「信じられない……」
帰宅途中、俺はふとそんな事を呟いていた。とゆうのも、先程まで先日の件の女の子……皇・A・風音(以下風音)から聞いた話と、俺がアリアの事と同時進行(とゆうか、ほぼ風音の事しか調べられなかったが。)で一緒に調べた風音についてよ情報を整理して要約していた帰り道だからだ。
結果、分かった事は……
・死ぬ気の炎の使い手は世の中に昔から暗躍している
・風音の一家は公にはされていない物の、昔から裏の社会じゃ有名な家柄らしい
・何故俺に戦徒契約を申し出たのかは、炎の扱いを修行するため
結構大量に出て来た情報だが、纏めると大体こんな物だ。
死ぬ気の炎については今まで使用者に出くわした事が無かったし、話を聞いたのもこれが初めてだったので非常に驚いた。
風音が俺の事を知っていた事についてはそれ程驚かなかったが、問題なのは『俺が』死ぬ気の炎の使い手と知っていた事だ。キチンと今まで隠してきた(始業式の日に使ったがあれは見てるヤツなんて居なかっただろうからノーカン)つもりだったのに……情報科にバレてるとかならまだ納得出来たんだがな。
(しかし……なんでばれたんだろう?)
そこが一番の疑問点だった。
風音と俺は俺の知る限り昨日初めて会ったハズだ。しかし、ヤツは俺の事を知っていた。この事から察するに、風音は今までに俺の情報を集めたり、目撃したり……あまり疑いたくないが俺の任務の情報を聞きつけて尾行し、死ぬ気現場を目撃された……とか? (此処は武偵高なので割とその可能性は高いのだが。)
まあ、取り敢えず戦徒契約云々の前にまずはお友達から始めましょう、とゆうことで新品の俺のケータイの最初の電話帳登録番号は風音の番号が登録されお開きとなった。断られたと言うのに、本人はそれ程落胆した様子は見せず寧ろ知って貰えて嬉しいと言っていた。ケータイの番号教えたら文字通り飛び跳ねて喜んでたし……もしかして、風音は友達が少ないのだろうか?
それから翌日。
「龍。」
「何、キンジ?」
キンジに声を掛けられた。何だろう?
「飯の前にトイレ行こうぜ。」
「何だ、連れションのお誘いか? まあ、別にいいけど。」
財布をポケットにねじ込みトイレへ向かう。しかし着いたトイレで何故かキンジは便器ではなく、窓に向かってベルトをいじっていた。
「龍。これ持っててくれ。」
そう言って渡されたブツを横目で確認すると
『しろくろっ!』『白詰草物語』『
何だこのギャルゲーの積みゲーは。キンジの私物……ではないだろうな。てゆうか、それよりもキンジさん。窓の付近でベルトをいじってるって事はまさか……
「…キンジ。流石にそこからしたら俺も引くぞ…」
「アホか。そんな事しねえよ。それよりお前も速く降りる準備しろ。」
言いながらベルトに仕込んであるワイヤーを伸ばすキンジ。ああ、なる程。窓から脱出する訳か。
「何で?」
「アリアの事、知りたくないか?」
トイレから脱出して向かった先は…女子寮近くの温室だった。こんな人気のないところにわざわざトイレ脱出してまで来るのにはキチンと訳がある。さて……
「理子。」
「キーくぅーん! あれれぇ? りゅんりゅんも一緒だぁー!」
探していた人物は温室の中で咲き誇るバラ園の奥の方に居た。
「やあ理子。キンジに誘われて来たんだ。」
「にしても相変わらずの改造制服だなおまえは。その白フワフワうっとおしいとか思わんのか?」
「これは武偵高の女子制服・白ロリ風アレンジなのです! カワイイでしょぉー? キーくん、いい加減ロリータの種類ぐらい覚えてよぉ。」
理子は武偵高の制服を改造して着用している。確かにカワイイっちゃカワイイがいざ戦闘ってなったときに凄く邪魔そうだ。
「理子。約束のブツを持ってきた。約束通り情報の提供と他言しない事を誓え。」
「うー! らじゃー!」
両手での敬礼ポーズをキンジに対して行う理子。約束のブツってゆうのは恐らく俺が今持っているこのギャルゲーの積みゲー集の事だろう。理子に渡すと
「うっはぁっーーー!!! 『しろくろっ!』と『白詰草物語』と『妹ゴス』だぁー!」
美少女達が描かれているパッケージをブンブンして半狂乱で喜びの舞的な何かを披露する理子。なる程。そうゆう事か。
