---6/27-2020--・・・
「これで、最後の日記か・・・」
「そろそろ、新しい物を買わないとね」
「おーい!我らの儀式の準備をせよ~!」
「早くしないと送れちゃうよ☆」
「・・・フフッ」
「笑われてるよ☆~?」
「な!?今、我を笑ったか!?」
「ううん、そんな事無いよ」
僕たちを優しい風が突き抜ける
「・・・今日は良い風が吹いているね」
いつからだったかな・・・
日記を書き始めたの
確か・・・3年ぐらい前だったかな
忘れもしない、あの日
当時、僕は「絶対AI・愛NG」というチームのデザイナー部で活動していたんだ
今日も夢に向かって頑張っていく
きっと、いつもと変わらない
そんな風に思っていた
ある日の事だった・・・
「フフ・・・良い日記帳だなぁ」
「やっぱり、昨日ネロさんに紹介してもらった店なだけはあるなぁ・・・」
「せっかくだから、今日から日記をつけようかな」
「それから、新しいコーデデザインは・・・」
そんな風に色鮮やかな気持ちで事務所に向かっていたと思う。
「お店に行ってて、少し遅くなっちゃったから・・・」
「やっぱり、みんなもう着いてるかな?」
そう思い、
僕が中に入ろうとした時だった
「?、盛り上がっているな・・・」
何となく、様子を見ようと思った
でも、そこで見たのは・・・
「わぁ・・!ネロ様!どうしたんですかコレ!」
「素敵な絵ですねぇ~♪」
「コレってネロ様が描かれたのですか?」
「・・・」
「・・・フッ」
「そうさ、これは・・・
『俺が描いた』たんだ 」
「さっすが!ネロ様~♪」
「このチーム一番の・・・」
そう聞いた瞬間、一瞬世界が止まって見えた。
「俺が・・・描いた・・?」
・・・それは僕が描いた絵だった
彼のその一言で
何かが壊れた音がしたんだ
頭の中がだんだん
真っ白になっていく・・・
何かの間違いなんじゃないかと
受け入れられなかった
彼はいつもと何も変わらなかった。
初めて会った時
会った事はないけど、僕が入ってすぐにあるチームメンバーが脱退した時
昨日カフェで会った時
何も変わらないいつものトーンで当たり前のように話している
ガタッ
「ん?今、そこの陰に誰かいなかったか?」
「えぇ~そう?」
「何も見当たりませんけど?」
「・・・・考えすぎか」
とにかくその場から離れたくて、無我夢中で走り続けた。
途中でギターを背負った人にぶつかったり、
車に轢かれかけもした
それでも、僕はその場を後にする事しか出来なかった
走っている最中もずっとずっと頭から離れない
・・・『俺が描いた』・・・
何で?
どうして?
混乱で何も分からない
何も考えられない
僕は人一倍自分の作品を我が子のように大事にするような性格だったのもあって
とても深い悲しみに心を支配されていた
しばらくしてようやく周りの景色が見えるようになってきた。
どうやらかなり遠い場所まで来てしまったようだ。
何だか急に体が重たくなってきた・・・
だから近くの公園のベンチで休む事にした。
それからはきっと
かなり長い時間、放心状態でいたんだろう
気が付けば、太陽が地平線に触れかけていた
・・・ァ・・ニァ・・・
何かが聞こえてきてハッとした
・・・ニャア・・・アァ・・
「子猫が・・・泣いている・・・?」
ただの鳴き声が
僕にはどうしてか
悲しんで、苦しんでいるように聞こえた。
どうして・・・だろう
何故だか鳴き声を探して、体が勝手に動いていた
・・・ハァ・・・・ハァ・・・
カハッ!・・・ゴホッ、ゴホッ・・・
僕の身体は元々そんなに強くない。
ただでさえ長距離を走った後なのに
どうして体が動いたんだろう・・・
「ッ!・・見つけたッ!」
そこには、
一匹の子猫が傷だらけでアライグマに立ち向かっていた
そこからの事は、あまりよく覚えていない。
襲い掛かって来るアライグマを相手に
必死で追い払おうとして、もがいて・・・
アライグマを追い払うと、
子猫はトボトボとどこかへ歩いて行った
目を向けるとそこには
もう一匹の子猫がうずくまっていた・・・
この子よりも一回り小さい
弟だろうか・・・?
