緋弾のアリア 大空の転生者   作:鉄人56号

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エセイタリア語でサブタイ。
外国語って、それだけでカッコいいよね…


第六話 Quattro Percone Piu Giovani Sorelle ~四人の妹達~

「おにーちゃんおかえりなさいっ!!!」

 

「ぐぼぉ!?」

 

ドアを開けた瞬間、それを予知していたかの如く何者かが依然ダンボールを抱えたままである俺の人体急所のひとつ鳩尾に体重の乗った頭突きをクリティカルヒットさせてきた。…余談だが常人ならまず間違い無く悶絶、または気絶するであろうその攻撃を五秒程度の呼吸困難で何とか耐えられた俺を褒めてくれるやつは一人も居なかった。

 

「ん? おにーちゃんどうしたの? 何だか苦しそうな顔してるよ?」

 

「だ、大丈夫だよ椿…これくらい強襲科の訓練に比べればどうって事無いぜ…?」

 

特にあの蘭豹(暴力の権化)の教育的指導という名目の暴力の嵐に比べれば…何て事ないさ! 僕泣かないよ! だって僕強い子だもん!

 

「…椿。よく私達が帰ってくるの分かったね…。」

 

「うん! だって『詠んだ』んだもん! おにーちゃん達が帰ってくるって!」

 

Aー4サイズのノートを掲げて目をキラキラさせているこの子の名前は日向椿(ひゅうがつばき)。俺の妹。一番ちっちゃい末っ子の妹。年齢はまだ1 2才だ。中学生どころかまだ小学六年生の天真爛漫や純真無垢といった綺麗な言葉を体現したかのような優しい子で、これまた椛と同じようにインターン制度でこの武偵高にやってきた拳銃が似合わない『小学生武偵』だ。インターン自体珍しいというのに、さも当たり前のように順序すっ飛ばしてくる優秀な妹達には椛同様に脱帽せざるを得ない。

 

「へぇ~珍しいな。椿の『未来詠み』が狙ったものを読ませてくれるとは…」

 

椿の所属学科は超能力捜査研究科(SSR)。通称『S研』といわれている。ランクはBらしい。武偵高でも曰く付きの胡散臭い学科(キンジ談。あいつはS研が嫌いらしい。)に所属しているそうだ。その実態は超能力(ステルス)と呼ばれる特殊な力を使い、事件を解決に導く、『超偵』といったものを育成する場所らしく他の学科とは色んな意味で一線を画す。授業内容は親族にさえ秘匿とされており、所属している生徒はみんな何かしらの超能力を持っているんだとか。俺も最初は超能力なんてと思っていたが椿が『未来詠み』に目覚めたり、白雪が超能力者と自ら明かして能力を見せる頃にはもうすっかり信じていた。あるものはあるのだ。だから疑っても仕方ない。

因みに椿の超能力は『未来詠み(フューチャーペルーズ)』。未来を『詠み解く』力…らしいが詳しい事は俺にも分からない。何でも椿が言うには俺が昔…三年程前にあげたノートを貰ってから急に未来を詠み解けるようになったらしく、俺があげたノート(税込で定価980円)にまるで絵本のように動く映像(ビジョン)と文字が浮かび上がり文字通り未来を『詠める』。しかし…周りの人間には椿と本当の意味で心を通わした相手しか閲覧出来ないし、まだ力を制御しきれてないらしい。

 

『いつ』詠めるかはランダム。

 

『何を』詠むのかもランダム。

 

現時点では厳しいようだけどあまり捜査の役に立たないので使いこなせるように修練を積んでいるらしい。(実際に最近は比較的狙ったものが詠みやすくたまに自発的に詠めたりするらしい)

 

ダダダッッッ!

むむ。この足音は!?

 

「喰らうか!」

 

高速で近づいてくるその物体に対して防御の姿勢を咄嗟にとる。その際椛と椿を背にする事も忘れずに廊下を見る…が足音はするのになぜか何も補足出来ない。「目」で追いきれないなんて…どんだけだよ。

 

ダンッ!

 

「兄ちゃん! おっ帰り~~~!!!」

 

超直感を頼りに飛びついてくる我が家の次女できうる限り優しく受け止める…つもりが。

 

「向日葵! ただいマァァァーーー!?」

 

受け止めきれずに思いっきり走ってきたであろう向日葵の運動エネルギーを伴ったまま近くの壁に…ドンッッッ!