大前提として理子は『オタク』と呼ばれる種族だ。女なのにギャルゲー好きの。もっと言えばヒラフワ(ヒラヒラフワフワの略称)の服の女の子が好きらしい。俺もデートと称して理子にアキバに何度となく連行されてギャルゲー買わされた物だ。とゆうのも、ギャルゲーは大抵Rー15 、つまりは15才以下だと購入出来ない仕組みなので、理子のその中学生と見られるような幼げな体躯で、定員さんが売ってくれなかったという事件(笑)が先日学園島であったそうだ。そこで俺が買わされてくるのだが。
女の子嫌いなのにギャルゲーを五本も購入しなければいけなかったキンジの心中を密かに察する俺。恥ずかしかっただろうに……よく頑張ったなキンジ君。
「あっ……これと、あとこれもいらない。理子こういうヤツ、キライ。」
そう言ってさっきまでのご機嫌な表情が一変、見るからに私ほ怒ってますよ的な不機嫌顔になりつつ妹ゴスの2と3を突きつけて来た。
「なんでだよ。これだって同じようなもんだろ?」
「ちがうよ。『2』とか『3』なんて、蔑称。個々の作品に対する侮辱。……ヤな呼び方。」
「ふーん……まあ、そんなもんか?」
その価値観はよく分からんが理子には理子なりの考えがあるのだろう。あまり考えないようにしよう。
「まぁ……取り敢えず、好きなの持ってけ。そのかわりにだ。アリアの情報を寄越せ。」
「……あい!」
取り繕うように人懐っこい笑みで元気よく返事する理子。さて、ここからが本題だな。昨日調べられなかったアリアの情報を得るチャンスだ。
「よし。早く教えてくれ。こっちはトイレから脱出してきてんだ。アリアに補足されるのも時間の問題だ。」
言いながら丁度良い花壇に腰を下ろすキンジ。ちょっと間を開けて俺も座る。そして理子さんはゲームを改造制服の中に仕舞い込み(よく入るな)俺とキンジの間のスペースにその小さな体を滑り込ませて座る。足が地面に届かなくてプラプラさせてる仕草がより一層子供っぽく見える。
「ねーねー。キーくんはさあ、アリアのお尻に敷かれてるの? カノジョの事位自分で聞けばいいのに変なの~」
「彼女じゃないっつーの。」
「えー? 2人共パーペキにデキてるって噂だよ? 朝に、キンジがアリアと腕を組んで寮から出てきたっていうから、アリアファンクラブの主に強襲科を中心にした男子達が『キンジぬっコロス!』って言ってたデスヨー?」
「指でツノを作るな。」
ああ。みんなにはそうゆう風に見えてるのか。あれはアリアに逃がさないようにって関節を極められながら引きずってただけなのに。真実を知らない事のなんと悲しきかな。キンジがいつか闇『撃』ちされるかもしれん。
「ねえねえ、どこまでしたの!?」
「何がどこまでなんだよ。」
「えっちいこと。」
「バカ! するわけねーだろ!」
「まーたまたまた! そーんなこと言っちゃって! でどうなのよぉ? A? B? …それともまさかのC!?」
「理子さんや。俺も居るのにそんな事出来るわけないじゃろうが。」
「むむう。それもそうですね龍お爺さん。」
「もういい。お前らは好きなだけバカやってろ。てゆうかいい加減情報をくれよ……まずは強襲科での評価あたりから頼む。」
ウンザリした様子でキンジが言うので、悪ノリをやめる俺と理子。確かにそろそろ俺も聞いておきたい。
「はーい。じゃまずランクから……ズバリ、Sだね。2年生でSなんて、片手で数えられる位しか居ないってゆうのにまるで当たり前みたいに。」
やっぱりか。チャリジャック時のセグウェイ破壊のアクションは映画でも見ているかのような超人的な次元だったし、ある程度そうだろうな、とゆう先入観があったので納得出来た感じだ。
「理子よりもチビのクセに、徒手格闘も上手いらしいよ。流派は確か、ボクシングから関節技まで何でもありの……えっと、バーリ、バーリィ……バリツゥ……?」
「バーリ・トゥードか?」
「そうそうそれそれ。それを使いこなすんだって。因みにイギリスでは縮めて『バリツ』って呼ぶらしいよ。」
バリツか。知り合い……とゆうか親族に使えるヤツがいるから知らなくもない。日本語だと『総合格闘技』だっけか? 確か競技、スポーツとしてのルールだとまず
キンジも納得のいったような様子で理子の話を聞いている。何だろう。ひょっとして巴投げでも食らったのだろうか?
