おひさまのばんそうこ ショートストーリー 作:arausa05
小型飛行機は垂直上昇し、、街に向かって進んでゆく。
ブランコに乗ったドザえもん
全身に吹き渡る風が心地よい。
塩水まみれの服が乾いてゆくからなおさら良い。
しばらくすると街に近づいてきた。
遠目ではわかりにくかったが、だんだん輪郭がはっきりしてきた。
高さの違う青と白の色をした円柱形の建物が無数にそそり立っている。
さらに進むともっとはっきりしてきた。
青色の部分は窓ガラス、白の部分は壁だった。
屋根には小型飛行機と同じ、それと同じ以上の飛行機が停泊している。
「ひゅう♪ 壮観だな。
今までいろんな街を旅してきたが、こんな街は初めてだぜ」
ドザえもんが歓声を上げる
「もう少し行くと市場があるけど、少し見ていく?」
「ああ、頼む」
と、答えると小型飛行機は少し傾き、人通りの多い方へ進む。
少し行ったとっころに市場らしきものが見えてきた。
人、人、人、人の群れ。
両サイドに所狭しと並ぶ屋台。
果物、パン、ジュース、弁当、穀物などなど
「賑わってるな。
屋台の規模以外は他の街と変わりないんだな。
てっきりビルの中にあると思ったんだが」
「ビルの中にはデパートがあるのよ。
だけど他店との比較があまりできないから
ブランド品以外はみんなここで買うの」
「なるほど」
「じゃあそろそろ宿に向かうのよ」
そう言うと小型飛行機を方向転換させ
市場を後にするのだった。
なのよ達は市場を後にして宿へ向かった。
「もうそろそろ着くのよ」
前方の高台に長いエスカレーターが見える。
その頂上に一件の宿屋が見える。木造の。
「・・・・・・・・・」
「どうしたの?}
「いや、なんだか一気に過去の時代に飛んだ気になっただけだ」
「見た目はレトロでも中は機能的なのよ」
「機能的ねぇ」
なのよは小型飛行機を脇に下ろすと
宿の中に入っていった。
玄関はやや広く、調度品や台所などが規則正しく
配置されている、無駄と呼べるものが一切ない。
カウンターには隻眼の老婆がいた。
おとぎ話に出てくる魔法使いのような格好をしている。
なぜかこちらに向ける眼光が鋭い。
こちちらを一瞥して
「そこの砂まみれはお客さんかい?」
「ドザえもんなのよ」
「ドザえもんだ。よろしく」
「・・・まあ金さえ払ってくれりゃ何も言わないよ」
「そうかい。・・・ああ、そうだ。シャワーは付いてるかい?」
「付いてるよ。食事込みで一泊3500キャシュだ 」
「確かにお手頃価格だな」
湿った財布から湿った紙幣を取り出し、渡す。
娘はこちらを振り向き、
「あらためまして、私はなのよ、なの」
「変わった名前だな、俺はセカイノだ。あらためてよろしく」
そう言うと、セカイノは個室のシャワー室に向かった。