The Cold War in High School Fleet world 作:BF109.Fw190
2014年3月18日正午
ミッドウェー沖
「おお…あれが『世界の門』か…」
艦橋から異世界への道が開く様子を見ながら山口は感嘆の声を上げる。
3日前にハワイを出港した第二艦隊はミッドウェー島南西約25海里の海域に到達し、『世界の門』が起動するまで待機していた。
「長官、操作船より『起動成功、任務達成を祈る』とのことです」
「よし、各艦事前の取り決め通りに門に突入。突入後は速やかに輪形陣を組め!」
「了解。各艦に打電、所定の行動を開始せよ!」
『大和』からの指令を合図に各艦が動き出し、先頭の駆逐艦が門に突入した。その後、事前に決められた順番で門に突入していき、門を抜けた艦はすぐさま3つの輪形陣を組み西に進路をとった。
2014年3月22日早朝
小笠原諸島北東約100海里
ミッドウェーから西進すること4日、第二艦隊は小笠原諸島沖に達していた。
「長官、第一目標の小笠原諸島まで約100海里です」
「わかった。この世界の小笠原諸島の様子を把握しなければならんな…機動部隊に打電、小笠原諸島の偵察を命じる」
「了解」
10分後、機動部隊空母『飛龍』飛行甲板では、第121航空隊爆撃飛行中隊第1小隊3機の戦闘機:七〇式艦上戦闘機『神風』Ⅱ型甲がカタパルトにセットされ、発艦を待っていた。
(まさか自分が異世界との最初の接触をすることになるとは…)
コックピットで待機しながら小隊長の岩本良二少尉は考える。
『こちら管制室、偵察隊発艦を許可する』
管制室から許可が下り、小隊長機から順にカタパルトで発艦し、3機は上空で編隊を組み小笠原諸島方面に飛び立っていった。
10分後、岩本機は小笠原諸島上空に到達し、上空に脅威がないのを確認すると速度を950㎞/hまで落とし高度1500mで父島上空をフライパスした。同じように兄島・弟島には2番機が、母島には3番機がフライパスしながら偵察状況を報告している。
「小笠原諸島の島の形はわれわれの世界と同じです。しかし、港湾にはインディペンデンス級沿海域戦闘艦に酷似した艦を確認、また父島の一部が要塞化されています」
偵察状況を報告しながら岩本は思う。
(いくらこの世界に航空機が存在しないといっても、司令部は思い切ったことを考えるなあ………てかこれ領空侵犯にならねえの?)
「(まあ司令部が言ってきたことだから大丈夫なんでしょう)任務達成だ。帰投する」
『了解』『了解』
5分ほど偵察したのち、3機は帰投しガンカメラの映像を提出し,その映像の解析により父島の要塞は敷地内の建物の配置などを把握することに成功した。
2014年3月22早朝
小笠原諸島・父島 ブルーマーメイド父島要塞
夜が明け、ブルーマーメイド基地も島民も動き出し始める頃、突如轟音が鳴り響いた。
「な、何の音!?」
「さぁ…あ、あれ何!?」
「えっ?」
朝礼に向かって基地内を歩いていた2人の隊員は突然の轟音に驚き、何かに気がついた。
ゴォォォォォォォォーーー
「キャ!」
轟音を鳴らしながらその何かが2人の頭上を通過し思わず悲鳴を上げ、それが飛び去っていくのをただ呆然と空を見上げて見送ることしかできなかったが、基地に警報が鳴り響いたことで我にかえり急いで配置に着くのだった。
警戒態勢に入ってから4時間後
「レーダーに感!北東25海里の海域に20隻以上の艦隊が出現、20ノットでこちらに接近しています!」
「近海に展開中の全艦を動員して対応に当たらせて!」
父島基地の司令はそう指示を出し、指令室はとてつもない緊張感に包まれる。
「司令、あの艦隊は何者でしょうか?」
「わからない…けど、ブルーマーメイドやホワイトドルフィンの艦隊でないことは確かよ」
「まさか海賊!?」
「たとえ海賊でもこちらも10隻以上が対応に当たっています。簡単にやられることはないと思います」
「一応、保安即応艦隊とホワイトドルフィンにも応援を要請しておきましょう」
『こちら父島基地艦隊旗艦『ちちじま』!謎の飛行物体が飛来し、艦隊の上空を旋回しながら国際共通無線で呼びかけてきています』
「なんと言っているの?」
『今そちらに回線をつなぎます』
『接近中のブルーマーメイド艦隊に告げる、こちらは大日本帝國海軍第二艦隊である。小笠原諸島の責任者との会談、ひいては日本政府との交渉を希望する』
「大日本帝國海軍!?」
「大日本帝國海軍は1945年に解体されたはずですが…」
「司令、どうしますか?」
「向こうが話し合いを望んでいるのなら応じるべきでしょう」
「しかし!!」
「責任は私が取ります。準備を」
「分かりました」
2014年3月22日正午過ぎ
小笠原諸島北東約2海里
大日本帝國海軍第二艦隊旗艦『大和』
「なんとか戦闘等にならずに話し合いの場を作ることができましたが…」
「ああ…大変なのはここからだぞ」
約1時間半前、集結し接近していた艦隊(ブルーマーメイドの艦隊)を捕捉した第二艦隊は、上空直掩の戦闘機隊を向かわせて詳細を確認。艦隊がブルーマーメイドであると判明し、国際共通無線で会談を要請した。
「会談はどちらで?」
「向こうの要塞だそうだ」
