猫、拾いました   作:ぽこちー

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じゃとにゃ


 

 子供の頃から犬が好きだった。

 

 犬は、愛情を捧げれば捧げるだけ、その分を態度で返してくれる。

 

 俺を目にした瞬間に尻尾を振り、嬉しそうに駆け足で駆け寄ってくる姿が、愛おしくてたまらない。

 

 実家で暮らしていた時は、合計7匹の犬を飼っていた。

 俺が生まれる前から飼っていた犬もいれば、物心がついたと同時に飼い始めた犬、捨てられていたところを保護した犬など、様々だ。

 

 一緒に育ち、たくさんの思い出を作る。

 それらの経験があったからこそ、今の俺が存在しているのだろう。

 

 だが、楽しい記憶だけではない。

 必ず、別れが訪れるのだ。

 

 1度だけ、3匹同時に飼っていた時期があった。

 老犬と、若犬と、子犬だ。

 

 子犬はやんちゃで、若犬や老犬によくちょっかいをかけていた。

 若犬は、子犬の態度に戸惑い、老犬に助けを求めることもあった。それでも、頑張ってお兄ちゃんをしていた。

 老犬は、2匹を遠くから見守るだけで、特に2匹の世話をすることはなかった。それでも、不思議と2匹からは好かれていた。

 

 そんな3匹と一緒に暮らしている瞬間は、俺にとって1番の幸せだった。

 

 だが、その時はやってくる。

 老犬が、寿命で亡くなったのだ。

 

 何度も訪れた愛犬との別れだが、決して慣れることはない。

 

 特にその老犬は、俺と共に育ってきた相棒のような存在だった。

 子供の頃からずっと一緒にいて、楽しいことも、嬉しいことも、何気ない日常も、たくさん共有してきた。

 だからこそ、今まで以上に心に深い傷を負った。

 

 だが、それ以上に辛かったのは、残された2匹の様子だった。

 

 2匹は、老犬が亡くなった時、目に見えて落ち込んでいた。

 特に若犬は、老犬が大好きだった。

 よく老犬に身を寄せながら、安心したように昼寝をしていた。

 そんな若犬は、亡くなった老犬に決して近づこうとはしなかった。

 けれど、俺の膝の上から離れることもなく、ただじっと老犬を見つめていた。

 そして、静かに涙を流していた。

 

 やんちゃだった子犬も、その時は大人しかった。

 悲しそうな表情を浮かべながら、地面に伏せていた。

 

 3匹で過ごしていた日常が、突然終わってしまった。

 そのことを、2匹なりに感じ取っていたのだろう。

 

 老犬が亡くなったことは悲しかった。

 だが、それ以上に。

 残された2匹の悲しそうな様子が、俺の心に深い傷を残したのだ。

 

 それから俺は成人し、家を出た。

 残された2匹の犬は、今も実家で健康に過ごしている。

 実家に帰るたびに、2匹とも嬉しそうに俺を迎え入れてくれる。

 尻尾を振りながら駆け寄ってくる姿を見ると、今でも嬉しくなる。

 

 だが、自分自身で新たな家族を迎えようとは思わなくなった。

 

 あの時の2匹の悲しそうな表情が、今でも忘れられないからだ。

 

 あんな悲しい思いをするのなら。

 

 悲しい思いをさせてしまうのなら。

 

 俺はもう、ペットを飼わない

 

 

 

 

 

 

 ——そう思っていたのに。

 

 

 

 

 

 

 

「うにゃにゃっ、うにゃー♡♡♡」

 

「あっ、おいバカ猫っ!! それは俺のディニーだって何度言えば分かるんだっ!!」

 

「うにゃ!? シャー!!!!」

 

「うおっ!? あっぶねぇなおい!! ……ったく分かったよ。それはお前にやるから爪を立てるのはやめてくれ」

 

「にゃあ〜♡♡♡」

 

「はぁ……。わんこを飼ってた時はこんなに苦労してなかったぞおい……。それに、ピンク毛の猫なんて特異個体にも程があんだろ。遺伝子操作だなんだの虐待容疑でもしもし治安局メン? されたらたまったもんじゃねぇよ……」

 

 

 

 

 猫、拾いました。

 

 

 

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