俺はケータイの件を思い出し、猫探しのパーティーにアリアが加わったのでキンジに一旦別行動させて貰う旨を伝えて、前まで持っていたケータイを買ったのと同じショップで購入する事にした。
…特に何の面白みも無いのでケータイを買うシーンは割愛させて頂く。
「さてと。キンジ達は何処かな?」
新しくなった俺の相棒(今流行りのスマートフォンとやらを購入した。なかなか扱い易いぞ)を拳銃のようにクルクルと手の平で回しながらキンジ達と猫を探す。折角ケータイを新調したのだから電話してみたかったが、生憎とこのスマホのアドレス帳は真っ白なのでキンジに電話して合流を図る事も出来ん。またアドレスとか再入力だなこれは。
「あのぅ…」
「はい?」
「ひっ…!」
背後から声を掛けられたので振り向くと同時に返事をしたら…恐らく俺に話し掛けたと思われる人物が短い悲鳴を挙げてへたり込んでいた。…武偵高のセーラー服を着ているという事は武偵高の女子だろうが…全くと言っていいほど見覚えが無いぞ。へたり込んでて顔見えんし…誰この子?
「えっと…立てる?」
「は、ははい! ダイジョーブです! 一人で立てます! スイマセン!」
慌てて立ったその子は…外人さんなのか(あるいは染めてる?)紫色の髪を白雪と同じくらいのロングヘアーにしていて、前髪で顔が伺えない。しかし、真っ赤にしていて大分緊張している事だけは伝わってくる。
「まず第一に、君は誰? 名前は?」
「えっと、あの、その…風音、です。
「は、はあ…」
何だか最近、名前の真ん中にアルファベットが付く知り合いが増える傾向にあるな…
「それでえっと…皇さん?」
「あ、いえ! 風音でどうぞ!」
「じゃあ風音ちゃん。俺に何の用事かな?」
正直言って俺はこの子を知らない。故に何故こんな街中で話し掛けてきたのかが分からないのだ。
「か、風音ちゃん…日向先輩が私の事を風音ちゃんって…えへへ…」
………俯きながらブツブツ言っているが、何言ってるのかさっぱり分からないぞ。
「風音ちゃん聞いてる?」
「は、はひっ! 何でしょうか!? 日向先輩!?」
「いや、だから。俺に何の用事かな? って聞いてるんだけど。」
「す、すみません! 話し掛けておいて用事も言わないなんてごめんなさい! 日向先輩にご迷惑を掛けるなんて私は屑です!」
「いやそこまで言ってないから。」
どんだけ自分を卑下してんだこの子。
「あのぅ…用事、なんですけど…」
「うん。何かな?」
「わ、私の、アア、ア
風音ちゃんの口から出た言葉はそれなりに聞き慣れた武偵用語だった。
「へ?」
そんな言葉が出るとは思わずすっげえ間抜けな顔を俺は今しているのであろう。ああ、こんな情けない顔後輩に見せる訳には…「日向先輩…呆けた顔もステキです…」
戦徒。
それは上級生が下級生とコンビを組み
男子同士の場合は
で、俺は今その戦徒の申請を後輩(しかも女子)からされてる訳か。なる程。確かに異性間同士の戦徒制度もあるし、全然おかしな話でも無いね。でも、そうだとすると1つの疑問点が浮かび上がる。
「何で俺なの?」
そう。問題は何故こんな如何にも男性がニガテそうで、気が弱くて、大人しめの女子が、何の接点も無い俺(男)に戦徒契約を結ぼうとしているのか。そこが分からなかった。
「………言わないとダメですか?」
「まあ、そりゃあ知りたい…かな?」
今にも泣きそうな目で上目使いで俺を見上げる風音ちゃん。かわいいなこの子。何気に美少女と言われる部類のちっちゃなお顔が捨てられる寸前の子猫みたいだ。フワッと香った甘い匂いは彼女の物なのだろうか? とてもいいハチミツみたいな匂いだ。
「………………」
どうやら言いたくないみたいだ。俺が口を開こうとしたその時
「…死ぬ気の炎。」
「…え…!?」
この子今、凄く気になるワードを口にしなかったか!?