傷だらけで、心配だったから怪我を診ようと思って
手を伸ばした
指先が触れた瞬間
思わずゾッとした
冷たく・・・硬い・・・
反射的に指を離し
息をのみ、体の震えが止まらなかった
僕は何とか体の震えを抑えようと必死にこらえた。
そして、僕にできたのは
一緒に泣いてあげる事ぐらいだった
僕は・・・
大切な物を失う不幸に同情してか
この子の墓を作ってあげた
それから
持ち合わせの物で子猫の手当てをした
酷い怪我だった
両手に収まってしまうような
こんなに小さい身体に
大きな傷がついていた。
少しでも希望を持ってほしかった。
申し訳程度に
ポケットに入っていたお菓子をあげた
「君、センスがいいね」
「必ずプロになれるさ!」
「コレあげるから、頑張りなよ☆」
ネロさんがくれたおやつ・・・
でも、もう僕には必要ない
子猫は少し微笑むような顔を見せると
どこかへ行ってしまった・・・
何だかとても、疲れた。
もう・・・
帰ろう
トボトボ歩きながら帰路についていた。
今日は
色んな事がありすぎた
これが本当に現実なのか、まだ疑いたかった
あたりはもう暗く
家近くの公園まで戻って来た時、
ステージみたいになっている石畳の上に立っている人と
目が合った気がした
気まずさで思わずそっぽを向いてしまった
家に帰ってすぐに
ベッドに倒れ込んで、天井を見上げていた
「・・・ネロさん」
「今までのは噓だったのかな」
脳裏にネロさんとの思い出がよみがえる・・・
初めて会った時
「ッ!・・・こ、これは!」
「き、君!名前は?」
「良ければ、俺達のチームに入らないか!?」
チームに入った時
「今日から君も、俺達の仲間だ」
「大丈夫、心配いらない」
「きっとみんな歓迎するさ」
「一緒に頑張ろう!」
昨日会った時だって
「へぇ~・・・凄いじゃないか!」
「コンクールとかに出しなよ」
「きっと無双できる」
「・・・」
「じゃあ、いいお店を紹介してあげるよ」
僕に向けてくれた
あの笑顔や
あのやさしさは・・・
本当に全部嘘だったのか・・・?
ボーッと見慣れた天井を眺める
次の瞬間、突然視界が歪みだしてしまった
ずっと抑えていたものが眼からこみあげてきて
どうしても泣かずにいられなかった
「父さん、母さん・・・ごめん」
「僕には・・・父さんみたいに、人を笑顔になんて・・・」
「そうだ、日記・・・」
今朝買った日記を思い出した
無意識に自然と僕はペンを手に取り
この悲しみを書き記して眠りについた
目を瞑ると
そこには暗闇だけが広がっていた
いつもは楽しいアイデアに溢れた
文字通り夢のような世界が広がっているハズなのに
僕は必死で何か創ろうと思った
何でも良いから作業で夢中になれば、
少しは気が紛れるかもしれない。そう思ったから
でも・・・
あの日から、僕の手は
度々止まるようになった。
今まで紙の上で自由に走っていたペンが・・・
動かない。
動いてくれない。
どうしても・・・
動かす事が出来なかった。
なんとなく、つけっぱなしにしていたテレビが目に映る
「キャー!ネロ様ステキ!」
「こんなに素晴らしい才能をお持ちなのに、良く裏切られるって本当なんですか?」
「・・・まぁ、みんな俺の作品に夢中って事だよ」
「きっと実力差に、俺の近くに居るのが恥ずかしくなっちゃうんだろうねぇ・・・」
「それはそうと、今度の新作の件だけど・・・」
彼を見るたびに
彼の話を聞くたびに
何故か、手の震えが止まらなかった
そしてネロは・・・
その僕の絵が元でプロデビューをはたした
この目を
耳を
何もかもを
疑った
僕は・・・
どうしてか絵を描けなかった
描こうと思えなかった
おかしい
自分でも自慢するくらい大好きなはずなのに
今はもう、机に向かいたくもない
あの一件以来、アジトにも行かず
家にこもってばかり・・・
きっと僕の心は黒風のように荒んでいたんだろう
そのころの僕は、気が付いたら
物にあたっていた
ただただ泣き叫ぶばかりで・・・
部屋はキレイに片づけていたはずなんだけどな
気づけば、足の踏み場もないくらいに散らかっていた
「どうして僕なんだッ」
ぐしゃぐしゃになった絵や
「何が・・・いけなかったんだッ」
粉々になった花瓶
「ねぇ教えてよッ!」
バラバラになった花々
「教えてよぉ・・・」
引き裂かれたマットからは
羽が舞っている
「・・・・・・・」
何もかもが辛かった
そんな時に、彼に出会ったんだ
その日、僕はやる事もなくて
何となく近くの公園を散歩していた
ふと、ビルの大型モニターに目をやると
ネロの特番が放映されていた
『期待の超新星』
『夢幻の魔術師』・・・
やるせない気持ちでいっぱいだった
もしかしたらそこに映っていたのは自分だったのかもしれないのに
どうすることもできないこの気持ちを
一体どこにぶつけたら良いのか
そんな時、
「出でよ!我が僕達!」
「サンダァーッ!」
僕はその大声に驚き、声のした方に目をやる
「わぁ・・・!お兄ちゃん凄い!」
「カッケェ!」
「もっとやって!もっとやって!」
そこにはいかにもファンタジー好きといった格好をした男が
子供たちに何か機械を使って遊んであげているようだった
僕にはその機械が何なのかすぐに分かった。
「さぁ!じゃんじゃん出てこい!我が僕!」
ポン!
