夜の静寂が支配する森の中。タンバルン王国を抜け出した俺と白雪は、月明かりだけを頼りに樹海を進んでいた。
「……」
俺の背中で、規則正しい小さな寝息が聞こえる。
当の本人は、さっきまでまったく寝る気などなさそうな顔をしていたのだが……なぜこうなったかと言えば、話は数時間前に遡る。
♢♢♢
『うう〜……暗いなぁ。やっぱり正道から行った方がよかったかな……?』
『やめた方がいい。正道は兵の監視もある。砦から情報が入ったら追っ手が来るかもしれない。この森を真っ直ぐ抜ければ、隣国との国境だ』
『そうだね……よし、頑張ろう!』
夜の森をズンズンと進もうとする白雪を、俺は慌てて引き止めた。
『白雪、休もう』
『え? 私、まだ歩けるよ?』
『駄目だ。夜の森は危険が多い。ここは俺の意見を聞いてくれ』
ここは俺が暮らしていた世界とは別の世界だ。とはいえ、元の世界で日本を飛び出し旅をしていた経験から、野外でのサバイバル知識なら豊富にある。
夜の森を舐めてかかれば怪我をする。昼間よりも圧倒的に多く潜む「目に見えない危険」を察知してのことだった。
『そっか……兄さんは元の世界で旅人だったんだよね。なら……うん、わかった。兄さんの言う通りにする』
『そこの木の下で少し一息入れて休もう』
大樹の根元に腰を下ろし、二人で深く息を吐き出す。
『ねえ、兄さん。一つ聞いていい?』
『うん。なんだい?』
『兄さんは……どうして旅をしていたの?』
『……旅をしていた、理由か……』
俺は少し思案した。旅の理由そのものというより、白雪になんと説明するべきかを考えたのだ。
『世界を見たかった。あとは……探し物、かな』
『探し物? 見つかったの?』
『ああ、見つかったよ』
俺は白雪の瞳を真っ直ぐに見つめて答えた。
『見つかった。……俺の大切な居場所が』
だが、白雪の瞼はすでに重く落ちかけていた。俺の声が届いているのかどうかも怪しいほど、今にも倒れ込んでしまいそうだ。
俺はそっと手を伸ばし、彼女の頭を自分の肩へと寄せた。
すると、これまで気を張っていた彼女の緊張の糸がふっと切れたのだろう。座ったまま、吸い寄せられるように俺の肩にもたれかかり、小さな寝息を立て始めた。
無理もない……まだ二十歳にも満たない女の子なのだ。
『……もうちょっと、頼るってことを覚えてほしいな』
すやすやと眠る白雪。何よりも愛おしい顔を眺めながら赤髪を撫で、俺は静かに呟いた。
『無理に理由つけて休ませて、寝かせたのは正解だったかな』
夜の森の危険を説いたのは本心だが、根っこのところは白雪に無理をさせたくない。それだけだった。
気骨もあり、度胸もある。時には夢中で突っ走る芯の強い女の子。それが白雪だ。
けれど、それは幼くして身寄りを無くし、一人で生きていくために彼女が身につけざるを得なかった「強がり」なのだろう。
自分を突き動かす理由は違えど、一人で生きていくための術……その痛みが、俺にはなんとなく分かってしまった。
だからこそ、今は俺が彼女の支えになりたい。
俺は眠る白雪を背中にそっと背負い直し、再び夜の森を歩き始めたのだった。
♢♢♢
そして、現在に至る。
「もうすぐ国境だな。あそこまで行けば……」
タンバルン王国とクラリネス王国を分かつ国境は、目と鼻の先だ。
そこを越えれば、流石のバカ王子も手出しはしてこないだろう。国境沿いで下手に兵士を動かせば、二国間の外交問題に発展しかねない。そう踏んでの道行だった。
