オーバーロードはダークエルフになりました   作:トドロ

11 / 11
リンシアさん誤字報告ありがとうございました。
これからは土日どちらかの5時くらいの投稿になるかもです


ズーラーノーン後編

「〈上位アンデッド創造〉ーー蒼褪めた乗り手(ペイルライダー)」

 

静かな声が周囲に染み入るように緩やかに響く。それと同時に目の前の死体の周りに青が巻きついていく。パキ パキ という音と共に急速に死体が膨らみ二つに分かれ、足が腕が鎧が作られていく。数秒後、モモンガの身長を全身鎧(フルプレート)を着た騎士が超えた時、吹けば飛ぶような薄くしかしながら力強い様な奇妙な繋がりが生成された事をモモンガは把握した。

 

「蒼褪めた乗り手(ペイルライダー)御身の前に」

 

膝をついて臣下の例をとる蒼褪めた乗り手(ペイルライダー)に対して当然だという様に頷く二人を見ながらモモンガは安堵と満足を示す。この世界に於いて意思疎通が可能かどうかはとても重要な事だ。欲を言えば自分で考え任務を遂行する柔軟さが欲しい。手札が多く相手にとっての不確定要素が多いほど、相手を翻弄しやすくなるのだから。低位のアンデッドであるスケルトンやゾンビは意思疎通が困難でこちらの命令を一方通行でしか受理せずスケルトン側からの意思は確認できなかった。しかし死者の大魔法使い(エルダーリッチ)などのアンデッドであれば話す事や思考ができ、意思疎通も簡単であった。ただ、死者の大魔法使い(エルダーリッチ)よりレベルの高い死の騎士(デス・ナイト)は喋る事はできてもあくまでも簡単な単語だけであった。その事からいくら強力なアンデッドといえども此方の命令を聞きにくい事や柔軟さを持たない場合があるということが分かった。そのアンデッドの種族ごとの差を理解してなければアンデッドを召喚する時、戦闘時において不安が残り、手札として扱いにくい。高位のアンデッドであっても必ずしも柔軟な思考ができると限らないので確認を含めてアンデッド創造で簡単に作れる蒼褪めた乗り手(ペイルライダー)を作り自らで考え返答できるか聞いてみたのだがーー

 

(杞憂だったか…。礼の形は指定していないのにここまでの判断ができるならば、ある程度は問題ないだろう。非実体化もできてこの世界においてではあるがレベルも高い以上使える奴で良かった。死体を一体消費して作ったから無駄にならずに済んだな)

 

鈴木悟にとって何処か外れた思考でありオーバーロードの思考として正しい物であるという事にモモンガは気づかない。死体はエ・ランテルの外街道沿いにゴブリン退治の依頼をしに行った時に打ち捨てられていた死体である。牙や爪などで切り裂かれていたというよりも人間の剣で切り裂かれていた様子だったので、万が一にも問題はないだろう。仮に回収しているのがバレたとしても、モンスターに喰われてしまったことにすれば問題無い。そこまで考えて司令を出そうと意識を切り替える

 

「蒼褪めた乗り手(ペイルライダー)よ今から非実体化してアンデッドが大量発生している所の元凶の所に行け。できる限り気づかれぬ様に相手の実力を測ることを最優先とせよ。相手との実力差が分かれば追って次の司令を出そう。……謙遜も驕りも無しに正直に答えよ。できるか?」

「この蒼褪めた乗り手(ペイルライダー)可能でございます。故にこそ御身の司令。我が全力を持って遂行させていただきましょう」

「よかろう…では行け」

「はっ」

 

厳かに告げた声に対して静かに、だが確かな自信を持って答える蒼褪めた乗り手(ペイルライダー)。急速に目の前から圧力が消えその姿が非実体化していくのを見ながら二人の方へ顔を向ける

 

「さてと…アウラ、マーレよこれから冒険者組合の方へ向かおうと思うのだが…せっかくだ。このまま冒険者組合の方へ行きどうすればいいか意見はあるか?」

「意見…ですか?」

「うむ。蒼褪めた乗り手(ペイルライダー)が彼我の差を測定してくるまで時間があるし、一人で行動する時も考えて欲しいからな」

 

いつまでも一緒に居たいという我儘は流石に酷すぎると思っているモモンガは個人行動をする時を考え二人の成長を少しでも促そうとしているので、早速いい問題ができたと満足げだ。

