ヒーロー名「エターナル」   作:オンドゥル太郎

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5話 戦闘訓練(中)

ビルの前の道路。

 

俺はストレッチをしながら時間を待つ。

 

今は戦闘訓練の準備時間だ。

 

全組の訓練後に、再度クジを引き、俺のペアと対戦相手のチームを決めた。

 

そうして決まった相手チームは

 

轟&爆豪チーム!

 

という事で、例の爆豪くんと当たりました。

 

轟は氷を出してたやつだ。

初日のテストでは手から氷を出し、それに乗って移動するという芸当を披露していた。

 

先生もなんでもありって言ってたし、隣で原付乗ってる人もいたし、まあいっかってなってた。

 

今日の戦闘訓練でも、ビル一つを丸々凍らせていた。

 

個性の練度に関してもクラスで頭一つ抜けてるって印象だ。

 

そんでもって爆豪。

テメエはダメだ。

 

個性の使い方から体の動かし方、戦闘センス含めて申し分ない天才だ。

 

だが、プライドと精神性が完全に足を引っ張っていた。

 

あれだけの機動力が有れば、あのまま二人を一ヶ所に止めることもできただろうに。

 

緑谷に執着するからだ。

 

声は聞こえないため、唇を読んでみれば、はっきり言って子供の癇癪かと思うような内容ばかり。

 

本当に勿体無い。

 

 

 

 

2人に関してはこんぐらいでいいだろう。

 

そして、俺の相方だが…

 

「よろしくお願いします、園咲さん!」

「よろしくな、八百万。」

 

こちら八百万百さんです。

 

うん。勝ったわ。

 

 

「それで、作戦はどうしますか?」

「作戦か…爆豪はたぶん完封できる。問題は轟だ。」

「ええ、狭い室内で氷結を放たれてしまえば、私はその場で捕まります。園咲さんならば突破できるのでは?」

「いや、たぶんだが、手加減の必要がないから俺ごと部屋の一部を丸々凍らせてくると思うぞ。状況次第だが、完全に氷に包まれれば脱出には手間取るだろうな。対策としては、氷結の瞬間にヒートメモリで氷を出すのと同時に溶かすなど、何にせよメモリに触れていない状態で凍らされたら詰みだ。」

 

二人して考え込む。

映像でみた轟の氷結はかなり早かった。

昨日のテストと今日の訓練を見るに、おそらく氷結は右半身からしか出せないのだろう。

実践ならば頭を狙って打てば早いのだが、訓練ではそうはいかない。

 

「園咲さんに課された条件を考えると、入り口で奇襲される可能性もありますわ。」

「流石に入り口付近に隠れて氷結ブッパは勘弁して欲しいね。」

 

今回、俺には条件がある。

 

ガジェットやメモリなど、自由に使える代わりに、ビルの入り口から入り、2階まで行ってから変身しなければならない。

それ自体は問題ないのだが、今回は轟の動き次第で初手から詰む可能性がある。

 

「失礼ですが、園咲さんの個性について教えてもらえませんか?」

「俺の個性、ああメモリか。」

俺は腕時計を見る。準備時間はまだある事を確認して、ゾーンを起動。

大量のメモリを出現させる。

 

「これはガイアメモリ。地球が記憶した生物、物、事象、概念などを内包したUSBメモリ型のアイテムだ。」

「ガイアメモリ…地球の記憶…不思議ですね。」

そう言って八百万はメモリの一つを手に取る。

 

「それはゾーンメモリ。さっきも使ったが、空間操作が出来る。他にも……

 

 

という感じだ。ただ、ゾーンとエターナル以外は、ベルトかガジェットについているマキシマムスロットに入れた後にスイッチを押さないと、使用できない。」

「なるほど…まるで複数個性があるみたいですね。」

俺はメモリを数個残して他をしまうと立ち上がった。

 

「もう時間も無いし、まずは2階まで駆け抜ける。それから…」

「わかりました。」

 

俺たちの会話が終わると同時に無線機を通して、オールマイトが話しかけてきた。

 

 

 

 

 

 

 

「3、2、1、スタート!!」

 

「行くぞ!」

「はい!」

スタートの声と同時に俺たち二人は走り出す。

 

「八百万!盾!!」

「はい!」

八百万が円形の盾を創造し、永太へと渡す。

受け取った永太は、盾を構え、動かない自動ドアをタックルで突き破る。

 

 

『ゾーン』

屋内に入ると即座にゾーンメモリを起動。

建物の間取りを瞬時に把握する。

 

「八百万!突き当たりを右折、来るぞ!」

ゾーンの効果で、前方から何かが現れる。

浮かんでいる、この速度、爆豪か!