朝になれば、俺と白雪が屋敷から消えたことに奴らも気づくだろう。
一番の理想はそれで諦めてくれることだが……あのバカ王子が、そう易々と引き下がるとは思えない。
念のため、町を出る際にクラリネスとは真逆の方向へ偽の足跡と痕跡を残し、追手を撹乱する仕込みはしておいた。上手く騙されてくれるといいのだが。
「……バカ王子の頭が、評判通りバカであることを祈るか」
そんなことを思いつつ、足早に森を進む。
「ん……っ……」
やがて夜が明け始め、木々から漏れる光が辺りを白ませていく頃。背中から小さな寝起きの声が聞こえた。
「おはよう、白雪」
「にい……さん……? って! 私、寝ちゃってた!?」
「おっと、急に暴れると落ちるぞ」
「ご、ごめん! って、起こしてくれればよかったのに!」
「いや〜、俺としては可愛い寝顔を独り占めできて大満足だったんだけどな。ちぇ〜、もうお目覚めか」
「もう、早く下ろして!」
「はいはい、っと」
白雪をゆっくりと降ろすと、彼女は自分の足でしっかりと大地を踏み締めた。
「どれくらい来たの?」
「かなり進んだよ。もう目と鼻の先には国境だ」
「なら、行こ!」
「ああ」
それまで静もり返っていた森の道行が、一気に華やぐ。
目の前を歩く白雪が首を揺らすたび、リンゴのような赤髪が朝日に透けて綺麗に揺れた。耳を癒やす小さな寝息と可愛い寝顔が見られなくなったのは少し残念だが……やっぱり俺には、笑顔で前を向く白雪を見ているのが一番だと心から思った。
「足元気をつけるんだぞ〜」
「もう、子供扱いしないでよ」
そんな他愛のないやり取りを交わしながら、俺たちは先を急ぐ。
太陽がすっかり高く登った日中、俺たちはついにタンバルン王国とクラリネス王国を繋ぐ国境までやって来た。
国境と言っても、俺の元いた世界みたいに厳重に警備の手が回っているわけじゃない。森と森の間に明確な印が打たれているだけだ。
そして無事に、俺たちは国境を超えた。
一歩国境を越えると、少しばかりの安堵感を得られた。流石にここまでは、バカ王子の使いも追っては来ないだろう。もし来たらそれこそ国境侵犯だ。
クラリネス王国に入り、しばらく森を進んだ先、森の開けた場所で、古びた一軒の家を見つけた。
「誰か住んでるのかな?」
「人気は……ないな」
「なら勝手に入るわけにはいかないね」
「ああ」
小休憩がてら、俺と白雪は家の壁にもたれ、腰を下ろす。
「白雪、俺はちょっとこの辺りを調べてくる。ここにいてくれ」
「うん。兄さん、気を付けてね」
「ああ、何かあったら呼んでくれ。すぐに来るから」
白雪を一人にするのに不安はあるが、国境はもう越えている。タンバルン領内よりはまだマシだ。けど、どこに危険が潜んでいるかわからない。辺りの把握だけはしっかりしておきたい。
それに、何処かへ続く道でも見つかれば街に出られる。街へ出て宿を目指す、最初のゴールはそこだ。
辺りを調べていると、この森の脇、すぐ近くに人の手が入った街道を見つけた。
これならすぐにでも街に行ける。
俺は軽い足取りで白雪の待つ空き家へと戻った。
だが——戻ってきた俺の目に飛び込んできたのは、思いもよらない光景だった。
プラチナホワイトの髪の男、緑髪の剣士、そして金髪の美しい女性。
いずれも若い三人組が、なぜか白雪と一緒に空き家の前にいたのだ。
(——バカ王子の追手か……!?)