その為、モモンガ様にすら慈悲深い至高の御方にすら自らの不始末で捨てられてしまうのかと、肩を震わせながら戦慄しどうにかして役立とうとする二人にモモンガは気づかない。

 

「え、えっとさっき迄ぼ、冒険者組合にいたので、偽装の為にもあの人間達の指示に従うとかでしょうか?そ、それとハムスケを連れて行けばに、人間達にもモモンガ様の威光w痛ッ!?…い、痛いよぅお姉ちゃん…」

「マーレ…あんたねぇモモンガ様が目立たない様に動くっておっしゃっていたじゃない。それなのにあんたはまた目立つ様な真似をしようとして…。モモンガ様の話を聞いていないの?」

「う……うぅ。ご、ごめんなさいお姉ちゃん」

「だいたいあんたは」

「二人ともそれくらいにせよ」

「失礼いたしました」

「……偽装の為に冒険者達と同じ行動をするということ、ハムスケを連れていく事は賛成だ。

アンデッドは生者に惹かれるもの。低位のアンデッドであればより顕著にその反応がでよう。その為にそれなりに強くアンデッドに強く惹かれそうなハムスケを連れていこう。それと目立たないという話だが、少しは仲間が分かる様に目立たなくてはならないだろう。プレイヤーに気付かれにくく仲間に気づかれやすい間を模索していくことにする…その事を念頭に置いておけ。良いな?」

「はっ」

「ではマーレの案を採用する事にする。異論はあるか?」

「ありません」「あ、ありません」

「よかろう。なら蒼褪めた乗り手(ペイルライダー)の」

 

そこまで言いかけて蒼褪めた乗り手(ペイルライダー)から思念の様なものを受信したのを把握する。繋がりが濃く強くなったとでも言えばいいのだろうか?そんな取り留めのない事を考えながら、報告を聞く

 

(蒼褪めた乗り手(ペイルライダー)より圧倒的に弱く、恐らく30〜40lvの間くらいの人が二人…か。偽装の可能性も考えた方がいいんだろうけど……そこまで中途半端な偽装は聞いたことが無いな。仮に見立て通りだと想定してどうするべきか…)

 

「ふむ……これからの方針が決まった。説明する為疑問点があったら言え。良いな?」

「「はい」」

「これから──」

 

魔王ロールに精神の疲弊を感じながらモモンガ達は動き出す。どこまでも我儘にアウラとマーレ二人の事を、大事な人を最優先にしながら自分ができる最大限を求めて

 

 

 

♢ ♢ ♢ ♢

 

 

「ペテル右からスケルトンと黄光の屍(ワイト)2体ずつ!ルクルット奥の方に内蔵の卵(オーガン・エッグ)一体!」

「分かった!」「了解!」

 

ペテルが一閃の元に二体のスケルトンの頭部と胸部を破壊し、3回剣を振って効率よく黄光の屍(ワイト)の体を切り刻む。それと同時にルクルットが内蔵の卵(オーガン・エッグ)の腹にあたる部位の縦に割れた箇所に矢を放つ。矢が蠢く内蔵に突き刺さり、僅かにその体を震わした後に内部で爆発が連鎖的に起こって内蔵の卵(オーガン・エッグ)の偽りの生が終わる

 

「ダイン!ニニャのーー」

「任せるのである!!」

 

ルクルットの声に従って横から飛び出たアンデッドに有効な打撃武器であるメイスをスケルトンにダインが叩きつけるのを見ながらニニャが大きく後退する。アンデッドが飛んできた方を見ると、同じく銀級冒険者のチームが他の冒険者によって助け出されたところであった。

 

「やっぱりジリ貧。このままじゃ全滅する」

「仕方ねぇだろ。この戦いが終わるのはミスリル級が騒動の中心点にいってアンデッドの発生を止めるまでか、住民が全員逃げ切るまでだからな」

 

アンデッドの大量発生の確認。それに伴うニニャ達漆黒の剣を含む全ての冒険者及び衛兵達が動員されてからかれこれ30分が立っていた。その事に思う事はない。いや突如として発生した大量のアンデッドそれに最悪の儀式[死の螺旋]について思う事はある。けれどーー

 

「今回ばかりは仕方ない…か。」

 

