目が覚めると、そこはまたもや知らない天井だった。
「………ここは?」
ふとベッドの近くにある勉強机らしき物体に目を向ける。そこには黒い便箋がポツンと置いてあり、気がつけばその便箋を手に取って広げていた。
『この手紙を読んでると言う事は君は無事に転生出来たようだね龍君。』
「転生…? …あ。」
そうか。俺は確かトラックに轢かれて一度死んで、そして神様に転生するかどうか聞かれて現在に至る訳だ。
『その通り。普通に転生させるだけならこんな手紙なんて書かないんだけど、今回はちょっと特殊な転生だし。この手紙を送らせて貰うよ。』
…今気付いたんだけど、この手紙最初の一文以外何も書いてなかったのに俺が思考を巡らせた瞬間文字が浮かんだ。もしかしてこれ、俺の思考を読み取って返事を書いてる仕組みなのか?
『まあ、平たく言えばそうだね。一種のテレパシーみたいな物かな?』
と、考えてたらまた新しい文章が浮かんできた。これなら殆ど会話してるのと大差ないな…
『さて。無事状況把握出来たようだから本題に移させて貰うよ。まずそこにある鏡を見てごらん。』
言われて、壁に張り付けられている鏡を見る。そこには小学校に入り立てと思われる小柄な男の子の姿が映っていた。
『君の要望通りの容姿にしたつもりだけど、気に入ってくれたかな?』
『アスラクライン』の主人公『夏目智春』をそのまま幼児化させた感じだ。概ねこんな感じなのか。何というか…カワイイ系?
『そして次は能力だけど、まずは死ぬ気化してみてくれ。死ぬ気化した自分をイメージしながら強く念じてくれればなれると思うよ。』
こんな感じかな?
……………………………あ。
ポオゥ…! ボワ! 炎が燃え盛る音。そんな音と共に俺の額にくすんだ
『それはまだ君が目覚めたばかりだからさ。何でもかんでも最初から完璧だったら詰まらないだろう?』
流石神様。俺の事をよく分かってるな。(人間の概念で言えば)たったの30分位しか話してないのに。
『まあ、生まれた時から伊達に神様やってないからね。…とは言っても、自分がいつ生まれたのかなんてとっくの昔に忘れ去ってしまったけどね。』
神様。テイルズシリーズの術技は?
『詠唱とかは必要ないよ。技名を言ってくれれば発動する。制約については自分で把握してみてくれ。』
それじゃあ、他の武器類は?
『それは君のご両親が持っている。来たるべきその時に君に渡されるだろう。まだ君は小学生…いや厳密に言えば幼稚園を卒園したばかりなんだ。そんな事考えないでまずは新しい人生を楽しみなよ。』
分かったよ。所で今日何の日なの?
『今日の君の予定は…うん。どうやらお友達や妹さん達と一緒に遊ぶ予定のようだね。』
あ、そう言えば妹も居るんだっけ。すっかり忘れてたよ。
『じゃあ、そろそろ良いかな? これまで君が6才になり今日と言う日を迎えるまでの記憶はしっかり有るはずだから。』
ちょっと待って………あ、ホントだ。
『それでは私はそろそろ仕事に戻ろう。余り1人の人間ばかりに肩入れするのは御法度だしね。』
あ。神様お別れの前にもう一つ。
『ん?何かな?』
ありがとうございました。俺、頑張ります。
『…ふふふ。君は本当に変わった奴だ。たが、それ故に…面白い………』
その一言を最後に神様の声は聞こえなくなった。お世話になりまくっちゃったな………
「さて。じゃあまず最初に。」
家族に挨拶に行こう。これから同じ釜の飯を食っていく新しい大切な人達へ。
友達と遊びに行こう。これから死ぬまで仲良く出来るような掛け替えのない繋がりを創るために。
そう決めた俺は、只の紙切れになってしまった神様からの手紙を折り畳み、勉強机に大切にしまった。
そして扉を開けて新しい人生の第一歩を踏み出すのだった。
少年の新しい人生が幕を開ける。