があって探してる。心当たりはないか?」

 

「さあね。妖精のなんて居場所なんて興味ないもの。」

 

「そうか…。」

 

「妖精探しなんて妙な依頼ね。まさかとは思うけど、妖怪の悪事に荷担してないでしょうね?」

 

「変な疑い掛けないでくれよ。俺の能力の前に妖怪の小細工は通用しない。故に悪事の加担はあり得ない。それは断言しよう。」

 

「威勢だけは良いのね。まあ、妖精の事なら、あそこの三匹の方が詳しいんじゃない?」

 

霊夢が指す先、桜の木の上には見知った顔が見え隠れしている。

 

「永一さん、サニーが言ってたじゃない。博麗神社には絶対にいないって。」

 

スターの台詞に対してサニーはえへんと言わんばかりのしたり顔をした。それをルナは「そこまでの事ではない」と思いながらボーッと見ていた。

 

「霊夢…あの妖精たちと知り合いなのか?」

 

その時突然、彼の目の前に表情に笑みを込めた三妖精が姿を表した。

 

「そうそう、何を隠そう霊夢さんと私たちは!」

 

「神社の裏で杯を交わし!」

 

「仲間の誓いをするほどの仲なのよ!」

 

サニー、スター、ルナはそれぞれポーズを決めながら言い放った。

打ち合わせでもしてきたかのような一体感に自慢げな表情が漏れている。

対して霊夢は尚更に呆れ顔だ。

 

「・・・神社裏のミズナラの木に住み着いているだけよ。」

 

「なるほど……じゃあこの前、霊夢が留守の時に神社を訪ねた帰りに、俺と黄菜子を能力で迷わせたのは何故?」

 

「「「あ゛!!!」」」

 

その時、三妖精の表情が一変して凍りついた。

 

「……あんたたち……良い度胸してるじゃない……!!」

 

三妖精からは遂に表情が消え、その代わりに瞼に涙が溜まった。

三人は声なき声で懺悔の言葉を呟き続けたが、霊夢の手に握られた断罪のお払い棒が三人の願いの不叶を意味していた。

 

裁きの鉄槌が三妖精に振り下ろされたのは言うまでもない。

 

「・・・経緯は分かったわ。でも、妖精が突然姿を消すことなんてよくあることなんじゃないの?」

 

「うん・・・でも、チルノはすぐ一回休みになるほど柔な妖精じゃないわ。」

 

「そうよ!悔しいけど、私たちに勝ったんだもの。」

 

「まあ、ちょっとバカだけど……」

 

「「あんた(お前)たちが言うか?」」

 

妖精は自然の具現。妖精が寄る自然が消えればたちまち姿を消す。しかし、姿を消しても死ぬ訳ではなく、しばらくすれば何処からか現れるものだ。

その自然の摂理をよく知る筈の妖精がこうも焦っているのは虫の知らせ改め、自然の知らせとでも言うものなのだろうか。

 

「仲間を探したい気持ちもわかるけど、待てばそのうち沸いてくるわよ。それに、あんたたちが思い詰めてるなんてらしくないでしょ?」

 

霊夢が三妖精をなだめるようにして諭すと、落ち着いたのか彼女たちはお互いに顔を見合わせどこか安心そうな表情になった。

永一はなんとなく博麗神社が妖怪の溜まり場と呼ばれる理由が解った気がした。

 

「そういえば、私が留守の時に神社に来たんでしょ?何か用でもあったの?どうせ参拝目的ではないでしょうけど。」

 

「あー。聞きたいことがあったんだよな。ちょっとした怪異の事だったんだけど。解決しそうだからもうどうでも良いんだけどさ。」

 

怪異とは凍匠の事である。その時はまだ凍匠を本格的に調べていなかったが、あわよくば猫の手による解決をしたかった為、霊夢から悟られずに情報を仕入れようと企んでいたのである。

ただ、黄菜子は既に犯人に目星を付けている上に気まぐれに紫が調査に加わり、怪異解決は秒読みである。

 

「気になるわね。どうでもいいなら聞いてもいいでしょ?」

 

「それもそうだな。氷の怪異なんだけど──」

 

「「「氷!!?」」」

 

彼が霊夢に問い終わる前に三妖精が口を挟んだ。

 

「氷の怪異って、チルノの事じゃない!?」

 

「きっと…いや、絶対そうに違いない!」

 

「やっぱり、私たちに内緒で悪戯してたんじゃない!」

 