少なくともどんな相手だろうがどんな企みがあろうが、モンスターと戦う以上思考の一本化ができなければ死んでしまう。ミスリルやオリハルコン、アダマンタイト級であれば大局を見据えて戦う事もできるだろう。ただ、少なくとも銀級である漆黒の剣にとって自分たちより弱いという条件があったとしても、物量戦を強いられている以上目の前或いは周囲の敵を倒す事で自分達の仕事を失敗しない様にする事しかできなかった。

 

「……刃こぼれが酷いな」

「少々メイスが凹み始めているのである」

 

そして、いくら本人達に余裕があったとしても武器もそうとは限らない。一応は武器の損耗を避けながら動いていてはいるものの、時間稼ぎ、遅滞行動を前提とした戦闘を行っている以上最小限の動きで戦っている為、武器の損耗は避けられない。

 

「もう少し時間がありゃ良かったんだけどな」

 

少し後ろに下がったルクルットの声に同意する。いくらある程度近接戦闘ができるといっても、彼のメイン武器は弓なのだ。回収できるならば回収しつつ戦っているものの、矢が尽きたら彼のできる事、戦闘力は大きく減じる事になるだろう。

この戦いが突発的でないものであれば、普段の依頼の様なものであれば問題なかっただろう。

時間稼ぎや物量戦をこなす為にありあわせのものであっても、長時間戦えるように複数個武器を持ち、損耗を避けるような戦い方を覚えようとしただろう。ただ、突発的なものであったからこそ武器の予備は少なく損耗を避けるような戦いは覚えられていないーー今までの場合、多少大きな武器の損傷ができてでも戦闘を終わらせる事を前提として動いてきた為であるーーそんな中、時間さえあればというルクルットの切実な思いが望みを果たせず終わるような不吉な予感と共に重石のように肩に載るような感覚がした。

 

「下がれペテル!!」

 

先程までの程よい緊張感から一転、ルクルットが鋭い声で警告する。ペテルは思考を止めルクルットの声に従って後ろに下がる。長い間過ごしてきた仲間だからこその連携だと言えよう。ペテルの目の前に轟音と共に多数の屍で構成された腕が叩きつけられ、少し粗雑だったレンガの道が大きく削れる。もし仮にペテルがルクルットの声に従っていなかった場合、ペテルは今頃地面のシミになっていたであろう威力である。

 

「集合する死体の巨人(ネクロスウォーム・ジャイアント)……!!」

「どうするペテル!」

「ある程度余力を残す方向で行く!短時間で攻め切るぞ!」

 

集合する死体の巨人(ネクロスウォーム・ジャイアント)相手に漆黒の剣は遅滞行動を取らない、いや取れない。4mを超える体躯、自らの損傷を厭わないその攻撃に、周囲のゾンビを吸収して回復する能力を持つそのアンデッドは脅威としか言いようが無い。かつて一度だけ戦い勝利した事があり一体であればだいぶ余力を残して勝てる相手だとしても、決して油断することの出来ない相手だった。

 

「ターゲットをとる!魔力の矢(マジックアロー)」

 

二つの魔力の塊が素早く、そして吸い込まれるようにして集合する死体の巨人(ネクロスウォーム・ジャイアント)の頭部に突き刺さる。補足していなかった相手による攻撃に少し体を背けた後、目の前の相手ごと攻撃しようとする

 

「させるかッ!」

「コッチである!」

 

ペテルとダインが両の足を前から同時に攻撃する。加速した勢いそのまま足に二つの武器が引っかかる事により集合する死体の巨人(ネクロスウォーム・ジャイアント)が勢いよく転倒する。それでもめげる事なくニニャの方へと進もうと足を踏み締める集合する死体の巨人(ネクロスウォーム・ジャイアント)。

 

「矢ぁ4本分だ!喰らっとけ!」

 

そう叫ぶと同時に道の傍からルクルットが火を鏃につけた矢を放つ。油を染み込ませた布を鏃に巻き付け、火打石に灯る火で再度火矢を作って放つ事合計3回。ついでと言わんばかりに火打石を集合する死体の巨人(ネクロスウォーム・ジャイアント)に投げつける。

 

「ヴヴォオオオ!!」

 

アンデッドにとっての弱点である火による攻撃をくらい、身悶えする集合する死体の巨人(ネクロスウォーム・ジャイアント)。火が体に迸り、迸った箇所が崩壊して修復していく。その繰り返しを目の当たりにしながらニニャは魔法を放つ準備をする

 

