とある鎮守府の乱雑な運営日誌   作:臨機高来

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進水式のような気持ち

 こんにちわ。吹雪です!

 

 鎮守府に来て1か月が過ぎ4月。学校と艦娘の両立の生活が始まりました。朝は学校、学校が終わってからは艦娘としての訓練。忙しいですが、皆と力を合わせて頑張っています。さて、1か月も経つと全員の適合艦か判明し、私たちより遅れて地上訓練に合流しましす。合流している間は私たちも皆の訓練を手伝っていましたが、この間、私たち5人・・・私である吹雪、五月雨ちゃん、電ちゃん、叢雲ちゃん、漣ちゃん。それに数人が水上訓練に移行することが決定しました。

 

 水上訓練からは、他の艦種の人達も一緒にやっていきます。訓練用出撃ゲートは多く配置されていないためだといいます。訓練用出撃ゲートとはいってもその作りは簡素なもので、普通の出撃ゲートをブイや網等で囲い、海に出過ぎないようにしているくらいのものでした。

 

「あーもう!」着水に失敗してずぶ濡れになった叢雲ちゃんが、イライラした顔を張り付けて登ってきます。

 

「おうおうヘッタクソだなぁ」と叢雲ちゃんを煽る声が向かい側から聞こえます。それに反応し、キッと叢雲ちゃんが睨みます。

 

「私ならこんなもの直ぐにできるわよ。だっけ」睨まれても煽ることをやめません。

 

「あんたも同じようこと言ったじゃない。天龍・・・センパイ」叢雲ちゃんは特徴的な艤装の耳をピンと天龍先輩の方へ向けます。

 

「お前より先に・・・だ。まだまだこれじゃあ、余裕を持って練習に取り組めそうだな」叢雲ちゃんの煽りに我関せず、こちらも特徴的な耳のような艤装をピョコピョコ動かし、叢雲ちゃんを挑発します。

 

「まだ着水もできないくせに」「お互い様だろ。まぁ、俺より先にできるように頑張れよ」グヌヌとなる裏雲ちゃんに勝ち誇る天龍先輩。そんな劣勢の叢雲ちゃんに援護射撃が。

 

「あら~。でも天龍ちゃん、私よりも早く終わらせるとも言ってなかったかしら」と着水訓練を一足早く終わらせ、次の段階に行く前の小休憩をしている龍田先輩が天龍先輩に向かって言います。ギョッとする天龍先輩。仲の良い人から後ろから撃たれると思っていなかったのでしょう。

 

「そうよ!私を気にしている場合じゃないじゃないかしら。遅れてるわよ、天龍センパイ?」水を得た魚のように叢雲ちゃんは天龍先輩に畳み掛けます。

 

「あーいや、それはな・・・」シドロモドロになる天龍先輩。目も頻りに泳いでいます。そんな天龍先輩を見れて満足そうな龍田先輩。自分の事を棚に上げて勝ち誇る叢雲ちゃん。

 

 ゲートに目を戻すと、今五月雨ちゃんが出撃準備をしていました。足元を確認、艤装がしっかり装着できているか、一つ一つ指さし確認をしながら確認していきます。

 

両手を前にグッと出して気合十分。蹴りだす、が足元を滑らせ無念の着水失敗。頭から落ちていきました。水深は深いのでそこに顔をぶつける事はないと思うけど・・・。五月雨ちゃんは比較的上手なのですが、時々このように不慮の事故を自分の手で起こし失敗します。

 

「うわあぁぁん冷たーい!」と水面から顔をだし言う五月雨ちゃん。まだ4月、冬は終わりましたがまだまだ水は冷たいです。

 

「大丈夫?」と私は覗き込みながら言います。

 

「はいぃ、大丈夫です」と梯子を登ろうとする五月雨ちゃん。しかし途中で止まってしまいます。連日の練習と慣れない生活で、疲労が溜まっているのでしょう。

 

「手、貸そうかー」と私は手を伸ばします。「はい、お願いしますー」と五月雨ちゃんも手を伸ばします。しかし、私も同じように疲労が溜まってきているようです。引っ張る手に力が入りません。

 

「手伝います」と朝潮ちゃんが私の横から手を差し伸べ、二人の力で無事引っ張り上げることができました。

 

「ありがとうございます!吹雪ちゃん、朝潮ちゃん」にっこり笑顔を作って五月雨ちゃんが言います。

 

「いえ、困った時はお互い様です」そう固く答える朝潮ちゃん。一緒に訓練している時には、年下だとは思えない程、受け応えがしっかりしています。強い口調のため、最初は五月雨ちゃんや電ちゃんが一歩引いていましたが、今はそんなこともなく普通に接することができています。

 

「保健室に念のため行っておきましょう」朝潮ちゃんは五月雨ちゃんの懐に潜り込むと肩を貸す形で立たせます。

 

 「私も手伝うよ」と朝潮ちゃんに言いますが、その言葉を聞く耳を持たず、そのまま歩き出します。しかし、五月雨ちゃんは足に力が入っておらず、だれも支えていない方向に倒れ込みそうになり、朝潮ちゃんも一緒に倒れこみそうになりましたが

