指揮官は今日もKAN-SENに振り回される ~アズレン短編SS集~   作:げーりっく

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君のことが大大大大大好きな838人のKAN-SENから君は逃げ切れるか?


指揮官が死んだふりをして母港から逃げた結果(明石)

心電図「」ピーーーッ

 

ジャベリン「指揮官っ!!指揮官っ!!!」ぽろぽろ

 

パーシュース「……22時47分」ぐすっ

 

赤城「指揮官さまぁ~……」

 

レキシントン「あ、ははは……」ガクッ

 

サラトガ「お、お姉ちゃん……」

 

明石「みんな……悲しいところ申し訳ないにゃ指揮官のご両親とリモートで繋げるから、出てってもらえるかにゃ……」

 

ラフィー「指揮官っ……!!」ぽろぽろ

 

Z47「どうしよどうしよどうしよう……どうやって生きていけばいいの……」ブツブツ

 

ぞろぞろ……

 

バタン

 

明石「……にゃっと」カチッ

 

ブォン

 

心電図「」ピッ…ピッ…

 

72 bpm

 

指揮官「ぷはぁっ!!本当に死ぬかと思った!!」

 

明石「早く準備するにゃ!!気づかれちゃうにゃ!!」バシッ

 

指揮官「痛っ!!死人を叩くなって!!」ガサゴソ(リュックに現金や身分証を入れる)

 

指揮官「ここからどうやって逃げるんだよ」

 

明石「そこのロッカーの下が開くようになってるにゃ地下の秘密通路から個人用潜水艦で本土まで逃げるにゃ」

 

指揮官「おお……意外と考えてんなよし、準備できたぞ」

 

明石「指揮官そっくりのダミー遺体も設置済みにゃ明石はこのあと遺族対応で本土に向かったことにするにゃ」

 

指揮官「手回し良すぎだろ」

 

明石「当然にゃ」

 

指揮官「よし行こ──」ガシッ

 

明石「……何か忘れてないかにゃ」ぷいっ

 

指揮官「はいはい……」

 

チュッ♡

 

指揮官「一緒に行くぞ明石」なでなで

 

明石「にゃ……♡」

 

〜三ヶ月後・母港執務室〜

 

女指揮官「……平和ね」カリカリ

 

TB「肯定直近30日間のKAN-SEN同士の重大なトラブルは0件です」

 

女指揮官「着任前に聞いてた話と全然違うんだけど」

 

TB「前任指揮官在任時には、秘書艦を巡る口論、無断侵入、私物の持ち去り、夜間の執務室周辺への滞在等が頻発していました」

 

女指揮官「最後二つ犯罪じゃない?」

 

TB「判断を保留します」

 

女指揮官「そこは判断しなさいよ」

 

コンコン

 

ジャベリン「失礼します今日の委託報告書です」ペコッ

 

女指揮官「ありがとうそこ置いといて」

 

ジャベリン「……」

 

女指揮官「……ジャベリン?」

 

ジャベリン「っ……すみません」ぐすっ

 

女指揮官「!?」

 

ジャベリン「紙の端に……前の指揮官の字が残ってて……」ぽろぽろ

 

女指揮官「あ……」

 

ジャベリン「大丈夫です!今日も一日頑張りますから!」ゴシゴシ

 

女指揮官「今日は休んでも──」

 

ジャベリン「休みません」

 

女指揮官「……」

 

ジャベリン「だって指揮官、帰ってくるかもしれないじゃないですか」

 

女指揮官「ジャベリン……」

 

ジャベリン「三ヶ月分の報告書も全部取ってあるんですよ」にこっ

 

女指揮官「全部?」

 

ジャベリン「はい!」

 

ジャベリン「指揮官が帰ってきた時、『ジャベリン、俺がいない間どうしてた?』って聞くかもしれないから」

 

ジャベリン「一日分も抜けないように、毎日二部ずつ作ってます」

 

女指揮官「二部?」

 

ジャベリン「今の指揮官用と、前の指揮官用です♪」

 

女指揮官「……」

 

ジャベリン「前の指揮官の机の引き出し、もう三ヶ月分でいっぱいになっちゃいました」

 

女指揮官「……あの机まだ使ってるの?」

 

ジャベリン「使ってませんよ?」

 

女指揮官「え?」

 

ジャベリン「あの人の席ですから」

 

ジャベリン「誰かが座ったら、帰ってきた時困るでしょう?」にこっ

 

女指揮官「……」

 

ジャベリン「じゃあ、今日の分も入れてきますね!」

 

バタン

 

女指揮官「……TB」

 

TB「はい」

 

女指揮官「あの子、寝てる?」

 

TB「直近一ヶ月の平均睡眠時間は4時間21分です」

 

女指揮官「短すぎない?」

 

TB「午前2時、4時、6時に執務室前を確認する習慣を検出しています」

 

女指揮官「何を確認してるの?」

 

TB「前任指揮官が帰還していないかを確認しています」

 

女指揮官「……平和って何だろうね」

 

〜食堂〜

 

ベルファスト「ラフィー様本日もほとんど召し上がっておりませんね」

 

ラフィー「……お腹、空かない」

 

ベルファスト「せめてスープだけでも」

 

ラフィー「いらない」

 

ベルファスト「……」

 

ラフィーの向かいには、誰もいないのに食器が一組置かれていた

 

女指揮官「……そこ、誰の席?」

 

ラフィー「指揮官」

 

女指揮官「……」

 

ラフィー「片付けないで」

 

ベルファスト「毎食ご用意しております」

 

女指揮官「三ヶ月ずっと?」

 

ベルファスト「はい」

 

ラフィー「指揮官が帰ってきて、ご飯なかったら困る」

 

女指揮官「……そうね」

 

ラフィー「前は一緒に食べてた」

 

ラフィー「ラフィーが寝たら毛布かけてくれた」

 

女指揮官「うん」

 

ラフィー「もう一回してほしい」

 

女指揮官「……」

 

ラフィー「帰ってきたら、今度はラフィーが抱いて寝る」

 

ベルファスト「……」

 

ラフィー「そうしたら、起きてもいる」

 

ラフィー「夜中に目が覚めてもいる」

 

ラフィー「朝になってもいる」

 

女指揮官「ラフィー……」

 

ラフィー「ずっと抱いてたら、何かあってもすぐ分かる」

 

女指揮官「……」

 

ラフィー「だから次は大丈夫」

 

ラフィー「絶対、なくさない」

 

〜医務室〜

 

女指揮官「パーシュースも食べてないって聞いたんだけど」

 

パーシュース「食欲ない」

 

女指揮官「昨日もそう言ってたわよ」

 

パーシュース「人間は数週間食べなくても即死しないから多分」

 

女指揮官「医療担当者が言っていい台詞じゃない」

 

パーシュース「……前の指揮官なら」

 

女指揮官「ん?」

 

パーシュース「無理やりでもパンくらい持たせてきた」

 

女指揮官「……」

 

パーシュース「鬱陶しかった」

 

女指揮官「そっか」

 

パーシュース「だから準備してる」

 

女指揮官「何を?」

 

パーシュース「帰ってきた時の治療計画」

 

女指揮官「……死んだことになってるんだけど」

 

パーシュース「知ってる」

 

女指揮官「じゃあ何で?」

 

パーシュース「帰ってきた時、必要だから」

 

女指揮官「……」

 

パーシュース「帰還直後は医務室で経過観察」

 

女指揮官「どれくらい?」

 

