ヒーロー名「エターナル」   作:オンドゥル太郎

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第一話 試験

街路樹の桜が咲き誇る道を、膝に乗せた飼い猫を撫でながら、窓越しに見つめる。

 

長かった。

 

これまでの十数年、俺はそれを家族に捧げた。

 

後悔はしていない。

もし俺がそうしなければ今よりももっと悲惨な結末が待っていたのだから。

大切な家族のためなら、たったの十数年ぐらいやすい物だ。

 

そうして今日、俺は自分の意思で、一切見えない未来に足を踏み出すのだ。

 

「永太君。ついたよ。」

「ありがとうございます。霧彦兄さん。」

「義理とはいえ、弟の高校入試なんだ。お義父さんや冴子は仕事だから、代わりに送ることぐらいなんてないよ。」

「ニャア。」

「それじゃあ、ミックの事もお願いしますよ。」

「ああ、あまり懐かれてないみたいだけどね。」

そう言って、俺の義理の兄、霧彦さんは助手席に座る猫、ミックに手を伸ばすが、ペシっと払い除けられてしまう。

 

そんな光景を見ながら、俺は少し笑うと

「それじゃあ、行ってきます。」

「行ってらっしゃい。」

「ニャア。」

 

俺は車から離れ、巨大な校門の前に立つ。

自分のポケットに入っている小箱に触れながら、その校門を潜り抜けた。

 

 

 

 

 

筆記試験は何なく突破。

とはいえ、普通に難しかったため、全教科90点に達していればいい方だろう。

 

次に迫るのは実技試験。

 

さて、行くか。

 

 

 

 

現在、俺は今プレゼントマイクから、実技試験の内容を説明されている。

にしても相変わらずでかい声だな。

これくらいのホールだとちょうどいいんだが…

戦闘時は至近距離でも一切の容赦なく叫ぶせいで、一種のトラウマに近いものとして記憶している。

 

 

まあそんなこんなで、説明は終わる。

内容は簡単な話、ロボットを破壊するだけ。

それぞれのロボットに割り振られた点数の合計で合否が決まると…

これ、個性が戦闘向きじゃないやつってどうなるんだろうな?

何か他にも判断基準があるのか…まあ俺には関係ねえか。

 

「よし、行くか」

この会場に集まった受験生達がそれぞれストレッチを行うなど、準備を始める。

 

そんな最中、

「はいスタート。」

プレゼントマイクの気の抜けた声で、試験が開始された。

 

俺は前の受験者を躱し、即座に先頭に出る。

 

後ろで呆けていた生徒達も、プレゼントマイクの言葉に我先にと動き出した。

 

「目標確認。ブッコロ、グベ。」

「ロボットにしちゃ、物騒な言葉を使うな。」

横から現れたロボットを肘打ちで破壊する。

前から来たロボットをハイキックで蹴り飛ばす。

そのまま流れるように横から迫る2体のロボットを蹴りで破壊。

最後に完全に壊れていなかったさっき蹴り飛ばした個体を踏み潰す。

 

「この程度なら、十分やれるな。」

気になるのはさっき説明していた0ポイントのやつだが、まずは点を取ることに集中しよう。

 

俺は遠くに見えたロボットに向かって走り出した。

 

 

 

「ふぅ、こんなもんでいいか。」

あれから十分も経っていないうちに、永太の周りには無数のロボットの残骸が散らばっていた。

 

「というか、武器使って良かったのかよ。」

近くで日本刀を振り回す受験者を見ながら、永太はぼやいた。

その時、突然、地面が揺れ動く。

 

永太がいた場所からしばらく進んだあたり、試験の開始地点の真っ直ぐ先の場所にそれはいた。

というよりかは、あった。が正しいのだろう。

 

目測で20から30メートルほどの巨体を誇るロボットが突如出現したのだ。

 

「コイツァ、シヴィーだな。」

かつてぶん殴った相手の口癖を真似しながら、俺は走り出した。

 

 

少し走ったところで、俺は巨大ロボットの進行ルートへと出る。

 

そして、俺がロボットへと向かおうとした所で、誰かに腕を掴まれる。

 

「おい!あぶねえぞ!」

「ん?」

そこに立っていたのは目つきの悪い紫の髪をした男だった。

 

 

 

 

雄英高校の実技試験を受けていた心操人使は、非常に焦っていた。

 

「なんなんだよ、この試験!」

普段の物静かな性格とは相反して声を荒げるほどには。

 

心操の個性は「洗脳」

相手に話しかけ、相手がそれに答えた時点で、その相手を洗脳状態にできる。

 

強力な個性ではあるが、相手がロボットのこの試験では非常に相性が悪かったのだ。

 

ただでさえ苦労してロボットを倒している中で現れた0pの巨大ロボット。

 

近くにいるだけで、大怪我を負うだろ存在に心操は逃げ出すしかなかった。

 

