HOLOLIVE IN THE YURARI   作:佐藤ネジ

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連続投稿です
ねじまきゆらりは愉快な二人とえぺコラボをするようです


愉快な奴らとえぺコラボ

 

VCR GTAが終わって、数日。

 

街が終わった

 

祭りが終わったあとの、少しだけ物足りない日常。

 

そんな夜。

 

「……はい、ということ、で」

 

ねじまきゆらりの配信が始まった。

 

「今日はApexやりますよん」

 

『お?』

『久々のApex』

『誰と?』

 

「今日はね」

 

Discordから声が入る。

 

『こんばんはー』

 

「お、渋ハル」

 

『どうも』

 

渋谷ハル。

 

ゆらりとは、かなり長い付き合いになるストリーマーの一人だ。

 

ただ、彼がゆらりを呼ぶ時の名前は――

 

『マキさん、今日どれくらいやる?』

 

「んー、眠くなるまでかな」

 

『じゃあ長そうだな』

 

「なんで?」

 

『マキさん、夜強いじゃん』

 

「まぁね」

 

そこへ、もう一人。

 

『うぃーっす』

 

「お、葛葉」

 

『ネジキ』

 

「はいはい」

 

『今日も今日とてネジキです』

 

「その挨拶やめろ」

 

『いいじゃん』

 

「まぁ、いいけど」

 

渋ハルが笑う。

 

『葛葉、ネジキ呼び好きだよな』

 

『だってネジキがそう呼んでいいって言ったから』

 

「そうそう」

 

『あれ、結構ありがたかったんだよな』

 

「そんな大したことじゃないって」

 

『いや〜、俺、女人相手にあんまり砕けた絡み方できないからさ』

 

『にょにんて……まあ葛葉はそうだよな』

 

『どこまで行っていいのか分かんねぇんだよ』

 

『でもネジキが普通に「気軽に呼んでいいよ」って言ってくれたから』

 

『じゃあ、そうさせてもらおうって』

 

「うん、別に気にしなくていいよ」

 

『いやまじありがたかったんよな…』

 

「……葛葉、今日ちょっと素直じゃん」

 

『うるせぇ』

 

渋ハルが笑う。

 

『じゃあ、そろそろ行こっか』

 

「行くか」

 

『行こう』

 

三人がApexのロビーに並ぶ。

 

 

「なんか、この三人でApexやるの久しぶりじゃない?」

 

ゆらりが言う。

 

『そうだね』

 

渋ハルが答える。

 

『最近ずっと鴉だったし』

 

『鴉なぁ』

 

葛葉が少し懐かしそうに言う。

 

「楽しかったなぁ」

 

『楽しかった』

 

『なんだかんだ、毎日一緒にいたもんな』

 

VCR GTA。

 

葛葉が立ち上げたギャング、鴉。

 

その中で三人は同じチームとして街を駆け回った。

 

犯罪をして。

 

警察から逃げて。

 

作戦を考えて。

 

そして、作戦会議そっちのけでくだらない話をして。

 

そんな日々が終わって、今はApexのロビーにいる。

 

「……なんか不思議だわ」

 

ゆらりが言う。

 

『何が?』

 

「鴉終わったのに、こうやって普通に集まってるの」

 

『別に終わってないっしょ』

 

葛葉が答える。

 

「何が?」

 

『俺らの関係』

 

「……」

 

一瞬だけ、ゆらりが黙る。

 

そして、

 

「そりゃそうか」

 

と笑った。

 

『そうだよ』

 

『また別のゲームやればいいだけだし』

 

「たしかに、今回みたいにね」

 

ゆらりがマッチングボタンを押す。

 

「じゃ、行こうか」

 

 

試合開始。

 

「どこ降りる?」

 

『マキさん決めていいよ』

 

「じゃあ、ここ」

 

『了解』

 

『敵いるけど』

 

「大丈夫」

 

『その“大丈夫”怖いんだよなぁ』

 

「行けるって」

 

『はいはい』

 

三人が着地する。

 

ゆらりが建物へ入っていく。

 

「R-301」

 

『いいじゃん』

 

「渋ハル、そっち敵」

 

『いるね』

 

「葛葉、後ろ」

 

『見えてる』

 

「じゃあ行くよ」

 

三人が同時に動く。

 

銃声。

 

敵が一人倒れる。

 

「もう一人」

 

ゆらりが角から飛び出す。

 

撃つ。

 

敵が倒れる。

 

『うっま』

 

「でしょ?」

 

『いやちょっと調子乗んの早いって』

 

「褒められたから喜んでるだけだよ」

 

『はいはい』

 

渋ハルが笑う。

 

『でも今の判断は普通に良かったよ、マキさん』

 

「よっし!」

 

『露骨に喜ぶね〜』

 

「やっぱ渋ハルに褒められると嬉しいよね」

 

『なんで俺限定なんだよw』

 

「なんとなく」

 

『なんとなくかよw』

 

葛葉が笑う。

 

 

数試合。

 

勝ったり。

 

負けたり。

 

ゆらりが無茶をして、

 

『ネジキ、なんで行った?』

 

と葛葉に言われ。

 

「いや、いまのはいけるっしょ?」

 

『根拠は?』

 

「ない」

 

『ないんかいw』

 

渋ハルが笑う。

 

『それで行くの、マキさんくらいだろ』

 

