The Cold War in High School Fleet world 作:BF109.Fw190
2014年5月6日
???
中国大陸のどこかにある拠点で戦闘服を着た男たちが会議を開いていたいた。
「昨日、日本政府内の我々の協力者から情報があった」
「閣僚のスキャンダルでも握ったのか?」
「いや、外交関係だそうだ」
「外交関係?」
「何やらどこかの国と極秘に国交が樹立したらしい」
「そりゃ大事だが、我々には関係ないだろう?」
「そうでもない。横須賀に潜伏している同志からも報告があってな…この世界の横須賀に日本海軍が現れたそうだ」
「何!?」
会議に参加しているメンバーの顔色が一気に変わった。
「それは本当なのか?」
「ああ、空母『飛龍』が現れたようだから確実だろう」
「なんてことだ…奴らは我々の動きに気づいているのか?」
「少なくともこの世界で活動していることはバレているだろう」
「ともかく、なるべく早く手を打たなければ…」
そう言って話し合っている男たちを部屋の隅から眺めている、明らかに他の男たちと違う人種―白人の男がいた。
(これは速やかに本国に報告しなければ)
2014年9月10日
佐世保市街フロート
この日、佐世保女子海洋学校と佐世保市街には各海洋学校の生徒の姿が多数見られた。今日行われている歓迎祭と明日の競闘遊戯会に参加する生徒たちだ。
そんな生徒たちで賑わっている大通りの一角に止まっている1台のワゴン車で、中嶋と彼の分隊員5名は周囲を警戒しながら待機していた。
「α-0よりCP、こちら異常なし」
『β-0よりCP、異常なし』
『CP了解』
配置に着いている各分隊から報告が上がってくるのを聞いていると、中嶋の分隊の隊員の一人が報告した。
「分隊長、7時の方向に不審人物を発見」
「なに?」
中嶋が分隊員が指す方向を確認すると、一見するとただの来場者だがよく見れば所々に違和感がある男がいた。
「α-0よりα-9、たこ焼きの屋台の前を歩いている黒いジャケットの男が見えるか?」
『確認する』
狙撃手としてビルの屋上に配置している分隊員に通信し、不審人物を監視させる。
「α-0よりCP、不審人物を発見、確認の後対処する」
『CP了解。必要とあれば火器の使用を許可する』
「α了解」
『β了解』
「西本、対象を追跡しろ」
『了解』
西本とα-3(分隊員)がもう1台の車を降りて不審人物の尾行を始める。
数分後、男が持っていたバックから箱型の何かをベンチに置いたところで西本が一気に距離を詰め男に話しかけた。
「何をしているのですか?」
「い…いえ、なんでもありません」
「おや?外国の方ですか?」
「そうですが…なぜ?」
「いえ、少し訛りがあったのでもしかしたらと思いまして。気に障ったのなら謝ります」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
男が少し驚き、訛った日本語で返事をして西本と会話している間に、同行していたα-3が男の背後に回り、周囲の警戒とベンチに置かれた物体の確認を行うと、置かれた物体は時限式の爆弾だった。
「α-3よりα-0、対象は爆弾を設置。これより対象の拘束と爆弾の回収を行う」
『α-0了解、爆弾の種類は?』
「おそらく時限式のC4、起爆まで約10分」
『了解、処理の準備をしておく』
報告を終えたα-3は背後から男に近づき、首に手をまわして男の頸動脈を締め上げる。
数秒で落ちた男を西本が抱え、α-3が爆弾を回収してワゴン車に戻ろうとしたところで後ろ側から声がかかった。
「そこのお兄さんたち、なにしてるの〜?」
振り返ると舞鶴女子海洋学校の制服―それも普通のとは少し違う―を着た少女
と佐世保女子海洋学校の制服を着た少女がそれぞれ2人いた。
「この人の具合が悪いようだから救護所に連れて行こうとしているんだよ」
「ふ〜ん。なんかそこの箱持った人がその人の首を絞めてるように見えたけど気のせいかな〜」
そう言って少女の一人がα-3を指さす。
「気のせいじゃないかな?」
段々と場の空気が殺気立ち始める中で、そう答えたところで、西本は気づいた。目の前の少女のさらに後ろで不審な動きをする男がいることに。それと同時に無線機からも狙撃手の報告が届く。
『α-9よりα-0・α-1、α-1の北約20mに不審な動きをしている男がいる』
『α-0了解、α-1の回収、不審人物の対処に向かう』
無線での会話が終わったタイミングで、男が腕時計を確認しながらジャケットの内側に手を入れ、内ポケットから拳銃を取り出した。
「こちらα-1、不審者が銃を抜いた!」
西本は無線で報告しながら銃を抜き、男に向けて発砲。サプレッサーで抑えられた銃声が鳴るのと同時に男が倒れた。
西本が周囲を見渡すと、α-3が目の前の少女たちを地面に引き倒し、こちらも銃を抜いて周囲に素早く視線を走らせているところであった。
「α-0よりCP、戦闘発生。現在対処に当たっている」
『こちらβ-0、こちらも戦闘発生。対処する』
ワゴン車の車内で指揮所に報告を行った中嶋は、車が止まると同時に降車し、小銃を構えて周囲を警戒しながら指示を出す。
「拘束した目標とそこの生徒たちを乗せろ!α-2、α-4は同乗し爆弾の解除と護衛だ!」
「了解」「了解」
α-2とα-4が男と女子生徒を車に乗せるのを確認した後、第1分隊は銃声と悲鳴が聞こえる大通りの中心部に前進を開始した。
(彼らは何者なんだろう?)