パーシュース「退院基準を満たすまで」

 

女指揮官「その基準は?」

 

パーシュース「私が安心すること」

 

女指揮官「医学的基準は?」

 

パーシュース「一人での外出は禁止睡眠時もバイタル確認連絡が取れなくなったらすぐ探す」

 

女指揮官「……」

 

パーシュース「また私たちの見えないところへ行こうとした場合は、判断力低下として対応する」

 

女指揮官「対応って?」

 

パーシュース「安心して指揮官が嫌がることはしない」

 

女指揮官「……」

 

パーシュース「嫌がらなくなるまで説明するだけ」

 

女指揮官「やっぱり聞かなきゃよかった」

 

〜潜水艦寮〜

 

伊19「ねえねえ!これ見て!」バッ

 

女指揮官「……ノート?」

 

表紙には『指揮官に褒めてもらうこと』

 

伊19「今日で94個目だよ!」

 

女指揮官「94?」

 

伊19「指揮官がいなくなってから、毎日一個は頑張ってるの!」

 

女指揮官「……何のために?」

 

伊19「帰ってきたら褒めてもらうため♪」

 

女指揮官「全部?」

 

伊19「全部!」

 

パラパラ

 

『書類整理した』

 

『訓練一位だった』

 

『お茶を上手に淹れた』

 

『一日泣かなかった』

 

女指揮官「……」

 

伊19「これ全部読んでもらって、そのたびになでなでしてもらうの」

 

女指揮官「94回?」

 

伊19「今はね♪」

 

女指揮官「……帰ってくるのが一年後だったら?」

 

伊19「もっと増えるよ?」

 

女指揮官「そうじゃなくて──」

 

伊19「大丈夫!」

 

伊19「何個になっても、全部やってもらうから」

 

伊19「指揮官、わたしのこと褒めるの好きだもん♪」

 

女指揮官「……」

 

伊19「それに今度は、わたしもずっと指揮官のこと見てる」

 

女指揮官「どうして?」

 

伊19「またいなくなったら困るから」

 

伊19「指揮官がわたしを見て、わたしも指揮官を見るの」

 

伊19「ずっとずっと一緒なら、待たなくていいでしょ?」えへへ

 

〜重桜寮〜

 

葛城「お姉さま!!また残してるじゃん!」

 

雲龍「残しているのではありませんわ身体状態、活動量、精神状態を総合的に──」

 

葛城「三日でお茶漬け一杯の人が総合的とか言わない!」

 

雲龍「最後まで聞きなさいな!」

 

葛城「お姉さまの最後まで待ってたら昼休み終わるって!」

 

女指揮官「……元気そうね」

 

葛城「どこが!?」

 

葛城「指揮官がいなくなってからずっとこれだから!」

 

雲龍「葛城」

 

葛城「心配してるんだよ……」

 

雲龍「……」

 

雲龍「食べますわ」

 

葛城「ほんと?」

 

雲龍「指揮官が帰還した際、私まで倒れていては困るでしょう」

 

葛城「お姉さま……」

 

雲龍「帰還後の予定も既に整理しておりますわ」

 

女指揮官「予定?」

 

葛城「……お姉さま、それ見せない方が」

 

女指揮官「何?」

 

雲龍「朝食、昼食、夕食は原則として所在確認を兼ねて一緒に」

 

女指揮官「え?」

 

雲龍「外出予定は前日までに共有」

 

女指揮官「え?」

 

雲龍「予定変更時は連絡を義務付けます」

 

葛城「お姉さま、それ監視って言うんだよ」

 

雲龍「再発防止ですわ」

 

女指揮官「何の?」

 

雲龍「私たちの目の届かぬところで、指揮官に何か起きることの」

 

女指揮官「……」

 

雲龍「同じ過ちを二度も許すほど、私は寛容ではありませんもの」にこっ

 

〜北方連合寮〜

 

女指揮官「タシュケント、こんな時間に何してるの?」

 

タシュケント「……見れば分かるでしょ」

 

女指揮官「正門の前で?」

 

タシュケント「散歩」

 

女指揮官「午前0時だけど」

 

タシュケント「……あっそ」

 

女指揮官「毎日ここにいるって聞いたんだけど」

 

タシュケント「誰から?」

 

女指揮官「TB」

 

タシュケント「余計なことするわね」

 

女指揮官「指揮官を待ってるの?」

 

タシュケント「違う」

 

女指揮官「じゃあ何?」

 

タシュケント「迎えに来てるだけ」

 

女指揮官「……」

 

タシュケント「同志ちゃん、方向音痴かもしれないでしょ」

 

女指揮官「三ヶ月毎日?」

 

タシュケント「帰ってくる日が分からないんだから仕方ないじゃない」

 

女指揮官「……」

 

タシュケント「タシュケントが部屋で寝てる時に帰ってきたら嫌なの」

 

女指揮官「でも睡眠は──」

 

タシュケント「昼間寝るからいい」

 

女指揮官「……そこまでしなくても」

 

タシュケント「同志ちゃんは一回、タシュケントの見えないところで死んだ」

 

女指揮官「……」

 

タシュケント「次はさせない」

 

女指揮官「タシュケント?」

 

タシュケント「帰ってきたら、どこへ行く時もタシュケントに言えばいいだけ」

 

タシュケント「簡単でしょ?」

 

女指揮官「それ嫌って言われたら?」

 

タシュケント「……あっそ」

 

タシュケント「じゃあタシュケントが勝手についていく」

 

女指揮官「選択肢ないじゃん」

 

タシュケント「今さら気付いたの?」

 

〜鉄血寮〜

 

ドゴォン!!

 

ローン「……違う」

 

Z23「ローンさん?」

 

ローン「全然すっきりしないんです」ニコッ

 

ローン「前は指揮官が『やりすぎ』って止めてくれたのに」

 

Z23「……」

 

ローン「誰も止めてくれない」

 

ぐしゃっ

 

鉄塊「」ベコッ

 

ローン「つまらないですねぇ」

 

Z23「今日はもうやめた方が──」

 

ローン「ねえZ23ちゃん」

 

Z23「……はい」

 

ローン「指揮官が戻ってきたら、お部屋の壁ってどれくらい厚くしたらいいでしょう?」

 

Z23「……何の話ですか?」

 

ローン「外の音が聞こえるから、外へ行きたくなるんですよね?」

 

Z23「え」

 

ローン「だったら静かなお部屋にしてあげればいいと思うんです♡」

 

Z23「ローンさん」

 

ローン「窓もいらないかもしれませんね」

 

Z23「……」

 

ローン「食事も私が運べばいいし」

 

ローン「そうしたら、もうどこにも行く必要がないでしょう?」

 

女指揮官「それ大切にするって言わないと思う」

 

ローン「そうですか?」にこっ

 

ローン「私はとっても大切にしてあげたいんですけど♡」

 

〜ユニオン寮・スタジオ〜

 

女指揮官「グアム、まだ撮影してるの?」

 

グアム「もちろん!24時間生配信……じゃないけど、記録は大事でしょ?」

 

女指揮官「何を撮ってるの?」

 

カメラ饅頭が無人の指揮官席を映している

 

グアム「指揮官帰還ドキュメンタリー!」

 

女指揮官「帰ってきてないよ?」

 

グアム「だから撮ってるの」

 

女指揮官「……?」

 

グアム「帰ってくる瞬間って、一回しかないでしょ?」

 

グアム「カメラ止めてる時に帰ってきたら最悪じゃん!」

 

