『キミ』と暁山瑞希ちゃんがいつか幸せに辿り着くための物語集 作:橘ありす氏
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暁山瑞希 | しのゃ #pixiv illust/130122241
内容はそのまま、直接的な描写は避けたけど「キミ」と暁山瑞希ちゃんがホテルに行く夢小説です。
瑞希ちゃんの性別も夢主の老若男女も一切気にせずに読めるようにしたつもりです。
ホテルに行ってるのでR18にしてましたが、直接的な描写は避けましたし、Google検索から来る新たなスケベたちもこれを読めるように、全年齢にしてみました。何かダメそうなら教えてね。
内容の方の文句は受け付けませんので、褒める以外のことはしないでください。
自分の為に書いたのですが、「キミ」たちも読みたいと思ったので置いておきます。
ASMRの台本っぽいのはASMRの台本を参考に書いたからです。
いつか担当声優さんだけじゃなくて瑞希ちゃん本人のASMRも出ると良いね。
「ホテルの部屋にとうちゃーく! つっかれたー!」
二人で両手に抱えた荷物を床に降ろし終わるや否や、瑞希はダブルベッドに背中から倒れた。
猫の手で伸びをしてからベッドの端に座り直すと、こちらに微笑む。
「キミもお疲れ様。張り切って朝早くからデートしちゃったね」
スマホのフォルダをスクロールすると、乃々木公園の花壇や、バイト先のロリィタショップなど、各所で自撮りしたツーショットが映っている。
今日一日、彼女の思い出の場所を知って欲しいと案内して貰ったのだ。
「それじゃ、先にシャワー浴びて来るから待っててね!」
バチッ⭐
腰を少し曲げ、覗き込むような上目遣いで口に人差し指を当て、長い睫毛を活かした星が弾けるウインク。
本人の最大限のあざとさを詰め込んだ攻撃を受け、ノックアウトされた振りをすると、急に疲れが押し寄せてきた。
ふと目を覚ますと、まず視界に入ったのはこちらを覗き込む瑞希の笑顔だった。
「あ、気が付いた? こう言うの憧れてたから、つい……」
言葉を交わす前に、視界と触感で膝枕をしてくれていると分かる。
表情を伺うと、聞いても居ないのに瑞希は得意げに喋り始める。
「ご心配なく! ボクはしたいことしかしないもん! キミに元気にしたいのも、ボクのやりたいことのひとつ! よしよーし、良い子良い子! お姉ちゃんでちゅよ~? なんちゃって……」
照れ隠しに彼女の声が大きくなり、小さくなる。
目の前にチラつく彼女の髪先に触れると、彼女は小首をかしげる。
「どしたの? シャンプーの良い匂いする~?」
彼女がこちらの鼻に近付けてくる髪はほんのりと香る。
深呼吸をする。
リラックスした、癒される空気感。
恋人たちを邪魔するものは何も無い。
しっとりと落ち着いた、静かな夜の時間が流れる。
瑞希と二人で目を閉じ、このまま沈んでしまっても良いと思う頃、彼女がふと鼻歌を歌う。
目を閉じるよ。眠りにつくよ。君の夜をくれ……。
鼻歌が終わった。
彼女を一人にしないようにと目を開けると、彼女の長い睫毛が瞬き、細めた目でこちらの縋るような目線をすぐに掬い取る。
こちらと視線が合ったことで優しく微笑むと、彼女は夜に溶けそうな儚さで口を開く。
「そう言えば、ボクってお風呂があんまり好きじゃない頃があって」
頬をかき、溜息を吐くと、瑞希は訥々と語り始める。
「服を脱いで鏡を見るとね、いくらカワイイ包装で包んでも剥がされたら中身はこうだぞーって言われてるみたいでさ」
彼女は困った顔でヘラヘラと笑っているが、笑えない。
「ボクが喋る時にも「見た目と声が合ってない~」って聞こえてきたりね。誰もそんなこと言ってないのに、臆病な自分自身が勝手に思っちゃうって言うか」
段々と表情が曇り、彼女が一人で考えている時の暗くて重い雰囲気が伝わってくる。
「うるさいよ。放っといてよ。自分のことは自分が一番分かってるよ。自分で考えさせてよ。何が「変なの」?「正しく」ないから?まだ何か足りないの?