だが、そんな心操の視界に1人の男が写った。

 

その男の進む先には、巨大ロボットがいる。

 

普段ならば、見逃しただろう。

 

だが、心操はそれを止めに向かった。

 

理由は心操にもわからない。

 

そして心操は男に声をかけた。

 

 

 

 

「おい!あぶねえぞ!」

「ん?」

紫髪の声の反応した瞬間。永太に異変が起こる。

永太の意識を引き摺り込むかのように何かがまとわりつくような、そんな感覚が永太を襲う。

 

だが次の瞬間。

「なんだ?」

「は⁉︎」

永太の異変は消えていた。

 

「なるほど、精神操作の個性。洗脳とかそんなところか?悪い。体質上あんま聞かねえんだよ。」

「え、は?」

予想外の出来事に混乱しフリーズする心操。

だが、かろうじて意識を現実へと引き戻す。

 

「何なんだよお前、じゃなくて!お前、なんであれに向かってくんだよ!危ないだろ!」

「なんでって、簡単だ。あれくらいならなんとかできるからだよ。

「はぁ!?」

心操は理解できなかった。

理解するのを拒んだ。

 

「お前、名前は?」

「心操人使だけど。」

「そうか、心操。試験官のプレゼントマイクも言ってただろ。「真の英雄とはどんな困難も乗り越えて行くものだ」って。入試で出てくるロボット程度にビビってたら、これ以上のもんに立ち向かうなんて絶対無理だ。」

「それは、そうかもしれないけど、「それにな、」」

 

「俺を倒したあいつなら、迷わず突っ込んでいくんどろうなって思ったんだよ。」

「ハッ…」

心操は笑った。

感覚的に理解したのだ。

目の前の男ならあれをどうにかできるのだろうと。

 

「なんだ?」

「いや、あれに勝てるって言うくせに負けたことあるんだな。」

「俺は負けてねえ。」

永太はどこか遠くを見つめたのちに言った。

 

「あの時は、()()()()()()()()()

「訳わかねえけど。勝手にしとけ。」

そう言って心操は走り去った。

その後、名前を聞き忘れた事を後悔したのはまた別の話だ。

 

心操が走り去った後に俺はあるアイテムを取り出す。

 

ここで少しだけお勉強の時間だ。

今俺たちが立っているこの大地こと地球。

この惑星も、俺たちと変わらない生物なのだ。

そこには意思が存り、この地球上のさまざまな事象、存在、概念までを、記録し、保管されている。

そしてその記憶を抽出し、手のひらに収まるサイズの小箱に内包した物。

使用すれば、超人的な身体能力と内包された記憶由来の能力が使用可能になる魔法の小箱。

それが【ガイアメモリ】だ。

 

例えばマグマの記憶を内包した【マグマメモリ】を使用すれば超高音の火球を放てる。

 

ただ、大きな力には当然、副作用もある。

ガイアメモリが持つ毒素だ。

これらは非常に強力で、これによってガイアメモリをそのまま複数回使う続けた場合高確率で死に至る。

 

その毒素を抑えるために様々なアイテムが開発されており、今俺が持っているものも、そのうちの一つだ。

 

ガイアメモリが持つ毒素を可能な限り浄化した状態のメモリ

【T1ガイアメモリ】

 

そしてそれを使用するために作られた装置のうち一つが、今俺がどこからともなく取り出したコイツ、【ロストドライバー】だ。

 

俺はそれを自身の腰へと押し付けると、右側から腰へぐるりと巻きつく。

 

ポケットから取り出した白色のメモリのボタンを押した。

 

『エターナル』

 

渋い声で機械音声がメモリの名を告げる。

 

「変身!」

メモリをロストドライバーへ装着

一拍置いて、ドライバーを横へ倒す。

 

周囲の空気が変わり、永太を白い結晶が包み込む。

 

そしてそこには、かつて風の街を襲った死神の姿があった。

 

【仮面ライダーエターナル】

仮面ライダーW劇場版にて登場した、永遠の名を冠する最強のライダー。

 

それが今、雄英高校の入試試験に現れた。

 

永太は赤い炎をが描かれた手をロボットへと向けると、親指を下へ向ける。

 

「地獄を楽しみな。」

そう呟くと、メモリをドライバーから腰の横に取り付けられたスロットへと差し込む。

 

『エターナル マキシマムドライブ』

永太は両足で高く跳躍。

一飛びでロボットの眼前へと躍り出ると、空中で一回転した後に飛び蹴りを放つ。

 

赤い炎を纏った一撃は、巨大ロボットの装甲をものともせずに貫いた。

 

 

 

『試験終了!!』

 

「ふう。」

俺は息を吐くと、メモリをスロットから抜き、ポケットへとしまう。

 

「雄英入試、突破かな?」

そう呟くと、俺は足早に試験会場を後にした。




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