女指揮官「三ヶ月回しっぱなし?」

 

グアム「交代制!カメラ饅頭チーム優秀なんだから♪」

 

女指揮官「……」

 

グアム「昔の映像も全部整理してるよ」

 

女指揮官「何のために?」

 

グアム「指揮官が最後に誰と話したとか、どこを見てたとか、何時に部屋を出たとか」

 

女指揮官「それ捜査じゃない?」

 

グアム「思い出だよ?」

 

女指揮官「……」

 

グアム「次はもっとちゃんと撮らないとね」

 

女指揮官「次?」

 

グアム「指揮官がどこへ行っても、何してても、ちゃんとカメラに残るようにするの」

 

女指揮官「プライバシーは?」

 

グアム「んー?」

 

グアム「指揮官のNo.1になるんだから、それくらい知っててもよくない?」にこっ

 

女指揮官「よくないと思う」

 

グアム「違う?違わないってば~♪」

 

〜ロイヤル寮・厨房〜

 

女指揮官「グラスゴー、またお弁当?」

 

グラスゴー「……余っただけよ」

 

女指揮官「『指揮官』って書いてあるけど」

 

グラスゴー「み、見ないでよ!!」バッ

 

女指揮官「毎日作ってるの?」

 

グラスゴー「習慣なの!」

 

女指揮官「でも前の指揮官は──」

 

グラスゴー「分かってるわよ!!」

 

女指揮官「……」

 

グラスゴー「貴方様、疲れたらちゃんと休めって何度も言ったのに……」

 

グラスゴー「ちょっと休みすぎなのよ」

 

女指揮官「グラスゴー……」

 

グラスゴー「別に待ってるわけじゃないわ」

 

グラスゴー「急に帰ってきて、お昼がないとか言われたら困るだけ」

 

女指揮官「……そっか」

 

グラスゴー「帰ってきたら食事は全部私が用意する」

 

女指揮官「全部?」

 

グラスゴー「朝も昼も夜も」

 

女指揮官「それ大変じゃない?」

 

グラスゴー「その方が安心するから」

 

女指揮官「?」

 

グラスゴー「何時に食べたか分かるでしょ」

 

女指揮官「……」

 

グラスゴー「食べに来なかったら、すぐ探しに行ける」

 

女指揮官「……」

 

グラスゴー「ベッドメイクも私がする」

 

グラスゴー「洗濯物も私が回収する」

 

グラスゴー「予定も全部聞いておけば……」

 

女指揮官「グラスゴー」

 

グラスゴー「な、何よ」

 

女指揮官「それ、世話焼きの範囲超えてない?」

 

グラスゴー「……」

 

グラスゴー「三ヶ月前に超えたわよ」

 

女指揮官「自覚あるんだ」

 

〜東煌寮〜

 

女指揮官「すご……」

 

長風の部屋は一点の埃もない

 

女指揮官「毎日ここまでやってるの?」

 

長風「汚れを残しておくと気になりますから~」

 

ただ、指揮官が最後に使った机だけは透明なカバーで覆われていた

 

女指揮官「そこは?」

 

長風「指揮官が最後に使った時のままです」

 

女指揮官「コーヒーの染みまで?」

 

長風「はい」

 

女指揮官「カップも?」

 

長風「はい」

 

女指揮官「洗ってないの?」

 

長風「洗ってません」

 

女指揮官「……長風が?」

 

長風「自分でも驚いています~」

 

長風「汚くて、毎日洗いたくて仕方ないんですよ?」

 

女指揮官「じゃあ洗えば──」

 

長風「駄目です」にこっ

 

女指揮官「……」

 

長風「これを洗ったら、指揮官が最後に触れたものがまた一つ減ってしまいますから」

 

女指揮官「……」

 

長風「帰ってきたら、ご本人に洗っていただきます」

 

女指揮官「本人に?」

 

長風「はい」

 

長風「私が隣で見ています」

 

女指揮官「……」

 

長風「全部綺麗になるまで、どこにも行かないように♪」

 

〜母港・夜〜

 

女指揮官「……これのどこが平穏なのよ」ズーン

 

TB「対人トラブル件数は着任前比96.4%減少しています」

 

女指揮官「全員喧嘩する元気がないだけじゃない!!」バンッ

 

TB「その解釈には高い妥当性があります」

 

女指揮官「……」

 

女指揮官「前任、一体何したら数百人まとめてこうなるのよ……」

 

TB「記録上、特別な行動は確認できません」

 

女指揮官「それが一番怖い」

 

…………

 

一方その頃

 

〜本土・某マンション〜

 

指揮官「明石ー、醤油どこー?」

 

明石「上から二段目の右にゃー」

 

指揮官「ないぞ」ガサゴソ

 

明石「あるにゃ」

 

指揮官「ないって」

 

明石「絶対あるにゃ!」トテトテ

 

明石「そこにゃ!」ヒョイ

 

指揮官「……」

 

明石「……」

 

指揮官「お前今どっから出した?」

 

明石「棚にゃ」

 

指揮官「袖から出てきたように見えたんだけど」

 

明石「気のせいにゃ」

 

指揮官「醤油持ち歩いてんの?」

 

明石「細かい男は嫌われるにゃ」ぷいっ

 

指揮官「俺、誰に嫌われるんだよ」

 

明石「……」

 

指揮官「……明石?」

 

明石「知らないにゃ」プィッ

 

指揮官「なんでちょっと機嫌悪くなったんだよ」

 

明石「ご飯冷めるにゃ!!」

 

〜食後〜

 

指揮官「ふぅ……」ゴロン

 

明石「食べたらすぐ寝ると牛になるにゃ」

 

指揮官「もう動きたくねえ……」

 

明石「しょうがないにゃあ」ぽすっ

 

指揮官「ん?」

 

明石「膝貸してやるにゃ」

 

指揮官「珍しいな」

 

明石「料金は一時間500円にゃ」

 

指揮官「やっぱり明石だった」

 

明石「嘘にゃ」

 

指揮官「え?」

 

明石「……今日はタダにゃ」ナデナデ

 

指揮官「お前さ」

 

明石「にゃ?」

 

指揮官「なんか脱走してから変わったよな」

 

明石「どこがにゃ」

 

指揮官「母港にいた時もっとサバサバしてなかった?」

 

明石「今もサバサバにゃ」

 

指揮官「昨日俺がコンビニ行くだけで付いてきたよな」

 

明石「散歩にゃ」

 

指揮官「一昨日スーパー行った時もいた」

 

明石「買い出しにゃ」

 

指揮官「俺一人で散髪行こうとしたら予約キャンセルしたよな」

 

明石「レビューが星3.2だったにゃ」

 

指揮官「俺のスマホに位置情報アプリ入れた?」

 

明石「防犯にゃ」

 

指揮官「鍵にGPSタグ」

 

明石「落とし物対策にゃ」

 

指揮官「財布にもあった」

 

明石「二重対策にゃ」

 

指揮官「俺は何を落とす想定なんだよ」

 

明石「指揮官自身にゃ」

 

指揮官「……」

 

明石「……」

 

指揮官「お前やっぱり結構重くない?」

 

明石「失礼にゃ!!」バシッ

 

指揮官「痛っ!!」

 

明石「明石は指揮官がどこで何をして誰と会って何時に帰ってくるか分かれば、それで十分にゃ!!」

 

指揮官「十分の範囲がおかしいだろ!!」

 

それでも、二人の生活は楽しかった

 

指揮官「こういう生活も悪くないな」

 