乗せられた車の中で佐世保女子海洋学校の制服を着た少女―千葉沙千帆は考え込んでいた。
(少なくとも海賊やテロリストの類じゃない…とんでもない練度だったし、持っていた武器も見たことがないものだった…)
そんなことを考えながら、つい数分前の出来事を思い返す。
ーーー最初に異変に気づいたのは競闘遊戯会で横須賀に来ていた舞鶴女子海洋学校所属の超大型直接教育艦『信濃』艦長の阿部亜澄だった。
「ねぇ、あの人たちなんかおかしくない?」
「え?」
そう言って阿部が指さした方を見ると、2人の男が話していて、その後ろでもう一人の男が箱のようなものを探っていた。確かに変な動きをしていると思っていると
「ッ…!」
次の瞬間さっきまで箱を探っていた男が、話していた男の一人の背後に回って首を絞めた。首を絞められた男はものの数秒で落され、一緒に話していた男に担がれた。その光景を見て千葉は咄嗟にその男たちに声をかけた
「そこのお兄さんたち、何してるの~?」
なるべくのんびりとした、敵意を感じさせない声色で言うと
「この人の具合が悪いようだから救護所に連れて行こうとしているんだよ」
と、男は自然にごまかした。そこで千葉は
「ふ〜ん。なんかそこの箱持った人がその人の首を絞めてるように見えたけど気のせいかな〜」
と言ってカマをかけた。
「気のせいじゃないかな?」
男はそう答えるが、明らかに場の空気が張り詰めている。そばにいた阿部や、『信濃』副長の河野燕と自分が艦長を務める『紀伊』の副長の野際啓子も自然と身構えていた。
すると男の視線が自分たちの背後に移り、少しの間が空いた後、「こちらα-1、不審者が銃を抜いた!」と言って懐から拳銃を取り出した。
そこからは一瞬だった、取り出した拳銃を構えて自分たちの背後に向けて2発撃ったーなぜかイメージしていた銃声とは違って空気が抜けたような音だったーそれと同時に、箱を持っていた男が自分たちを強引に地面に引き倒してその男も銃を抜いた。
何分もかからずに黒いワゴン車がそばに止まって中から、これまた見たことのない装備に身を固めた集団が出てきて、そのうちの2人が自分たちと拘束された男を車内に押し込んで彼らも共に乗車したーーー
「…ニー、サニー!」
「ッ!…どうしたんだけいこさん?」
名前を呼ぶ声で記憶の中から呼び戻された千葉が、そう問うと
「それはこっちのセリフです、サニー。さっきから考え込んでいましたがどうしたのですか?」
「…いや…さっきのことを考えていたんだ…」
そう言いながら、いまだ気絶したままの男とその近くで何かの作業をしているα-4の方を見る。
男は回収した小箱を開けて何かをいじっているようだが、何をしているのか確かめようにもそのすぐ近くで窓の外を見ているα-2が時折千葉たちの動きを監視するので思うように思うように動けない。
「こちらα-4、爆弾の解除完了」
「「「!?」」」
『α-0了解、そのまま待機せよ』
「了解」
千葉たちはα-4の発した物騒な単語に驚き、思わず彼らの方を見る。
すると、気絶していた男が目を覚まし、α-2とα-4を見て―正確には彼らの右腕に付けられている陸軍旗(旭日旗)のワッペンを見て―露骨に怯えだした。
その様子を見たα-2は男に近づき
「なんで我々を見てそこまで慌てるんだ?」
と意味深に問いかけた。すると男は
「お…お前ら
「…なぜその名前を知っている人間が我々以外に
そう言ってα-2が男の首に注射器を刺して薬品を注入すると、男は再度気絶した。
その様子を見ながらα-4が男のバッグの中を探った後、車内の無線機を手に取り
「α-4よりCP、敵はおそらくCLF」
『こちらCP、その根拠は?』
「拘束した不審者が我々のことを知っていた。また、所持している銃もAKS-74Uだ」
『了解、各隊に伝達する』
また、α-2も自分の無線機で中嶋に報告した。
「α-2よりα-0、敵はCLFと断定」
『こちらα-0了解、CPへの通達をしておけ』
「了解」
その様子を見ていた『信濃』と『紀伊』の艦長・副長たちはα-2の行動に少し恐怖心を抱きながら小声で話し合っていた。
「けいこさん、
「いいえ、ありません」
「私も知らないね。何かの組織の名前だと思うけど…それ以上は分からないね。専務は?」
「私も知りません」
「う~ん…なら聞いてみるしかないかな?」
「阿部、それはやめたほうがいい。答えてくれるかもわからないし、下手したら殺されるかも」
「そうですよ社長、いま彼らに襲い掛かられたら、私たちには抵抗する手段がないんですから」
艦長・副長組が話し合いを始めて10ほど経った時、α-2の無線に中嶋からの報告が入った。
『α-0よりα各員へ、大通りの制圧完了、引き続き警戒を行う。α-6・α-7、車両を大通りの中心部に回せ』
「了解」『了解』
2台の運転手が返答した直後、車が急発進して大通りの中心部に向かった。