なぁことも、そろそろ帰らないか?もう夕方だし、夜になる前に帰るって義姉さんと約束しただろ?『もと』お兄ちゃん、疲れちゃってさ。
「でも、ポロがまだ…」
「わん、わん!」
…はぁ。ポロ〜、元気なのは良いけどさ、いい加減帰ろうぜ?明日になればまたたくさん遊べるんだから。トンネルを見るのは久しぶりだからってはしゃぎすぎたって。夜は暗くて怖いんだから、今のうちに…
……また、これか。もう慣れてきたと、思ってたけど。今回は、いつにもまして痛いな…。もう時間は与えないってか?
「おにいちゃん、だいじょうぶ…?め、いたいの?」
「わふ?」
あぁ、大丈夫だよ。少し目眩がしたってだけ。ほら、俺も少し疲れてきちゃったからさ、もう帰ろう。ことも、ポロはもう抱えちゃって。
「うん。おいで、ポロ」
「わうぅ…」
よしポロ、そのまま大人しくしてくれよ?こともに夜遊びさせるわけにはいかないからさ。…このまま、何事も無く帰れたら
コロン…
…なにも、聞いちゃいない。なにも、見ちゃいない。そうだ、まだ夜はきていないんだから。…なぁ、ことも。夜が明けて、明日になったら…何がしたい?
「あした?ん〜…おねえちゃんともあそびたい、な」
そっか。…そうだな。明日は、四人で一緒に遊ぼうか。みんなで遊ぶ方が、楽しいもんな。それなら、今日は早く寝ないとだな。そうしたら、朝早くからでも遊べるぞ。…っと、もう家に着いたか。義姉さん!ただいまー!
「ただいまー!」
「お帰り、二人とも。…もと?どうしたの、そんな顔して」
義姉さん。…また、『夜』がくるみたいだ。もう時間は残ってないってさ。だから、今夜は夜が明けるまでこともとポロを頼むよ。今回は、俺一人で終わらせてくるから。
「…やっぱり、『アレ』が…?でも、一人でいくなんて…本当に、大丈夫なの?」
大丈夫だよ、このときのためにずっとずっと…あの野郎に引導を渡すために、備えてきたんだから。義姉さんももう、夜を廻りたくはないでしょ?こともにやらせるなんて、できるわけないし…今度は俺の番ってだけだよ。
「どうしてそんなところで、私に似ちゃうのかな…うん、こともとポロは任せて。…絶対に、帰ってきてね?」
分かってるよ。それじゃ、ことも。今日は義姉さんとポロ、三人で寝るんだよ。…もし何か、変な声が聞こえても。絶対に、答えてはいけないよ。それで目が覚めたとしても…聞こえないふりをするんだ。
「…?おにいちゃん、いまからどこかにいくの?よるはあぶないって、いつもいってるのに」
ちょっとやらなきゃいけないことがあるんだ。こともは先に寝ててくれないかな。お兄ちゃんを信じて、ね。
「………うん。きをつけてね、おにいちゃん。…ほら、いこうポロ」
「もとも、少しは休んでいったら?部屋に置いたままのものもあるでしょ?」
うん、そうするよ…また明日。…よし、部屋に戻るとしよう。早く荷物を整えないと。えぇと…ライターに懐中電灯、神社の塩。それからお守りに、水と鉄パイプに…百足の彫られた石。これをリュックに入れて、と。これで全部だから…いくとしよう。体が恐怖に呑まれる前に、終わらせるんだ。…いってきま
『ほんとうにいくの、おねえちゃん…よるはあぶないって、かあさんもいってたのに…』
『おかあさんをさがさないとだから。…ことものことはたのんだよ、もと。…いってきます』
『まって…!……たのんだって、ひとりじゃ…!でも、ぼくまでいったら、だれがこともを…どう、すれば…?』
………今の、は。前の『夜』のときのか?ずいぶんと懐かしいものを…。あのときは、義母さんが『山』に攫われて。それを義姉さんが探しに行ったんだったな。…あんなことは、もう誰にもさせたくない。それに…明日は朝からこともと、義姉さんと、ポロと。一緒に遊ぶんだ。心配は、かけたくないから…『夜』を終わらせて、夜明けまでに家に帰ろう。
目標『夜を終わらせ、家に帰る』