まさか、国境侵犯してまで白雪を追って来たのか!?と、脳裏に過った警戒心から、一瞬で身構える。
……だが、その懸念は一秒も経たずに脳裏から消え去った。
前の世界で、嫌というほど『危険な人間の目』を見てきた感覚が、今目の前にいるこの人たちは害のない人間だと告げていた。
それに何より、一緒にいる白雪の顔に陰りも不安も一切ない。無理に引き留められている様子も、怯えている様子もなかった。
殺気も悪意もない。誘拐や強盗の類いでもなさそうだ。
俺は構えを解き、静かに彼らの前に姿を現した。
「おかえり、兄さん!」
「ただいま、白雪。……あれ?その人たちは?」
「この人はゼン」
「って、白雪…その腕はどうしたんだ?」
「あ、これはね……」
「まさか……」
「怪我させられたとかじゃないから安心して。これは…その、自分で怪我したから」
「自分で?」
ゼンとこの人たちは悪い人じゃなさそうだけど……白雪が腕に湿布薬を貼っているのは見過ごせない。何があったか詳しく聞かなければ。
俺は白雪の一番近くに立つ白い髪の男へ目を向ける。
「この家、俺たちの俺たちの遊び場でただの空き家だ。何日いても問題ないぞ。入れよ」
「どうする?」
「私はそれでいいよ。ゼンの手の治療もしたいし」
「なら、使わせてもらおうか。俺はリン、よろしく」
「ゼンだ。後ろの二人はミツヒデと木々だ」
この二人、ゼンから一定の距離を必ず保ってる。何かあった時に踏み出せるギリギリのラインにいるんだ。俺が前に近づいた時に…女性の方の手が剣へと向かった……ほんの一瞬だったが、見えた。
て言うことは、主と従者、護衛の関係なのかな?となると…ゼンは相応の身分があるってことか。
(この国の王子様…だったりして。いやいや、ないか。王子はバカ一人の騒動で手いっぱいだ)
そんなことを思いながら、リンと白雪はゼンに先導されながら家の中へ入る。
そこで話を聞くに、俺の帰りを待っていた白雪は、塀を乗り越えてきたゼンと遭遇。驚いたゼンは着地しそこない、手を怪我した……らしい。
白雪は湿布薬で治療すると言ったが、見ず知らずの相手を信用しないとゼンは突っぱねたらしい。
上から目線でやかましい…と白雪は感じたのだろう。
「毒を持ち歩く趣味はないよ」と啖呵を切って、自らの腕を傷付けた上、湿布薬を貼り付け、無害だと証明してみせたらしい。
これには、流石にため息が出た。
「白雪、頼むから自分の体を傷つけるのだけはやめてくれ……」
「仕方ないでしょ、ゼンがやかましいこと言うんだから」
ああ…やっぱりやかましいって思ったんだ。
「やかましいってお前な……」
「だってそうでしょ?」
椅子に腰掛け、白雪とゼンは卓を間に挟んで向かい合っている。
腕に湿布薬を貼られ、呆れた様子のゼンに白雪は物怖じせずに言ってみせる。
「お前の妹、肝が座ってるな」
「それはもう、街で一番肝が座ってたよ」
ゼンの言葉にリンは軽口で返す。
「白雪から聞いたが、家出したんだって? なんでなんだ? 生活困難……って風貌でもなさそうだが……なんで兄妹揃って家出したんだ?教えろって」
「まあ、色々あって……已む無くね」
正規の手段を使わず、国境を無断で超えてタンバルンからクラリネスにやって来ました……なんておいそれと言えるわけがない。
「その『色々』が気になるな」
「ゼンには関係ないでしょ」
それを白雪もわかっているのだろう。詳しく聞かれても話そうとはしない。
それからというもの、二人の押し問答が始まった。
「教えてくれたっていいだろ」
「だから、私たちの家出の理由をゼンが聞いても意味ないでしょ?」
