緋弾のアリア 大空の転生者   作:鉄人56号

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この話を読んでから生じるであろうキャラへの見方や批判、その他手痛い酷評は一切受け付けません。自己責任で読んでネ☆


第十一話 静かな怒り

龍SIED

 

女子寮の屋上に降り立った車輌科(ロジ)のヘリに乗り込んだ俺たちは、先程からインカムで通信科(コネクト)の話を基にバスの奪還作戦に臨もうとしていた。

……しっかし、何かヘリに乗る前からキンジの様子がおかしい。なんかさっきからアリアの方ばっかり見てるし、話しかけてもぼーっとしてて上の空。ヘリに乗る前にアリアと何か話してたみたいだけど……

 

「見えました」

 

レキの抑揚の無い声が思考中の俺を現実に引き戻す。見ればレキは自分に近い窓から何処かを見ている。

 

「何も見えないんだが……」

 

「ホテル日航の前を右折しているバスです。窓際に武偵高の生徒が見えますから間違い有りません」

 

「……この距離でもそんなに見えるのなレキ。前から気になってたけど視力いくつなんだ?」

 

「左右ともに6・0です」

 

流石に聞いていたキンジも反応し、レキ以外の俺たち3人は思わず顔を見合わせていた。 お前はアフリカの野生児か。

 

ヘリがレキの捕捉した辺りへ降下していくとそこには紛れもない武偵高のバスが走っていた。速い。凄く速いぞあれ。少なくとも完全に時速60キロは越えてるぞあれ。

 

「作戦をおさらいするわ。あたしはバスの外回りを調べる。キンジと龍は内部に突撃。車内の安全を確保した後状況を随時確認、連絡して。レキはヘリで待機よ」

 

早口で告げるとアリアはその小さな体躯に似つかない強襲用パラシュートをセットし始める。

 

「内部に突撃……とは言うが、中に犯人が居たら俺たちまで危ないぞ」

 

「『武偵殺し』ならば、車内には居ないわ」

「じゃあ『武偵殺し』じゃなかったらどうしろってんだ!?」

 

「違ったらなんとかしなさいよ。あんたならどうにでも出来るハズだわ。龍だって居るし」

 

「期待してくれるのは結構だけどさ……アリア。もうちょっと慎重に行った方が……」

 

「もう、あんたまでそんな女々しい事言っててどうすんのよ! ほら! さっさと準備なさい!」

 

 

 

 

 

なんとゆうかまあ、アリアの戦術指揮は戦術としての役割を果たしていないようだ。

パラシュートを使い、ほぼタダの自由落下に近い速度でバスの天井に降り立った俺たちは当初の予定通り、アリアが外に残り、俺とキンジは窓を生徒の1人に協力してもらいなるべくコッソリ開けて文字通り突撃。

車内の生徒達がなんだなんだと騒ぎ立てて居るがどうやら犯人は車内には居ないらしい。

 

「キンジ! 龍!」

 

聞き覚えのある声に振り向くとそこには武藤の姿が。無事だったか武藤。良かったよ。

 

「武藤……2限はまだだけど、また会ったな」

 

「ああ、そうだな……チクショウ。こんなバスに乗っちまうなんて今日は厄日だぜ」

 

「それ言ったら此処に居る人達みんな厄日になっちゃうぞ」

 

「まあ、そんな話は後だ。それよりもキンジ、龍。あの子だ」

 

武藤が指したのは……運転席の近くのメガネ少女だった。

 

「と、遠山先輩! 日向先輩! 助けてっ!」

 

可哀想な事に半分べそかいて助けを求めている。その子は去年の櫻と同じ中等部の制服を着ていた(それ程代わり映えしていないが)。

 

「どうした! 何があったんだ!?」

 

「ええええっと、あた、あたあたししの、けーたたたいがああ……」

 

「落ち着いて。何があったのかゆっくり説明してごらん?」

 

極度に挙動不審になっている被害者はちょっとした事で直ぐにまともに喋れなくなるから、事情聴取する前にそういった状態を治しておかねば、正確な情報は聞けない。これは櫻から教わった事だ。

だから俺は妹の教え通り、なるべく優しい声でゆっくり、女の子と目線を合わせて不安がらせないように気を付けながら語り掛ける。

 

「さあ、まずは深呼吸をして?」

 

