『双方、機体配置完了! これよりプロメテウス社・IMA社合同技術交流会、実戦テストを開始します!』
「「バトルスタート」」
「行け!ブルド!!」
「迎え撃て!メランダー!!」
双方の掛け声が響き渡るとともにDキューブ内で激しい駆動音が鳴り響く。ブルド、そしてタンク仕様のメランダーの重厚な履帯から発している音だ。どちらの機体も相手の様子をうかがうことなく相手に向かって突進していく様子を見るに互いに機動力を生かしたヒット&アウェイといった戦術に頼らない、正面から相手を叩き潰す――そんな戦い方だ。
(正面突破。ブルドに限らず、プロメテウス社製のLBXが最も得意とする戦い方。つまりそういったLBXを開発してきた彼らにとっては最も得意な戦い方でもある。なら下手に小細工を行った戦い方よりも真っ向から戦う方が好感度も上がりそうだ)
そういったバトルに関係ない打算的な、ある意味社長らしいことを考えながらCCMを操作していく。
相手のブルドは右手に持斧系カテゴリーの中でもトップクラスに人気の高いグレートアックス、左手には機体の9割ほどを覆うほど巨大なタワーシールドを装備している。一般的に使用されているブルドよりも駆動系を重点的に強化することによって本来なら重量過多となりまともに動かすことができなくなるような超重量の装備でも難なく取り廻せるようにカスタマイズされているようだ。
「まずは挨拶代わりに」
そう言いながら右手に装備させたHU-BENによる攻撃を行う。
ガガガガガガガガガガガガッ!!!
連射音が轟くとともに大量の弾丸が放たれる。一瞬の隙も見つけられぬほどの弾丸の奔流に対し、盾を構えたブルドが真正面から突き進む。無数の火花を散らしながらそれでもなお怯まずに突き進んでくる。タワーシールドの圧倒的な防御力と強化された駆動系が生み出す推進力によって弾幕の衝撃を正面から強引にねじ伏せる。
その頑健さ、駆動系の推進力はさすがプロメテウス社といったところ。しかし攻撃が完全に防ぎれた訳ではなく、ブルドの持つ盾にはいくつもの細かい亀裂が走り、被弾の多かった盾の中央付近はかすかに歪んだようだ。
「これは少々見誤ってしまったようですね……!」
そう言いながらバトルの相手であるプロメテウス社の研究員は被弾を抑えるべくブルドを操作し、蛇行させながらメランダーへと肉薄させてくる。
「近づけさせるなメランダー!!」
すかさず左手のバズーカ『DIZZY』をブルドのそばに向けて放つ。狙いはブルド本体ではなく、その足元の地面。ブルドはとっさに回避行動を行う。
しかし直撃を避けたからと言ってDIZZYの脅威が去るわけではない。
地面に着弾したDIZZYの砲弾が閃光を放ったかのように見えたその瞬間、すさまじい爆発音が鳴り響き、爆炎と衝撃がブルドへと襲い掛かる。
爆炎が収まりあたりに一帯に黒煙が漂う。爆発の規模が大きかった分、黒煙の量も多く、肉眼でもCCM越しでもブルドを見失ってしまった。
どこだ、と思考をしたその刹那。黒煙を切り裂きながら既に攻撃態勢に入っているブルドが現れ、メランダーへと渾身の一撃を繰り出す。
「......ッ、防げなかった...!」
ブルドの渾身の一撃を防ぐことができず、メランダーの頭部の大部分がひび割れ、胸部に至ってはブレイクオーバーには至らずとも大きな亀裂が走り、左腕と連結する駆動系がやられたのかCCMの操作を受け付けずDIZZYをその場に落としてしまう。
「これでとどめとさせてもらいます!!」
《アタックファンクション レイジングアックス》
ブルドが最後の一撃を放つために斧を担ぎエネルギーを集約させている。ブルドの状態を一瞥してみれば左腕は完全に壊れており、機体のところどころは融解したような跡がある。おそらくはDiZZYから放たれた砲弾が爆発したあの一瞬、ブルドはとっさにタワーシールドを掲げて爆風を防ごうとしたのだろう。だが完全には防ぎ切れておらず、エネルギーを集約しているこの瞬間にすら機体が悲鳴を上げているのが見て取れる。
(おそらく、機体の限界を悟って完全に勝ち切るためにアタックファンクションを発動した...。だったらッ...!)
エネルギーの集約が完了したブルドがメランダーへ向けて必殺の一撃を放った。並の...いや、この世界の知識のみで開発されたLBXならば、たとえ物語の主人公の機体であっても完全に破壊され、敗北を味わうことになっていただろう。しかし、この機体はIMA社...すなわち闘争を求めてしのぎを削りあう戦場を知る転生者《レイブン》たちによって再現された『ARMORED CORE』でもある。ならば当然ACが持つ当たり前の機能だって備わっている。
「ここだッ!!クイックブースト!!!」
今は重量機体であるはずのメランダーが、わずかな距離ではあるもの急加速し、ブルドとの距離がなくなる。
「なにっ......!?」
相手の研究員が驚きの声を上げると同時に、メランダーをとらえるはずだった『レイジングアックス』は空気を引き裂くだけに終わった。メランダーの思わぬ急加速に対応できず、ブルドの体勢が大きく崩れる。その大きな隙をレイブンが逃すはずもなかった。
「これで、とどめ!!!」
残された右腕を突き出し、ガトリングガン『HU-BEN』の銃口をブルドの胸部装甲へ直接叩きつけるように押し当てる。ブルドがガトリングガンから逃れようと動き出すがもう遅い。
BORNEMISSZAの履帯をフル回転させることでブルドに前進も後退も許さない。そのままゼロ距離で引き金を引き続ける。
――ガガガガガガガガガガガガッ!!!
至近距離で放たれた銃弾の嵐が余すことなくブルドへと叩き込まれていく。削られ、溶解した装甲を完全に破壊し、ついにはブルドの胸部を完全に穿った。
ブルドが力なく倒れ、メランダーはそれを見守る。
――――勝者――レイブン――――
いかがでしたか?戦闘描写についてはAC6のストーリートレーラーを半ばオマージュしたような形で書いてみました。加えて、ダンボール戦機っぽいバトルではなく、アーマードコアの戦闘が行われているような表現をしてみました。
楽しんでいただけたのなら幸いです。
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