俺の人生の目的は、おっぱいに触れることだ 作:いらちん丸
「おっぱいを揉みたい」
それが、俺の人生最大の夢だった。
さりげなくでいい。
女性についている、張りがあり、弾力もあるであろうおっぱいに触れてみたい。
だが、俺は自慢ではないが――極度のコミュ障であり、極度の人見知りだ。
彼女はもちろん、女の子の友達すらできたことがない。
そんな俺が、どうやっておっぱいに触れる?
答えは一つしかなかった。
武道だ……!
そう、武道ならば、おっぱいに触れる可能性がある。
例えば、俺が空手をやっていたとしよう。
練習相手でもいい。
試合相手でもいい。
もし相手が女性だった場合――
俺が相手のボディを狙って、正拳突きを放つ。
そして相手が避けきれず、俺の拳が胸に触れてしまったとする。
これは事故だ。
あくまで武道の試合中に起きた、不可抗力の事故。
俺が意図的に触ったわけではない。
つまり――
合法的におっぱいへ接触できる!
なんて素晴らしいんだ、武道!
もちろん、こんな邪な理由で武道を始めようとしている俺の考えが、武道に人生を捧げている人たちへの冒涜であることくらい分かっている。
だが、それがなんだ。
俺にはこれしかない。
これしか方法がないんだ!
おっぱいに触れるためには――武道しかない!
そう決意した俺は、高校を選ぶ際も迷わなかった。
空手の強豪校。
ここしかない。
ここから俺のおっぱいライフが始まるんだ!
そう意気込んで高校へ入学し、期待に胸を膨らませながら空手部の道場へ向かった。
頭の中は、いっぱい、おっぱい、おっぱいでいっぱいだった。
しかし――。
「女子?」
入部初日に先輩から言われた一言で、俺の夢は打ち砕かれた。
「お前、ここ男子校だぞ?」
その瞬間、俺は天を仰いだ。
満遍なく広がる青い空――ではない。
視界に入ったのは、道場の屋根裏だった。
「んで、入んの?」
なぜ「いいえ」と言えなかったのか。
嫌でもわかる、俺が極度のコミュ障だからだ。
そして、それから色々なことがあった。
全国大会に出場しても女子と当たることはなく。
その怒りをすべて試合にぶつけた結果――なぜか優勝。
そして優勝したその日にトラックに轢かれ――異世界へ転生。
転生した世界で孤児になり、スパルタ鬼畜師匠に拾われ、地獄のような修行をしながら生活して。
気がつけば、俺は騎士になっていた。
本当に色々あった。
だが、そんな波乱万丈な人生を送った俺にも、ついに願いが神に届いたのかもしれない。
「クシロフ・アルメイダ! 貴方に決闘を申し込むわ!」
今もこうして、一人の女騎士が俺に決闘を仕掛けにきている。
綺麗な群青色の髪。
鋭い眼光。
それでいて、整いすぎている顔立ち。
そして何より――。
その胸元にある大きな二つの果実。
「…………」
たまんねぇ。
たまんねぇぞ。
これだ。
これなんだ。
俺が前世から求め続けたもの。
武道を始め、全国大会を制し、異世界へ転生し、修行を重ね、騎士にまでなった。
そのすべてが、今この瞬間のためにあったのかもしれない。
俺はゆっくりと拳を構えた。
「いいぜ(おっぱいを)揉んでやる。」
「ふん! 望むところよ!」
ーー
先手を仕掛けてきたのは、群青色の髪をした女騎士――グレイシア・ソルジャーだった。
彼女の得意な戦い方は、先手必勝。
相手が動きを認識するよりも早く踏み込み、一撃で勝負を決める。
それがグレイシアの剣だった。
「だぁっ!!」
来る。
そう思った瞬間には――もう遅い。
グレイシアの姿が消えた。
いや、正確には消えたように見えただけだ。
一瞬で距離を詰めたグレイシアが、クシロフの首へ向けて剣を振り抜く。
速い。
あまりにも速く、初見で見切ることなど、まず不可能。
――だが。
グレイシアの剣は、クシロフの首へ届くことなく止まっていた。
クシロフの片手によって。
掴んだわけではない。
手を手刀の形に変え、刃の側面を受け止めている。
真剣を――素手で。
グレイシアは目を見開いた。
(嘘……でしょ……?)
