おひさまのばんそうこ ショートストーリー 作:arausa05
ーーーーー市からの帰り道ーーーーー
カートが宙に浮いている
「なんだこれ?」
「荷物を載せるのよ」
「へー、便利だな」
しげしげと見る。
「使用料一回50キャシュだけどね。荷物がかさむときには
重宝するのよ」
「なるほど。なんていうかこの国だけ技術がひと回りくらい
進歩してるな。大国をのぞいては、だけど」
「特にこの国は東の大国の圧力を受けてるから、技術の進歩も
速いのよ」
「くわえてこの国には資源もあるしな」
「この国のこと知ってるの?」
「大雑把にはな。だからそのまま話してくれ」
「うん。・・・で、最近その東の大国が急激に軍備を増強しているのよ」
「そのわりに街は賑わってるな」
「首都だから当然なのよ」
「・・・は?」
「どしたの?」
「首都?・・・ここが?」
「そうなのよ。ここをどこだと思ったのよ?」
「北の都じゃねぇのか?」
「北の都はここから街道を1週間、北に向かったところにあるのよ」
「なんてこった。遭難する前に航路を間違っていたってことか!」
「どれだけ間違えばそうなるのよ」
「ま、いい。2週間の滞在が3週間に増えるだけの話だ」
「あ、もうそろそろ宿なのよ」
「そうか」
「宿に荷物置いたら行くところがあるのよ」
「いいけど・・・どこにだ?」
「工房」
ーーーーー工房街ーーーーー
午後4時、街の東地区、工房街。
工場や工房がところ狭しとひしめきあっている。
浅い夕日が工房を夕焼け色に照らし出していた。
「そういえばこの小型飛行機、なんていうんだ?」
「飛行機じゃないのよ『小型飛翔機』」
なのよの小型飛翔機がその中の一工房の屋根に降り立ち、
屋上口から階下に入る。
「博士ー」
「おお、助手A」
「見学者を連れてきたのよ」
「ほう」
「セカイノだ、よろしく」
「うむ。私のことは博士と呼んでくれ」
「じゃあ始めるのよ」
「何を?」
「アルバイト」
「アルバイトぉ?
おまえ宿のほうはどうすんだ?」
「あっちは本業こっちは副業。
でもこっちのほうが収入がいいし、むこうはお婆がいるから
大丈夫なのよ」
「うむ。優秀な部下には見合うだけの賃金を与えないとな」
「それで、何をするんだ?」
「今日は全自動皮むき機の実験テストじゃ」
「おお」
「世界中の主婦の皆様の味方、万能キッチン機能③じゃ。
さあはじめるぞ」
機械はジャガイモを固定し。包丁が振り下ろされた。
ーーーーーカッ、と閃光が走るーーーーー
そして光が収まると、そこに真っ二つに分断された
ジャガイモが転がっていた。
「・・・むくんじゃなかったの?
切ってどうするのよ」
「うーむ。・・・そうだ!短冊切りにすればいいんだ!!」
「それだ!」
「違ーうのよ」
ーーーーーつづくーーーーー