「すす、すはー、はー……すーはー、すーはー……」

 

「落ち着いたかい?」

 

「……はい。ごめんなさいこんな時に取り乱してしまって。私だって武偵なのに……」

 

「それが人間ってものさ。それで、何があったの?」

 

「私の携帯が、いつの間にかすり替えられてたんです。それがいきなり脅してきて……」

 

「速度を落とすと 爆発しやがります」

 

……またお前か。お前のせいで某ボーカロイドの声に恐怖を覚えるようになってから名曲と呼ばれるあれこれを聞けなくなってたんだぞ。どうしてくれるんだ。

それにしてもこの手口……まさかとは思ったがアリアの言った通り『武偵殺し』の仕業だな。

 

『キンジ、龍! そっちはどうなの!?』

 

アリアの声がインカムから聞こえる。その声に俺は応えた。

 

「アリア。君が言った通りだった。このバスは『武偵殺し』による遠隔操作と見て間違いないだろう。そっちは?」

 

『アンラッキーなお知らせよ。爆弾みたいなのが引っ付いてる!』

 

爆弾。それは大量の火薬に着火して炸裂させる、過去も現在も強烈で凶悪な戦略兵器だ。それが今、このバスにくっ付いている。これだけでもう大抵は人生終了の予感がする。

 

(タイプ)はカジンスキーβ型のプラスチック爆弾、「武偵殺し」の十八番よ。目測だけど……炸薬の容量は3500立法センチはあるわ!』

 

……イオナズンでもやるつもりなのか「武偵殺し」は? 随分と派手好きなヤツみたいだな。

 

『潜って解体してみ……あうっ!』

 

アリアが言い終わり掛けるのとほぼ同時に、ドンッ! と、凄い振動がバスを襲い、バスの中の俺たちもみんな転倒し、騒ぎがより大きくなる。後ろの窓を覗くと、そこには先程まで何も居なかったハズなのに、1台のオープンカーがこちらに併走しかねないスピードで付いてきている。あれがぶつかって来たのか……!

 

「アリアっ! 応答しろっ! アリアっ!」

キンジが呼び掛けているが応答が無い。まさか……アリア、さっきの衝突で何か……!?

 

「龍! 俺はアリアの様子を見てくる! みんなをたの……みんなっ! 伏せろっ!」

 

ブォン! と甲高いアクセル音と共にさっきの赤塗りの車が遂にこっちに併走していて……無人の座席に何か黒光りしているモノが……って、やっばっ!

 

ビシュシュシュンっ! 理解し、伏せるまでにタイムラグが発生したため何発か貰ってしまった。銃弾だ。

 

「ぐっ……、UZI(ウージー)か……!」

 

例の黒カカシだった。危なかった……この防弾ベストがなかったら、防弾制服だけじゃあの銃弾を受けきれなかったかもしれない。怪我はないが……このガタイのいいプロレスラーに金属バットでおもっきしぶっ叩かれたような衝撃は何時まで経っても馴れない。回避が間に合わなかった生徒達も掠めただけで大事には至って無いみたいだしよかっ……

 

グラリっ。

 

……何だこの妙なバスの揺れ方は? ふと運転席を見ると

 

「……」

 

グッタリと運転手さんがハンドルに倒れ掛かっていた。肩口を見ると……マズい。掠めたみたいだ。

操縦士が倒れたバスは当たり前に暴走。バスが左車線に大きく傾き、それを避けた対向車が今度はガードレールにぶつかり更なる混乱を招く。

マズい。このまま放置しておくとさらに被害が……

 

「有明コロシアムの 角を 右折しやがれです」

 

更に厄介なことにバスが減速し始めてる……!

 

「む、武藤! 運転を代われ! 減速させるな!」

 

キンジが叫びヘルメットを投げ渡す。俺は……じゃあ、この防弾ベストを。もう、あの短機関銃には当たらないつもりだしな。武藤に投げ渡す。

 

「い、いいけどよ! 俺こないだ改造がバレて、あと1点しか違反出来ねーんだけど!?」

 

「頑張れ武藤! だいじょぶだ! そもそもこのバス、通行帯違反だぞ!」

 

後押しするように言ってみると武藤は間髪入れず、運転手さんを席からどかし、ヘルメットをかぶり、どっしりと席に座った。

俺たちは取り敢えずアリアと合流しよう。

 

「落ちやがれ! 轢いてやる!」

 

その憎まれ口も今の状況じゃ頼もしいぞ武藤!

