『キミ』と暁山瑞希ちゃんがいつか幸せに辿り着くための物語集 作:橘ありす氏
瑞希ちゃんちゅきちゅきちゅ!らぶちゅ!橘です。
今年のバースデーでの各キャラのコメント及びサイストで、結構な数のキャラが祝ってくれる大騒ぎが行われていると知って、居ても立っても居られず、「キミ」も後から瑞希ちゃんを祝えるよ!と言うお話を書きました。
今回も勿論!「キミ」の要素は極力削り!老若男女問わず!キミが!瑞希ちゃんといちゃつけると!
そう言う夢小説になっております。頑張ってますよ!褒めて下さい!リプライでもコメントでも!でも褒める以外はしないで!
よろしくお願いします!!瑞希ちゃん、誕生日おめでとう!!愛してるよ!!
外は夕暮れ、黄昏時。
日が出てるとはいえ、結構遅い時間だ。
少し心配に感じながら、携帯を見る。何も連絡はないが、便りが無いのは良い便り。
帰って来るまでに自分の調子を整えたい。
冷え過ぎた冷房に怠さを感じ、換気の為に窓を開ける。風がドライヤーの様に浴びせられ、まだ夏の続きを感じさせる。
うんざりしながら外を眺めていると、目を惹く色の髪とリボンが跳ねてくるのが見える。
天使が帰ってきた。
「ただいまー! あー、楽しかった!」
今日は2025年、8月27日、水曜日。
夏休みの終わりが近付くこの頃が、お互いにとって一番騒がしい。
「どうも、今日の主役が帰って参りました~! 何か言うことはないかな~!?」
玄関で自慢げにプレゼントの束を抱える彼女には、まだ楽しむ元気がいっぱいあるようだ。
瑞希ちゃん、お帰りなさい。
頭を撫でてあげると、彼女が自認する猫の様に目を閉じ、逆に自ら頭を擦り付ける形で甘えてくる。
暁山瑞希、17歳。今日は彼女の誕生日。
友達にいっぱい祝って貰った幸せな日。
今から二人で、もっと盛り上げよう。
彼女が手洗いうがい、着替えを済ませている間に、晩飯をよそっておく。
彼女の好物、カレーライスとフライドポテト。
お義母さんが……つまり瑞希のお母さんだが、彼女には今日、自分たちを二人っきりにしてくれる様に、旅行をプレゼントしたのだ。その代わりにと、いつものカレーを作り置きしてくれた。
祝い事の日にもカレーだと言うのは芸が無いとも言えるが、カレーが好きな人間は新奇性を求めはしないだろう。安心できる、いつものもの。それが彼女の癒しなのだ。
「見てみて!」
洗えた手をわざわざ見せてくる。甘えん坊さんだ、と指摘すると、「違うってば、抱っこしてってこと!」と言うので、抱きしめてやる。甘えん坊には違いがない。
「この服、どう? カワイイ?」
リボンブローチのモチーフとスカートの裾の模様に、デイジーが使われている白いワンピース。
デイジーの花言葉は、純潔、美人。
白いワンピースも、デイジーも、これ以上無いぐらい目の前の美人さんに似合っている。
いつもカワイイけど、特別カワイイよ。
そう言ってやると、目を丸くしてから照れながら笑う。
嬉し過ぎて言葉が出てこない。そんな感じだった。
次に、感情を消化したいのか、鼻歌で新曲を歌いながら、お嬢様気分か、スカートを摘んでヒラヒラと一人舞踏会を始めた。やがて一曲終えて満足すると、そのままスカートの裾を持ち上げてご挨拶。
見た目も美しければ、中身も乙女で、行動もカワイイ。
幸せと言うものが形になったら、こう言う姿をしているのだろうなと思わされた。
そんな惚気からふと意識が戻り、さて配膳に戻るか、とこちらが気が付いた頃には、彼女も思い出したかの様にプレゼントの袋をテーブルに移し、中身を広げていた。
こちらが配膳をしながらでも聞こえる様に、大きめの声かつ身振り手振りで思い出を語り始める。キミに聞いて欲しいんだよ、と言う甘えた想いが伝わってくる。良い意味で、いつも通りだ。
話していた内容を要約すると、今朝は朝からネットサークルの仲間とスポジョイパーク……スポーツチャレンジが出来る室内アミューズメント施設に遊びに行っていたらしい。
ネットサークルだと言うからには外で一緒に遊ぶ体験自体が少ないのだろう、オフ会みたいな楽しさが感じ取れる。
「それでねそれでね!」
学校の仲間たちを他にも呼んで集団戦をしただの、どうこうなって盛り上がっただの、随分楽しかったようだ。
実はその辺りは既に神代類さんからチャットアプリ経由で聞いてるのだが、瑞希が話している様子がカワイイので黙って置く。