今の一太刀は、彼女がこれまで磨き上げてきた中でも最高の一撃だった。
それを。
片手一本。
まるで、そこに剣が飛んでくることを最初から知っていたかのように止められた。
その瞬間、グレイシアの脳裏に、騎士になって間もない頃に同期たちから聞いた噂が蘇る。
『クシロフ・アルメイダは、騎士なのにもかかわらず剣――いや、武器すら使わずに相手を圧倒することができる』
当時のグレイシアは、その噂を笑っていた。
武器を使わない騎士?
そんなもの、いるわけがない。
魔物や魔族。
敵国の騎士。
そんな相手を、素手でどうやって倒すというのか。
ただの誇張だと思っていた。
――だが。
(……あの噂は本当みたいね。)
目の前にいる男が、その噂が本当であることを示した。
(止められたから何よ!)
グレイシアは前向きだった。
すぐに思考を切り替え次の一手を考える。
(止められたなら、斬れるまで斬り続ける。それだけよ!!)
剣を振り抜き、クシロフの手を払いのける。
そして次の瞬間。
一太刀ではない。
二太刀、三太刀――。
さらにその先。
嵐のような斬撃を叩き込んだ。
キィンッ!
硬い金属同士がぶつかったような音が響く。
キィンッ!
キィンッ!
キィンッ!
グレイシアが振るう剣を、クシロフは一太刀ずつ正確に受け止めていく。
(たく……どういう手の硬さをしてんのよ!!)
人間の手から鳴るはずのない音が、何度も響く。
そして――。
「っ!」
グレイシアの体がわずかに揺れた。
防ぐだけではなくクシロフの手刀が、いつの間にか彼女の体へと叩き込まれていた。
(速い!防げない!)
だが、その手刀には先ほど剣を受け止めた時ほどの硬さはない。
そして何より――。
(……なんで、胸ばっかり……!)
クシロフは決して顔や首を狙わなかった。
狙うのは、いつも胸の辺り。
ドッ!
「くっ……!」
ドッ!
「この……!」
ドッ!
「舐めるな!!」
グレイシアは怒りを露わにする。
これは決闘だ。
命も、名誉も、誇りも。
すべてを懸けて戦っている。
なのに――。
目の前の男からは、殺意がまるで感じられない。
いや。
正確には、戦う気すら感じられない。
まるで遊ばれている。
そんな錯覚すら覚える。
グレイシアの胸が、クシロフの攻撃を受け止める
普段は騎士として生きる上で邪魔だと思っていた、成長しすぎた胸。
それが手刀の衝撃をクッションのように吸収している。
(……こんな時だけ、自分の胸に感謝することになるなんて)
グレイシアはそんなことを考えてしまった自分に少し腹が立つ
(このままじゃ……勝てない)
グレイシアは大きく後ろへ跳び、クシロフから距離を取った。
「はぁ……はぁ……」
荒い息が漏れる。
対してクシロフは――。
汗一つかいていない。
息も乱れていない。
ただ、無表情でこちらを見ている。
グレイシアは剣を握り直す。
外から見れば、まだ分からないかもしれない。
自分がこれだけ攻め続けているのだ。
互角に見えるかもしれない。
だが、武道を極めた者なら一目で分かる。
――圧倒的に、私が負けている。
(でも……)
グレイシアは顔を上げた。
(私は絶対に勝つ!)
なぜなら、彼女には目的がある。
騎士団長になる。
そのために、この決闘を申し込んだ。
クシロフ・アルメイダには、二つの噂がある。
一つは――武器を使わず、相手を圧倒するほどの実力を持つというもの。
そしてもう一つ。
『クシロフ・アルメイダに決闘を挑み、勝利した者は騎士団長候補になれる』
という噂だ。
普通なら、ただの噂として聞き流す。
まだ騎士団に入って間もないグレイシアが、実績を積み上げているクシロフに決闘を挑むなど無謀すぎる。
だが、この噂には確かな裏付けがあった。
全騎士たちの憧れ。
氷炎の騎士団長――エリザ・クリスタ。
彼女が、この噂を否定しなかったのだ。
だからこそ、グレイシアはここにいる。
(次の一太刀に……すべてを懸ける!)
