TS憑依転生強化さやかちゃん   作:愛しのマルゲリータ

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第一話

 

 

 

 

 俺はTS憑依転生した。

 憑依転生先は美樹さやか(0歳)。

 そう、あの女児向け魔法少女アニメに見せかけたダークファンタジー作品『魔法少女まどか☆マギカ』の登場人物に憑依転生したのだ。

 

 魔法少女まどか☆マギカ――まどマギの大まかな内容はこうだ。

 「願いを一つ叶える代わりに、僕と契約して魔法少女になってよ!」と言って契約を持ちかけてくる白く可愛らしい姿の生き物キュゥべえと契約した少女たちが、架空の街見滝原で魔女と呼ばれている絶望を振り撒く怪物と戦う王道魔法少女もの!

 

 ……と見せかけて、実はキュゥべえがマスコット面した人の心無い契約詐欺宇宙生物インキュベーターだったり、魔法少女はいずれ必ず絶望を振り撒く魔女になるという過酷な運命を背負わされていたりするダークファンタジーアニメ。

 

 「可愛い魔法少女が出るから是非!」と、友達からお薦めされて軽い気持ちで視聴したら、三話でマミさんが首取れて死んだ(マミった)時の衝撃は今でも忘れられない。

 

 そして俺が憑依した美樹さやかは、恋をしていた幼馴染が負っていた完治不可の怪我を治すことと引き換えにキュウべえと契約して魔法少女になった原作主人公の友人枠。

 

 だが結局、怪我が治った幼馴染は別の女の子と仲良くなり、失恋したさやかは最終的に絶望を振り撒く魔女になってしまう。

 

 何とも不憫で報われない女の子である。

 ちなみにさやかの髪色は、負けヒロイン率がやたら高い水色だった。

 さやかちゃん可哀想……って他人事じゃねえよおい。

 俺が今その美樹さやかになっちまってんだから。

 このままだと俺、失恋した末に絶望を振りまく魔女になっちゃう!

 

 ……まあ、俺はホモじゃないから原作のように幼馴染の男に惚れることだけは絶対ないだろう。

 俺の恋愛対象は男ではなく女だ。特に美少女。マミさんのおっぱいぷるんぷるんッ!

 ……ふう、ついホモ疑惑を否定するのに熱が入りすぎてしまった。

 

 気を取り直して、これから美樹さやかとしてどう生きるべきか、真面目に考えていこう。

 原作のようにキュゥべえと契約して魔法少女になれば、願いと引き換えに体から魂を抜き取られてソウルジェムへと加工されてしまう。その日からは魔女との命がけの戦いが日常になり、ソウルジェムが濁りきると絶望を振り撒く魔女になってしまう。

 

 そんな過酷な運命、背負いたいわけがない。

 だがこの世界。魔女やその使い魔が街によく出現するせいで、一般市民として生きるのもかなり危険だ。ある日突然魔女の結界に誘い込まれて、そのまま人生終了……そんな最悪の想像が頭をよぎる。

 

 仕方ない。魔法少女になろう。

 自己防衛大事。自分の身は自分で守らないとね。

 というわけで、暫く葛藤した末に俺は将来魔法少女になることを決めた。

 

 五歳になり幼女へと成長してからは、いつか来るその日のために鍛錬も始めた。

 空手、ボクシング、剣道、総合格闘技……強くなるために必要なものは全力で習得した。

 

 原作主人公の鹿目まどか。原作でさやかが恋した幼馴染の上条恭介。原作ではまどかとさやかの友人であり、さやかの恋敵になった志筑仁美とも知り合い、仲良くなった。

 

 中学生になってからは実戦経験を積むために、夜な夜な金属バット一本で小規模不良グループをしばいて回っている。

 

 ここ最近は魔法少女スタイリッシュ不良スレイヤーの噂が見滝原中に広まっているけど、一応目出し帽とド◯キで買った魔法少女のコスプレセットを着て正体を隠しているから身バレの心配はないだろう。

 

 そして時が経ち、俺は中学二年生になった。

 

 

 

 

 

 ♪♪♪♪♪♪♪♪

 

「今日はみなさんに大事なお話があります。心して聞くように」

 

 いつものようにまどかと仁美と一緒に登校し、教室の席に着くと、担任の早乙女先生が真面目な顔で話し始めた。

 ちなみに俺はかなり寝不足である。

 昨日も夜遅くまで不良たちとバトっていたからだ。

 

「目玉焼きとは、固焼きですか!? それとも半熟ですか!? はい、中沢君!」

「えっ!?」

 

 機嫌が悪い早乙女先生の標的になった中沢に心の中で合掌する。中沢は犠牲になったのだ。婚期を逃しそうなアラサーを鎮めるための生贄……その犠牲にな。

 そういえば、原作第一話の早乙女先生の愚痴がこの目玉焼きに関することだったか。

 

「はい、あとそれから、今日はみなさんに転校生を紹介します」

 

 元カレの愚痴を言うだけ言ってスッキリした様子の早乙女先生。それからようやく、彼女は転校生の紹介を始めた。そっちが後回しかよ。

 

「じゃ、暁美さん。いらっしゃい」

 

 先生に呼ばれて、ずっと教室の外で待たされていた少女が中に入って来る。

 

「うおっ……」

 

 クラスメイトたちが思わず息を呑む。

 凛とした表情。長く艶やかな黒髪。そして同学年とは思えないミステリアスで大人びた雰囲気の美少女に皆圧倒されていた。

 

「はい。それじゃあ自己紹介、いってみよう」

「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

 

 転校生の少女――暁美ほむらは、淡々とそう告げた。

 ただその視線は、俺の隣の席のピンク髪の少女へと注がれている。

 

「えっ……ぇえ…?」

 

 ほむらはその後もじっと、鋭い目付きでもじもじとしているまどかのことを睨んでいた。

 

 それにしても、メガほむじゃくてクーほむの方か。

 ということは、ほむらは既にかなりの数のループを重ねているな。もしかしたら、この時間軸でまどかは円環の理になるのかもしれない。

 

 

 

 

 

 その日の放課後。

 俺はついに奴と出会った。

 

「僕と契約して、魔法少女になってほしいんだ」

 

 ようやく姿を現したな、契約詐欺宇宙生物(インキュベーター)。

 

 

 





次回、初戦闘

魔法少女スタイリッシュ不良スレイヤーの魔法強化金属バットが使い魔に炸裂!
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