ヒーロー名「エターナル」 作:オンドゥル太郎
「アギト 超能力戦争」も見れていません。
なんならここ一年ほど、イタリアすら行っていません。
超能力戦争をやってくれるような映画館はないし、海外での外食は高いんだ。(場所による)
しばらくバイクを走らせると、目的のレストランへと到着する。
駐車場にバイクを止め、八百万とレストランへと歩いていく。
「どうかされましたか?」
「…いや、なんでも無い。ほら、早く行こう。」
植物が生い茂り、柔らかな光でライトアップされた庭を通り抜け、扉に手をかける。
時間が良かったらしく、店の中に並ぶテーブルには客はいない。
「いらっしゃいませ!あ、百ちゃんだ!元気にしてた?こっちの人は…彼氏さん?」
「ちっ違います!こちらは園咲さんと言って、クラスメイトなんです!」
「どうも。」
八百万の紹介に預かり、頭を下げる。
厨房の奥から現れた、人懐っこい笑顔を浮かべる青年は、俺たちを交互に見ると、まるで太陽のように明るく笑った。
「そっかそっか!よろしくね、園咲くん!」
「永太でいいですよ、」
不意に声が詰まってしまった。
緊張なのか、感動なのか、それはわからないが、俺はなんとか声を戻そうとしていると、
「あ、僕はここのシェフの津上翔一っていいます!よろしくね、永太くん!」
「…………よろしく、お願いします。津上さん。」
「翔一さんでいいよ。永太くん。さあ、こっちへ」
津上さんに案内され、席に座る。
入り口のすぐ横にある席だ。
俺たちが座るのを待って、翔一さんがメニューを渡してくれる。
「何になさいますか?」
「ここの料理はどれもとても美味しいですの。アレルギーなどがなければ、きっとお口に合うと思いますわ。」
「へえ〜。八百万さんは何にするの?」
俺の質問に少し悩むと、八百万さんはナスとトマトの冷製スパゲティを頼む。
「はい。いつもと同じやつだね、永太くんは、何にする?」
「それじゃあ…」
俺はしばらく悩んだ後に、こう答えた。
「翔一スペシャルで、お願いします。」
「はい。翔一スペシャルねって、なんで知ってるの!?」
津上さんが急に振り向いて詰め寄ってきた。
そりゃそうだ。
メニューに無い品を初めての客が知っているんだから。
「あ…本当にあるんですか?」
「うん。その日の食材とかで決める、日替わりのメニューなんだけど、常連さんしか知らないんだけどな〜。もしかして、そう言う個性?」
「はい。改めて翔一スペシャルでお願いします。」
そう言うと、「すごいなあ」なんて言いながら、彼は厨房へと入っていった。
「園咲さん、なんで翔一スペシャルなんて知っていたんですか?」
「あ〜先に調べてたんだよ。それで、レビューサイトで、翔一スペシャルが良いって書いてたんだ。」
俺の言い訳を、そう言う事ですかと彼女は飲み込んだ。
ピュアだな〜
俺は心の中で、彼女を変な所へは近づかせないように考えながら、厨房を見る。
彼の姿は見えないが、奥からはちゃんと調理の音が聞こえる。
津上翔一
平成一期2作品目にあたり、平成ライダー作品において、最高視聴率を叩き出した作品。
「仮面ライダーアギト」
この物語は、壮大な神話をバックに、3人の主人公がそれぞれの視点、それぞれの人生を辿り、一つの謎へと近づいていく。
容赦なく人が死ぬ物語に、ミステリーや人間ドラマが詰め込まれた傑作だ。
津上翔一は3人の主人公のうち一人であり、記憶喪失の青年だ。
美杉家に居候しつつ、人それぞれの“居場所“を守るため、アンノウンと呼ばれる生命体と戦いながら、自分は誰なのか、なぜアギトになれるのか、といった謎を追い続けた。
終盤、アギトの力の正体や、自分が誰なのか、全ての謎が紐解かれた後、彼は、人を生み出し、アギトの力を嫌う神、テオスから人間の、アギトの未来を取り戻すために戦い抜いた。
多くの人のために、神にすら打ち勝った英雄、それが津上翔一(本名沢木哲也)だ。
「園咲さん、どうかしましたか?」
「え?」
「先程から、厨房の方ばかり見つめていますので、翔一さんに何か?」
少しガン見しすぎたらしい。
俺は視線を八百万の方へと戻す。
「いいや、なんでも無いよ。ただ、ちょっとした物語を思い出したんだ。」
「物語、ですか?」
「うん。この世界で、僕だけが知ってる物語。料理ができるまで時間もあるだろうし、聞いてみる?」
「ぜひ、お願いします。」
