「前回までのあらすじ。チャリジャックされて絶対絶命のキンジ君。どうなるキンジ君!? 負けるなキンジ君! 生きてあの子に告りに行くんだキンジ君!」
「黙れ! お前も絶賛絶対絶命中じゃねえか! あと死亡フラグを立てて被害を俺だけに済まそうとするなァァァ!!!」
全力で自転車を漕ぎながら全力の叫び声を上げるキンジ。凄い肺活量だな。
「そのチャリ には 爆弾 が 仕掛けて あり やがります」
現在時刻8時10分。
今流行りのボーカロイドと思われる声で併走しつつ脅しを掛けて来るカカシ型の乗り物(後で聞いたんだがセグウェイというらしい)が、先程から飽きずに短機関銃の
「で、キンジ君。爆弾と言われて先程から探して見たんだが、何やらサドルの裏にプラスチック爆弾みたいな物が頑丈にへばりついてるんだが……どうしよう?」
「クソッ! まずは助けを呼ぶしかないな…龍!
「アイアイs゛(バババンッッッ!)「ケータイ を 使え ば 即座 に 爆発 しやがります」了解です。さあキンジ次の案は?」
「チクショウッ!」
あーあ、俺のケータイ…一瞬しか見えなかったけど見るも無惨な電子パーツの集まりに………
「ク………そうだ! 龍、あのカカシ野郎を撃てるか?」
「出来なくも無いけど……」
「妙 な 動き を 見せたら 爆発 しやがります」
「………ああ言ってるしなぁ」
「くっ、破壊も駄目か………」
「他 にも 減速 したり 止まっ たり したら 爆発 しやがります」
「八方手詰まり、か………」
「クソッ! どうして俺達がこんな目に!?」
そんなの俺が聞きたい。
俺だけならまだ何とかならなくもない。既にグローブ(今は普通の手袋だが)は手にはめてあるので即座に死ぬ気化して飛べば助かるだろう。しかし当然ながらそれだとキンジを置いて行ってしまう事になる。俺が飛び立つ瞬間にあのカカシ野郎はあの黒光りしたマシンガンをぶっ放すだろうから俺は良くてもキンジはその時点でゲームオーバーだ。さてどうしたもんか………
その時、何の気無しにふと近くのビルの上を見た。…ん? あれは…人? 目を凝らして良く見ると確かにあの高層ビルの頂上に人が立っていた。そしてあろうことか
「と、跳んだっ!?」
「えっ、何だ龍どうした!?」
「いや…飛んでる。」
「いやだから何、がっ…って」
その人はビルから…恐らくパラグライダーのような物を使い飛んでいた。…って
「女の子…?」
「て言うかあの子、こっちに向かって来てねえか!?」
キンジの言うとおり、恐らく女の子であろうその人物はこちらの方に飛んできていた。
「おい、バカ! こっちに来るな! この自転車には爆弾が…」
「うっさいバカ! いいから頭伏せなさい!」
キンジのバカ呼ばわりが気に入らなかったのか軽くこちらを罵倒して頭を伏せるように促して来た。もしかして…助けてくれるのか!?
「キンジ早く伏せろ! もしかしたらあの子は俺達を助けてくれるのかもれない!」
「わ、分かったよ!」
俺達ができる限り体制を低くするとほぼ同時に女の子はホルスターから二丁拳銃をスタイリッシュに取り出しこちらに向けてマルチノズルをフラッシュさせた。
バン!バババン!
女の子の銃撃は見事カカシ野郎に命中。凄い。確実に拳銃の一般的な交戦距離と言われている七メートル以上の
「でもまだ爆弾が…」
「さて…おい君! 俺は大丈夫だからコイツを助けてやってくれ!」
「なっ!? おい龍!? どうする気だ!?」
「こう…するんだよ。」
言うと同時に死ぬ気化して自転車から離脱。女の子はそんな俺に驚愕の目を向けていたがやがて
「武偵憲章その一! 仲間を信じ、仲間を助けよ! いくわよ!」
そのままキンジの自転車に突っ込んで行きそして抱き合う形でキンジを爆弾の魔の手からすくい上げる……だがあの距離じゃ爆発の余波を食うな………
「出番だナッツ!」
リングに死ぬ気の炎を灯し少々乱暴に
「GAU!」
相棒の天空ライオン、ナッツが出てきた。よし!