 

「死ねぇ!!」

案の定爆豪が曲がり角から現れ、爆発の勢いでと飛び蹴りを放つ。

俺はそれを盾でガード。

 

「プランA、頼む!」

「いきます!」

俺の後ろにいた八百万が小さな物体、もとい閃(・)光(・)爆(・)弾(・)を投げる。

 

俺は片目を瞑る。それと同時にまばゆい光が一階を埋め尽くす。

 

「先手必勝!」

「くらうか!」

光が収まると同時に俺は某米国のキャプテンの如く盾を投擲。

対して爆豪は天井に張り付くように回避する。

野郎、八百万のサングラスを見て閃光爆弾に感付いたか。

だが、本当の狙いはそこでは無い。

 

「抜けられてるぞ?」

「な!?」

俺と爆豪、その向こう側。

ちょうど今八百万が階段にたどり着いた。

爆豪の注意が八百万に向いた瞬間。

 

「よそ見してんじゃねえよ。」

俺はヤツの首を掴むと同時にホルスターから銃を抜き爆豪の腹に突きつると、

 

迷う事なく引(・)き(・)金(・)を(・)引(・)い(・)た(・)。

 

 

パンパンパンっと乾いた音が響くと、爆豪が腹を抑え、地面に倒れ込む。

 

「テメェ、ふっざけんな…」

「腹に穴が空いたわけでも無いんだから、さっさと立てよ。」

俺は爆豪を見下ろし、銃口を突きつける。

 

安心して欲しい。この銃は実銃では無い。

 

見た目はただの拳銃だが、グリップ部分、正確にはマガジンがあるはずの場所には何もなく、ドライバーと似た機械が取り付けられている。

 

「コイツは母さんの特注品でな。メモリの能力を引き出せる他、マキシマムドライブも出来る。その代わり、メモリを使わなければ人を撃ち抜くことすらできないという代物だ。」

 

【エターナルショット】

当時、エターナルエッジのみで本家エターナルの強さを再現は不可能だと考えた俺が園咲家を出ていった母さんに頼み、作ってもらった一品だ。

拳銃をそのまま改造しており、本来はマガジンが収まる位置にメモリを装填出来る。

『トリガー』を入れれば、トリガーマグナムと同等の威力を誇る弾丸を放ち、『ヒート』を入れれば、火球を放ち、『ルナ』を入れれば軌道の変化する弾丸を離れる。

 

ミリタリー色の強い、僕も気に入っている一品だ。

 

 

俺は倒れ込む爆豪を通り過ぎ、階段へ向かおうとする。

 

「待てや!!」

「いちいち叫ぶなよ。」

背後から再び襲いかかる爆豪の手首を掴み、背負い投げの要領で地面に叩きつけ…ようとしたが、咄嗟に爆豪が爆破をうまく使い体を回転させながら俺の手を振り払う。

 

「調子乗ってんじゃねえぞ!真っ白野郎!!」

「キーキー喚くなよ。猿かてめえは。」

俺ん挑発に、爆豪は顔を歪ませ、掌にばちばちと火花を散らす。

 

「おまえ、何にキれてんだよ。俺おまえになんかしたか?緑谷に関してもだ。あいつが何か人の嫌がる事をするとは思えないんだが。何か恨みでもあんのか?」

「うるせえ!!なんなんだよ、てめえもデクも!」

そう言うと再び爆豪は爆破の勢いを利用して飛び蹴りを放つ。

 

「うるせえのはおまえだろ!(左で受けつつ、右で押さえ込む)」

俺が爆豪の蹴りを左手で受け流そうとした瞬間

 

(消えた⁉︎違う、蹴りはフェイントか!)