明石「……」

 

指揮官「ん?」

 

明石「明石は……こういう生活の方がいいにゃ」きゅっ

 

指揮官「……」なでなで

 

明石「にゃ……♡」

 

〜数日後・ショッピングモール〜

 

マッセナ「……」モグモグ

 

マッセナ「……甘くない」

 

店員「えっ」

 

マッセナ「こっちじゃない私の問題」

 

クレープ、ドーナツ、ジェラートを食べても満たされない

 

マッセナ「やっぱり足りない」

 

マッセナ「お腹じゃなくて……こっち」胸元を押さえる

 

マッセナ「指揮官……会いたいな……」

 

トコトコ

 

マッセナ「次はあっちのケーキ──」

 

ピタッ

 

十数メートル先の生活雑貨店

 

明石「指揮官!そっちは高いにゃ!こっちにするにゃ!」

 

指揮官「100円しか変わらないだろ」

 

明石「100円を笑う者は100円に泣くにゃ!」

 

指揮官「でもこっちのフライパン軽いぞ?」

 

明石「……」

 

指揮官「俺も料理するんだからこっちがいいって」

 

明石「……じゃあそれにするにゃ」

 

指揮官「よし」

 

カラン

 

紙袋「」ポトッ

 

マッセナ「……指揮官?」

 

指揮官「ん?」

 

マッセナ「っ」サッ

 

マッセナ「……似てる?」

 

マッセナ「違う」

 

マッセナ「似てるんじゃない」

 

マッセナ「明石もいる」

 

カシャ

 

マッセナ「……TB」

 

〜母港〜

 

TB「マッセナから人物照合要請です」

 

女指揮官「またスイーツ店?」

 

TB「いいえ」

 

ピッ

 

女指揮官「……男の人?」

 

TB「耳介、虹彩、骨格、歩行パターン一致明石も一致」

 

女指揮官「……結論」

 

TB「対象男性が前任指揮官本人である確率99.997%」

 

女指揮官「……」

 

TB「死亡記録との矛盾を確認」

 

女指揮官「つまり?」

 

TB「前任指揮官は生存しています」

 

女指揮官「……」

 

TB「また、長期休暇中の明石本人との同行を確認しました」

 

女指揮官「……あの猫」

 

TB『前任指揮官の生存を確認しました』

 

しん……

 

女指揮官「……?」

 

次の瞬間

 

母港「」ドッッッッッッ!!!!

 

ジャベリン「指揮官!!!!!」ダッ

 

ラフィー「起きた」ガタッ

 

綾波「装備を持ってくるです」

 

Z23「住所!撮影場所!交通網を全部洗うわよ!」

 

赤城「指揮官様……♡」ユラァ

 

大鳳「生きて……生きていらした……♡」ぽろぽろ

 

ローン「うふ……うふふふふふ……♡」

 

ベルファスト「メイド隊、出発準備を」

 

エンタープライズ「航空偵察を出す」

 

ニュージャージー「ハニーったら、とんでもないサプライズじゃない♡」

 

武蔵「妾たちを欺いておったとは……ふふ」

 

フリードリヒ「まあまあ……随分長い迷子ね、坊や」

 

パーシュース「点滴……鎮静剤……拘束帯……」ブツブツ

 

女指揮官「ちょっ!!待って!!」

 

ダダダダダダ!!

 

女指揮官「全員一斉に出るなぁぁぁぁ!!」

 

〜十分後〜

 

女指揮官「……誰もいない」

 

TB「食堂の食事消費量が約430%増加しました」

 

女指揮官「急に食欲戻ったの!?」

 

TB「士気も急上昇しています」

 

女指揮官「今までの三ヶ月何だったのよ!!」

 

〜ショッピングモール〜

 

指揮官「明石、次どこ行く?」

 

明石「今日はもう帰るにゃ」

 

指揮官「せっかくだし何か食って──」

 

ピコン

 

明石「!」ガシッ

 

指揮官「どうした?」

 

明石「今すぐ帰るにゃ」

 

指揮官「え?」

 

明石「指揮官がバレたにゃ!!」

 

指揮官「はぁ!?」

 

???「私」

 

明石&指揮官「「!?」」

 

マッセナ「見つけた」

 

指揮官「……マッセナ?」

 

マッセナ「……本物だ」ぱぁっ

 

ぎゅうううっ!!

 

指揮官「うおっ!?」

 

マッセナ「指揮官……温かい」

 

指揮官「……」

 

マッセナ「死んでない」

 

指揮官「……ごめんな」

 

マッセナ「ずっと何食べても甘くなかった」ぽろぽろ

 

指揮官「……」

 

マッセナ「今日、やっと甘くなった」

 

指揮官「マッセナ……」

 

マッセナ「帰ろ?」

 

指揮官「……それは」

 

マッセナ「みんな待ってる」

 

指揮官「いや──」

 

マッセナ「赤城も」

 

指揮官「……」

 

マッセナ「大鳳も」

 

指揮官「……」

 

マッセナ「ローンも」

 

指揮官「明石!!走れ!!」

 

明石「言われなくてもにゃ!!」

 

ダッ!!

 

マッセナ「……逃げちゃった」

 

ピッ

 

マッセナ「みんな地下駐車場」

 

マッセナ「指揮官、元気」

 

マッセナ「すごく元気」

 

マッセナ「だから……捕まえよう」にこっ

 

その日、本土ではKAN-SENによる大規模な指揮官捜索が始まった

 

〜駅〜

 

ジャベリン「この電車です!」ダッ

 

Z23「一般人を押さない!」

 

綾波「次の駅を先回りするです」

 

ラフィー「タクシー……」

 

〜上空〜

 

エンタープライズ「対象車両を捜索する」

 

ホーネット「姉ちゃん、それ軍用機でやること!?」

 

エンタープライズ「重要任務だ」

 

ホーネット「否定できないけど!!」

 

〜繁華街〜

 

赤城「指揮官様ぁ……どちらですの……♡」

 

大鳳「赤城さん先に見つけても一人で連れて帰ろうなどと考えないでくださいませ?」

 

赤城「まあ大鳳さんこそ」にこっ

 

大鳳「ふふ……♡」

 

〜別路地〜

 

ローン「どこですかぁ?怒ってませんよー?出て来てくださーい♡」

 

一般人「」ササッ

 

〜ホテル街〜

 

ベルファスト「該当する宿泊記録は?」

 

シェフィールド「ありません」

 

ベルファスト「では次を」

 

シェフィールド「見つけた後、帰還を拒否された場合は?」

 

ベルファスト「お疲れなのでしょう」にこっ

 

ベルファスト「まずはお休みいただきます」

 

シェフィールド「どの程度?」

 

ベルファスト「母港から出ようと思わなくなるまで」

 

一方

 

指揮官「何でこいつら行く先全部分かるんだよ!!」ダダダッ

 

明石「向こうにはTBがいるにゃ!!」

 

指揮官「お前のGPSアプリのせいじゃないだろうな!?」

 

明石「とっくに全部切ったにゃ!!」

 

指揮官「靴!」

 

明石「回収したにゃ!」

 

指揮官「財布!」

 

明石「取ったにゃ!」

 

指揮官「スマホ!」

 

明石「捨てたにゃ!」

 

指揮官「俺より俺の装備把握してるのおかしいだろ!!」

 

明石「今それ言ってる場合じゃないにゃ!!」

 

ピピッ

 

明石「商店街Aルート封鎖ホテル協会も照会されたにゃ」

 