ボクでいちゃ、ダメなの……?
……なんてね。」
彼女は寂しそうな顔から一転、明るくしようと努める。
「でも、今はそう言う時にお姉ちゃんの声が聞こえる。こんなにカワイイ瑞希なんだからって。最近はキミの声も聞こえるんだよ? 大好きだよ、カワイイよ、一緒に居ようって。キミが愛してくれるなら、前よりは自分を大事にしようかなって、そう思うんだ」
愛おしそうにこちらの頭を撫でてくる。
「キミが好きだって言ったボクの部分が、全部大事になっていく。毎日、色んなことも少しだけ頑張りたくなる。次会うまでによりよく見られたいと思っちゃう。なんだか現金で良くないよね。頑張るなんて、らしくないのも分かってる、けど、こうしたのはキミなんだよ? 責任取ります? ほんとかなー?」
からかう声色。こう言う時の彼女は機嫌が良い時だ。
視界を動かすと、自分の頭の下に敷かれたスカートの端が目に入るのでつまんでみる。
「このスカート、カワイイ? 制服、ボクも結構気に入ってるんだ。これを初めて着て鏡を見た時、すっごく嬉しかったんだよね。やっぱり制服は憧れだったから。お姉ちゃんが着てる制服を見て、ボクもいつかこれを着れるんだってワクワクしてたっけ……。だから中学の時にスカートが選べないって言われた時はまさかって思って、頭が真っ白になっちゃって……ううん、そんなことはもう良いよね。今はもう着れるんだし……」
今日行ったロリータショップで、瑞希が熱心に見ていたのはウェディングドレス風のものだった。最近はこう言うのもあるんだよね、とサラッと誤魔化していたが、ドレスを見ていた時の彼女の視線の熱は誰が見ても明らかだった。
「他に着たいものはないかって? 今日見てたドレス? あ~~、その、あれは……」
瑞希は目を逸らし、天を仰ぎ、唸り、絞り出す。
「ううん、きっとキミの隣でならウェディングドレスも着れると思う。色んな不安より、念願のドレスを着れる嬉しさとか、キミが隣に居てくれる心強さが勝つと思うから」
彼女は言いながら照れ始める。
「ボク、なんだかホントに幸せ者になっちゃったな〜。キミのせいでもっとワガママになっちゃうかも……。はいはい、キミが責任取ってくれるのは分かってるってば。確認しなくても良いよ。も~~……」
彼女は赤くなった顔を手で仰ぎ、目を合わせてくれなくなった。
最終的に膝から追い出され、シャワーを浴びる様に促された。
ひと段落して出て来ると、部屋の電気は消えていた。
外から差す光で、壁のハンガーに瑞希の制服がかかっているのが分かる。
彼女本人はと言うと、ベッドの布団で口元まで隠し、こちらを伺っている。
「あんまりまじまじと見ないでね。手の甲とか、喉、首筋、うなじとか、カワイイ格好をする人達の中だと隠すのが鉄則になってる部分って、やっぱりボクも努力してもどうにもならないから……」
よくあることだが、瑞希は自信を無くして弱気になっている。
「そんな顔をしなくても、ボクが出来る努力をしてることは分かってる……? ちゃんと乙女らしく見えてるし、ボクが好きなアイドルの子たちと比べても余裕で美人の部類、って……それ、言い過ぎて嫌味か嘘に聞こえるよ?」
瑞希は口ではそう言いながら、嬉しいあまりに喜んでいるのを隠さない。
「でも、キミはいつも本音で言ってくれるんだよね。こだわって頑張ってることをちゃんと分かって貰えて褒められるのはこんなに嬉しいんだって、いつも感謝してる。もう、キミってボクのこと好き過ぎだよ。こんな甘えん坊、他の人に任せられないもん。しょうがないなぁ。ホントにしょうがないよ……」
言い訳をする瑞希のそばに行き、唇を重ねると、全てをこちらに委ねてくれる。
期待と不安で震える彼女の身体を抱いて好意を示し続ける。
自分の感触を覚えさせるように。