「ガァル!」
ポン!
「ガオォーッ!」
ポン!ポン!ポン!
最新鋭の立体映像投影機だ
でも、1つ気がかりな事があった
「絶対・・・A・・I・・愛・・・N・・G・・?」
スポンジか何かで必死にこすったのだろう
とても、かすれていて判別しづらかったけど
確かに、自分のチームの名前が書かれていた
僕はそれがとても気がかりで
子供たちが去った後、彼が片づけに取り掛かった時、
話しかけてみることにしたんだ
「あの・・・」
「ムムッ!汝は・・・我らの事をこっそり影から見ておったな~?」
「汝、特徴的な髪と眼の色をしておるからなぁ~」
「隠れられておれなかったぞよ」
僕の顔をジロジロと見回す
「我のファンか?」
最初、とても変わった人だと思った。
「君は・・・」
「我が名はデルビ!我が僕の前にひれ伏すが良い!」
『デルビ』名乗ると彼の名は”黒須雪希”(くろすゆき)
本人いわく、昔から人の顔を見るだけで思ってる事や本質などを大雑把に見抜くことができたそうだ。
僕はその場で
思い切って機械の事について聞いてみた
「いきなりなんて事を聞くんじゃあ!?」
「我じゃなく・・・こっち!?」
「しかし・・・」
「そうだな・・・」
彼がまた僕の顔をジ~ッと見回す
「汝にはきっと話しても良いだろう」
「してこのカラクリがどうしたというのだ?」
僕は自分が「絶対AI・愛NG」に所属している事を話し、
その機械に何故チームの名前が刻まれているのかを訪ねた
「なッ!・・・」
「そうか、汝も・・・」
「むむむ・・・・・・」
「汝には少々厳しい事を言わねばならぬかもしれぬ」
「それでも、話を聞くか?」
僕に迷いはなかった、
すると彼の口から語られたのは・・・
「良いか?あの組織はろくでもない場所だ」
信じられない事の数々だった
彼も自身の作品を奪われた事
両親が事故に遭い、自分がチームに入るよう仕組まれていた事
妹を人質にとられ、チームをなかなか抜けられなかった事
限界まで追い詰められたものの、隙を見て命からがらチームから逃げ出してきた事
そして、
仕返しに自分が開発に関わっているチームが保有していた機器をいくつか奪ってきた事
「そ、そんな・・・事が・・・」
自分は何も知らなかったんだと
思い知った・・・
硬直する僕に彼は言う
「先程から汝のそのラグナロクでも味わったかのようなのような面・・・」
「あらかたネロに作品でも盗られたか?」
「!」
「やはり図星か・・・」
「な・ら・ば・・・!」
彼は僕にカードのような物を投げ渡した
裏に住所と電話番号が書いてある
「行くあてがないのならば、我らの所へ来い」
「お前のような目にあった者共のたまり場だ」
「我らは、いつでも歓迎するぞ」
あのチームにはもう戻りたくない
行くあてもない
僕に残っているものも・・・
僕は彼の片付けを手伝った、そして
半分自暴自棄ながら、そのまま彼についていく事にした・・・
デルビ「ここで中編へ続くんだな!コレがぁ!」
「楽しみに待っててくれたら我も嬉しいぞ!」
オマケ雑談
僕「とりあえず、序章書いてみたんだけどどうかな?」
デルビ「お、ちょ、勝手に我を巻き込むな」
僕「君がたまたま絵を描いてたから・・・」
デルビ「しかも、この感じだと後半も出てくるだろ我」
僕「うん☆メインキャラだからね」
デルビ「(とても言葉にできそうにない・・・奇声?)」
僕「ははは・・・あ、そうだ良かったらみんなもデルビのデザイン見てあげてね」
「どこかのサイト?で投稿してるみたいだから」
デルビ「しれっと我の宣伝をするな!まだ下手なんじゃい!」
僕「きっとそのうち上手くなるよ」
僕「面白いと思ってくれたなら幸いです。」
「良ければ次も読んでくれたら嬉しいです。」
「僕、頑張りますから!」
「あ、それからこのお話は書き終わったらリメイクします。」
「なんか、僕の友達が不思議なノートを持っていて・・・」
「そこにお話の描き終わった後にやる作業の記述があったから」
「みんなにはちゃんと面白いお話を読んでほしくて」
「その他にも直した方が良い箇所があったらご指摘お願いします。」