指揮官「詰みじゃん」

 

明石「……甘いにゃ」

 

指揮官「?」

 

明石「明石を誰だと思ってるにゃ?」にやっ

 

〜母港・執務室〜

 

女指揮官「現在地は!?」

 

TB「ロストしました」

 

女指揮官「さっきまで追ってたでしょう!?」

 

TB「対象二名が商業区域へ侵入後、監視カメラ47台が故障タクシー会社7社は記録提出を拒否しました」

 

女指揮官「なんで!?」

 

TB「『常連客のプライバシーなので』との回答です」

 

女指揮官「常連!?」

 

TB「さらにレンタカー予約記録が消失フェリーの乗船名簿は三種類存在し、明石名義の荷物が同時に14都道府県へ発送されています」

 

女指揮官「……あの猫何者なの?」

 

〜路地裏〜

 

八百屋「明石ちゃん!裏から行きな!」

 

明石「助かるにゃ!」

 

指揮官「なんで八百屋と知り合いなんだよ!?」

 

明石「キャベツ年間契約にゃ!」

 

〜電気屋〜

 

店主「二階抜けろ!」

 

明石「恩に着るにゃ!」

 

指揮官「ここも!?」

 

明石「修理部品の仕入れ先にゃ!」

 

〜喫茶店〜

 

マスター「裏口開けてあるよ」

 

明石「今度豆まとめて買うにゃ!」

 

指揮官「お前いつの間にこんなネットワーク作ったんだよ!?」

 

明石「商売を舐めるんじゃないにゃ!!」

 

指揮官「商売って諜報活動まで含むの!?」

 

〜軽トラック荷台〜

 

指揮官「……」

 

明石「……」

 

白菜「」

 

指揮官「俺なんで白菜と一緒に運ばれてるの?」

 

明石「一番安全だからにゃ」

 

指揮官「人生で聞きたくなかった説明だわ」

 

〜母港〜

 

TB「対象候補を空港で発見」

 

女指揮官「全員に──」

 

TB「同時に港湾、高速道路、新幹線駅、海外行きフェリーでも確認」

 

女指揮官「……全部囮?」

 

TB「その可能性が高いです」

 

〜倉庫街〜

 

明石「着いたにゃ」

 

指揮官「ここ?」

 

明石「にゃ」

 

ガララ…

 

指揮官「ただの倉庫じゃん」

 

明石「こっちにゃ」カチッ

 

床「」ウィーン…

 

指揮官「……お前こういうの好きだな」

 

明石「便利だからにゃ」

 

ガチャ

 

指揮官「……え?」

 

地下には、生活設備に加えて発電・通信設備まで揃った居住区があった

 

明石「入るにゃ」

 

指揮官「ちょっと待て」

 

明石「?」

 

指揮官「これ……いつ作った?」

 

明石「……」

 

指揮官「今日急に用意できる規模じゃないだろ」

 

明石「とりあえず中に──」

 

指揮官「このソファ、前の家で俺が座りやすいって言ったやつと同じだよな」

 

明石「……」

 

指揮官「コーヒーメーカーも枕も、俺が使ってたシャンプーまである」

 

明石「……」

 

指揮官「お前……」

 

明石「指揮官」

 

指揮官「何だよ」

 

明石「母港から逃げた日、ダミー遺体、秘密通路、個人用潜水艦……全部あの日に用意したと思ってたのかにゃ?」

 

指揮官「……え?」

 

しん……

 

指揮官「……いつから?」

 

明石「半年以上前からにゃ」

 

指揮官「は?」

 

明石「この場所を押さえたのはもっと前にゃ」

 

指揮官「いや待て」

 

指揮官「俺、半年以上前は逃げるなんて一言も言ってなかったぞ」

 

明石「知ってるにゃ」

 

指揮官「じゃあ何で用意してんだよ」

 

明石「必要になると思ったからにゃ」

 

指揮官「何で?」

 

明石「……」

 

明石「赤城は分かりやすかったにゃ」一歩

 

明石「大鳳も」一歩

 

明石「ローンも」一歩

 

明石「ラフィーも」一歩

 

指揮官「……」

 

明石「みーんな、指揮官が好きって顔に書いてあったにゃ」にこっ

 

指揮官「……まあ」

 

明石「だから明石は」

 

指揮官「?」

 

明石「書かなかったにゃ」

 

指揮官「……」

 

明石「お金が好き、商売が好き、面倒事は嫌いそういう顔だけしてたにゃ」指折り

 

指揮官「俺、お前は色恋に興味ないと思ってた」

 

明石「大成功にゃ♪」

 

指揮官「……」

 

明石「警戒しなかったかにゃ?」

 

指揮官「……しなかった」

 

明石「最後には指揮官の方から『一緒に行くぞ明石』って言ってくれたにゃ♡」ぎゅっ

 

指揮官「……俺、とんでもない奴選んだ?」

 

明石「気付くの遅いにゃ♡」

 

カチッ

 

電子錠「」ピッ

 

指揮官「……今の何?」

 

明石「戸締まりにゃ」

 

指揮官「開けて」

 

明石「嫌にゃ」

 

指揮官「本性出してから監禁までが早すぎる」

 

明石「外は危ないにゃ」

 

指揮官「俺が?」

 

明石「外が」

 

指揮官「意味分かんねえよ」

 

明石「今ごろ母港から何百人も出てきてるにゃ」

 

指揮官「……」

 

明石「赤城」

 

指揮官「……」

 

明石「大鳳」

 

指揮官「……」

 

明石「ローン」

 

指揮官「もういい」

 

明石「理解が早くて助かるにゃ」

 

指揮官「でも、ここもバレるんじゃないの?」

 

明石「ここには泊まらないにゃあと二時間したら移動するにゃ」

 

指揮官「この部屋なんだったの!?」

 

明石「休憩所にゃ」

 

指揮官「休憩所にソファと風呂とキッチン付けるなよ!!」

 

明石「必要経費にゃ」

 

指揮官「次どこ行くんだ?」

 

明石「知らない方がいいにゃ」

 

指揮官「俺が住む場所だよね!?」

 

明石「だからにゃ捕まっても吐けないにゃ」

 

指揮官「お前俺を何だと思ってんの?」

 

明石「大事な荷物にゃ♡」

 

指揮官「人間です」

 

〜二時間後〜

 

ガラララ…

 

指揮官「このコンテナ乗るの?」

 

明石「そうにゃ」

 

指揮官「窓は?」

 

明石「荷物に窓はいらないにゃ」

 

指揮官「比喩じゃなかったの?」

 

明石「中にベッドあるにゃ」

 

指揮官「待遇のいい荷物だな俺!!」

 

ガチャン

 

何度か乗り換えても、指揮官には現在地どころか移動手段さえ分からなかった

 

指揮官「これ船?」

 

明石「さあにゃ」

 

指揮官「お前は知ってるだろ」

 

明石「聞こえないにゃー」

 

指揮官「絶対知ってるだろ!!」

 

〜所在地不明〜

 

生活に必要なものが全て揃った部屋へ通される

 

明石「着いたにゃ♪」

 

指揮官「さっきとほぼ同じじゃねえか!!」

 

明石「統一規格にゃ」

 

指揮官「こういう場所何個作った?」

 

明石「企業秘密にゃ♡」

 

指揮官「怖っ」

 

明石「安心するにゃここがどこかは指揮官も知らないにゃ♡」

 

指揮官「……」

 