少し食い気味に聞いてくる八百万を前に俺は話し始めた。
「はるか昔、神様は世界を作りました、次に自分の部下の姿を真似て、動物を作り、最後に自分の姿に似せて………
全てが終わり、人々がそれぞれの暮らしに戻った頃、一家があるレストランに行くと、主人公が、いつもの笑顔で出迎えてくれましたとさ。おしまい。どうだった?」
「すごく面白くて、感動しました。ヒーローを目指すものとして、その主人公はとても尊敬できる方ですね。」
「うん。彼はいつまでも、英雄だよ。」
俺はチラッと厨房へと目をやる。
他のお客も入り、席が少しずつ埋まってきている。
津上さんは料理を持ってこちらへ向かっている。
どうやら完成したようだ。
「料理が来たみたいですね。あ、園咲さん。」
「どうした?」
「先程の物語の名前は何ですか?」
俺はこちらへくる津上さんを見た後に、言った。
「仮面ライダーアギト。それが名前だよ。」
「仮面ライダーアギト。ふふ。こちらのレストランと同じ名前ですね。」
「はい!お待たせしました、ナスとトマトの冷製スパゲティと、翔一スペシャル、今日は春野菜をふんだんに使ったカレーライスだよ。」
「ありがとうございます。美味しそうだな。」
「ええ、いただきましょう。」
二人は手を合わせ、声を合わせて言った。
「「いただきます。」」
「はい、お釣り。ありがとうございました!」
「こちらこそ、ごちそうさまでした。それでは」
俺は店を出ようとして、足を止めた。
「津上さん。」
「はい。なんですか?」
俺は振り返って、頭を下げる。
「あなたは、あなたの居場所を、守ってください。」
「はい。ん?それってどう言う、」
「それでは。」
俺はもう一度頭を下げ、店を後にした。
「それじゃあ、帰ろうか。」
「はい。」
店の外にいた八百万と歩き出す。
少し進んだ先、店の庭を出る所で、四人組の男女とすれ違った。
彼らに釣られて、俺は後ろを振り向いた。
そのうちの一人がこちらに気づいたらしく、近づいてくる。
「あの、私達に、何か用でしょうか?あ、自分はこう言う物です。」
そう言って、その人は胸ポケットから警察手帳を取り出す。
特殊犯罪取締課
【氷川誠】
やっぱり、この人もいた。
神とアギトの戦いに、人間として戦い抜いた英雄。
「氷川誠。」
「はい。それで、自分に何かありましたか?」
「…いえ、知り合いに顔が似ていたので、声をかけようか迷ったんです。不快な思いをさせてしまったらすみません。」
「いえいえ、何もなければ大丈夫です。それでは。」
「あの!」
去っていこうとする氷川さんを呼び止める
「あなたは、自分の信じる物に向かって、まっすぐ進んでください。それでは。」
「あ、ちょっと!」
「もう!氷川くん!もたもたしてないで早く来なさい!」
「ちょっ、小沢さん、引っ張らないで下さい!」
俺は彼らのやりとりを背にその場を後にした。
「園咲さん、彼の方はお知り合いで?」
「いや、なんでも無いよ。それじゃあ、捕まって。」
俺は八百万がヘルメットを被り、自分にしっかりつかまったのを確認すると、発進した。
園咲永太。
将来、ヒーロー事務所を持つ場合、場所を予定通り風都か、レストランAGITΩの近所か、本気で迷っている。
憧れの方に会えて、めっちゃうまい料理も食べれた。
現在最高に機嫌がいい。
自作のライダーのフィギュアを壊されても、今なら半殺し(26本同時マキシマムドライブ)で許すと思う。
美味しそうにスパゲッティを食べる八百万を、かわいいなと思いながら見ていた。(ご飯を頬張る小動物を見る目で。)
八百万百
美味しい料理を友達と食べられて嬉しい。
バイク、かっこいいな。
津上翔一
アギトにはならないが、おおまかなルートはアギト本編に近い。
記憶喪失になったし、美杉家に居候したし、レストランも開いた。
氷川誠
G3にはならなかったものの、翔一の記憶を取り戻すのに協力したりと、普通に友人関係を築いている。
この世界でも、冷や奴は掴めない。
なんならこの後出されて、しっかり落としている。
小沢澄子、尾室隆弘、北条透
行きつけの焼肉が休みだったので、翔一の店に来た。
G3は作っていないものの、個性犯罪の中でも、未解決事件や犯人の個性が不明な事件に関わる課(彼ら四人のみ)にいる。
この世界でも尾室は、ガードチーサーとは言うだろうけど、たぶんヒゲを生やさない。