 

 

 

 

 

先程の雨が何時の間にか豪雨に変わっていた。そんな中、バスは高速でレインボーブリッジに進入する。

 

「こんなところで爆発したら……早く止めないと……!」

 

「おいアリア! 無事か!」

 

「キンジ! 龍!」

 

アリアの物と思われるワイヤーが固定されている所にアリアが登ってきた。

 

「アリア! ヘルメットは!?」

 

「さっき、あのルノーにやられたわっ! あんた達こそどうしたの!?」

 

「運転手さんが怪我しちゃって……武藤にヘルメットと防弾ベストを貸して運転させてるんだ!」

 

「バカ! そんなんで出てくるなんて何考えてるの!? 早く車内に隠れ……後ろっ! 危ないわ! 伏せなさいキンジ!」

 

言った瞬間、直感で分かった。後ろのUZIが放たれるのが。

 

キンジが呆然としている。その頭に銃弾が。アリアが飛びかかって。

 

……こんな時、人間は咄嗟に動く事が困難になる。

 

クソッ。動け。動けよ俺の体。このままじゃ2人とも……

 

まるで時が遅くなったように、その時スローモーションに見えた。

 

「うごけぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

瞬間、死ぬ気化した俺は、グローブの炎を噴射して、瞬間的に100キロは出ていただろう。アリアとキンジに突撃して2人を抱きかかえる。離脱の瞬間、脇腹に9ミリパラペラムが少なくとも5発は当たっただろう。しかし、そんな内臓破裂モノの痛みも感じず、2人を抱えて一旦アスファルトへ。

 

「ナッツっ!」

 

相棒は炎を全身に灯すだけで出てきてくれた。即座にマントに変形し、2人を包み込む。

ゴッゴッゴゴっ!

 

地面を凄い勢いで転がる俺たち。アリアとキンジはマントがあるから大丈夫だろうが、俺は咄嗟だったので、もろにダメージを受けた……ハズなのに痛みは何故かない。

 

「り、龍……」

 

「龍……あんた……」

 

2人が驚愕に見開い目で俺を見ている。でも俺は早くあの車を止めないと。

 

再び炎を噴射して飛ぶ。バスにはすぐに追い付ける。

 

バババッ! バババッ!

 

UZIの銃弾を今度はかわす。そして

 

ドンッ! そんな音が出るくらい派手にさっきの無人車に着地する俺。

 

「そんなに人を傷付けて……愉しいか? 『武偵殺し』」

 

後々思い出す事になるが、この時の俺は何かがトんでいた。何故ならば……

 

「零地点突破……初代エディション(ファーストエディション)

 

こんな大技を人前で使う程に……俺は『武偵殺し』に憤りを感じていたからだ。

 

パキパキパキパキパキパキっっっ!!!

 

凍り付く赤塗りの車の中で、いつの間にか戻った来ていた痛覚に、俺は意識を失った。

 

 

 

 

レキSIED

 

氷の華。目の前に広がる光景はそう言い表せる。

 

ヘリからでも充分様子は見える。あのルノーを氷付けにしたのは多分龍さん。それ以外考えられない。吹き飛ばされた時はヒヤヒヤさせられたけど、無事で良かった。

……去年までは感じもしなかった。こんな感情をくれたのはあなた。だから……

 

ルノーのせいで近付けなかったバスに近付く。

 

「……私は一発の銃弾」

 

バスっ!

 

「銃弾は人の心を持たない。故に、何も考えない……」

 

バスっ!

 

そのはず”だった“。けど。

 

「……ただ、目的に向かって飛ぶだけ」

 

バスっ!

 

……もしかしたら私は、心を持つ銃弾……なのかもしれない。

 

あと一発……

 

「……私は一発の……心を持つ銃弾……」

 

バスっ!

 

ドオオオオン……!!

 

「……あの人が倒れてる。行かなきゃ」




主に後半のあの子がちょっと違う感じでしたねはい。これが私的クオリティ!
……さ、さ~て、バス終わったし、ちゃっちゃと次でも書こっと(汗) ピュー(ニゲー
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