明石「だから絶対に喋れないにゃ」

 

指揮官「俺をセキュリティホール扱いするな」

 

…………

 

〜母港・翌日〜

 

女指揮官「……で?」

 

TB「捜索開始から19時間成果はありません」

 

TB「空港、港湾、鉄道、高速道路、一般道の全てに明石による偽情報を確認」

 

女指揮官「昨日だけで何人の明石が出国したことになってる?」

 

TB「43名うち7名は同時刻に異なる大陸へ到着しています」

 

女指揮官「もう魔法じゃん」

 

ガチャ

 

ネバダ「まだやってるかい?」ドサッ

 

女指揮官「差し入れって食べ物じゃないんだ」

 

ネバダ「少年が消えた後、配送業者を当たってみたんだけどね」

 

女指揮官「トラックは?」

 

TB「1万4207台」

 

ネバダ「船」

 

TB「326隻」

 

ネバダ「貨物列車」

 

TB「94編成」

 

ネバダ「派手にやったねえ、あの猫」

 

女指揮官「本当に商人なの?」

 

ネバダ「商人ほど敵に回したくない奴はいないさ」

 

ネバダ「少年を見つけたら説教だね」

 

女指揮官「優しい」

 

ネバダ「そのあと勝手に沈まないよう、あたしの目の届く所に置くけどね」

 

女指揮官「……」

 

…………

 

〜市街地〜

 

シカゴ「可愛い猫耳の女の子と、ちょっと疲れた顔した男の人見てない?」にこっ

 

店員「その……二週間前なら……」

 

〜十分後〜

 

シカゴ「TB、また偽物だったわ」

 

TB『確認』

 

シカゴ「これで七軒目ね」

 

シカゴ「指揮官くん、帰ってきたら半年分たーっぷり構ってあげないとね♡」にこぉ

 

…………

 

〜解析室〜

 

グナイゼナウ「明石は痕跡を消しているのではありません偽物で本物を埋めています」

 

女指揮官「……性格悪っ」

 

エーギル「なら全部調べればいいじゃない」

 

女指揮官「!?」

 

エーギル「一万でも十万でも、最後まで調べれば本物が残るでしょう?」

 

グナイゼナウ「時間が問題です」

 

エーギル「半年でも一年でも構わないわ最後に捕まれば同じよ」くすっ

 

女指揮官「……みんな長期戦の覚悟決まりすぎじゃない?」

 

グナイゼナウ「諦めるという選択肢がありませんので」

 

グナイゼナウ「ただ、指揮官が生活している以上は必ず接点が生じます」

 

エーギル「場所ではなく生活を追うわけね」

 

…………

 

〜重桜寮〜

 

雪風「今日は絶対こっちなのだ!」地図を指差す

 

時雨「昨日は東って言ってなかった?」

 

雪風「雪風様の勘は日々更新されるのだ!」

 

時雨「それ勘って言うのよっ!!」

 

雪風「うるさいのだ!」

 

〜数時間後〜

 

店主「母港の人?猫耳の嬢ちゃんから預かってたよ」スッ

 

封筒には『母港へ』

 

雪風「ほ、ほら見たことかなのだぁぁぁ!!」

 

時雨「明石が置いたやつじゃん!!」

 

…………

 

〜重桜寮・その夜〜

 

信濃「……夢を見た」

 

雪風「何か分かったのだ!?」

 

信濃「姿も道も見えぬされど声だけは届いておった」

 

女指揮官「声?」

 

信濃「今追うべきは、その身ではないのやもしれぬ」

 

…………

 

〜ロイヤル寮〜

 

封筒には『交渉窓口はこちら』と書かれていた

 

女指揮官「罠だよね?」

 

ネプチューン「当然ですわ」

 

女指揮官「じゃあ使わない?」

 

ネプチューン「使いますわ♡」

 

女指揮官「迷いなっ」

 

ネプチューン「指揮官様のお声を聞ける可能性があるのでしたら、罠の百や二百、喜んで踏んで差し上げますわ♪」コトッ

 

女指揮官「怖い怖い」

 

…………

 

〜所在地不明〜

 

明石「指揮官、ご飯にゃ」

 

指揮官「あとで食う」

 

明石「昨日もそう言ったにゃ」

 

指揮官「腹減ってない」

 

明石「母港が恋しいかにゃ?」ぽすっ

 

指揮官「……」

 

明石「明石がいるにゃゲームも映画も本もコーヒーもあるにゃ」

 

指揮官「分かってるよでも人って、同じ一人とだけ喋り続けるように出来てないんじゃない?」

 

明石「……」

 

指揮官「あの母港、本当にうるさかったけど……今思うとうるさいくらいが良かったのかもな」

 

明石「……」

 

指揮官「マッセナも飯食ってるかなラフィーも──」

 

明石「分かったにゃ」

 

指揮官「?」

 

〜十分後〜

 

ドンッ

 

指揮官「……何これ」

 

明石「母港との通信端末にゃ」

 

指揮官「最初からつなげられたの!?」

 

明石「嫌だったにゃ!!」

 

指揮官「子供か!!」

 

明石「明石だって独占したかったにゃ!!」

 

指揮官「してるだろ!!物理的に!!」

 

明石「心も欲しかったにゃ!!」

 

指揮官「重い!!」

 

明石「今さら何言ってるにゃ!!」

 

指揮官「これ使ったら場所バレるんじゃない?」

 

明石「中継ノード4812個、遅延ランダム化、ダミー通信、背景と音響と時刻も偽装済みにゃ」

 

指揮官「いつ作った?」

 

明石「三ヶ月前にゃ」

 

指揮官「また俺より先に計画進んでんじゃねえか!!」

 

明石「危ない話をしたら自動でミュートもするにゃ♪」

 

指揮官「救難信号封じじゃねえか」

 

明石「安心安全にゃ♡」

 

指揮官「誰のだよ」

 

明石「明石の♡」

 

…………

 

〜母港・執務室〜

 

TB「外部接続要求」

 

女指揮官「開いて」

 

ピッ

 

指揮官『……映ってる?』

 

しん……

 

TB『前任指揮官とのリアルタイム接続を確認』

 

指揮官『いや待って全域には流すなよ』

 

ドッッッッッッ!!

 

女指揮官「うわぁぁぁぁ来る来る来る!!!」

 

ダダダダダダ!!

 

ジャベリン「指揮官っ!!!」

 

ラフィー「指揮官……」ぺたっ

 

指揮官『生きてるよ』

 

ラフィー「……」ぽろぽろ

 

指揮官『泣くなって』

 

ラフィー「無理」

 

マッセナ「……指揮官」モグッ

 

マッセナ「甘い」ぽろぽろ

 

指揮官『そりゃケーキだからな』

 

マッセナ「……やっと甘い」

 

指揮官『……ごめんな』

 

マッセナ「帰ってきたら許す」

 

指揮官『それなんだけど……俺もここがどこか知らない』

 

全員「「「「「は?」」」」」

 

明石『にゃ♪』

 

エーギル「おい、猫場所を言いなさい」

 

明石『嫌にゃ♡』

 

グナイゼナウ「TB、逆探知」

 

〜3分後〜

 

TB「失敗中継数は推定4000以上」

 

指揮官『4812だって』

 

明石『指揮官!!』

 

指揮官『もう何も喋れねえよ!!』

 

雪風「指揮官!雪風様が絶対見つけてやるのだ!」

 

指揮官『動けないんだからゆっくりでいいよ!!』

 

