外国語って、それだけでカッコいいよね…
「おにーちゃんおかえりなさいっ!!!」
「ぐぼぉ!?」
ドアを開けた瞬間、それを予知していたかの如く何者かが依然ダンボールを抱えたままである俺の人体急所のひとつ鳩尾に体重の乗った頭突きをクリティカルヒットさせてきた。…余談だが常人ならまず間違い無く悶絶、または気絶するであろうその攻撃を五秒程度の呼吸困難で何とか耐えられた俺を褒めてくれるやつは一人も居なかった。
「ん? おにーちゃんどうしたの? 何だか苦しそうな顔してるよ?」
「だ、大丈夫だよ椿…これくらい強襲科の訓練に比べればどうって事無いぜ…?」
特にあの
「…椿。よく私達が帰ってくるの分かったね…。」
「うん! だって『詠んだ』んだもん! おにーちゃん達が帰ってくるって!」
Aー4サイズのノートを掲げて目をキラキラさせているこの子の名前は
「へぇ~珍しいな。椿の『未来詠み』が狙ったものを読ませてくれるとは…」
椿の所属学科は
因みに椿の超能力は『
『いつ』詠めるかはランダム。
『何を』詠むのかもランダム。
現時点では厳しいようだけどあまり捜査の役に立たないので使いこなせるように修練を積んでいるらしい。(実際に最近は比較的狙ったものが詠みやすくたまに自発的に詠めたりするらしい)
ダダダッッッ!
むむ。この足音は!?
「喰らうか!」
高速で近づいてくるその物体に対して防御の姿勢を咄嗟にとる。その際椛と椿を背にする事も忘れずに廊下を見る…が足音はするのになぜか何も補足出来ない。「目」で追いきれないなんて…どんだけだよ。
ダンッ!
「兄ちゃん! おっ帰り~~~!!!」
超直感を頼りに飛びついてくる我が家の次女できうる限り優しく受け止める…つもりが。
「向日葵! ただいマァァァーーー!?」
受け止めきれずに思いっきり走ってきたであろう向日葵の運動エネルギーを伴ったまま近くの壁に…ドンッッッ!
………お隣さん。ごめんなさい。
「ん? この程度のあたしの突進を受け止めきれないなんて…兄ちゃん。さては強襲科に居たときより腕がなまったんじゃねえか?」
「…違う。俺が弱くなったんじゃない。お前が腕を上げすぎたんだ。」
ちゃっかりと自分だけ離脱して、にひひ~、と笑うこいつは日向家四姉妹の内の次女、
そして一番困っている事は…さっきの突撃みたいな過剰なスキンシップ(という名の暴力)だ。これはきっと蘭豹のせいに違い無い。…気のせいか小学生の時にもよくやられてたような気はするが。
「こら向日葵っ! いつも突撃は駄目だって行ってるでしょう!」
「ゴメンゴメン櫻姉。兄ちゃんが来るって聞いて嬉しくてさぁ~つい…ね?」
奥から凛とした声で向日葵を制しつつ出て来たのは…最後の妹、日向家長女の
「お帰りなさい兄さん。ごめんね向日葵と椿が。兄さんが来るって聞いて本当に嬉しそうで制止が聞かなくて。でも、私も久々に兄さんとゆっくり過ごせるかと思うと嬉しいけどね。」
苦笑しながらそう言う櫻。まぁ確かにこの武偵高ではあまり会ったり、喋ったりしてないしな。
武偵高は『奴隷の一年、鬼の二年、閻魔の三年』何て言葉があるほど上下関係が厳しい。先輩が後輩にタメ口を使うのは普通だけど、その逆は殆ど無い。というかあってはならない。一人に許すと他に示しがつかないからな。それは例え家族であってもだ。まあ、気心の知れた仲で使う分にはいいだろうけどな。日向櫻。俺の第一の妹。1 5 才。所属学科は
因みに櫻は衛生科の前に
「じゃあ、何時までも玄関に居ないで中にどうぞ兄さん。あ、兄さんに色々相談したい事もあるの。後でいいから付き合って欲しいな。」
「兄ちゃん兄ちゃん! 後で組み手やろうぜ! 兄ちゃんにどれぐらい通用するかしりてぇんだ!」
「…兄さま。後で整備を手伝って欲しい…。…あと、兄枕の件もよろしく…。」
「おにーちゃん! 後で椿とお絵描き一緒にしよう?」
俺の自慢の妹達。彼女達はどうやら今日、俺を寝かせる気は無いようだ。こりゃあ大人しくキンジと一緒に
などと心にも思ってない事を思いつつ俺は
「はいはい。みんな順番にな。」
興奮してあーだこーだ言っている妹達を尻目にさり気なく後ろ手で開けっ放しのドアを閉めるのであった。今日は長い夜になりそうだ…肉体的な意味で。
春の櫻
夏の向日葵
秋の椛
冬の椿
あなたのお好みはどの妹ですか?