空中で爆豪は爆破を利用して体を捻り蹴りではなく、貯めた汗を一気に放つ大爆破を行おうとする。

 

(会話の中で計画を立て、実践で成功させる。個性の扱いから感覚だけでこれらを扱うあたり、センスは最高レベルだ。コイツは俺も無傷じゃ済まねえな。)

おまえが冷静な状態ならな。と刹那の思考で永太は正解を導き出す。

爆豪はここまでの訓練を通して冷静ではない。

本来ならば、考えられた可能性を今この瞬間、彼は見落とした。

 

ど(・)う(・)や(・)っ(・)て(・)八(・)百(・)万(・)が(・)先(・)へ(・)進(・)ん(・)だ(・)の(・)か(・)を。

 

感覚だけでメモリを起動。

ゾーンの能力で爆豪の懐へと潜り込む。

この間0.5秒。

 

 

 

 

 

爆発。

 

全てが終わった一階。

壁が破壊され、広くなった空間の中で、爆豪は地面に押さえつけられていた。

 

「才能、実力、戦闘IQ、全てが高スペック。クラスでもトップクラスだ。そんなおまえが勝てない理由がわかるか?」

 

爆豪の両手は永太の足と手で押さえつけられている。

ほぼ同じ体格とは思えないほどの力で。

 

「おまえのプライドだよ。今までいなかったんだろ?自分より強いやつなんて、自分より凄いやつなんて。雄英でだって今まで通り1番でいられると思ってたんだろ!」

 

永太は感情的になる自分を押さえつけ、息を吸うと言葉を続けた。

 

「あの単純な入試試験で、俺ともう一人のやつが1位と2位を取れた理由がわかるか?」

 

爆豪はこっちを睨んでいる。何かほざいているが、聞き取れない。

さっきの爆発で耳がおかしくなったのだろう。

 

「おまえらが、ヒーローという夢を見ていた間、てめえが努力してた時間、戦ってたんだよ。命懸けで。自分の大切なもののために!戦い続けてたんだよ!失ったもんを!取り戻すために!血反吐を吐こうが、罵声を浴びせられようが!戦い続けてたんだよ!」

 

爆豪の目が揺らぐ。何言ってんだコイツとでも思っているんだろうか。

ようやく少しだけ、耳が戻ってきたか。

 

「世の中な!自分以上の存在なんていくらでもいるんだよ!てめえみたいにいちいちキレてる時間なんてねえんだよ!戦わなきゃ死ぬんだよ!勝たなきゃ何も守れない、何も取り戻せないんだよ!好きで戦ってねえんだよ!」

 

永太は立ち上がる。

手に持っていた捕縛テープを爆豪に巻き付ける。

 

「勝てないからって、負けたからって癇癪起こしてる間は、おまえは誰にも勝てねえよ。」

 

気分は最悪。

まあ、言いたいことは言えたからいいか。

 

永太は階段を登り始めた。

 

 

 

 

 

 

2階。

 

 

永太が二回へ上がったと同時に、氷の壁が永太に向かって襲いかかる。

 

「あぶねっ!!」

地面を転がり氷結を避けつつ、ショットにメモリを装填する。

 

『ヒート』

続け様に襲い来る氷結を火炎弾で止めつつ、部屋の中心にいる人物と向かい合うも。

 

「よお、轟くん。次からは呼び捨てでいいか?」

俺はロストドライバーを腰へ装着する。

 

「なんでもいい。さっさと終わらせるぞ。」

そう言って轟は右手を、俺はエターナルメモリを構えた。




エターナルショット。

シュラウドこと園咲文香に頼み込み、作ってもらったエターナル専用の銃型武器。
本物の拳銃を改造して作られており、マガジンを入れる部分にメモリを入れて使用する。
メモリを使わなくても、発砲は可能だが、威力は弱い。
マキシマムドライブも使用できるが、それは次回。


元々の予定では、今回で戦闘訓練を終わらせるつもりだったんですが、思ったよりも筆が乗ってしまったのでもう2話に分けました。

次回、vs轟。
乞うご期待。

高評価感想お待ちしています。
誤字報告ありがとうございます。
自分でも投稿前に読み直してはいるんですが…
なんにせよ、怪しいなと思ったらどんどん誤字報告送って下さい。
では。
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