( 集合する死体の巨人(ネクロスウォーム・ジャイアント)は動作が遠距離攻撃を持った相手から倒すという単調なものだから選択肢を間違えなければ無事に倒せる相手。倒し方は頭部近くにある本体のアンデッドを滅ぼせば良い。心配なのは他のアンデッドが来ることと他の冒険者のところに行くこと。それならーー)

 

「雷槍(サンダースピア)!」

 

突き出されたスタッフが眩い光が飛び出し、集合する死体の巨人(ネクロスウォーム・ジャイアント)の頭部に突き刺さり、火によって崩壊した死体が剥がれた事によって剥き出しとなった死体(本体)に大ダメージを与える事に成功する。そしてーー

 

「《斬撃》!」

 

集合する死体の巨人(ネクロスウォーム・ジャイアント)の背を登ったペテルが剥き出しの弱点に武技を使いトドメをさす事に成功する。大きな雄叫びを上げ、集合する死体の巨人(ネクロスウォーム・ジャイアント)は消滅した。

 

「計画を第二段顔へ移行!繰り返す!計画を第二段階へ移行!!」

 

冒険者の間合いを縫って馬が一頭駆け抜ける。大声で繰り返されたそれは40分程前に正式に採用された全三段階ある計画の第一段階──墓地のある西側から順に住民たちを一部の金級冒険者と衛兵に避難させ、空いた箇所に冒険者達が対応可能範囲ごとに並ぶ。それにより一時的な防衛戦を築き魔術師組合などとの協力のもとアンデッドの足止めと適度な間引きを前提とした戦いをしつつ、住民の避難を順繰りに混乱少なく進めて行く。それと同時にミスリル級などの強力な冒険者達による少数精鋭が墓地の中心である騒動の中心点に向かっていき可能であれば死の螺旋を止めるというもの──が終了して第二段階である避難誘導をしていた金級冒険者と銅級冒険者を入れ替え、死の螺旋中央部と思しき場所に金級以上が突撃。可能であれば先行しているミスリル級冒険者と協力して死の螺旋の収束を図り、銀級以下の冒険者が東門をアンデッドの撃ち漏らしから守護するというものに移行するということを示していた。

 

「急ごうペテル」

「分かった。ルクルットは先行してアンデッドが居ないか把握してくれ。ダインはルクルットの近接を頼む。ニニャはダイン達の5m後ろ。俺はニニャの近接をするから、何かあったら報告してくれ。異論は?」

「ないな!」「ないのである!」「僕もないです」

「よし!急ぐぞ──

 

 

ズドン!

 

ペテルが宣言しかけた瞬間、大きな音をたてて何の変哲もない食品店に人が一人突っ込んできた。

思わず呆気に取られ数秒固まってしまう漆黒の剣。防御体勢をとっていてもその呆けた時間は強者にとって十分すぎるほどに長いものだった。

 

「火球(ファイヤーボール)」

「ダ──」「火球(ファイヤーボール)!」

 

しわがれた枯れ木の様な声が紡ぐ魔法の詠唱。放たれた魔法が大きな炎となってダインの方向に迫りるのを見てペテルが警告を発する前に、魔法が衝突する前にミスリル級冒険者クラルグラのメンバーの魔術詠唱者(マジックキャスター)によって放たれた魔法で相殺される

 

「死者の大魔法使い(エルダーリッチ)……!?」

「……とスケルトリルドラゴン……!!」

 

強力かつ残虐。英雄譚におけるラストボスとして語られることもあり、アンデッドとしてスケルトンなどの一般的なものに次ぐほどの有名度を誇る死者の大魔法使い(エルダーリッチ)。それに付き従う魔法に対する絶対耐性を持つとされるスケルトリルドラゴン。死者の大魔法使い(エルダーリッチ)は白く土の汚れなどない骨の上に、手に綺麗な装飾が施された杖を持ち、黒く上質そうなローブを纏っていた。上品ささえ感じる雰囲気を纏っていながらも、目に宿る炎には生者への憎しみが灯っている。それに対してスケルトリルドラゴンは傲然とした雰囲気を纏っている。言葉を発さずともわかるその雰囲気の源は僅かに上げた顔からであり、上から睥睨する様な形で戦場を見渡していた。

 

「クソッ!」

 

食品店の中から出てきたのはミスリル級冒険者クラルグラのリーダーであるイグヴァルジ。

体の節々に傷ができており、重症と言わずとも限界が近づいている事を示していた

その姿を見て嘲笑うかの様に、カタリと顎を震わせて死者の大魔法使い(エルダーリッチ)は余裕を見せながら問う

 