俺が問い詰めるのよりも早く風音ちゃんは言葉を紡ぐ。
「日向先輩。あなたは…大空の死ぬ気の炎の使い手ですよね?」
「何で…君が死ぬ気の炎の事を…俺の事を知ってるんだ?」
俺の質問に風音ちゃんは…答えない。
「…私と戦兄妹になってくれたら、いいえ。私と戦って下さい。日向先輩が勝てば先輩の知りたい事…私の知ってる限り全部答えます。でも、私が勝ったら…私を先輩の戦兄妹にしてください。」
さっきまで気弱でオドオドしていたハズの風音ちゃんが堂々とした口調で俺を挑発するかのように交渉を持ちかけてきた。
「………詳しく話を聞かせてもらおうか。」
俺がそう言うと風音ちゃんは嬉しそうに…しかし計画通りともとれるような笑みをを浮かべた。
…余談だが、アリア達と猫探しをしていた事を思い出したのは自室に帰った後だった。
アリアSIED
龍のヤツが別行動すると言ってから既に三時間が経過していた。
「…遅い。」
「確かに…遅いなあ…。」
辺りはすっかり夕焼け空。ケータイって買うのにこんなにも時間いるものだったかしら?でも、向こうはあたし達の居場所知らないだろうし…まあ、どっちにしても龍が遅い事に代わりはない。
「に、しても見つからんなあ…猫。」
「見つからないわねぇ…猫。」
さっきからあちこち探し回っているものの、一向にそれらしい猫は見つからない。
「キンジ~早く見つけなさいよぉ~」
「ムチャ言うなよ…俺は龍とは違うんだからそんな簡単には見つけられないんだよ。」
さっきからこのやり取りを何回しただろう?10回目を越してからはもう数える事を放棄したわ。(そもそも数える意味も無いけど。)
「アリア。昨日の話だが…いい加減に俺と龍を『ドレイ』にするのなんてやめろ。こっちは迷惑してるんだ。」
「イヤよ。そして無理ね。それに龍はあんたと違って一度も『ダメだ』なんて言ってないわ。」
キンジがあたしが言ったパートナー宣言を心底迷惑そうにしている。でも、あたしは諦めるつもりなんて一ミリたりとも無い。やっと見つけられた、あたしのパートナーになれる可能性を秘めたあんた達。それを一度や二度拒絶された位でみすみす諦めるほどあたしは物分かりの良い方では無い。
キンジがまた「はぁ」なんて溜め息をついている。あ、そうだ。
「キンジ。聞きたい事があるの。」
「ああ? 何だよ。」
めんどくさそうにあたしの方を向くキンジ。何よその覇気の無い顔。武偵なら武偵らしくもうちょっとシャキッとできないのかしら?まあ、それはさておき。
「龍の事。聞きたい事があるの。」
「何だ? 前持って言っておくがあいつのプライバシーに関わるような情報は漏らさないからな。」
キンジがあたしに念を押すように言う。
「龍の能力について何だけど…。」
「答えられない。武偵なら自分で調べたらどうだ?」
あたしの台詞をパクって喋るキンジ。調べても分からないから聞こうと思ったのに…
「日向龍。現在 1 6 才。東京武偵高校二年A組所属。
「何だよ。もうそこまで調べが付いてるなら俺に聞くことなんてありゃしねぇだろ。」
「いいえ。1つだけどうしても分からない事があったの。昨日のあの『オレンジの炎』よ。」
あんな物見たことも聞いたことも無い。超能力の一種かしら? でも龍がS研の生徒だなんて誰も言ってなかったし…
あたしのその言葉にキンジはバッとこちらを驚いた目で見た。分かり易いヤツ。そんな顔じゃあ相手に「何か知ってます」って言ってるような物じゃない。やっぱりキンジには探偵科なんて向いてないわね。
「…あの一瞬で良く気が付いたな。」
「誰に聞いてもそんな物は知らないって言われたわ。幼なじみでルームメイトのあんたなら何か知ってるんじゃない?」
パートナーの能力の把握は一緒にやっていく仲間として常に把握しておかなくちゃ。私が助けたい人…『ママ』も何時も言っていた事だ。
それだと言うのにキンジは
「…知ってはいるが、教えない。いや、違うな。『教えることを禁じられているから』教えられない。」
「何でよ。これから一緒にやっていく『仲間』の頼みなのよ?」
「勝手に俺と龍をその『仲間』とやらに加えるな。龍はともかく、俺は承知した覚えは無い。どうしても知りたきゃ本人に聞けよ。まあ、教えてくれはしないと思うがな。」
「風穴カーニバルに招待してあげましょうか?」
「ぐ…それでも、この事に関してはどうしても教えられん! カーニバルにでも何でも招待されてやる!」
キンジがあたしの風穴宣言に抗う何て…よっぽどの話なのかしら?
取り敢えず愛用のコルト・ガバメントをホルスターに閉まって、次を尋ねる。
「じゃあキンジ。次はあんたよ。あんたについて教えなさい!」
「そんな堂々と言われて教える武偵がいるかかバカ! それよりなにより猫を探せよ! さっきからお前口しか動いてないぞ!」
「い・い・か・ら、あたしが教えなさいって言ったことは徹頭徹尾少しも漏らさず教えなさい! でないと…」
そう言ってホルスターの愛銃にまた手を掛けてしまう。悪い癖だと分かってはいるけど、どうしてもついてしまう昔からの悪癖。
「…風穴開けるわよ?」
こんなだからあたし、パートナーはおろか友達も出来ないのかなぁ…
そんなあたしの疑問に答えてくれる者はおらず、代わりとばかりに夕日の光があたし達を照らしていた。
自分、結構アリアアンチの二次創作作品多く見かけるのですが、私はアリアの事結構好きてす。
なので、この作品のアリアは私の思い描くアリアに限り無く近付けていくつもりです。アリアっぽくないと思われる方。すいません。