それではどうぞ
広大な雲海に、のんびりと動く
そしてここは、小さな巨神獣が点在するリベラリタス島嶼群の小さな村。名をイヤサキという。
この村では、子供達ははしゃぎ、大人はそんな様子を眺めながら仕事に取り組む。俗世から離れた、穏やかで平和な村である。だが今日は、いつもとは違う雰囲気であった。
村人全員は入り口に集まり、何とも言えない雰囲気で一人の少年を見つめている。その視線の先にいる少年の名はレックス。彼はこれから横にいる小型巨神獣のセイリュウと共に、世界を駆ける。目的はアルストの中心にそびえ立つ『世界樹』、そしてその上にある『楽園』、この二つの情報を集めることだ。彼は人々が住まう土地であり、生命を紡いできた巨神獣が減少している現状を前に、どうか不幸な人間を減らそうと、楽園の手がかりを探すのだ。
「すまないねレックス。ボクとしてはついて行きたいけれど、ドライバーがうるさくってね」
皆が別れを告げる中、胸元に黒いクローバーの石が埋め込まれた女性がレックスに駆け寄る。彼女の名はペイル。人間ではなく、この世界の亜種生命体である。
「別にいいよ、ペイルさん。俺はアニキ達の助けがなくたって生きていけるって」
「そうかい?ボクからすれば、君はまだまだ子供に見えるけどねぇ」
ネイビーブルーのポニーテールを揺らしながら、ペイルは目を細め、ニヤニヤと口角を上げる。
「まぁペイルの疑念はもっともじゃが、ワシもついとるし大丈夫じゃろ」
横からセイリュウが口を挟む。
「そーゆうこと!じゃあそろそろ行くよ。じゃあね皆んな!!」
レックスはセイリュウに飛び乗り、村人に手を振る。村人もレックスが地平線の果てに消えるまで手を振り返し続けた。
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レックスがイヤサキ村を出た夜。ペイルは台所で鍋を回している。その隣には、彼女のドライバーである男が食材を切っている。その男はスラっとしていながらもガッチリしたボディに、無精髭を生やしていた。頭はスキンヘッドで、頬を走る古傷は、彼が歴戦の猛者であることを物語っている。
「ところでジン。君は見送りに来なくてよかったのかい?」
「ああ。アイツは見ず知らずの他人を助けようとできるお人好しで、俺とは正反対の人間だ」
その男:ジンは目を伏せる。
「俺は今も昔も変わらない。金に貪欲で、自分本位で、見ず知らずの他人を助けようとは考えない。俺にアイツは…眩しすぎる」
「…それは、君の都合だ。レックスはそんなこと知ったこっちゃない」
そう言われたところで、ジンは食材を切る手を止める。
「……そうだな。すまない、辛気臭い流れにしてしまった。食事前なのに」
「構わないよ。キミはいつも私の前でしか愚痴は吐かないからね。そんなことよか、その切った食材を寄越したまえ」
「はいよっと」
数分後、二人は食卓についた。卓上には、パンにスープだけの質素なものだが、これが二人の日常である。
「「いただきます」」
二人がパンに手を伸ばす。パンはほんのりと甘い匂いを放ち、二人の気分を高揚させる。熱を帯びたそれを口に運ぼうとした瞬間…!
『ジリリリリリリリリリリリリ!!』
どこからともなく音が鳴り始める。
「この音は…」
何かを察したジンは、家を出て裏手の倉庫の扉を開ける。そして音の発生源を引っ張り出し、キッチン台の上に置く。
「うわ懐かしいな。これ傭兵やってた頃に依頼窓口として使ってた通信機だろう?何でこんなものが?」
「知らん。怪しいが…繋げてみよう」
ジンは通話ボタンを押す。すると、画面に一人の老人が映し出される。
『どうやら繋がったようだな。初めましてだな、《八咫烏のジン》殿』
「……スペルビア帝国の、ローデリッヒ議員だったか?」
『いかにも。私がローデリッヒだ。今回通信したのは他でもない。貴殿らに秘密裏の依頼が「断る」…即決だな』
「当たり前だ。そもそも俺たちは傭兵稼業から足を洗ってんだ。いくら金を積まれようと、一般人である俺たちに依頼を受ける義務はない。分かったら他の傭兵に頼むんだな」
『……貴様は立場がわかっていないようだな』
ローデリッヒの顔がより一層険しくなり、口調も高圧的なものに変わる。
『確かに貴様らでなくとも、この仕事を完遂できる傭兵はごまんといる。故に断ってくれても構わない。ただリベラリタスにある村が一つ地図から消えるだけなのだから』
その言葉を聞いたペイルは家から飛び出し、数秒後慌てた様子で戻ってくる。
「ジン。数キロ先に巨神獣兵器三体。どいつも遠距離狙撃用のカノン砲を装備している。あと潜水艇も一隻確認した。どうやら本気らしいね」
「……そうまでして何を求めるんだ?」
ジンは焦るそぶりなくローデリッヒに問いかける。
『やっと聞く気になったか。…依頼内容は、テンペランティアの発掘調査だ』
「ユーディキウムか」
『詳しいじゃないか。あの土地の発掘は、我が国にとって莫大な利益となる。だが安全性はイマイチ信用できん。そこで貴殿らには発掘隊の護衛をしてもらいたい』
「危険な仕事だな。報酬は?」
『50万ゴールド』
「随分と奮発したな」
『それだけ危険ということだ。では明日の午前9時、リジテ港に来い。迎えを用意しよう。ではな』
ぷつりと通信が切られる。画面はもうローデリッヒではなく、反射したジンの顔を映すのみであった。だがその顔は、どこか覚悟に満ちていた。
「…ジンどうする?っていってもその顔は、ヤル気だね?」
「ペイル。出立の準備をするぞ。癪だがこの仕事受けよう」
ペイルは頷くと、倉庫へ向かう。ジンは棚から黒いバンダナを取り出し、頭に巻く。
「懐かしいね。…全く」
ペイルは微笑みながら、鞄に荷物を詰める。非常食、水筒、タオル、etc。
「よし。行くか」
深夜0時。村人が寝静まる中、二人は村を後にした。
ペイルの武器や属性、アーツなどなど…決めることがいっぱいですね。
まとスレのサブでやることになりそうなので、ちょっと更新は遅くなるかもしれませんが、ぜひ楽しんでいってください♪