「だってさ、行けると思ったんだって」

 

『結果死んでるじゃん』

 

「結果論じゃね?」

 

『いや結果が全部だろ』

 

『それはそう』

 

「渋ハルまでそっちにつくの?」

 

『今回は葛葉側だわ』

 

「ここに裏切り者がいます〜」

 

『なんでだよw』

 

三人の笑い声が重なる。

 

しばらくして、葛葉がふと思い出したように口を開いた。

 

『てか渋ハルもIGL上手いけどさ』

 

『現に今IGLしてもらってるけど』

 

『鴉の時のネジキもかなりうまかったよな?』

 

「そう?」

 

ゆらりが首を傾げる。

 

渋ハルが少し笑った。

 

『それは僕も思った』

 

『基本僕かエビオさんがIGLしてたけど』

 

『二人が倒れた時とか、マキさんがIGLやってくれてマジ助かったんだよね』

 

「まぁ……」

 

ゆらりは少し考える。

 

「状況見て、こうした方がいいかなって言ってただけだけど」

 

『それができるのがすごいんだよ』

 

渋ハルが言う。

 

『あの状況、普通に混乱するからね』

 

『でもマキさん、割と冷静だったじゃん』

 

「そうかなぁ」

 

『そうだよ』

 

葛葉も頷く。

 

『普段あんなふざけてるのに、ああいう時だけ急にちゃんとするんだよな』

 

「葛葉、それ褒めてる?」

 

『褒めてる』

 

「ならいいけど」

 

『鴉の時もそうだったよ』

 

渋ハルが続ける。

 

『普段は自由にやってるのに、いざ誰も指示出せないってなると、マキさんが自然にまとめてた』

 

「……あんまり覚えてね〜」

 

『それがマキさんらしいんだよ』

 

『自分がやったことを大したことだと思ってない』

 

「いや、本当に大したことしてないから」

 

『そういうところ』

 

葛葉が笑った。

 

『まぁ、ネジキってそういう奴だよな』

 

「なんだよ」

 

『別に』

 

「気になる言い方だなぁ」

 

 

次の試合。

 

渋ハルがIGLを続ける。

 

『ここ取ろう』

 

「了解」

 

『右から回ろう』

 

『おう』

 

三人が動く。

 

ゆらりは渋ハルの指示に合わせながら、周囲を見ている。

 

「……あ」

 

『どうした?』

 

「後ろ、来てるわ」

 

『マジ?』

 

「うん。二人」

 

『じゃあ一回下がろう』

 

「了解」

 

三人が退く。

 

葛葉が笑う。

 

『ネジキ、やっぱ見えてんな』

 

「何が?」

 

『周り』

 

「まぁ、ゲームだから」

 

『それを感覚でやるからなぁ』

 

渋ハルも笑う。

 

『ほんと、それなんだよな』

 

『マキさんって、ちゃんと考えてるようで、実際かなり感覚でやってるでしょ』

 

「そう?」

 

『そう』

 

『たぶん本人が一番分かってない』

 

「そうかも」

 

ゆらりは笑う。

 

 

試合終盤。

 

残り三部隊。

 

『ここ取ろう』

 

渋ハルが言う。

 

「了解」

 

『行くぞ、ネジキ』

 

「おけ」

 

三人が走る。

 

敵を発見。

 

「右!」

 

『見えた』

 

「一人割った!」

 

『詰める!』

 

葛葉が突っ込む。

 

渋ハルが援護。

 

ゆらりも続く。

 

敵が一人倒れる。

 

「もう一人!」

 

『いる!』

 

「今!」

 

三人が一斉に撃つ。

 

最後の敵が倒れる。

 

画面中央に表示される。

 

CHAMPION

 

『うおおお!』

 

『ナイス!』

 

「よし!」

 

三人の声が重なった。

 

しばらく笑っていると、葛葉が言う。

 

『やっぱこの三人、いいな』

 

『分かる』

 

渋ハルも答える。

 

「……そうだね」

 

ゆらりが小さく笑う。

 

『鴉終わっても、こうやって遊べるし』

 

「たしかに」

 

『また何かやろうぜ』

 

「やろう」

 

『次は何する?』

 

「なんでもいいよ」

 

『じゃあ次もApexな』

 

「それもう今決めちゃう?」

 

『いいじゃん』

 

『マキさん、どうせ暇でしょ』

 

「暇ではあるけど」

 

『じゃあ決まり』

 

「勝手に決めんなよw」

 

三人で笑う。

 

鴉という場所はなくなった。

 

VCR GTAという祭りも終わった。

 

けれど、そこで一緒に過ごした時間は消えない。

 

ギャングではなくても。

 

同じ街にいなくても。

 

ゲームを起動すれば、また集まれる。

 

「……じゃ、もう一戦やるか」

 

『やろ』

 

『行こう』

 

「渋ハル、次も頼むよ?」

 

『任せて』

 

「葛葉も頼む」

 

『任せろ』

 

「俺も頑張る」

 

『そこは最初から頑張れ』

 

「お前らなぁ!」

 

また笑い声が響く。

 

祭りの夜は終わった。

 

でも、日常の夜はまだ続いていく。

 

そしてその日常の中にも、

 

こうしてまた一緒に笑える仲間がいる。

 

それだけで、十分だった。




次は鴉編です
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