「反応が良くないなー……。あっ、でも、ここからは本当にすごいんだからね!」
そう言って差し出されたスマホには、大きなリボンの乗ったケーキ。
高校生バンド『Leo/Need』、アイドルグループ『モアモアジャンプ』と一緒に映った記念写真。貰った大きいフェニーくんぬいぐるみ。
リクエストしたポーズや、ツーショット、集合写真など。眩し過ぎる思い出たち。
瑞希もサークルをやっているとはいえ、一応、世間的には正体不明。
自認としては一般人のファンであり、そんなポジションからすればあまりに豪華過ぎるファンサービス。
友達だからこそのサービスも込みで祝って貰えて、大満足だったのが伝わってくる。
ただこちらにも、優越感でドヤっている彼女を負かせられる自信がある。
含み笑いがバレないように配膳を終え、直ちに座り、「いただきます」。
「よぉーし! いっぱい食べるよ! いっただっきまーす!」
そう言う口調からは遠慮がない様に見えるが、こちらの様子を気にしているのはバレバレだ。
髪を耳にかけたり、舌で唇を舐めたり、さりげなく誘惑して反応を伺っている。
一方で自分のことは疎かになっており、時々、ご飯粒やカレーが口元に付いたことを指摘すると、ハッとし、赤くなりながら拭う。
せっかくの白いワンピースなんだから、こぼさない様に気を付けて、と言いたいが……汚れても洗ってあげれば良いのだから、今気にすることでは無い。
若い内は一つの失敗が全て台無しにすると思いがちだが、やり直せることは失敗しても良い。
彼女と仲間たちに色々あっても戻って来れた様に、本人次第でまた何回でもやり直せるのだから。
そんなことを思いながら見守ってると、まだ食べ方を見られてると勘違いした瑞希はツンとする。
「な、なに? キ、キミの前で何も気にすることないもーん! 良いじゃん! 別に!」
このやりとりも、最早慣れたものだ。
なのに、毎回彼女はツンとしながら照れる。
このツンデレ猫ちゃんの意図を翻訳するならば……好き同士だからこそ出来るコミュニケーションに憧れていたし、これからもずっとしたい。
でも、キミには意地汚く見られたくないんだもん。少しでもカワイく見て欲しいんだから。
と言う感じだ。心の声が筒抜け過ぎる。カワイイ。
「……ちょっとぉ~~? 何も言わないでニヤニヤ見てるのは趣味が悪くなーい!?」
ちょっと不満げな顔の天使ちゃん。
その表情もカワイイが、そろそろご機嫌取りをしてあげよう。
テレビを点ける。見て驚くと良い。
実は裏でずっとループ再生をさせていたモモジャンの曲が流れ始めると、「えっ、なにこれ!? どう言うこと!?」と、案の定、目に見えて困惑してくれた。カワイイ。
「この曲って、ボクが今日愛莉ちゃんたちから貰った動画じゃん! なんでキミが……」
瑞希の言葉が続かなかったのも無理はない。
自分が机の下から取り出したのは、BDのパッケージ。
そもそも今回の瑞希が貰った動画が特別製なのだから、これも勿論、お手製の特別製。
この世でたった一枚焼かれた実物のBDが、今テレビで再生されているのだ。
オタク気質である瑞希が、動画媒体だけで満足できるはずはない。そう見抜いていた自分は、愛莉さんからお祝い動画の相談を受けた段階で、追加で色々と頼んだのだ。
別途、朝比奈さんにもお願いして、瑞希が今回のサプライズの為と知らずに日常的に答えていたライブそのものやBDへの要望なども雫さんに伝達。反映してくれた。
「だから今日のキミの反応が悪かったってこと~~? もぉ~~! ええ~~??」
隠されてたことを怒っていいやら、自分を理解され根回しされる嬉しさを感じるやらで混乱しながら、同封されているチェキと直筆メッセージに目を輝かせている。
「うう……。実際モノとしてこう言うのがあると後で振り返れて嬉しいオタク心……! キミに手の平で転がされてる……! 悔しい……!」
コミカルに歯を食いしばりながら、それでも嬉しそうな瑞希があまりにカワイイので、このサプライズは大成功。早くこの大画面でじっくり見ながら何処が良いか語りたい、と言う彼女に、まずはご飯を食べてからだと促した。
ソファーに移ると、腕を組んで手を絡めてくる。
温度が感じられると寂しくないから、とのこと。
そう言う温度の話をするときは誰かを思い出しているようだが、瑞希ではその人を温め切れないことは伝わってくる。