白雪は一向に譲ろうとしない。答えられない…という理由もあるが、今の俺たちは不法入国者。もし下手に関われば、ゼンたちにも疑い、迷惑がかかる。白雪はそれを危惧しているのだろう。
それと、私情を言うとすれば、きっと白雪は、上から物言いに「教えろ」と迫られて、ご機嫌斜め……と言ったところだ。
「ま、教えてくれないのも面白いが、正直気になるんだよ。そう邪険にしないで教えてくれよ。こうして包帯巻き合った仲だろ?」
ゼンは白雪に巻かた包帯を見せびらかす。
「…………」
「おい、ちょっとは笑えよ」
「私、ちょっと散歩行ってきます」
「なら、俺も行こうかな」
「えー……」
「露骨に嫌そうな顔するなよ」
「兄さん、一緒に来て」
「おう」
ご機嫌斜め……じゃないな。ああ、もしかして白雪はゼンたちを巻き込まないようにあえて突き放すような言動をして距離を置こうとしているのか。
そんなことを分析している間に、白雪に袖を引っ張られて外へ連れ出された。
「って、白雪、引っ張るなって。ちゃんと行くから!」
やっぱり少しご機嫌斜めでもあるかもしれない。主にゼンの言い回しのせいで。
白雪に引っ張られて森を歩く俺たちの後ろを、ゼン、ミツヒデ、木々の三人がしっかりと着いてくる。
天気は快晴。澄んだ空気が森全体を穏やかに包み込んでいる。
バカ王子から逃げるように森へ入ってからというもの、ずっと気を張っていたから、こうして白雪と穏やかな時間を過ごせるのは実に気分が良い。
「って、本当に着いて来たんだ、ゼン」
「怪我した娘の警護をしてやってるんだよ。紳士としてな」
「兄さんがいるから大丈夫だよ。それに私は薬草の勉強で森には慣れてるから平気。街中とは違う……森の空気は気持ちいいの。すごく居心地良く感じる」
「ああ、それわかる」
ゼンはすっと表情を和らげ、白雪の言葉に深く頷いた。
「今のは素直だね」
どこか遠くを思うようなゼンの穏やかな顔を見て、白雪は悪戯っぽく満面の笑みを浮かべた。
「っ〜〜!?」
面と向かって指摘された上に、眩しいほどの笑顔を不意打ちで向けられ、ゼンは分かりやすく顔を真っ赤にした。勢いよく白雪から視線を反らし、口元を片手で覆う。
「…………」
……しかしまあ、何と言うか。面白くない。
自分でも驚くほどの感情だった。自分以外の男と楽しそうに打ち解けている白雪の姿が、どうにも面白くないと感じてしまう。
俺は白雪を守れればそれでいいと考えていたはずなのに。自分の中にこんな醜い独占欲があったとは。
(……けどまあ、白雪が幸せそうなら……いいか)
俺は小さく息を吐き出し、胸の奥で渦巻く小さな胸騒ぎを静かに押し殺した。
いつしか白雪は木の下で木々と楽しそうに話を始めていた。
一人取り残されたゼンの視線が、ふと俺に向く。
「……似てるな」
俺の髪や目、顔立ちをじっと見比べながらゼンが呟き、森の中で静かに立っていた俺の隣へ歩み寄ってきた。
「当たり前だろ、二人は兄妹なんだから」
ゼンの後ろから追いついたミツヒデが呆れたように言う。
「まあそうなんだけどさ……なんと言うか、二人は本当に『兄妹』なんだなと思ってな」
「なんだそれ……」
ゼンのその言葉に、自分でも分かるほど顔の筋肉が緩んでいくのを感じた。
「あー、今のは忘れてくれ。柄にもないこと言った」
まさか俺と白雪の血が繋がっていない『偽りの兄妹』だとは、ゼンもミツヒデも思いもしないだろう。
だが、だからこそ、俺にはゼンの言葉がたまらなく嬉しかった。
この赤が混じった髪を呪った過去もあった。けれど今は『幸運の赤』であり、仮初であっても白雪と兄妹になれた『希望の赤』だ。