「万事休す……かね?エ・ランテル最高位の冒険者チームのリーダーイグヴァルジ君?」

「チッ…白々しい」

 

忌々しげに呟くイグヴァルジ。スケルトリルドラゴンに多数の傷がついているものの、どれもこれも浅いものだけである。更に死者の大魔法使い(エルダーリッチ)に傷は無い。仮に死者の大魔法使い(エルダーリッチ)かスケルトリルドラゴン単体であればクラルグラが勝利を収めていただろうが、今はそうではない。クラルグラは圧倒的劣勢に追い込まれていた。

 

「だがよ……お前ら!遠距離攻撃を持つ奴らは死者の大魔法使い(エルダーリッチ)に、近距離攻撃主体の奴らはスケルトリルドラゴンに攻撃しろ!」

「……貴方は私が言葉を介さないとでも?或いは理解できないとでも?」

「いいや?だが、複雑な作戦でもなく分かりやすく有効なんだ。聞かれても変わんねぇだろ」

 

周囲に冒険者が集まって行くのを感じながらイグヴァルジは笑う。ミスリル級冒険者が、この場における最高位の冒険者が負けそうな顔をしてはならないとでも言う様に。事実、今現在チームの垣根を越えて戦おうとしているもの達は、イグヴァルジが勝利できる様な雰囲気を纏っているからこそ自分たちより遥かに強い存在に立ち向かっているのであり、イグヴァルジ達が倒れた時点で敗北が確定する。

 

「貴方を優先して殺す事にしましょうか」

「はっ。聞かれても変わんねえってか?真似して楽しいか?」

「いえ…貴方を殺そうとすれば他の人達が巻き込まれるでしょう?各個撃破と攻撃の効率化。それと頭を潰す事は戦闘の基本では?」

 

飽くまでも余裕そうな雰囲気を崩さず話しかける死者の大魔法使い(エルダーリッチ)。その事に数瞬だけ苛立ちを見せた後、不敵な顔に戻すイグヴァルジ。相手の言っていることは事実で、相手にとって最も有効な手だと思えたからだ。

 

「残念だが殺される気はねぇな。テメーを殺せば死の螺旋は止まるんだ逆に殺してやるよ。いや、滅ぼすか?」

「どれでも構いませんが……精々足掻いてみては?」

 

両者が口撃を繰り出すたびに、戦闘の緊張感は高まっていく。スケルトリルドラゴンが低い唸り声を周囲に染み込ませ、複数人が自分の武器を強く握りしめていく。

 

「さぁ……2回戦目だ。逃げてくれるなよ」

 

そう言った瞬間、魔法の閃光と弓を引く音と鎧が擦れる音が響いて──

 

 

♢ ♢ ♢ ♢

 

 

「終わったな」

 

死者の大魔法使い(エルダーリッチ)が消えるのを遠くから見ながら金髪のダークエルフであるモモンガは呟く。後ろにはカジット、クレマンティーヌ、蒼褪めた乗り手(ペイルライダー)、ハムスケが控えており、隣にはアウラ、マーレが臣下の礼をとっている。カジット、クレマンティーヌの顔には強い安堵が見え隠れしており、アウラ達の顔は誇らしげであった。

 

「急遽ではあったが……成功してよかったな」

 

モモンガが今回発案した計画。その内容は簡潔に纏めると死者の大魔法使い(エルダーリッチ)に全てをなすりつけると言うものだ。死の螺旋を発生させる程度には強く動機がある存在を選択するのと偽装の証拠を作るのに時間がかかったせいでクラルグラにバレかけたり、一時的にいなかった理由を作り出したりと危ないところはいくつかあったが、結果として合法的にカジットとクレマンティーヌを手に入れることができた。

 

(仮にクレマンティーヌとカジットのことがバレていたとしても、死者の大魔法使い(エルダーリッチ)が全ての罪を背負わされているから大丈夫だろう。今この状況でその事を言われても証拠がない以上、誰も信じないだろうしな)

 

「さて……晴れて我が配下の末席に加わった訳だが、何かしらの問題があれば後で聞くとしよう。だがまずは、先程言った場所に行って休んでもらう。異論は?」

「ありません」「ございません」

「よろしい。では明日の早朝再び会うとしよう。転移門(ゲート)」

 