 

「不知火も手伝います」と不知火さんが二人を支えて事なきを得ました。

 

 自分の不手際を助けられたせいか、朝潮ちゃんがどことなくぎこちなく「おねがいします」と小さい声で言いました。ある程度は艦娘となっているので大丈夫ですが、やはり無理はし過ぎない方がいいようです。

 

 ふぅっとため息をつき、訓練しようにも疲労が溜まっているのを自覚した私は、何をするでもなく辺りを見回していると、訓練をそっちのけで違うことをしている二人がいます

 

「ここの振り付けはこう!」「こうですか」「違うよー」と那珂ちゃん先輩が漣ちゃんに振り付けを教えていました。

 

 そういえば、漣ちゃんが「那珂ちゃんは地下アイドルではそこそこ人気のあった人」「今年に入って話を聞かなくなったって思ったけど艦娘になってたとわ・・・」って言っていたような気がします。

 

それに対し那珂ちゃん先輩は「1月から那珂ちゃんは艦娘アイドル!何回かテレビCMで見なかった?」と言っていた気がします。

 

確かに、艦娘のCMでいたような気がします。でも、世間的には【大人気モデル2人、艦娘に転身】と長門さんと陸奥さんが大きく報道されて、CMもこの2人がメインだったような気がします。

 

 二人とも楽しそう、私もつい体が一緒に動いてしまいます。

 

「むっ」と那珂ちゃん先輩が私をロックオン。目で一緒に踊りたいの?ってメッセージを送信してきます。那珂ちゃん先輩の異変に気付いたのか一緒に漣ちゃんまで。

 

「わ、私はいいです・・・疲れてますから」丁重にお断りを入れたら

 

「大丈夫!疲れなんて那珂ちゃんと一緒に踊っていたら飛んでっちゃうよ!」とポーズを取りながら言ってきます。

 

「そう!漲ってキター!」と漣ちゃんも独自のポーズを取りながら言ってきます。

 

「あ、そのポーズいい!那珂ちゃんもらい!」と漣ちゃんと同じポーズをビシっ。

とその後色々なポーズを取りながら二人が私に迫ってきます。怖い!怖いです!ホラー映画よりよっぽど!

 

「二人とも、無理強いはいけませんよ」と私の後ろから声が響きます。

 

 その声にビクッと震える二人。

 

「それに、今は大事な訓練中です。ふざけていてもしもの時、本領を発揮できなかったらどうするおつもりですか」凛とした声が響きます。

 

 二人は言い返せないとスゴスゴ退散していきました。

 

「赤城さん、ありがとうございます」と私は振り向きながら言います。

 

「いえ、二人には困ったもですね」ひと段落したのか、カロリーメイトを頬張っている赤城さん。

 

「でも、いつもは真面目にやっていますよ」「はい、知っています」私のフォローにすぐ返し、続けます。

 

「しかし、自分の興味ないことに対する集中力の欠如は、無視できません」赤城さんはもう一箱開けて頬張ります。

 

「あ、あの。それ、おいしいですか」このままでは長い説教が始まりそうなので話題を逸らし。

 

「いえ、こういったものは食べたことないので、味見比べをしてみようかなって」よく見ると箱に書いている味が全部違うものだと気づきました。

 

「どれが好みの味ですか」「そうですね。全部、おいしいと思います」微妙に会話が成り立ってないような気がする。しばしの沈黙。

 

「吹雪ちゃーん」と地上訓練場からこっちに走ってくる人影。

 

「白雪ちゃん」とここだと手を振ります。

 

「どうしたの白雪ちゃん」「私も地上訓練終わって、明日からこっちに移るの」と逸る気持ちを抑えきれないというように私に伝えてきます。

 

「そうなんだー」と一緒に喜びます。一人でも一緒にやれる人がいるとやる気がアップします。

 

 赤城さんが誰なのでしょうか?という感じに佇んでいたので、私を介して自己紹介。

 

「訓練中、くれぐれも慢心のないようにしましょうね」その言葉に白雪ちゃんは「はい、ご一緒に頑張りましょう」と力強く返しました。

 

 二人がいい雰囲気を邪魔しない為に、冷えてきた体を温める為に、一人歩き出します。出撃ゲート周りは人が多く、歩くだけでも色々見えて楽しいです。いまだに口論をしている叢雲ちゃん、天龍先輩と龍田先輩。場所を変えて懲りずに振り付けを教えている那珂ちゃん先輩と漣ちゃん。他にもいろいな人が、それぞれのテンポで訓練を続けています。

 

 そうやって歩いていると、前の方でうずくまる2人。電ちゃんと阿武隈先輩のようです。

 

「ご、ごめんね・・・電ちゃん」と涙目の阿武隈先輩。

 

「はわわ・・・」額を掌で抑える電ちゃん。

 

 それを見てため息をついている大井先輩と笑い転げている北上先輩。大井先輩に何があったのか聞くと、どうやら先輩方が座って話していた時、着水のコツを教えてもらおうと電ちゃんが話しかけ、阿武隈先輩が振り向きながら立ち上がって頭をぶつけたようでした。