それを初対面の他人にごく自然な「兄妹」として認められたことが、何よりも誇らしかった。
「……ありがとう。それは俺にとって、何よりも嬉しい言葉だ」
この瞬間、俺の中にあったゼンに対する刺々しい警戒心は完全に解けたのかもしれない。
だからこそ、少しだけ気を緩めて口を開いてしまった。
「……白雪の髪が、貴族に気に入られてな。愛妾になれと迫られて逃げてきたんだ」
「はあ!? マジでか!?」
「色町で言葉を覚えて、金貨を食べて育ったと有名なバカだった。白雪の珍しい赤髪を珍しがったんだろう。自分の手元に置きたくなった、ただそれだけの話だ」
隣の国のバカ王子……だということは伏せて、貴族だと偽った俺の説明を聞き、ゼンとミツヒデは絶句している。
「相手からしたら……果物屋で果物を一つ買う、それくらいの感覚だったのかもしれない。だが、たったそれだけの理由で……」
俺たちの日常は壊された。白雪と過ごす、何気なくも愛おしい穏やかな日々を。
表情には出さないよう必死に抑え込んではいるものの、言葉にしきれない怒りと悔しさが腹の底から湧き上がってくる。
だが、それ以上に——。
「……くだらない理由で、白雪の人生を他人に握られて、描かれてたまるか」
白雪の人生は、白雪自身が自らの筆で描くものだ。その邪魔は誰であれ絶対にさせない。
無意識のうちに、両拳へぎゅっと強い力が籠もっていた。
ゼンはその拳の震えを見逃さなかった。
「……そういう理由か。逃げるほどの相手ってことは、よほど身分と位の高い奴だったんだな?」
「まあな。ゼンとはどっちが上なんだろうな?」
「っ!……気付いてたのか」
「側近二人の立ち振る舞いから、な。なんとなく分かった。俺も白雪を守りたい側だから……『大切な人を守る人間』の動きはよく分かるんだ」
きっと、俺たちの事情を聞こうとしたのも、ゼンの身分の高さ故、なんだと俺は思った。俺たちが危険な人間じゃないか知るための探りを込めて。
「……納得の理由だ。それよりも、お前たちの親は?」
俺と白雪の親は違う。でも、今は共通してる。
「いない」
「そうか」
短くそう答えるゼンの視線は、少し離れた場所で木々と笑い合う白雪を追っていた。その瞳は、どこか優しく揺れている。
「気に入ったんだな、白雪のこと」
「っ……! な、いきなり何を言い出す!」
「分かりやすいなと思って。顔に全部書いてある」
「ぶふっ……!」
耐えかねたように、隣のミツヒデが吹き出した。
「おい、ミツヒデ!」
「ごめんごめん、つい……ッ! だって初対面の相手に一瞬で見破られるくらい顔に出てるって……ゼン、お前……くくっ、ははは!」
「……ったく」
ゼンはバツが悪そうに、真っ赤になった耳の後ろをガリガリとかいた。
「それで白雪はな、自分で自分の髪を切って…「これで我慢しろ」って、束ねた髪を置いて来たんだ」
「ふははは!そりゃいい!貴族相手に大きく出たもんだ!あははは!ちょっと俺、その健闘を讃えてくるわ!」
ゼンは心底愉快そうに声を上げて笑うと、白雪たちのいる木の下へ向かって歩き出した。
「おっと、そうだ。まだ言いたいことがある」
ふと足を止めたゼンが振り向き、俺の顔をまっすぐに見つめてくる。
「確かに、赤い髪は珍しいな。けど、赤は「運命の色」のことを言うんだろ?二人の運命は、繋がってるんだな」
「………」
「それだけだ」
片手をひらひらと振って白雪のもとへ駆け寄っていくゼンの背中を、俺はしばらく呆然と見送っていた。
(そう…だといいな)
運命の色、それで白雪と繋がっている……この髪の色が、仮初めの兄妹でも、二人を繋ぐ『運命』なのだとしたら……俺にとって、それ以上の救いも喜びもなかった。