The Cold War in High School Fleet world   作:BF109.Fw190

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小笠原諸島で日本のブルーマーメイドと会談を行っていた一方、『世界の門』の近海ではブルーマーメイド・ニイハウ島本部所属の艦隊と戦闘が起こり、これを殲滅した大日本帝國海軍。
日本海軍の動きに対応してブルーマーメイドも動き出す。


第四話 交渉

2014年3月22日

ハワイ・ニイハウ島 ブルーマーメイド本部

 

「通報があった海域に向かった艦隊の反応が消失しました!」

 

付近を航行中の船舶のビーコンを監視していた隊員から報告が飛び、管制室が騒然となる。

 

「すべての反応が一斉に消失したの?」

「いえ、最初に艦隊の3番艦の反応が消失し、約30分後他の艦の反応が次々に消失しました」

「まさか艦隊が全滅…?」

「だとしても艦隊が通信を入れる暇もなく全滅するとは考えられません」

「何かが起きたのは確実ね、捜索隊を出しましょう」

 

1時間後、ニイハウ島から5隻の艦隊が出港し、ミッドウェー沖に針路をとった。

 

 

 

 


 

 

 

2014年3月23日夕刻

小笠原諸島ーミッドウェー間

 

日本海軍第二艦隊の本隊は、『世界の門』確保のために残してきた遠征部隊の一部からの緊急電を受け急遽予定を変更してミッドウェー沖に急行していた。

艦隊旗艦『大和』艦橋では司令の山口と艦長の佐藤が話していた。

 

「ミッドウェー沖まで後2日か…」

「はい。現在『占守島』は偵察機の数を増やし、周辺海域の警戒を行っています」

「例の件の続報は?」

「救助したブルーマーメイド隊員からの聴取によると、彼女らの所属はハワイ・ニイハウ島のブルーマーメイド本部で、遠洋漁船からの通報でミッドウェー沖に向かったとのことです」

「…我が方の偵察機への発砲や戦闘発生の原因については?」

「偵察機については、正体不明の飛行物体が艦隊の上空を飛行するのは脅威だったので威嚇射撃を行ったとのことです。そして戦闘の発生原因については、我が方の艦隊が海賊の集団である可能性が捨てきれず、停船命令にも応じなかったから強制停止を実行しようとした…と証言しているようです」

「こちらの所属は伝えていた交信で伝えていたんだったな?」

「はい、それとこちらの国際法にも交戦国を除く軍艦への臨検は禁止されています」

「なら、こちらの所属が正式なものと認められなかったということだな…」

「そういうことになります」

「さすがに、この世界では70年近く前に消滅した軍隊を名乗っても認められんか…」

「それを認められるようにするためにこの世界とコンタクトを取るのが我々の任務です」

「そうだな…まあ、今回の件でブルーマーメイドも我々のことを認識しただろう。今回はそれで良しとするか…」

 

 

 


 

 

 

2014年3月25日

ミッドウェー近海

 

第二艦隊本隊が合流し、『大和』の会議室には派遣軍先遣隊の幹部が集合し、戦闘の詳細な報告と救助したブルーマーメイド隊員をどうするのかについて会議を行っていた。

 

「以上がブルーマーメイドとの戦闘の報告となります」

「ご苦労。さて諸君、今回の戦闘について意見があればどんどん言ってくれ」

「ではまず私から」

 

そう言って手を上げたのは最初にブルーマーメイドと接触した第221航空隊偵察飛行中隊の中隊長だった。

 

「ブルーマーメイドと接触した偵察機によると発砲はあったものの、砲弾は機体のだいぶ後方で炸裂したとのことです。なので、事前の情報から推測した通りこの世界には対空レーダーや対空測距儀は存在しないと考えて良いと思われます」

「なるほど…そうなれば、制空権は常に我々が確保できるな…」

「はい。また、砲弾が空中で炸裂したことから時限信管が開発・運用されていると思われます」

「航空機が無いのに対空砲弾は存在するのか」

「航空機は無くても気球や飛行船は存在するからな、我々の世界の対空砲の起源もそれらの撃墜を目的にしたものだからな」

「艦艇の性能はどうだ?」

 

対空戦闘についての話が一区切りついたところで山口司令の疑問に答えたのは被弾した『冬月』艦長である。

 

「驚異的としか言いようがありません。我が『冬月』は初弾で艦後部に被弾しましたし、六一式対潜魚雷*1のようなもので『噴進魚雷』という兵器はこの世界独自の誘導兵器です。」

「ほう…それの対処はどうなんだ?」

「こちらのデコイに食いついたので推進音追尾式と思われます」

「なら我々の世界の雷撃対処と同じ対処法で大丈夫だな」

 

その後もこの世界で初の戦闘の分析を行い、最後の議題となったのは救助したブルーマーメイド隊員の処遇だった。

 

「それでは最後に、救助したブルーマーメイド隊員の処遇について話し合うとするか」

「現状、救助した人数は112人で負傷者は医務室に、無事な者は第3兵員室を開けてそこに収容しています」

「現在も会話が可能な者から聴取を行っていますが…彼女たちを捕虜として扱ってよいのか迷っておりまして…」

「こちらの国際法に照らし合わせれば捕虜になると思うが、この世界の国際法ではどうかな?」

「この世界では戦争状態の交戦国の戦闘員であるとされています」

「なら、捕虜としては扱えんな…」

「どちらにしろ、このままずっと乗せておくわけにもいきますまい。ブルーマーメイド側も艦隊がロストしたのを確認したら捜索隊を送り出すでしょうから、それと接触して引き渡しましょう」