………お隣さん。ごめんなさい。

 

「ん? この程度のあたしの突進を受け止めきれないなんて…兄ちゃん。さては強襲科に居たときより腕がなまったんじゃねえか?」

「…違う。俺が弱くなったんじゃない。お前が腕を上げすぎたんだ。」

 

ちゃっかりと自分だけ離脱して、にひひ~、と笑うこいつは日向家四姉妹の内の次女、日向向日葵(ひゅうがひまわり)だ。言うまでもなく俺の妹二号。所属学科は強襲科。女の子らしい外見とは裏腹にとんでもなくボーイッシュ。もっと言えば男より男らしい勝ち気な釣り目少女。強襲科に所属している一年の中ではエースとまでいわれるほど戦闘能力が高い。しかし座学はからっきしだめ。1 4 才。(これも言うまでもなくインターン。何で俺の妹達はこんなにも優秀なんだろう?) あと、蘭豹と仲が良いらしく(『あの』蘭豹を手なづけていると俺の中では若干ニュアンスが違う)直々に訓練を見てもらう事や模擬戦を行う事もしばしばだ。蘭豹曰わく「磨かなくても勝手に輝る原石」らしい。あの鬼教師にそこまで言わせてる時点でもう未来は武偵以外無いんじゃね? と時々思う。ランクはA(座学が駄目だかららしい。余談だが未だに拳銃の分解整備は椛に付いて貰っていないと出来ないらしい。)

そして一番困っている事は…さっきの突撃みたいな過剰なスキンシップ(という名の暴力)だ。これはきっと蘭豹のせいに違い無い。…気のせいか小学生の時にもよくやられてたような気はするが。

 

「こら向日葵っ! いつも突撃は駄目だって行ってるでしょう!」

 

「ゴメンゴメン櫻姉。兄ちゃんが来るって聞いて嬉しくてさぁ~つい…ね?」

 

奥から凛とした声で向日葵を制しつつ出て来たのは…最後の妹、日向家長女の日向櫻(ひゅうがさくら)だった。

 

「お帰りなさい兄さん。ごめんね向日葵と椿が。兄さんが来るって聞いて本当に嬉しそうで制止が聞かなくて。でも、私も久々に兄さんとゆっくり過ごせるかと思うと嬉しいけどね。」

 

苦笑しながらそう言う櫻。まぁ確かにこの武偵高ではあまり会ったり、喋ったりしてないしな。

武偵高は『奴隷の一年、鬼の二年、閻魔の三年』何て言葉があるほど上下関係が厳しい。先輩が後輩にタメ口を使うのは普通だけど、その逆は殆ど無い。というかあってはならない。一人に許すと他に示しがつかないからな。それは例え家族であってもだ。まあ、気心の知れた仲で使う分にはいいだろうけどな。日向櫻。俺の第一の妹。1 5 才。所属学科は衛生科(メディカ)。衛生科とは主に戦場や任務中に負傷してしまった武偵を治療する事を目的とした学科で、『死地』に赴き治療する必要があるのでより迅速でより正確な高い応急措置の技量が求められる。そして自らも戦闘に巻き込まれる事も考慮し、自衛出来る位の戦闘能力も必要とされる難易度の高い学科だ。

因みに櫻は衛生科の前に救護科(アンビュラス)…より本格的な治療を行う医者のような学科を既に履修しておりランクはまたまたS。今現在は衛生科のAランク武偵として日々学んでいるらしい。本人曰わく「人を傷付ける事よりも治す事の方が得意でありたい」だそうだ。この性格は完全に『あの人』に感化されたのであろう。実際に櫻は昔から『あの人』を慕い、敬い、目標としてきたからな。全く関係ない話だが櫻はその腕の良さと美しい容姿、誰にでも優しい性格から『白衣の天使』と呼ばれている(櫻ファンクラブ情報)

 

「じゃあ、何時までも玄関に居ないで中にどうぞ兄さん。あ、兄さんに色々相談したい事もあるの。後でいいから付き合って欲しいな。」

 

「兄ちゃん兄ちゃん! 後で組み手やろうぜ! 兄ちゃんにどれぐらい通用するかしりてぇんだ!」

 

「…兄さま。後で整備を手伝って欲しい…。…あと、兄枕の件もよろしく…。」

 

「おにーちゃん! 後で椿とお絵描き一緒にしよう?」

 

俺の自慢の妹達。彼女達はどうやら今日、俺を寝かせる気は無いようだ。こりゃあ大人しくキンジと一緒に自室(魔窟)に帰った方が良かったかな?

などと心にも思ってない事を思いつつ俺は

 

「はいはい。みんな順番にな。」

 

興奮してあーだこーだ言っている妹達を尻目にさり気なく後ろ手で開けっ放しのドアを閉めるのであった。今日は長い夜になりそうだ…肉体的な意味で。




春の櫻

夏の向日葵

秋の椛

冬の椿

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