グレイシアは再び居合の構えを取った。
剣へ魔力を流し込む。
全神経。
全身全霊。
自分が持つすべてを、一振りに込める。
「だぁああああああっ!!」
ーー
グレイシア・ソルジャーは、剣の天才だった。
生まれ育った道場で初めて剣を握った時から、その剣は周囲の子供たちとは明らかに違っていた。
速く鋭く重い。
そして、剣を振るたびにさらに速くなる。
いつしか周囲からは――。
「剣に愛された神子」
そう呼ばれるようになった。
だが、それでもまだ一生を剣に捧げてきた大人たちには勝てなかった。
初めて負けというものを経験したグレイシアは、なぜ自分が負けたのかを大人たちへ問いかけた。
返ってきた答えは、いつも同じだった。
「まだ、お前は若いからだ、何年かすれば我々を越すだろう」と。
若い。
その言葉が、グレイシアには理解できなかった。
若さが剣に関係するのか。
ならば、今まで自分たちが若い頃から積み重ねてきた修行は何なのか。
年齢が、剣の強さを決めるのか。
今の若い私ではお前達に勝つことは絶対にできないのか?
――否。
そんなはずはない。
年齢も経験も関係ないと証明してやる。
速さも、鋭さも。
すべてを超えてやる。
それから三日も経たないうちに、グレイシアは大人たちを打ち負かした。
そして、それをきっかけに彼女は努力を覚えた。
何千回。
何万回。
ただひたすら剣を振った。
振るたびに速くなる。
振るたびに鋭くなる。
才能だけで剣を振っていた少女が、努力まで手に入れた。
だからこそ――。
グレイシアは強かった。
いや。
強くなり続けていた。
そして今、彼女が放とうとしている一撃は、これまでの人生で振るったどの剣よりも速く、鋭い。
「これで――終わりよ!!」
踏み込み、地面が弾け剣が走る。
音すら置き去りにする一閃。
(私の勝ちよ!!)
――だが。
「…………」
クシロフは動かなかった。
避けない。
構えない。
ただ、手を伸ばす。
そして。
そっと。
剣へ手を添え止まった。
(え……?)
グレイシアの目が見開かれる。
(う、嘘……)
今まで振ってきた中で、最高の一振り。
それが。
傷一つつけることなく。
まるで子供の木刀でも受け止めるように、止められていた。
(そんな……)
理解できない。
理解したくない。
自分が積み上げてきたすべてが、目の前の男には届かなかった。
「ありがとう」
クシロフの口が動く。
「…………え?」
グレイシアは戸惑った。
なぜ、ここで感謝する?
何に対して?
その答えを考えるより先に――。
「……っ!」
クシロフの姿が消えた。
(く、来る!)
グレイシアは咄嗟に防御へ移ろうとする。
だが遅い。
手刀。
それだけだった。
グレイシアが今まで追い求めてきた「最速」を、遥かに上回る一閃。
「……あ」
視界が揺れる。
力が抜けていく。
そして、倒れながらグレイシアは思った。
(こんな……化け物が……いるなんて……)
薄れゆく意識の中で、初めて理解する。
自分は強い。
ずっとそう思っていた。
だが世界は、自分が思っていたよりもずっと広い。
そして、自分が知っている強さなど――世界のほんの一部にすぎなかったと。
(……世界って……広いのね……)
グレイシア・ソルジャー。
彼女にとって、これは初めての真の敗北だった。
かつて大人たちに負けた時とは違う。
自分が信じていた「強さ」の基準そのものを、目の前の男に壊された。
それこそが――。
彼女にとって、本当の敗北だった。
ーー
いや。
あの子剣速、速すぎだろ!!
速すぎて背筋がひゅーってしたわ!!
なんなの、あの子。
俺、普通に殺されかけたんですけど!!
まぁ、決闘だから仕方ないんだけど。
……おっぱい触れたからいいんですけど!
いやー、それにしても異世界の女の子は、なんでここまで巨乳が多いのかね。
けしからん。
全くもって、けしからん。
それにしても、あの子のおっぱい。
張りがあって、触り心地が良かったなぁ。
気づかれないためにも、触れる瞬間は一瞬だけだったけど。
ぷるんぷるんよ。
ぷるんぷるん。
これだから手刀はやめられんのだよなぁ。
剣とか武器なんかじゃ味わえない感触。
それに、剣で女の子を斬って傷跡でも残したら大変だしね!
いやぁ、それにしてもいい決闘だった。
この子には感謝しきれないくらいだよ。
まぁ、ちゃんと。
「(おっぱいをいっぱい触らせてくれて)ありがとう」
って感謝は伝えたから、よしとするか。
さぁて。
決闘も終わったことだし、仕事にでも向かおーっと。
エルザちゃんにお仕事もらいに、ほら、行くどー!
主人公のもっとアホなとこが見たい!と思った方は評価の方よろしくお願いします。