やあやあ皆の衆。剣術を習い始めて1年が経過した男、 シーム・バイアだよ。現在ピチピチの十一歳!
そして言わせて欲しい。この世界は不条理だ。
いきなり何言ってんだこいつ頭おかしくなったか、と思った其処の君!残念ながらシラフだ。正気だ。だからこそ困る。
正直に言おう。俺の悩みというのはね……
才能がねぇ!(魂の叫び)
……あっ今「お前の努力不足だろ」とか思ったヤツいるだろ。まあそれはそうなんだがね。
実は最近、アリューシア・シトラスという商家の子が入ってきたんですよ。十三歳ぐらいの女の子ね。で、特大ネタバレをいたしますとですね、この女の子。
レベリス王国の最大戦力の一つ、レベリオ騎士団の団長になります。しかも二十代で。
「は?」って思った人は正解。そりゃ普通無理だもん。
そもそもこの世界においてもやはり騎士団は男性の方が比率は高い。何でかと言われると、それは文化云々ではなくこの世界の技術水準における剣の作りによるものだと俺は思ってる。
前提としてこの世界は魔術を除けば中世ぐらいの文化水準なので、西洋のロングソードに近しい形の剣、騎馬から突く用の長くて重い槍、鎧ごと粉砕できるメイスなんかが騎士団では採用されている。
男は筋肉がつきやすく、背が高くなりやすい。
女は柔軟性に富み、比較的背が伸びづらい。
これは性差別がどうとか役割の固定観念だとかそういうのではなく、純粋な生物的な特徴だ。もちろん例外はあるけど、傾向としてはそうなるのが自明だ。
するとどうなるか。
騎士団では力が強く、よりリーチが長く重い武器を振り回せる奴がトップになることが多くなる。実際、歴代レベリオ騎士団長の多くが男性だったそうだ。
そして、それを覆せる例外が同じ道場に居る。激しくビビるわ。何より恐いのは、俺より後に入ってきたのに二週間ぐらいで俺より強くなった事ね。
うん、読み間違いじゃ無いよ。俺は負けたの。あまりにもあっさりと。1年やってる奴が二週間やった商家の娘さんに負けた。いやあ、滑稽だね!
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「とかいって茶化しても、やっぱり情けねえなぁ」
皆が帰り、ベリル師匠が自己鍛錬のために素振りに行く夕方。一人で道場を掃除しておく。
「こうやって信頼稼いで、いざという時守って貰いたいんだよねぇ…とか思ってる時点で徳とは無縁よな、俺」
ぶつくさ言いつつ、掃除がてらトレーニング。と言うのも烏滸がましい、遊びみたいなもんだ。
やり方はこう。箒の中心部近くを持ち、振ると同時に箒を手の中で滑らせて前へ。そして柄の先端ギリギリの部分で握って止める。要するに間合いを変えながら振るのだ。
何故こんなことをしてるのか?答えは簡単。原作キャラたちはオリジナルの技や独自の術理を持って戦闘しているからだ。…まあ君らの言いたいことは良く分かる。厨二病乙、と言いたいんだろう?
だってしょうが無いじゃん!俺もチート使いたいけど無いんだから!姑息な技術使わないと勝てないんだからぁぁぁ!!あとはストレス発散ね!妹弟子に負けてんだぞ!?やってられるかぁ!
なんなら投げナイフも棒手裏剣も閃光玉とか煙玉も、全部使ってます!(外道宣言)
いやまじでね、剣はそこそこ止まりなのよ。正規の兵士より弱いかな、ぐらいまでしか無理。なのでまあ。
俺は卑怯に勝つ!
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用語一覧
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・俺 → 「シーム・バイア」
主人公と言うには俗すぎる、まわりがチートすぎて正攻法は早々と断念。卑怯を極める宣言をかました雑魚。
「アリューシアもバケモンだけど、ちょっと前に辞めてったスレナも大分バケモンだね。…うん?俺より年下の女の子だったな。…エグ」
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・「アリューシア・シトラス(幼少期)」
後のレベリオ騎士団長である。バケモンの卵。現時点で我らが主人公よりよほど強い。ちなみにベリル師範にガチ恋してる。クールビューティーに見せかけて、先生関連はポンコツになるチート女。そのうち出るかも。戦法は目にもとまらぬ速さと針の穴を通すような正確さを兼ね備えた高速殺法。相手は死ぬ。