彼女がまた一人の時に心配になっても、その度に何回でも思い出せるように。
目が覚めると、背中に瑞希の体温が感じられる。
彼女もこちらが起きたのに気付いたようだが、「おはよう、まだ眠いよね。もうちょっとこうしてようよ」と甘えてくる。
瑞希はひた、と肌を合わせてきて囁く。
「キミって、皮算用とかするタイプ? 勝手に期待して、成功したこと前提で先の予定を立てちゃうやつ」
瑞希がこうして聞く時は、自分の話をしたい時だ。
「ボクは良くも悪くもしちゃうから、悪い方だとよく不安になるんだけど……今日のデートも良い方に考えて結構先走っちゃって浮かれちゃったんだよね。それで上手くいかなかったら馬鹿みたいだなって、分かってるんだけど……。 え? 浮かれるのは乙女チックでカワイイし、ちゃんと恋してくれてる証拠で嬉しい、って……? あー……えっと……。分かった分かった! もう降参! キミには敵わないや。誤魔化してもしょうがない。あーあ! 昔は誰も理解してくれないなら、皆いなくなれば良い、もしくはいっそボクの方が……って思ってたのに。誰かさんと出会って変わっちゃったよ。ボクがいくら不安になっても、それでもボクのこと好き過ぎる人がいるんだから。ずるいよ。べぇー!」
瑞希の体温が遠のくが、しばらくすると手だけが伸びてくる。
指を絡ませ、握ってくる。
「多分ボクが不安になっちゃうのって、キミには前にも話したけど……昔、クラスメイトの女の子に「変なの」って言われちゃったんだよね。それから、それまでは気にしたことがなかった周りの世界が変わって見えて、雰囲気や視線を感じる様になっちゃったんだ。言われるまで全然気付かなかったから、ショックだったよ。今思うと、それまでは気付かずに済んだのは、お姉ちゃんが守ってくれてたからだと思う」
瑞希の鼓動が伝わってくる。
思いを分かち合いたいかの様に響いてくる。
「それに、その後にもう一度何かしてみようって、自分のしたいことをしようと思えたのもお姉ちゃんのおかげだから。こんなにカワイイ瑞希なんだから、わかってくれる人はきっといるって。だから、ホントは世界にもそのまま受け入れて貰えたら嬉しかったけど……なんて、一人で悩むのやめやめ! だって、もうボクには仲間が居て……キミもいるんだから」
指をほどき、布団から出る気配がする。
「大好きだよ」
そう囁いて頬にキスをした瑞希は、逃げるようにベッドを出て行った。
「さーて、帰りますか!」
着替えも済み、お互いに荷物を終え、あとは出るだけ。
「その前に、もう一回お化粧直し! キミの前だといつも特別カワイイボクで居たいからね! ボク、一生懸命頑張ることってそんなにないんだけど、なんだかキミの為には張り切っちゃうんだよね~? なんでだろう~?」
わざとらしくからかってくる瑞希を逆にからかってみる。
「恋をしてるのが分かりやすくて、乙女チックでカワイイなって……? えーっ! キミに言われたくないって! も~~! ボクのことわかってるからって! キミだってボクのこと大好きな癖に!」
ぷんすか、と言ったカワイイ怒り方で瑞希は洗面所へ向かい、扉を閉めた。
瑞希は鏡の中の自分が無自覚にも微笑みを浮かべていたことに気付く。
キミが見ていないのに、少し照れながら、思い返す。
「……ボクが"カワイイ”のは、お姉ちゃんのおかげ。
“そのままでいていい”のは、ニーゴのみんなのおかげ。
でもね、"恋をしていたい”“愛されていたい”のは、キミのおかげなんだ。」
どうかキミにもっとカワイく見えますように。
胸のリボンを結び直し、小さい声で満足そうに呟いた。
「キミが居てくれるなら、これからも上手くやれる気がする。
……わかってくれる人、見つかったよ。お姉ちゃん」
END.