翌朝。
いつも7時位に起きる物を少々早起きして 6 時30分位に起きた俺は、妹たちを起こさないようにこっそりと部屋を退室する。こうゆう時探偵科で習った
お陰で妹たちに気付かれることなくこの部屋から抜け出す事に成功。さてと。誰かに目撃される前にさっさと女子寮を退出するとしますかね。
五階から飛び下りて(生きる事に疲れた奴以外はやるな)男子寮を目指す。さて、キンジ は無事かな。
キンジが五体満足であることを願いつつ歩いて行く。さ~てキンジ「龍さん?」は無事かな~、って、あり? 聞き覚えのある声が俺の名前を呼んだような?
「ん?」
後ろを振り向くとそこには見覚えのある薄い青色のショートカットの美少女が居た。
「レキ…何でこんな所に?」
「詳しい事は言えませんが『裏任務』の帰りです。龍さんこそこんな朝早くに女子寮の周りで何をやっているのですか?」
抑揚の無い声で質問してきた彼女の名前はレキ。苗字は誰も知らないし自分も知らないらしい。いつも大きなヘッドホンをしていて以前何を聴いているのかと聞いたら
「風の音です。」
と言われた事がある。狙撃のいろはを学ぶ
「いや、えっと…ホラ! 最近出来た彼女の部屋に泊まってたんだよ!」
自分でも何言ってるだろうと自覚があったが
「彼女さん…ですか? …龍さんは、もう特定のお相手が居たのですか?」
以前なら「そうですか。」の一言で終わらせていたであろうこの会話をレキはよりにもよってそこを突いてきた。…アレ? 気のせいか何だかいつもと様子が違うような気が…何かちょっと…黒いオーラみたいなモノが見えるぞ?
「えーっと、いや、あのぅ…」
「…………………」
何かなにかを言ってほしそうに一見無表情に見える表情をほんの少し疑ってる目で俺を見てくるレキ。何でそんなに焦ってんだろう? この子らしくもない。
「…はあ。嘘だ。彼女なんて居ないよ。ちょっと事情があって妹たちの部屋に泊めて貰ってただけさ。」
諦めて本当の事を言うとレキはちょっと安心したような表現を一瞬してまた素の無表情に戻し
「龍さんはシスコンなのですね。」
と、言い放った。何で妹たちと一夜を共にしただけでシスコン扱いなのか納得出来なかったが、まぁ説明するのも面倒だし十歩譲ってそれでいいや。
「じゃあ俺行くよ。出来ればこの件はあまり言いふらさないでおいてくれると有り難い。」
「じゃあ今度の休日用事があるのでそれに付き合って下さい。それで手を打ちます。」
「それくらいでいいならいくらでも付き合うよ。じゃ。」
レキとは去年から割と頻繁に行動を共にすることが多く、強襲科の任務で組んだ回数はキンジの次に多い。
そのせいか、レキは俺に懐いているようで、結構一緒に遊んだり、食事したりすることもしばしばだ。
まあ、元々レキはその性格故に友達あまり居なかったようで、一人きりで食堂の隅にポツンとしながらカロリーメイトを咀嚼している姿を見たときは半ば反射的に…脳が命令するよりも速く「一緒に食べない?」と俺が声を掛けていた。武偵とはいえ、高校生なんだ。もっと高校生活を楽しむべきだと思い友達作るのも協力しているんだが…なかなか友達になってくれる人は見つからない。それでも俺だけでもと思い接している内に…今現在に至る訳だ。
走り出すときに見えた最近になってやっと分かるようになってきたレキの表情は心無しかとても嬉しそうだった。
さて、あの後特に異変も無く自室に到着して
「朝ご飯~~~~!!!」
「龍…何とかしてくれ…」
何やら暴走しているアリアとよく眠れなかったのか目の下に隈を作っているキンジに朝ご飯を用意して、昨日乗り過ごしたバスに今度はちゃんと58分に乗り武偵高に着き、授業を受けて、たった今昼休みを終えて俺は探偵科の依頼を物色しているところだ。先日あの忌々しいカカシにケータイを破壊された(まだ根に持ってる)ので今日買いに行こうと画策している。武偵高では四時限目以降の授業は各学科に別れて行う。この時、授業を受けずに依頼を受けて学校外に出ることが可能なのでケータイ買いにいくついでに単位と金稼ぎの為に手頃な依頼も一緒に解決して来ようと思って今吟味中だ。できうる限り楽なやつないかな…お? 迷い猫捜索の依頼だ。 0.1 単位と報酬一万かあ…結構楽そうだな。
「「よし。キンジ(龍)誘って行こうっと。…ん?」」