 

 このカオスな状況を収める仕事はいつも大井先輩です。

 

「二人とも、ぶつけたところ見せてくださいな」優しい声音で二人の接触場所を見ます。それにおとなしく従う電ちゃんと阿武隈先輩。

 

「これくらいなら、大丈夫そうね」と二人の傷跡を撫でる大井先輩。二人とも気持ちよさそうです。

そのころには北上先輩もある程度おさまったようで、顔をヒクつかせながら「だ、大丈夫二人とも」と心にあるのかないのか分からない言葉を投げかけます。

 

「もー、笑うなんてヒドイわ北上さん」「なのです!」二人は北上先輩に怒っているよう。

 

「えーそんなこと言ったってさ、普通あんな感じに頭ぶつけたりしないって」怒っている二人に気にすることなく飄々と言い放ちます。

 

 ムムム・・・と二人は北上先輩を睨みます。

 

「わ、悪かったって」北上先輩はドウドウと二人を諌めます。

 

 とりあえずは満足したのか、電ちゃんと阿武隈先輩は向き合い、謝り合っています。

 

 とこんな風にいつも訓練を続けています。今日は平日ということもあって、みんな好き勝手していますが、休日はそうはいきません。朝から夜までみっちり練習です。不知火ちゃんには「戦えるだけの技術が付けば一先ず落ち着いていきますから、それまでの我慢です」と言われ・・・そこまで行くのに後どれだけ必要なんだろうと不安になります。

 

 

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 水上訓練をはじめ3週間程経ちました。今では地上訓練をほとんどの人が終え、私達4月初めに水上訓練に入った人は最後の段階に移行していました。今、私は出撃ゲートの前に立っています。今日は試験日、水上訓練修了試験、週あに1度だけの志願制です。やることは単純、50m・・・岸壁が途絶えるまでに滑走すること。すごく難しいです。着水時に勢いをつけすぎてバランス崩す、勢いを殺し過ぎて止まってしまえばそこで失格。その後のバランスを取るための走り→スケーティング→滑走にという順に切り替え。この間にもいくつかルールがあり、それもクリアしなければなりません。

 

 私は胸に手を当て今までしてきた訓練を思い出します。大丈夫、これだけしてきたから。お審査員である加賀さんが私をじっと見ます。早くしろというような目で。

 

「吹雪、出撃します」私は蹴りだいました。

 

 勢いよく蹴りだすと10mの高さから落下が待っています。ここで臆すると、必要以上に勢いを殺して失格をもらうことになります。放物線は垂直に落ちないようになるのが理想です。着水。上手く体が前のめりにならないようにそして勢いを殺さないように水の上を駆け出します。その後スケーティングと一緒に滑走のためのスクリュー起動の準備を。この時滑ること、準備どちらにも神経を使います。そうしなければ横にそびえたつ岸壁にぶつかったり、準備に手間取って規定以内で滑走することができず、失格となるからです。

 

 スクリューも起動するのに時間を要します。その間にスケーティングで進路を決定、姿勢を正し、綺麗な形で海に出られるようにします。スクリュー起動を確認し滑走に切り替え、この切り替えタイミングを失敗すると、スクリューによって足があらぬ方向を向き、岸壁に激突、またはこけてしまう恐れがあります。足を出口へ向けて固定、体は胸を張って。まだ、両端には岸壁が見えるので規定内で済ませることができたようです。

 

 そののまま滑走していくと、今まで岸壁によって視界が狭く暗かった世界が、一面を青く光らせ何も遮ることはない世界に変わりました。大海原です。今まで感じたことのない潮風が体を包み込みます。清々しい気持ちで忘れていて、外に掛けてある網に引っ掛かってしまいました。それも気になりません。それだけの達成感を感じています。

 

「大丈夫かしら」加賀さんが来てくれて引っ掛かった艤装などをはずてくれます。それに対して私は「大丈夫です!」と元気よく答えました。今の私はとにかく上機嫌です。

 

 ゲート前に戻ってきて、加賀さんは一言「合格よ、この先もがんばりなさいね」と言って審査員席に戻りました。あまりに簡素な合格発表に肩透かしを感じましたが。合格は合格です。らんらんとみんなが待っている部屋に戻ってきました。

 

 その後、皆に合格を伝えた私は、もみくちゃにされて祝われました。不知火ちゃんを抜けば私が駆逐艦第一号。最初の駆逐艦艦娘となりました!その後、電ちゃん、五月雨ちゃん、叢雲ちゃん、漣ちゃんも合格をもらい私達5人は今日付けで無事艦娘として活動できるようになりました。ちなみに、天龍先輩と叢雲ちゃんがどっちが先かでもめていました。が、龍田さんは先週合格を貰っていたので、やはり天龍先輩は龍田先輩のおかげで劣勢の舌戦となっていました。




書いてて纏まらない。そして気づいた、纏まったことがないや。
ここからもっと纏まらなくなる気がする。でも書く
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