瑞希がいつか温度を渡せる時の為に、とも思っていつも言われる様に握ってやることにするものの、単にお互いの気持ちを確かめたい欲しがりさんなだけの気もする。
「うわ! ここめっちゃ良くない!?」
瑞希はライブを見ている時、実況する。うるさい。カワイイ。でもうるさい。
「キミは誰推しなんだっけ~? ほらほら~言ってみ~?」
怠い絡みだが、そう言うことをしても良い相手なんだもん、と安心して甘えてきているわけで……本当にカワイイ。
画面のライブはそれぞれひとりひとりをフィーチャーするパートに入るが、自分は瑞希の反応を見ているだけだ。
「元気いっぱい愛情たっぷり、ラブリーキューティ愛莉ちゃん?」
天真爛漫、あざとさMAX、ラブリーマイエンジェル。
「クールビューティで手足が長くて綺麗! なのに中身は柔らかくて優しい雫ちゃん!」
同様に手足が長いものの、カワイイに振ろうとしている努力が分かる外見に、ふとした儚さに発揮される美性も持ち合わせる。
「やっぱり面食いのキミだから~~、美人の遥ちゃん! 違う?」
一般的な女性としてパスする範囲に収まらず、国民的トップアイドルと争える美貌。
「みのりちゃんは~~、ボクが育ててるんだから、キミには言わせないよ!」
こちらの唇を人差し指で制止し、ウインク。こう言う事を当たり前に出来てしまう、洗練された乙女性。
「えーっとね、みのりちゃんの良いとこはね~~~!」
無垢で眩しくて、明日を頑張る元気を貰える。
それら全部を持ち合わせる、カワイイ恋人ちゃん。
自分がそう見られてるとも知らずに自慢げに話す瑞希は、隙だらけだ。
だから、唇を奪うことは容易だった。
「!? ~~~~~~~~!!」
ついばむように繰り返し、息が続かなくなってきた所で、顔を離す。
「はぁ……はぁ……。キミ、強引だよ。ばか……」
糸を引くよだれをハンカチで拭った後、頬を染めながらこちらを伺う。
「言い訳、聞いてあげる。どうしたの……?」
上目遣いで、落ち着かせながら相手の話を聞こう、としてくれているのに、自分は感情が溢れてしまう。
「アイドルに比べてもボクが一番だし、ボクにとってもキミが一番じゃないとやだ……?」
困惑の顔から、
「嫉妬したって、ば、ばか、アイドルと恋人に対するそれは違うじゃん! ばか!」
嬉しさがないまぜになった顔で、声が大きくなる。
「う、うるさいうるさい、うるさいなぁ! もう、良いから! こっち来ないで!」
瑞希は耳まで真っ赤になっているのに、手遅れな顔を隠し、後ずさる。
「き、今日はもう終わり! せっかくの誕生日だったのに、キミみたいなえっちな人とは一緒にお風呂も入らないし、一緒に寝ませんよ~だ! 添い寝もなし! ほっぺすりすりもしないし、胸も育てさせてあげない! ばいばい!」
彼女は、そんなカワイ過ぎる捨て台詞を残して、洗面所に去って行った。
あれから自分は片付けをしていたが、瑞希はお風呂を終え、寝室に行ったようだ。
いつもより念入りに時間をかけていたが、そんなに怒らせたのだろうか。
ところで……この家で自分が寝泊まりをする場所は、当然、瑞希の部屋なのである。
だから一緒に寝ないと言われた所で、他に過ごす場所もないのだが……。
ひとまず、仮に寝ているのなら起こさない様に、とゆっくりドアを開けると……ベッドに何かいる。
こちらに背を向けているが、布団は掛けていない。お腹を冷やすといけないと思って布団を持って近づくと、異変に気付く。
彼女に、耳と尻尾が生えている。
正しく言うと、猫耳と……お尻に尻尾が付いていて、それがパジャマから出ていた。
ゆっくりと近付き、そっと尻尾の付け根を撫でると、ピクリと反応がある。
「にゃ、にゃあ……」
ネコが喜んでいるので、トントンとタッチを続けると、甘い声をあげながら、アイシャドーの様な色気を纏った彼女のピンクの睫毛がこちらを捉える。
「狩場に入るなんて、良い度胸だ、にゃあ…… 」
ふふん、と得意げにマウントを取ったネコの尻尾を抜いてあげると、嬉しそうに震える。
それを合図に、彼女は獲物を捕らえ、恍惚な顔で狩りを始めるのだった。
25時の作業の時間ギリギリまでしてしまったのは、言うまでもない。
「ボクにとってもキミが一番に決まってるじゃん。最高の誕生日、ありがとね♪」
END.