全く同時に声を上げたので一瞬分からなかったが隣を見ると
「「あ、キンジ(龍)。」」
何処までもダブる幼なじみの姿がそこにはあった。
結局キンジと一緒に同じ依頼を受けた。まあ、誘うつもりだったし手間が省けたからいいや。
キンジも俺を誘うつもりだったらしく、何でもアリアの目が無い内に(この時間なので、多分強襲科で戦闘訓練中だろう)対策を立てようと考えているらしい。鬼のいぬ間に何とやらである。しかし、物事はそう簡単には行かない物で。何故かと言うと…
「キーンジ、龍。」
ちっちゃいピンク娘が待ち伏せしていた。
「な、何でお前が此処に…!?」
「あんた達が此処にいるからよ。」
バカな…みたいな目でアリアを見るキンジ。いきなり予定を崩されてしまった。さてどうしよう。
「アリア。強襲科の授業は出なくていいのか?」
「あたしはもう卒業できる程の単位持ってるもん。」
「ふん。そうかよ。話がそれだけなら俺達は行くぞ。行こうぜ龍。」
若干不機嫌そうにキンジが吐き捨てて歩き出す。青海に猫探しに行くのだろう。
ザッザッザッ トコトコトコ ザッザッザッ トコトコ
アリアがついて来る。引きはがせない。
「アリア。何でついて来るんだ?」
「いいでしょ別に。あんた達普段どんな『依頼』やってるの?。」
解説。
「別にいいけどそんな立派なもんじゃn「お断りだ。ついてくんな。こっちはお前の顔も見たくないんだ。」…。」
「そんなにあたしの事キライ?」
「いや、俺は別n「ああ大っキライだ。ついてくんな。帰れ。」…。」
「もっぺん『ついてくんな』って言ったら風穴。」
ニンマリと笑いながらホルスターのガバメントをチラつかせるアリア。おもっきしガンチラ(武藤が付けた。パンツじゃ無くて銃(ガン)がチラつくからだとさ)してるし。
「…………………」
最早何も言う気力がないのか脱力した足取りで歩くキンジ。何か仕事に疲れたおっさんみたいだ。
キンジの代わりに俺がアリアに解説する。
「猫探しだよ。報酬金は一万で 0 . 1 単位分の簡単なヤツ。」
「猫探し~? あんた達普段そんなのやってるの?」
「ふん。EランクとCランクにはお似合いの地味な依頼だろうが。」
「あんた…今Eランクなの?」
武偵は依頼での実績と各学科の試験でA~Eまでにランク付けされる。キンジは探偵科の試験をボイコットしたからEだ。あと、SランクというAより上もあるが、そんなの滅多に居ない。(俺の周りには割と多いが特例だろう)キンジは強襲科ではSランクだったけど。
「ランクなんざ、俺にはどうでもいい。どうせ来年四月には一般校に在籍してる予定だからな。」
「まあ、確かにランク付けなんてあたしも興味ないけど。」
それよりも、とアリアが言葉を紡ぐ。
「猫探しって言ってるけど、どういう推理で探すの?」
「そういうのは龍頼りだ。」
これは俺の超直感の事を言っている。実は俺も探偵科の試験を受けていない。だけど、割と依頼はこなしているし、依頼人の方達からの評判もいい。さらに、超直感という切り札があるので教務科の皆さんにもこき使われ続けてCランクに格上げさせて貰っている。
「龍? あんた何か特別な力でも持ってるの? 占いとか?」
「うーん。まあ、それに近い物ならね。でも…折角だしアリアも何か考えてよ。ドレイの面倒見るのはご主人様の役目だろ?」
俺がちょっとからかい半分に言うとアリアは
「あたし、推理は苦手なのよ。一番の特徴が遺伝しなかったのよねぇ。」
何やらブツブツ言っているアリア。遺伝? 何の事だろう?
それって何の事? と聞こうとした時
グゥ~~~………
「…アリア。お昼…抜いたの?」
メチャクチャ恥ずかしそうなアリア(顔面烈火の如く)に気の抜けた顔をしているキンジ。そして、苦笑気味に問い掛ける俺。
「………(コクリ)」
真っ赤な顔で頷くアリア。俺も今日は焼き魚定食で少々物足りなかったし…
「マ○クでも行こうか?」
取り敢えず食料の確保から始めようかな。アリアとキンジを連れて最寄りのマク○ナルドに入店する俺だった。
此処で分かった事はアリアがチーズバーガー(ギガマックバージョン)っ娘という事で、公園でモグモグと幸せそうにマッ○を頬張るアリアは見ていて癒された。
十分程当初の目的を忘れていた事に気付くのはまだもうちょっと先の話。