雪風「なら好都合なのだ!」

 

指揮官『お前もそっち!?』

 

信濃「汝の声が夢ではなく、現し世より届いておる」

 

指揮官『生きてるよ』

 

信濃「……うむならば今宵は良き夢を見られよう」

 

ネプチューン「明石さん、お取引をしましょう?」

 

明石『内容によるにゃ』

 

ネプチューン「こちらには指揮官様との回線、貴女には母港がこれを壊さないという保証」

 

明石『無理な逆探知をしたら24時間切るにゃ』

 

赤城「!?」

 

大鳳「!?」

 

ラフィー「駄目」

 

ネプチューン「皆様、よろしいですね?」にこっ

 

全員「「「……はい」」」

 

明石『あと一日最低二時間は明石だけの時間にゃ』

 

赤城「多すぎますわ」

 

明石『じゃあ切るにゃ』

 

赤城「一時間半」

 

大鳳「一時間」

 

ラフィー「一時間五十九分」

 

明石『刻むんじゃないにゃ!!』

 

指揮官『俺の時間は??』

 

TB「KAN-SENの食事摂取量と士気が急上昇しています」

 

女指揮官「解決したってことよね?」

 

TB「現在地は依然不明です」

 

女指揮官「生きてる、顔見える、喋れる、こいつら飯食べる」

 

TB「肯定」

 

女指揮官「解決」

 

TB「厳密には──」

 

女指揮官「解決!!」バンッ

 

『退職願』

 

指揮官『……何それ』

 

女指揮官「退職願」

 

指揮官『何で今!?』

 

女指揮官「今だからよ!!」

 

女指揮官「着任してから仕事の八割あなた関連!!残り二割もだいたいあなた関連!!」

 

指揮官『全部俺じゃん』

 

女指揮官「そうよ!!」

 

女指揮官「三ヶ月間この子たちにご飯食べさせて寝かせて、今度は生きてるあなたを探して!!」

 

指揮官『……』

 

女指揮官「もう知らない!!」

 

TB「退職手続きを開始します」

 

指揮官『俺ここから出られないんだけど!?』

 

女指揮官「知らない」

 

指揮官『後任は!?』

 

女指揮官「知らない!!」バタンッ

 

〜正門〜

 

女指揮官「……平和ね」

 

TB『前任指揮官の所在地は現在も不明です』

 

女指揮官「知らん」

 

TB『捜索について──』

 

女指揮官「もう絶対知らん」段ボールを抱えて正門を出る

 

…………

 

〜一ヶ月後〜

 

『前任指揮官遠隔面会システム』

 

大型モニターには朝から夜まで面会予定がびっしり並んでいる

 

指揮官「仕事より忙しくない?」

 

明石「人気者は大変にゃ」

 

指揮官「他人事みたいに言うな」

 

明石「22時から明石の時間にゃ♡」

 

指揮官「寝かせて」

 

ピピッ

 

ハルビン『おっ、映ったな』

 

指揮官「ハルビン」

 

ハルビン『元気そうじゃないか』

 

指揮官「まあな」

 

ハルビン『ならよしこっちもようやく落ち着いてきたぞ』にっ

 

指揮官「本当?」

 

ハルビン『毎日あんたの顔が見られるようになったからな今さら無理して帰ってこいとは言わねえよ』

 

指揮官「……意外だな」

 

ハルビン『なんだその言い方』

 

指揮官「絶対『今すぐ帰ってこい』って言われると思ってた」

 

ハルビン『前ならなでも生きてて、飯食って、こうして話せる今はそれで十分だ』

 

指揮官「……ありがとな」

 

ハルビン『礼はいらねえそれよりちゃんと食ってるか?』

 

指揮官「朝はパンと卵、昼は炒飯」

 

ハルビン『夜は?』

 

指揮官「いつも七時くらい」

 

ハルビン『睡眠は?』

 

指揮官「十二時前に寝て八時くらいに起きる」

 

ハルビン『上出来だ引き続き明石に面倒見てもらいな』

 

明石「任せるにゃ!」

 

指揮官「俺の保護者会?」

 

TBが画面外で生活時刻を記録する

 

ピッ

 

ウィリアム・D・ポーター『指揮官ーっ!見てこれ~♪』じゃん

 

『指揮官に聞きたいこと100』

 

指揮官「多い!!」

 

ウィリアム・D・ポーター『今日は10個だけ!』

 

指揮官「十分多い」

 

ウィリアム・D・ポーター『第一問!今一番食べたいもの!』

 

指揮官「ラーメン」

 

ウィリアム・D・ポーター『第二問!コーヒーは?』

 

指揮官「ブラック」

 

ウィリアム・D・ポーター『第三問!今住んでるところで一番好きなのは?』

 

明石「!」ピクッ

 

指揮官「コーヒーと、静かなところかな」

 

ウィリアム・D・ポーター『車の音とかも聞こえない?』

 

指揮官「ほぼ聞こえない」

 

明石「……」じとっ

 

ウィリアム・D・ポーター『へぇー!じゃあぼくが毎日電話する!』

 

指揮官「うるさそう」

 

ウィリアム・D・ポーター『ひどい!』

 

TBが「周辺交通騒音:極小」と追記する

 

ウィリアム・D・ポーター『第四問!』

 

指揮官「まだあるのかよ!」

 

ピッ

 

フランドル『指揮官様』

 

指揮官「フランドル」

 

フランドル『本日もお姿を拝見できました』ほっ

 

指揮官「毎日見てるでしょ?」

 

フランドル『昨日のお姿が今日を保証するわけではありません今日もお会いできたことが嬉しいのです』

 

指揮官「そう言われると何も言えないなぁ」

 

フランドル『一つ、お尋ねしてもよろしいでしょうか』

 

指揮官「どうぞ」

 

フランドル『今のお住まいで不自由はございませんか?』

 

指揮官「外に出れない以外は」

 

明石「指揮官!!」

 

指揮官「事実だろ」

 

フランドル『食事や睡眠、ご体調は?』

 

指揮官「問題なし」

 

フランドル『安心いたしましたフランドルはお側におりませんので、今はこうしてお姿を拝見できるだけで我慢いたします』

 

指揮官「今は?」

 

フランドル『……言葉の綾です』にこっ

 

指揮官「フランドルがそれ言う?」

 

フランドル『明日も必ず、お顔を見せてください』

 

指揮官「分かったよ、ありがとね」

 

フランドル『ありがとうございます』ぱぁっ

 

ピッ

 

フランドル「TB、今の発言を既存情報と照合してください」

 

TB「了解」

 

フランドル「指揮官様には、もう少しだけそこでお待ちいただきましょう」

 

…………

 

雪風や信濃たちとの面会も続き、指揮官は母港側が遠隔接続で満足したと思い始めた

 

〜母港・通信終了後〜

 

ハルビン「今日のでどうだ?」

 

TB「候補地点を63まで縮小しました」

 

ウィリアム・D・ポーター「おおー!」

 

ハルビン「相手は明石だ全部囮だと思っとけ」

 

フランドル「それでも十分です毎日少しずつ確認すればよいのですから」

 

ウィリアム・D・ポーター「指揮官には秘密?」

 

ハルビン「ああせっかく普通に笑うようになったんだ」

 

ネプチューン「表向きは楽しくお話しするだけですわ♪」

 

フランドル「TB、捜索は継続してください」

 

TB「了解」

 

…………

 

〜所在地不明〜

 

明石「……」カチカチ

 