「ナッツ!
「GAUUUUU!!!」
ナッツの体が眩しい程光輝く。そしてその形状はやがてマントの形になり
「すべてに染まりつつすべてを飲み込み包容する大空!
よし! これで二人を守る!
パラグライダーに一気に接近して急停止。そのままターンしてマントを構えて爆発に備え終わったその瞬間に
ボゴォォォォン……大分遠くで爆発したのだが予想どおり余波の爆風や自転車のパーツも飛んできた。それをマントで全て拒絶する!
「ぐっ!?」
拙い。爆風が強すぎる!? マントは無事でも勢いが殺しきれない! 吹き飛ばされる!?
「く…うわあぁぁぁーーー!?」
「キャアアァァァーーー!?」
破片は全部受け止めたが爆風がキンジと女の子の所にも被害を及ぼす。
………てゆうか俺も
「うわあァァァーーーーー!?」
案の定吹っ飛ばされて近くの街路樹に激突。マントのお陰で怪我はしなかった。
「くうぅぅぅ………キンジと女の子は…?」
再び飛んでキンジと女の子を捜す。すると視界の隅に飛行物体を見つけ出した。
「あっちは…武偵高の方面か?」
確認して、マントをナッツに戻し匣にしまい込む。よし。
「追い掛けよう。」
親友と女の子の安否を考えながら俺は武偵高方面へと飛んでいく。
………どうでもいいけど始業式に間に合うのか?
キンジSIED
俺遠山キンジは今、体育倉庫の跳び箱の中で先程のスリルとはまた違うスリルを味わっていた。
「………………」
「………………」
さて。状況を確認しよう。
目が覚めたら女の子がブラジャー丸出しで俺の頭に覆い被さっていた。
………いやおかしいだろ。突っ込んできた筈なのにどうしてこんな体制に?
そんな事を思案していると、ふと俺の視界にあるモノが映った。
「神崎・H・アリア……?」
武偵校では4月には名札を付ける決まりがある。それのお陰で俺はこの命の恩人の名前を知ることが出来た。だけど。
(い、何時までもこの状態はマズい! ああっ、なにやら甘い香りが!)
密着している女の子(神崎)からクチナシのような思春期の女の子独特のいい匂いがしている。マズい。このままだと本当に………『なる』! 『なっ』ちまう!
抜け出したいのは山々だが俺が下で神崎が上なので退かしづらい。それに…出来ればもうこれ以上接触面を増やしたくない。俺はこういうのを諸事情で自分に禁止しているのだから。だから早く……目覚めてくれ神崎!
「ん…んんう」
俺の願いが通じたのか覚醒仕掛ける神崎。助かった!
「神崎。言いたい事は沢山あるんだが、取り敢えず降りて…って、あ」
何故俺が喋るのを止めたのかは簡単。神崎の顔に見とれてつい言葉が出せなくなったから。
綺麗なピンクの(地毛なのだろうか?)ツインテールに、何故か大きく見開いた
「し、死なすぅぅぅーーー!!!」
いきなり漆黒と白銀のガバメントを俺に突きつけそう叫んだ…って俺!?
「ま、待て神崎! どうした!? キレる十代!?」
「うるさいうるさいうるさい! あ、アンタ…せっかく助けてあげたのに、私が眠ってる間に何してんのよ!」
何をしてる? 何言って……って
「あ」
跳び箱という密閉(?)空間。
反脱ぎと言ってもいい程上に捲り上げられた武偵校指定のセーラー服
そしてブラジャー丸出しの目の前に俺。
………うん。なる程。
「神崎。お前は何か誤解している。俺はお前にやましいことは決して何もしていない。」
「これだけの証拠現場なのに自分の罪を認めないなんて………恥を知りなさいっ! て言うか退いて~~~!!!」
「お、おい暴れるな! お前が退かんと俺が退けないんだよ! ああ、ちょっと…マジで、これ以上はっ!」
ドクンッ!
うっ!?
………ハア。『なっ』てしまった。
兄さんを破滅させた忌まわしき遠山の血…『ヒステリアモード』に。
原作が買えません…お財布ピンチ!
なので、声優さんネタで誤魔化す私なのでした。