「それが一番無難だな。それと、その部隊にブルーマーメイド本部との交渉を要請しよう」

 

ガチャ「失礼します。偵察機より報告、ミッドウェーの東120海里に5隻の艦隊を探知したとのこと」

「ちょうどおいでなすったか。各艦長、部隊長は持ち場に戻り出迎えの準備を」

「「「了解」」」

 

こうして会議が終了し、集まっていた幹部たちは各自の艦に戻っていった。

20分後、『大和』CICから艦隊直掩隊に指示が出た。

 

「旗艦『大和』より艦隊直掩隊。接近中の艦隊に接触し、無線による交渉の要請を行え」

『了解』

 

『大和』からの命令で直掩隊は艦隊の東方120海里の海域に向かった。

 

 

 

同時刻、ニイハウ島を出港したブルーマーメイド艦隊はミッドウェー島の東150海里に達していた。

 

「そろそろ艦隊が消息を絶った海域ね…」

「はい…全艦に戦闘配置を命じますか?」

「そうね。『全艦戦闘配置!』」

 

旗艦からの号令で5隻全てで戦闘配置が行われた。

 

しかし、彼女たちは知らない。10分ほど前から、はるか上空の偵察機に補足され続けていることを…

 

 

『こちらは大日本帝國海軍第二艦隊である。ミッドウェー沖に向け航行中のブルーマーメイド艦隊との平和的な交渉を求める。』

「「!!!」」

 

突然無線から流れた音声にブルーマーメイド捜索隊各艦の艦橋は騒然となった。

 

『現在、わが艦隊はそちらの艦隊の約120海里西方を航行中であり約2時間後に接触する』

「どうしますか司令…?」

「とりあえず応じましょう。後ニイハウ島の本部に報告」

 

無線に返信しようとした時、続いた言葉に各艦の艦橋員は絶句する。

 

『なお、こちらは救助したブルーマーメイド隊員を収容している。その引き渡しについても協議したい』

「「「な…!!!」」」

『そちらの良い返事を待つ』

 

一番最初に立ち直った司令が無線のスイッチを入れ、返信しようとしたが応答が無かった。

そこで、司令はブルーマーメイド本部に状況を報告し指示を仰いだ結果、何としても隊員を取り戻すように指示が出たので、交渉に応じる決意をする。

 

 

 

2時間後、ミッドウェー島東方約60海里で日本海軍とブルーマーメイドの両艦隊は接触、『大和』の会議室で交渉が行われていた。

お互いの自己紹介が終わり、いざ協議に入るところで真っ先にブルーマーメイド側は収容されているブルーマーメイド隊員について日本海軍側に問いただした。

 

「まず、そちらが収容した隊員について教えてください」

「分かりました。こちらが救助・収容した人数は112人で、内47名が負傷しているので現在医務室で治療中です」

「分かりました。まずは我々の仲間を救助してくださったことに感謝します。ありがとうございました」

「我々の責任を果たしたまでのことです」

「では、収容したブルーマーメイド隊員、ひいては彼女らが乗っていた艦に何が起こったのかを知っている範囲で構わないので教えていただけますか?」

 

この質問に日本海軍側の空気が鋭くなったのをブルーマーメイド側は感じた。

 

「…申し上げにくいことですが、彼女らが乗っていた艦を撃沈したのは我々です」

 

日本海軍側のこの言葉に驚愕し、一瞬で場の空気は険悪になり、一触即発の雰囲気になるが、爆発しそうな感情を抑えてブルーマーメイド側は言葉を絞り出した。

 

「………なぜ沈めたのですか…?」

「我々が彼女らの艦隊をすべて沈めたのは、彼女らが攻撃してきたからです」

「ブルーマーメイド側が先制攻撃をするなどあり得ません!」

「彼女らに行った聴取によると、通常の海賊対処と同じような意識で攻撃してきたようです。実際、こちらの記録にも最初に停船命令を受けたとあります」

「ではなぜ、その命令に従わなかったのですか?」

「国際法において、公海上の軍艦は不可侵権を持っています。なので、我々にその命令に従う義務はありませんでしたから」

「しかし、命令に従っていれば犠牲を避けることができたのではないですか!」

「それは結果論です。我々は軍艦旗を掲げ、無線でこちらの所属も伝えました。なので、この戦闘の責任はそちら側にあると思っていただきたい」

「っ……分かりました、このことはいったんおいておきましょう」

 

ブルーマーメイド側はこれ以上戦闘の責任についてここで議論していても埒が明かないと感じ、一番重要な議題について切り込んだ。

 

「では、そちらが収容したブルーマーメイド隊員の引き渡しについてそちらの要求を教えていただけませんか?」

「分かりました。と言っても、隊員の引き渡しに対する要求は致しませんが、あなたたちの本部があるハワイ王国との仲介をお願いしたいのです。もちろん、断っていただいてもかまいませんし、そうなっても隊員はそちらに引き渡します」

「ありがとうございます。こちらもそちらの要望が通るように本部に要請しておきます」

「ありがたい。では、これで協議を終了してもよろしいでしょうか?」

「はい」

 

こうして両者の交渉は終了し、日本海軍に収容されていたブルーマーメイド隊員は捜索隊の各艦に移乗し、日本海軍とブルーマーメイド両艦隊はハワイに向けて進路を取った。

*1
アスロック対潜魚雷の日本独自開発版




はいふり世界の国際法についてはオリジナル設定です。
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