「拳銃と刃物類は、もう天才の領域。どっちも二刀流。両利きなんだよあの子。」
あのガバメントと小太刀か。確かにガバがアレなら小太刀も凄いんだろうな。そもそも、二刀流というものは両利きでないと効果を成さないし。
「それは知ってる。始業式の日にイヤになる程教えられた。」
「じゃあ、2つ名も知ってる?」
「しかも
2つ名……まあ、その名の通り優秀な武偵に付く、その武偵を象徴する語句を用いた通り名みたいな物だ。もっとも、普通学生武偵なんかに付くような生易しい物じゃないんだけどな……
「
双剣双銃……武偵用語で二丁や二刀を意味するダブラを
「笑っちゃうよね。双剣双銃だってさ。」
「笑いどころがよく分からんぞ……。あとは……そうだな、アリアの今までの武偵活動の履歴を教えてくれ。」
「あ、それなんだけどさ、スゴイ事が分かったよ。今は休職中らしいけど、アリアは14才の頃からロンドン武偵局の一員としてヨーロッパ各地で活動してたみたいなんだけど……」
一旦そこで言葉を途切らせて、何故かいきなりシリアスな声で理子は
「……その間に、一度も犯罪者を逃がしたこと……無いみたい。」
「逃がしたことが……無いだと?」
「狙った相手がどんなに手強いと言われてるヤツでも、全員漏れなく捕まえてるんだよ。しかも99回連続、そのどれもだった1度だけの強襲でね。」
おいおい……マジか? そんな事あり得るのだろうか? 通常武偵に入ってくる犯罪者逮捕の依頼は、どれも警察には無理なレベルのモノばかりだ。そんなヤツらを何度も何度も追いかけてやっとのことで逮捕するのが普通なのだが(その様を武偵用語で強襲と呼ぶ)……99回連続で1発逮捕とは。凄まじいヤツだな。あんなカワイイ見た目してるくせに。
「理子。他にも……出身とか体質とかは?」
キンジが絶句していたので話題を変えようと理子に聞く。
「アリアはさ、お父さんがイギリス人とのハーフなんだって。」
「とどのつまりクォーターってワケか……」
どうりで日本人には有り得ない赤髪と赤目なわけだ。お名前も『神崎・H・アリア』だったしな。
「そうなの。で、イギリスの方の家のミドルネームが『H』なんだってさ。スッゴイ有名で高名な家柄らしいよ。おばあちゃんは
「デイム?」
「イギリスの王家から授与される称号のコト。叙勲された男性は
「おいおい。それじゃああいつ貴族様じゃんかよ。」
復活したキンジが理子に詰め寄る。
「そうだよ。リアル貴族。でもアリア、『H』家の人たちとあまり良好な関係じゃないみたいなんだ。そのせいであまり家のコトは言いたくないみたい。まあ、理っ子りんは知っちゃってるけど!」
「何だよ、もったいぶらずに教えろよ。」
「理子は親の七光りとかキライキライですので。まぁ、イギリスのネットでもググれば大体分かるじゃない?」
「俺たち……英語からっきし何だけど……」
「ま! 頑張りんしゃい!」
そう言って両脇の俺たちの背中をおもっきしぶっ叩く……と見せかけてキンジの方だけ空振り手首を直撃。因みに俺の方は脊髄の辺りに直撃。超痛ェ……。
「うおっ……?」
「うぁー! ごっ、ごめぇーん!」
「別に安物だし、いいよ。」
「どころがどっこい! そんなワケにもいかないのです! とゆうワケでこれは理子りんが修理して後日返却致します!
やっと出来るようになった呼吸をしながら脊髄の辺りをさすっている間、隣でそんなやり取りが聞こえていたような気がしたが、呼吸困難に陥っていたので正直それどころではなかった。
大分落ち着いてきたのでこれからは定期的に更新出来るかと。まあ、まだ読んでくれてる人が居ればですが……ハイ。