黒々とした楕円状の闇が広がる。超常の現象が起きていることに怯えながらそこを通るカジットとクレマンティーヌ。ハムスケは幾度か見たことがあるので余裕そうだ。行き先はハムスケのナワバリなので住むには少し不便だが、一夜を過ごすには十分だろう。二人と一匹が通ったのを見て転移門(ゲート)を解除する。

 

(まぁ細かい事は明日しよっと。明日のあたしが頑張ってくれるだろうしね)

 

そんな無責任とも言える様な思考をしながらモモンガ達は宿に戻る。今日の結果に満足しながら




補足
モモンガ様は金級として避難誘導をしていましたが、適当なモンスターがあらわれた事にして早々に戦線離脱しています。
ンフィーレア君は額冠を被せられましたが、モモンガ様によって額冠は破壊され、目は回復されております。なので、墓地で無事に救出されました。

VSエルダーリッチの戦闘部分を細かく書いた方がいいか

  • はい
  • いいえ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

えっ凡人がアインズ様に憑依?!(作者:Revak)(原作:オーバーロード)

▼とある男は目が覚めたらなんと転移直後のモモンガ様になってしまっていた?!▼中身が別人だとバレるわけにはいかないとアインズ様ロールプレイをしながら原作を進めていく!▼その過程で原作知識を使い死亡キャラを救う、かもしれない。▼アンチ・ヘイトはモモンガ様になっているので原作ぶっ壊してるのでつけてます。▼寝取りは原作モモンガさんからアルベド寝取ってるのでつけてます…


総合評価:603/評価:6.8/連載:8話/更新日時:2026年06月07日(日) 15:12 小説情報

オーバーロード シャルティアになった一般人、洗脳ルートだけは全力で回避する(作者:あかちゅきぼちゃん)(原作:オーバーロード)

ナザリック地下大墳墓が新世界へ転移したその瞬間、ひとりの一般人は目を覚ました。▼しかもその身体は、第一〜第三階層守護者シャルティア・ブラッドフォールン。▼アニメ版の流れを知る主人公は、自分がいずれ世界級アイテムによって洗脳され、主であるアインズと殺し合う未来を思い出して絶望する。▼中身が一般人だとバレれば終わり。けれど、残虐な吸血鬼を自然に演じられるほど肝も…


総合評価:1224/評価:7.4/連載:7話/更新日時:2026年07月04日(土) 21:17 小説情報

セバス・チャンは完璧な執事である(作者:目ん玉)(原作:オーバーロード)

 執事とは何か。▼ 全日本執事協会というのがありまして、そのウェブサイトより抜粋した内容が、以下の通りです。▼ 空間の品格を保ち、時間を創り出し、ご依頼者が本当に大切なことに集中できる環境そのものを整える――それが執事の本分です。▼ 執事の第一の技能は、掃除でも給仕でもなく「観察」です。あらゆる情報から次に必要なことを察し、言葉にされる前に動きます。頼んだこ…


総合評価:2647/評価:8.44/完結:25話/更新日時:2026年10月12日(月) 17:00 小説情報

魔導産業革命 ~エネルギーシフトと覇権通貨「エン」がもたらす軍事なき支配~(作者:Camel おさ)(原作:オーバーロード)

オーバーロード書籍第14巻『滅国の魔女』後のIFストーリーです。▼テーマは「産業革命」「復興」「経済成長」と、大人向けのお話になっています。▼14巻『滅国の魔女』を読んだとき、太平洋戦争で焼け野原と化した日本を思い浮かべました。そして、オーバーロードの世界観に、戦後日本の経済成長を当てはめたらどうなるだろう――そんな想像をしました。いっそその想像を活字にして…


総合評価:1095/評価:8.41/連載:117話/更新日時:2026年10月18日(日) 18:22 小説情報

オーバーロード〜約束の指輪〜(作者:愛飢夫)(原作:オーバーロード)

プロゲーマー兼ゲームプレイ動画配信者として活躍していたオリ主が色々あって転生。▼なんやかんやあって当時の恋人も同じ世界に転生していることを知って再び出会うためにあれやこれやと大騒ぎするお話。▼去年?一昨年?書いてたやつです。▼リメイクではなくリバイバルなので基本ほとんど変わりません。誤字は減ればいいな。


総合評価:578/評価:8.24/連載:49話/更新日時:2026年10月18日(日) 12:10 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>