三妖精はまだ不確定な「氷の怪異」と聞いただけで嬉しそうである。

永一は、氷を扱う妖怪などたくさんいるだろう、と返すつもりだったが寸での所で言葉に詰まった。

彼が凍匠の現場を見たとき、そこからは一切の妖力の流れを感じなかった。だからこそ最初は自然現象と疑っていたのだが、その特徴は自然の具現たる目の前の三妖精にも当然当てはまるのだ。

もし、一連の怪異が妖精の仕業だったのなら……

 

永一は凍匠調査の為に自作した幻想境の地図を取り出し、凍匠現場の目印を指差しながら三妖精に問う。

 

「この山の中腹辺りと……この森のこの点。最後に人間の里の水路、さっき行った門外の田園地帯。この中でチルノがよく行きそうな所はあるか?」

 

三妖精は顔を見合わせると揃って答えた。

 

「「「全部」」」

 

「そうか。三人とも、状況が変わった。今すぐチルノを助けに行くぞ。」

 

「「「え?」」」

 

「ちょっと、いきなりどうしたの?そらに今すぐってどういう……」

 

霊夢の言葉は最早今の永一の耳には届かなかった。彼は三妖精を抱えるとフルスピードで神社から飛翔した。

 

「永一さん!突然慌ててどうしたんですか?」

 

「霊夢には知られるべきじゃない事だったからな。あと、事は思いの外深刻かもしれない!」

 

「わかった…けど、救うってどういう事ですか?」

 

「端的に話すぞ。恐らくだが最近チルノは里で騒ぎを起こした。それを最強の妖怪が知って動いている。俺らはその妖怪より先にチルノを見つけなければならないってことだ。」

 

妖怪は人間の里に手を出してはならない。幻想郷の妖怪たちに課せられたルールの一つだ。

永一がこの依頼を受けたのは言わば自然保護の為で、里で騒ぎを起こした妖精がどうなろうと自業自得の筈だった。しかし目の前に自分を頼って、ハッタリとは言え恐ろしい相手と鉢合わせになるリスクまで負って彼の元までやって来た三人の友人を、よもや自分の身内の妖怪に始末させるわけにはいかない。

 

「チルノの住み処ってどこにある?」

 

「霧の湖ですけど、そこは何度も探してますよ?」

 

「絶対にいると思う。これは直感だけど…あと、三人は湖から離れた場所にいてくれ。」

 

「「「私たちも行きます!」」」

 

三妖精は今までになく真面目な顔で訴えたが、易々と首を縦に振れなかった。

どちらかというと、危険なのは黄菜子と紫よりチルノである。生命の具現が妖精ならば、氷の妖精という存在は矛盾している。恐らく三妖精はチルノを見つけられなかった訳ではなく、分からなかったのだ。今のチルノは何らかの理由で妖精を超えた、もっと概念的な存在へと昇華しているのかもしれない。

 

「…わかった。けどもし危険があったら絶対に逃げろよな。」

 

「大丈夫です。知っての通り逃げ足には自信があるんです。ただし、絶対にチルノを見つけてよね?」

 

「ルナがどんくさくなければね?」

 

「わたしだってやるときはやるんだからね!」

 

三人はおちゃらけて言いながらも内心は心痛していた。凍匠の、巨木を一撃で瀕死にする程の力を目の当たりにしているのだ。今のチルノは見知った仲間のチルノではないのかもしれない。それが何よりも怖かったのだ。

永一は三人の軽いやり取りを彼女たちなりの決意と受け取った。

 

「永一に抱えられいざ行かん、魔境霧の湖へ!必ずや邪智暴虐の妖怪共から阿呆のチルノを救いだす為に!!」

 

「「おー」」

 

いや訂正、決意というよりも高揚しているだけなのかもしれない。

 

 

──霧の湖

 

霧の湖、名前の通り、季節や時間を問わず霧が覆っている湖である。霧が覆っているため太陽光が通らず、夏は涼しく冬は寒い。人里に最も近い湖であり里の人間からも親しまれる場所だ。特に夏場の昼時には湖畔で避暑がてら昼食を食べる農家の人々が見れる。ただし、里から見えるほどの濃霧の日は足を滑らせて湖に落ちる事故や、特に妖精の悪戯被害に合う可能性が高いため用心が必要だ。

 

そしてこの日も湖はいつも通り霧が覆っていた。

しかし妙なのが湖岸を囲うように白い物体が漂流しているのだ。気になって見てみるとそれは薄い氷だった。

 

「随分と遅かったわね。待たせ過ぎじゃないかしら?」

 

声の方向を向くと、そこには黄菜子と紫が静かに佇んでいた。

 

──To be continued…

 

 

 

 

 

 

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