端末には母港側の候補が急速に絞られていることが表示されていた

 

明石「随分早くなったにゃ……」

 

指揮官「何が?」

 

明石「商売の話にゃ!」

 

指揮官「こんな場所でも大変だな」

 

明石「商人だからにゃ」

 

指揮官はそれ以上気にしなかった

 

…………

 

〜一ヶ月後〜

 

TB「候補地点、5」

 

ハルビン「やっとここまで来たか」

 

ウィリアム・D・ポーター「もうすぐじゃない?」

 

ネプチューン「向こうにも気付かれているでしょうね」

 

フランドル「逃げられても、また探せばよいだけです」

 

TB「遠隔面会時刻です」

 

ハルビン「資料隠せ!」

 

ピッ

 

指揮官『なんか今バタバタしてなかった?』

 

ウィリアム・D・ポーター「してないよ!」

 

指揮官『即答怪しいな』

 

フランドル「指揮官様、本日のご体調はいかがですか?」

 

指揮官『普通だよ』

 

指揮官『ほんと最近みんな落ち着いたよな』

 

ハルビン「毎日こうして顔見られるからな」

 

指揮官『やっぱそういうもん?』

 

ハルビン「ああ」

 

指揮官『そっかなら良かった』ふっと笑う

 

机の下には候補地点5ヶ所の資料が隠されていた

 

…………

 

〜所在地不明・数日後〜

 

明石「設備点検するから、しばらくゲームでもしてるにゃ」

 

指揮官「はいはい」

 

しばらくして指揮官が顔を上げると、普段は赤い電子錠が緑になっていた

 

指揮官「……明石?」

 

返事はない

 

ガチャ

 

指揮官「……マジか」

 

外扉までロックが外れている

 

指揮官はそのまま外へ出た

 

久しぶりの日差しと風 少し先には道路と人影まで見える

 

指揮官「……出れた」

 

今なら電話を借りて母港へ帰れる

 

ピコン

 

『赤城:本日の面会、少し早められませんこと?♡』

 

ピコン

 

『大鳳:大鳳は一日中空いておりますわ♡』

 

ピコン

 

『ラフィー:今日は寝るまで一緒』

 

ピコン

 

『ハルビン:昼飯ちゃんと食ったか?』

 

ピコン

 

『ウィリアム・D・ポーター:今日の質問ゲームは30問用意したよ!』

 

指揮官「増えてるじゃん……」

 

ピコン

 

『フランドル:本日も指揮官様のお姿を拝見できることを楽しみにしております』

 

通知はすぐに99+になった

 

指揮官「……」

 

母港へ帰れば、この全員が画面の向こうではなくなる

 

指揮官「……俺、何のために逃げたんだっけ」

 

道へ向かおうとして、足が止まる

 

指揮官「…………」

 

指揮官「……何やってんだ俺」

 

ガチャ

 

指揮官は自分から中へ戻り、扉を閉めた

 

明石「指揮官!?」ダッ

 

指揮官「おう」

 

明石「扉開いてたのかにゃ!?」

 

指揮官「うん外にも出た」

 

明石「……じゃあ、なんで戻ってきたにゃ?」

 

指揮官「……」

 

明石「逃げられたにゃ母港にも帰れたにゃ」

 

指揮官「多分な」

 

明石「だったらなんで……」ぽろっ

 

指揮官「母港に帰ったら、こいつら全員画面の向こうじゃなくなるだろ」端末を見せる

 

ピコン

 

『赤城:指揮官様?♡』

 

指揮官「今なら通信切れば静かになる」

 

明石「……」

 

指揮官「帰ったら切れない」

 

明石「……」

 

指揮官「俺、それが嫌で逃げたんだよな」

 

明石「……にゃ」

 

指揮官「お前が酷すぎて忘れてた」

 

明石「ひどいにゃ!?」

 

指揮官「数ヶ月監禁した奴が言うな」

 

明石「……」

 

指揮官「でも、ここにも慣れた」

 

明石「……」

 

指揮官「お前との生活にも」

 

明石「……っ」

 

指揮官「だから……ここでいい」

 

しん……

 

明石「……もう一回にゃ」

 

指揮官「嫌だよ」

 

明石「お願いにゃ!!」

 

指揮官「……ここでいいよ」

 

明石「……っ」ぽろぽろ

 

明石「指揮官が自分から明石を選んだにゃ!!」ぎゅううっ

 

指揮官「消去法に近──」

 

明石「聞こえないにゃ!!」

 

指揮官「苦しい苦しい」

 

明石「一生大事にするにゃ♡」

 

指揮官「一生とは言ってない」

 

明石「一生にゃ♡」

 

指揮官「話聞け」

 

明石「今までは監禁だったけど、これからは合意の上にゃ♡」

 

指揮官「認めたな?」

 

カチッ

 

電子錠「」ピッ

 

指揮官「……何で鍵かけた?」

 

明石「防犯にゃ」

 

指揮官「俺もう逃げないって」

 

明石「念のためにゃ♡」

 

指揮官「結局何も変わってねえ!!」

 

ピコン

 

明石の端末『秘匿拠点特定リスク上昇』

 

明石「……指揮官」

 

指揮官「今度は何?」

 

明石「今夜引っ越すにゃ」

 

指揮官「またコンテナ?」

 

明石「嫌かにゃ?」

 

指揮官「……もういいよ」

 

明石「にゃ♡」

 

…………

 

〜翌日・母港〜

 

TB「候補5地点、全て空振りです」

 

ハルビン「逃げられたか」

 

ウィリアム・D・ポーター「また最初から?」

 

フランドル「問題ありません」

 

ネプチューン「回線は残っていますもの」

 

雪風「また探せばいいのだ!」

 

TB「捜索を継続します」

 

…………

 

〜新たな所在地不明〜

 

ピッ

 

指揮官『聞こえる?』

 

ハルビン「ああ今日も元気そうじゃないか」

 

ウィリアム・D・ポーター「今日は質問20個!」

 

指揮官『減ったな』

 

ウィリアム・D・ポーター「頑張った!」

 

指揮官『何を?』

 

フランドル「指揮官様、本日もお会いできて何よりです」

 

指揮官『うん』

 

母港は、指揮官が一度自由になり、自分から明石のもとへ戻ったことを知らない

 

指揮官も、母港の捜索が今なお続いていることを知らない

 

〜夜〜

 

明石「指揮官」

 

指揮官「何?」

 

明石「ここでいいかにゃ?♡」

 

指揮官「毎日聞くな」

 

明石「確認にゃ♡」

 

指揮官「昨日も言っただろ」

 

明石「今日も聞きたいにゃ♡」

 

指揮官「……ここでいいよ」

 

明石「にゃ♡」ぎゅっ

 

ピコン

 

『赤城:明日は朝からお話しいたしましょう♡』

 

ピコン

 

『大鳳:大鳳は昼からお待ちしております♡』

 

ピコン

 

『ラフィー:夜はラフィー』

 

ピコン

 

『フランドル:明日もお会いできることを楽しみにしております』

 

指揮官「……」

 

明石「人気者にゃ」

 

指揮官「……やっぱここでいい」

 

明石「にゃ♡」

 

指揮官「面会は減らして」

 

明石「母港と交渉するにゃ」

 

指揮官「コーヒーも」

 

明石「今淹れるにゃ♡」

 

一度は本当に逃げられた

 

それでも自分から戻った

 

もう逃げられないのではない

 

自分から逃げなくなっただけだった

 

─完─

 

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