女性不信気味の転生男貴族は貞操逆転世界で暖かい家庭を築きたい 作:冬野晴(旧雪野春)
私は翌朝に目を覚まし、いつもの習慣として自宅の門の前に設置されているポストに投函物が無いか確認した。
投函されていたのは王都で発行されている新聞とアルマーク家の紋章つきの封筒に入っている手紙であった。
「また母上からの結婚の催促か...。」
1階にある自室で溜息をつく。
我慢の限界なのだろう。
そう思って手紙を開いて読むといつものように早く良い相手は見つからないのか、良い加減妥協しなさい、貴方は私の一人息子なのだから早く孫の顔を見せてくれないと困るという長々とした文章が書いてあった。
「これは何だ?」
手紙の中には複数人の女性の写真と経歴が詳細に記した書類が入っていた。
なるほどこの中から生涯の伴侶を探し出せという事か。写真の中には私が苦手な金髪の女性はおらず、髪が長く柔らかな印象を持つ女性が写っている。
「...まあ、悪くはないな。」
私は写真と手紙を封筒の中に戻し机の中に入れて鍵をかけてから出勤した。
職員室での朝の挨拶と申し送りと会議が終わると私は生徒の魔力測定と身体測定の結果を記した書類をまとめたファイルを持って保健室に向かった。ドアが少し開いている。なぜ開いている?と思いながらドアを開けると、髪と瞳が青で肌が白いクールビューティーな少女がベッドの端に座りカバーの付いた本を読んでいる。
「また君か。」
「ああ、おはようございます先生。」
少女は真顔で私のいる方を向いて感情の籠っていない挨拶をする。
彼女の名前はサラ=ドール=トールド。王族の母と貴族の父を持つ無詠唱魔術師である。魔力も身体も高い数値を持ち座学実技の成績も優秀だが授業はつまらないと言ってよく抜け出してこの保健室に来る。
「今日は朝からサボタージュか?いい加減授業に出たらどうなんだ?君は優秀な魔術師だがこのままでは留年する事になるぞ?」
「あんなもの興味がありませんしする意味がありません。私には幼い頃から優秀な家庭教師がいて高等教育機関相当の魔術の座学と実戦を行ってきました。この学園の授業は正直に言うと子供の遊びです。それに、なぜ王族の血を引いている私が有象無象の素人どもと混ざらなければならないんですか?」
「酷い言い草だな。そうだ。そんなに自信があるなら今からテストをしよう。」
私は高等魔術の歴史や理論に関する問題集を本棚の中から取り出して紙とペンを用意して彼女に渡した。
「今からそれを全部解いてみてくれ。一つでも不正解があったら今後はちゃんと授業に出席するように。」
「面白い勝負ですね。受けて立ちましょう。」
サラは保健室内の机に移動して問題を解き始めた。私は魔力測定と身体測定の結果を記したファイルを開いて全校生徒一人一人をランク分けしてクラス表を作成した。昼休みになる前にサラが私に声をかける。
「終わりましたよ。採点してください。」
私は問題の答え合わせをした。回答に間違いは一つもない。
「全問正解だな。」
「これでもう少しこの保健室にいられます。」
サラが悪戯っぽく笑い、再びベッドの端に座って本を読み始めた。私は溜息をついた。今後もこのような状況が続くようなら学園長に相談するのも手かもしれない。
夕方になり彼女は自宅に帰った。そういえば高等魔術の歴史や理論に関する問題集を本棚に戻していなかったと気づく。
「なんだこの本は?」
本棚の後ろ側に見覚えのない本がある。取り出した本の表紙には「貞操逆転世界男ハーレム」という題名が書いてあった。おいふざけるな。誰だよ。勝手に官能小説を置きやがって。貞操逆転世界に存在する貞操逆転世界ポルノってなんなんだよ頭が混乱するわ。
「この世界の女はどいつもこいつも綺麗な顔をしているが脳みその中身は性欲猿と同等だな...。」
本の題名の下にはサラ=ドール=トールドという名前が書いてあった。