「突然銃を突きつけてくるようなことはないでしょうが…危険では?」
「この世界と接触する上でリスクは付きものだ。護衛も付ける」
「分かりました。ちなみに護衛には誰を?」
「『硫黄島』に
「確かに彼らならこの手の任務に適任ですね」
その頃、強襲揚陸艦『硫黄島』の飛行甲板ではこの後行われる会談の護衛任務に向けて輸送ヘリと護衛の戦闘ヘリが発艦準備を整えていた。
そのヘリの機内で、任務にあたることになった中嶋は第1分隊の隊員に説明をしていた。
「これから任務内容を説明する。今回の任務は、これから行われる会談における先遣隊司令官の護衛だ。基本的には通常の護衛任務と同じだが、会場内に武器の持ち込みは出来ない。よって、会談中は西本准尉以下4人が入室し、残りは出入口の警備とする。質問は?……無いな。異世界初の任務だ!キッチリこなして戻ってくるぞ!」
「「「応!」」」
「発艦します」
エンジンの回転数が上がり、3機のヘリが発艦し第二艦隊旗艦『大和』に向かい、VIPを回収した後会談会場である父島要塞に向かった。
2014年3月22日午後
父島・ブルーマーメイド父島要塞:グラウンド
「来たわね」
事前連絡でグラウンドに着陸することを伝えられていたブルーマーメイド側は、司令官以下4人で日本海軍側の代表を出迎えていた。
「てっきり港内に停泊して内火艇でくるものと思ってましたが…」
「ええ、私も最初はそう思ったわ。けど、あれを見たら納得せざるを得ないわ」
4人の目線の先には着陸して機体後部のハッチを解放中の輸送ヘリがいた。
「ッ!」
ハッチが完全に開き、海軍の代表がでてくると思っていたブルーマーメイド側は驚いて息を呑んだ。
「………」
なぜなら、現れたのが迷彩服*1とバラクラバを着用し、完全武装した男たちだったからである。
「驚かせてしまったようで申し訳ない」
その男たちの中心から、こちらは制服*2を着た男が3人現れ、その内の一人が話しかけてきた。
「いいえ、大丈夫です。ですが、なぜこのような厳重な警護を?」
「貴女たちを信用していない訳では無いのですが、我々にとってはこの世界は未知の領域ですから」
「
「それも含めて、これからの会談で説明しましょう」
2014年3月22日
ブルーマーメイド父島要塞・会議室
会談は、初めに大日本帝國側が自分たちの正体と自分たちの世界についての説明、この世界に来た目的を伝えることになった。
「まず我々について説明しましょう。先ほど言った通り、我々は大日本帝國海軍第二艦隊で、現在は異世界派遣軍先遣隊としてここにいます。」
「大日本帝國海軍は1945年に解体されたはずでは?」
「この世界ではそのような歴史を歩んだようですが、我々の世界ではアメリカに匹敵する世界最大規模の海軍として存続しています」
「では貴方がたは異世界…いえ、並行世界といったほうが正確でしょうか、から来たということですか?」
「ええ、その認識で間違いありません」
「では、貴方がたはどのように、そしてなぜこの世界に来訪したのでしょうか?」
「まず、我々がこの世界に来た方法は、我が国では最近開発された世界間移動装置『世界の門』です」
「それはどのようなものなのでしょうか?」
「詳細は最高レベルの国家機密なのでお教えすることはできませんが、文字通り本来互いに観測することができない別の世界同士を繋げる装置です」
「分かりました」
「そして、我々がこの世界に来た理由については、こちらの千葉に説明してもらいます」
「どうも、海軍中佐千葉修三と申します」
「よろしくお願いします」
「では説明させていただきます。ですが、我々の目的を理解するためには、我々の世界の現状を知っていただかなければなりません。なので、まずはこちらの資料に沿って我々の世界について説明させていただきます」
千葉はもう一人の海軍士官に資料を配布させ、説明を始めた
「現在の我々の世界は資料にある世界地図ののようになっています」
「そして我が大日本帝國の隣、中華民国とその北のモンゴルの国境付近は数十年前からテロ組織の支配地域となっており中華民国軍と大日本帝國陸軍による掃討が行われていました」
「テロ組織が国の領土の一部を支配していたのですか!?」
ブルーマーメイド側の一人が驚きの声を上げ、他のメンバーを驚愕の表情をしている。
「その通りです」
「なぜそのようなことに?」
「それについては説明が長くなるので省略させていただきます」
「わかりました…」
ブルーマーメイド側は不満げながらもそう納得した。
「説明に戻ります。そのような状況の中、テロ組織の活動が13年前に突然激減し、その年の内に完全に無くなりました。」
「それなら良かったのではないのですか?」
「これで終われば良かったのですが、2年前に突然大規模な戦力を伴って復活し、中国は内戦状態となりました」
「そんなことが…」
「その内戦が終結した後、我々は内戦中にテロ組織の拠点で発見したある文書を分析した結果、別の場所で勢力を拡大していて、今も拡大を続けていることが分かったのです」
「それと貴方がたがこの世界に来た理由がどうつながるのですか?」
「それは、そのテロ組織が勢力を拡大しようとしている場所がこの世界だからです」