異世界転生、俺TUEE、チート無双、マタオレナニカヤッチャイマシタカ、等々。
サブカルチャーの世界ではもはや素人ですら飽きるほど聞く、
擦られすり切れてなお繰り返し使われる万能な形式たち。
輪廻転生の本来の意味がどうだの言って批判する奴も。
それにガチギレしてジャンルとしての強みを語る強火オタクも。
中学受験も終わり、暇潰しにラノベとマンガを読みまくっていた当時の俺は、どちらの意見もありだなぁとは思いつつ、やはり食傷気味にも感じていた。
そして、我々なら…ストレートに言うなら「厨二病」と呼ばれるなかでも重症患者の我々は、こう思ってしまう。
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「転生してえなぁ~!!!俺もチートとか欲しい!」
夜中、遅くまで起きていつも通りにぼやいてみる。
なにも起きない。むしろ本当に転生されたら俺は困る。
「ま、俺が転生しても慌てふためいて凡ミスして死ぬだろうけど」
自虐。誰も聞いていないのにやっているのだから、きっと言い訳がしたいだけなんだろう。という自己分析すらキモい。
「…なんか腹減ったな」
そうだ、コンビニへ行こう。考えたときには既に玄関へと足が動いている。思考加速のチートでしょうか?いいえ、脊髄反射で人生を生きているだけです。
「んあ、曇ってる。雨降りそうだなこれ…傘もってくかぁ」
小学生の頃を思いだして、傘を振りながら進んでいく。気分は黒の剣士か物干し竿を振り回す剣豪だ。絶対勝利の剣でも可。そんなことを考えて歩いていたら。
ズボッ。
「…あっやべ。引っかかっちまった。引っかかるっていうかハマってるなこれ」
そこらへんにある柵の間にすっぽりと嵌まってしまった。
「折れるなよ~、折れるなよ~?折れたら泣くぞ俺は~」
ぐぐぐっと力を入れていく。あと少し。
スポンッ!と、頭の中ではそんな擬音が鳴った気がした。
「えっ?」
いきなり抜けた。つまり体の後方に掛けていた体重やら脚力やらその他大勢のさん達が一気に押し寄せてくるわけで。
ゴスッ。
頭がアスファルトにぶつかる。何やら後頭部が暖かい。そして目の前が霞む。
…えっ、俺死ぬ?傘振り回した挙げ句ひっかけてすっぽ抜けた勢いで頭打って死ぬ?え、は……まじ?
「………んええ…しょんな…くだらねぇ…」
まあ、そんな感じで。誰がどう聞いても情けないエピソードと共に、俺の人生は終わった。つまりはテンプレみたいな、そうでないような。とある素晴らしき世界の主人公みたいなそこはかとないダサさと共に。
まあ、これはこんな感じで。
無能且つ自虐趣味の奴が、好き勝手生きる、そんなお話。
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用語一覧
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・俺
主人公と言うには俗すぎる、この物語の語り手。クソ下らない理由で死んだ。後にこの話は黒歴史として封印された。
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・テンプレ
要するにいつものお決まり。皆も好きでしょ?転生。或いは転移。じゃなきゃハメールンには居ないと思う(ド偏見)。